ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

第2回広島県高校教育改革推進協議会概要

第2回 広島県高校教育改革推進協議会概要について

 日時

平成12年10月25日(水曜日)14時30分~16時30分

場所

県庁北館 第1委員会室

 出席者

安藤,石橋,内田,東風上,佐々木,椎木,鈴木,富永,名越,二宮,藤田,森,山極,吉田,渡邉

 協議内容

 特色ある学校づくりの推進
   入学者選抜制度の改善

 意見交換

○「特色ある学校づくりの推進」について

・総合学科へ改編した学校のなかには,キャリア教育を徹底することにより,生徒は学習の目的意識を明確にもつようになり,学力向上をめざす取組みと相俟って,進路実現に向けての意欲的な学習状況が生み出されている。このような取組みによって,「総合学科は進学に不利では」という周囲の危惧を払拭することに成功している。キャリア教育とは,生徒が自分のやりたい将来の職業を見通して,どんな資格を取ればその職業に就けるか,あるいは,どんな学部・学科に進学すれば自分の希望する将来設計をまっとうできるか,というものを教育内容としている。
・特色ある学科・コース等の内容は,相当に幅広く時代性を反映したものが多い。これらを編成するに当たり,教員配置をどのようにするのか,また教員の研修も重要ではないか。
・多様な科目を設置している学校では,基本的に教育内容は,各教員の専門分野で対応できるものとしている。生徒がさらに深く追求していきたい内容については,生徒と教員が一緒に研究をする「課題研究」という科目で対応している。科目「産業社会と人間」あるいは専門性の高い教科・科目については地域の社会人あるいは専門家を講師として招聘する場合もある。研修については,国・県レベルにおける教員の研修講座も活用している。
・総合学科は定員割れの歯止めとして効果があるのか。また,今後,総合学科のあり方を考える必要があるのではないか。
・県内に総合学科は13校あるが,それぞれ特徴をもっているので一律に論じられない。今後は,各学校がそれぞれの特色を打ち出し,内容の充実を図ることが課題となる。
・特色づくりに関して,生徒を対象としたアンケート調査も検討してはどうか。
・広島県は全国でも総合学科の設置数が突出している。今後は,総合学科の多様化が課題となるが,それ以上に普通科における特色づくりも推進していく必要がある。広島県の場合,特色あるコース等の充実は一層必要で,その際,コースについては学区制をはずす検討も重要である。中高一貫教育については,当面連携型を,中長期的には併設型の推進を検討すべきではないか。
・総合学科において,学習の目的意識を明確にすることは重要だが,そのために必要な時間と,必須の基礎学力を育成する時間とのバランスが必要ではないか。
・総合学科では,学校行事のみならず「産業社会と人間」,「情報基礎」という原則履修科目のなかで,学習の目的意識を明確にする教育内容づくりをすすめている。特色づくりのためのコース設定が有効に機能するかどうかは,その教育内容と生徒自身の進路設計との間に連続性があるかどうかである。
・他県では,総合学科に改編した学校には,課題を抱えた学校もあるということを聞いたことがある。総合学科は,将来,自分の進路設計には有効であると理解している。しかし,総合学科の評価は,出口における成果をみないと判断できない。もともと,特色ある学校づくりのために総合学科というものが導入されたのかどうか,普通科高校においても特色づくりを推進しているならば総合学科の意義は何なのか,また,本県ではあまりにも総合学科が急増したので,先生方の研修等は十分行われているかという点で不安な面がある。
・特色ある学校づくりには,入り口における特色もあるが,出口における特色もある。これには時間がかかる。特色ある学校づくりという言葉だけが先行することには問題がある。中高一貫教育について,これが特色になるといえるか。高等学校を論ずるとき,高等学校と大学との,あるいは一般企業との関係を切り口にして議論をしなければ,意味がないのではないか。
・以前総合選抜校であった学校では,単独選抜へ移行した後,どのように生き残っていくかという非常に大きな課題を抱えている。現在,それらの学校の中には,伝統である質実剛健を旗印に,学力向上を取組みの中核に据え,説明責任を伴う学校運営を推進しているものもある。今,学校が求められていることは,特色をきちんと打ち出し,学校の方針や考え方を生徒や保護者にきちんと説明することではないか。
・特色づくりの前提には,生徒の基本的な学力の定着が必要であり,これを抜きにした特色づくりには危惧を感じる。また,各学校の建学の精神を忘れて,特色づくりのテクニックに走ることには危惧がある。中高一貫教育の推進は早急に取組むべき問題である。中高一貫教育の特徴である年齢幅の広い異学年集団のもつ教育的効果を再認識すべきではないか。この意味で,かつての学制である6・5・4制のもつ意義も再認識すべきである。
・生徒の居住地によっては,学校の選択肢が少なく,進路決定に際してその幅が狭められている場合がある。また,その進路決定に必要な情報が保護者にオープンになっていない場合もあり不安が多い。特色ある学校づくりにあたっては,通学の便利性,クラブ活動等についても制約のある学校があることを一緒に考えてほしい。
・中学校としては,生徒達が生き生きと意欲的に進学してくれるというのが最大の願いである。高校の多様化について,概ね中学校の校長の間では,好意的な受け止めが多い。しかし,学校選択に必要な高校側の情報が中学生の側に十分届いていない現実があることが課題である。特色づくりの点から言うならば,現在の中学生における理数系離れの実態を背景として,技術革新の推進役となるような理科系センター校について力をいれてもらいたい。
・国際化に対応して語学教育の充実と同時に,現実の歴史認識をグローバルな視点から育成してほしい。学校が外部の専門家を活用することを課題としてほしい。また,生徒が教師を選択可能となることも課題として考えてほしい。学校を変えていくには,学校の情報を開示していくということが課題となる。
・教育に対するニーズが多様化していることを前提とするならば,教育サービスはそのニーズに応えるべきではないか。多様なニーズに応える多様なサービスを,一人一人の生徒が選択できるような柔軟なシステムをつくっていくこと,さらには高等学校においては,ニーズを的確に把握し,それに応えられるような学校づくりをすすめていくための方法論について,この協議会として審議を継続する。また,特色づくりと合せて,地域に開かれた学校づくりということについて,議論することが重要である。これらを「特色ある学校づくりの推進」に関するこれまでの協議の柱とし,継続して協議することとする。

○「入学者選抜制度の改善」について


・平成13年度の入試制度の改善については高等学校側からの諸改革であった。今後の改善では,受験する生徒が自らの個性,能力を主体的にアピールできるようになることを検討してもらいたい。また,複数受験の機会を提供するという視点から,選抜(3)に定員枠を設定するということも検討してほしい。

 ○ 次回の協議について


「入学者選抜制度の改善」について継続して協議した後,「適正配置及び通学区域の見直し」についての協議を行う。