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平成15年度幼児教育調査報告書-III 調査結果

緑色の丸のイラスト 1 幼児の育ちに関する全体的傾向

(1)  保育者の見た幼児の育ちの状況

■ 保育者観察調査 

 保育者が「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域15項目について、幼児の育ちの状況を4段階で評定した。

 その結果いずれの項目も「よくあてはまる」「ややあてはまる」の割合が高く、幼児の育ちの状況はおおむね高い評価となっている。(図1-1-1)
  「よくあてはまる」の割合が6割を超えているのは,次のとおりである。

・『戸外遊び』『基本的生活習慣』『安全』『数』『読書』

【図 1-1-1 保育者観察調査】

保育者観察調査のグラフ

■ 実技調査

 保育者が「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域からそれぞれ対応する
『ボールを投げる』『合図で行動する』『数を数える』『自分の名前が分かる』『はさみと紙でつくる』の5つの実技について,幼児の育ちの状況を4段階で評定した。

 その結果,いずれの実技についても,幼児の育ちに対する評価は高くなっていることが分かる。(図 1-1-2)

【図 1-1-2 実技調査】

1) ボールを投げる(健康)

ボールを投げる実技調査のグラフ

2) 合図で行動する(人間関係)

合図で行動する実技調査のグラフ

3) 数を数える(環境)

数を数える実技調査のグラフ

4) 自分の名前が分かる(言葉)

自分の名前が分かる実技調査のグラフ

5) はさみと紙でつくる(表現)

はさみと紙でつくる実技調査のグラフ

● 保育者観察調査と実技調査の関連

 ― 保育者観察調査と実技調査の関連1 ―

 保育者の行った幼児の育ちの状況についての観察調査と実技調査の関連を把握するため、両調査間において相互に関連のある項目についてクロス集計を行った。

 その結果,すべてのクロス集計において,実技調査の評定が高いほど観察調査の評定も高い傾向にあることが分かる。(図 1-1-3)

【図 1-1-3  保育者 観察調査と実技調査のクロス集計】

1) 観察 [戸外遊び]・実技[ボールを投げる]

戸外遊び・ボールを投げるのクロス集計グラフ

2) 観察 [きまり]・実技[合図で行動する]

きまり・合図で行動するの集計グラフ

3) 観察 [数]・実技[数を数える]

数・数を数えるのクロス集計グラフ

4) 観察 [聞く・話す]・実技[自分の名前が分かる]

聞く・話す・自分の名前が分かるのクロス集計グラフ

5) 観察 [創作的表現]・実技[はさみと紙でつくる]

創作的表現・はさみと紙でつくるのクロス集計グラフ

― 保育者 観察調査と実技調査の関連2 ―

 保育者の行った幼児の育ちの状況について観察調査と実技調査の相関分析を行った。

  相関分析では,保育者観察調査の項目と実技調査の項目との相関係数から、いくつかの項目について有意な相関があるとみることができる。
 相関係数 0.3以上のものは次のとおりである。(表1-1-1)

  • 「合図で行動する」と『安全』『善悪の判断』『 整理整頓』『聞く・話す』
  • 「数を数える」と『数』
  • 「自分の名前が分かる」と『数』
  • 「はさみと紙でつくる」と『基本的生活習慣』『数』『聞く・話す』『 創作的表現』

【表 1-1-1 保護者観察調査と実技調査の相関係数】

 保育者観察調査/実技調査 戸外遊び 基本的生活習慣 安全 コミュニケーション 善悪の判断 きまり 自然とのかかわり 整理整頓 聞く・話す あいさつ 読書 創作的表現 音楽的表現 身体的表現
ボールを投げる 0.213 0.093 0.013 0.121 0.015 0.071 0.123 0.018 0,127 0.097 0.080 0.072 0.083 0.047 0.096
合図で行動する 0.061 0.267 0.309 0.289 0.395 0.298 0.112 0.343 0.240 0.355 0.129 0.200 0.109 0.202 0.113
数を数える 0.059 0.237 0.203 0.187 0.230 0.243 0.143 0.219 0.400 0.236 0.173 0.213 0.180 0.139 0.128
自分の名前がわかる 0.081 0.230 0.232 0.216 0.262 0.235 0.149 0.218 0.356 0.285 0.170 0.213 0.256 0.248 0.274
はさみと紙で作る 0.105 0.308 0.240 0.202 0.268 0.242 0.227 0.268 0.367 0.308 0.172 0.275 0.354 0.271 0.277

(2) 保護者の見た幼児の育ちの状況

■ 保護者観察調査

 保護者が「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域15項目について,幼児の育ちの状況を4段階で評定した。

 その結果、いずれの項目も「よくあてはまる」または「ややあてはまる」の割合が高く、幼児の育ちの状況はおおむね高い評価となっている。(図 1-2-1)
 「よくあてはまる」の割合が6割を超えているのは,次のとおりである。

  • 『戸外遊び』『聞く・話す』『読書』『創作的表現』『音楽的表現』

 「まったくあてはまらない」「あまりあてはまらない」の割合が高い上位3項目は,次のとおりである。

  • 『コミュニケーション』『整理整頓』『自然とのかかわり』

【図 1-2-1 保護者観察調査】

 保護者観察調査のグラフ

― 保護者観察調査の項目間の関連 ―

 保護者の見た幼児の育ちの状況について,項目間の相関分析を行った。

 (※報告書の見方:1)相関分析参照)

相関分析では,項目間の相関係数から,いくつかの項目について有意な相関があるとみることができる。
 相関係数 0.3以上のものは次のとおりである。(表 1-2-1)

  • 『基本的生活習慣』と『きまり』『整理整頓』
  • 『コミュニケーション』と『きまり』『整理整頓』
  • 『善悪の判断』と『きまり』『整理整頓』
  • 『きまり』と『整理整頓』『基本的生活習慣』『コミュニケーション』『善悪の判断』
  • 『整理整頓』と『基本的生活習慣』『コミュニケーション』『善悪の判断』『きまり』
  • 『数』と『 聞く・話す』『身体的表現』
  • 『聞く・話す』と『あいさつ』『音楽的表現』『身体的表現』『数』
  • 『あいさつ』と『聞く・話す』
  • 『読書』と『創作的表現』
  • 『創作的表現』と『音楽的表現』『読書』
  • 『音楽的表現』と『身体的表現』 『 聞く・話す』『創作的表現』
  • 『身体的表現』と『数』『聞く・話す』『音楽的表現』

※すべての項目の中で,相関係数 0.2以上で関連している項目が最も多いのは,『数』である。

【表 1-2-1 保護者観察調査項目間の相関係数】

 保育者観察調査/実技調査 戸外遊び 基本的生活習慣 安全 コミュニケーション 善悪の判断 きまり 自然とのかかわり 整理整頓 聞く・話す あいさつ 読書 創作的表現 音楽的表現 身体的表現
戸外遊び -                            
基本的生活習慣 0.178 -                          
安全 0.062 0.277 -                        
コミュニケーション 0.051 0.295 0.261 -                      
善悪の判断 0.058 0.261 0.199 0.270 -                    
きまり 0.040 0.309 0.290 0.427 0.390 -                  
自然とのかかわり 0.150 0.192 0.119 0.179 0.205 0.264 -                
整理整頓 0.033 0.339 0.173 0.323 0.442 0.333 0.240 -              
0.055 0.236 0.232 0.144 0.197 0.242 0.186 0.233 -            
聞く・話す 0.093 0.215 0.179 0.145 0.152 0.224 0.193 0.164 0.361 -          
あいさつ 0.130 0.242 0.173 0.197 0.208 0.235 0.188 0.191 0.215 0.304 -        
読書 0.065 0.167 0.174 0.154 0.162 0.196 0.178 0.156 0.245 0.235 0.199 -      
創作的表現 0.065 0.136 0.135 0.087 0.075 0.145 0.198 0.101 0.258 0.281 0.148 0.346 -    
音楽的表現 0.130 0.179 0.138 0.109 0.101 0.131 0.177 0.108 0.234 0.314 0.223 0.285 0.362 -  
身体的表現 0.127 0.175 0.175 0.128 0.133 0.184 0.225 0.148 0.307 0.331 0.247 0.266 0.260 0.410 -

■ 生活習慣定着度調査

 保護者が基本的な生活習慣である『睡眠』『清潔』『着脱衣』『食事』『排泄』の5項目について,生活の自立の観点からその定着度を4段階で評定した。

 その結果,「全部自分でする」の割合が6割を超え最も高い評価となっているのは次のとおりである。(図1-2-2)

  • 『着脱衣』

 「人から言われなければしない」または「自分からしようとしない」割合が2割を超えているのは次のとおりである。

  • 『睡眠』『清潔』『食事』『排泄』

【図1-2-2 生活習慣定着度調査】

1) 睡眠[朝は,気持ちよく起きる]

朝は,気持ちよく起きるの調査グラフ

2) 清潔[歯みがきをする]

歯みがきをするの調査グラフ

3) 着脱衣[パンツやシャツを脱ぎ着する]

パンツやシャツを脱ぎ着するの調査グラフ

4) 食事[朝食を食べる]

朝食を食べるの調査グラフ

5) 排泄[大便をする]

大便をするの調査グラフ

● 保護者観察調査と生活習慣定着度調査の関連

― 保護者観察調査と生活習慣定着度調査の関連1―

 保護者の見た幼児の育ちの状況に対する評価と保護者の見た基本的な生活習慣定着度の関連についてクロス集計を行った。
(※報告書の見方:2)平均点分布参照)

 その結果,保護者観察調査の15項目のいずれについても,生活習慣定着度が高いグループは生活習慣定着度が低いグループに比べて幼児の育ちに対する評価が高い傾向にある。(図1-2-3) 

【図1-2-3 保護者観察調査と生活習慣定着度調査のクロス集計】

※数値は,15項目の評定について「よくあてはまる」または「ややあてはまる」の回答割合の合計を示す。

保護者観察調査と生活習慣定着度調査のクロス集計グラフ

― 保護者観察調査と生活習慣定着度調査の関連2 ―

 幼児の育ちの状況15項目と生活習慣定着度について相関分析を行った。
 (※報告書の見方:1)相関分析参照)

 相関分析では,幼児の育ちの状況15項目と生活習慣定着度との相関係数からいくつかの項目について有意な相関があるとみることができる。
 相関係数0.3以上のものは次のとおりである。(表1-2-2)

  • 『着脱衣』と『基本的生活習慣』

【表1-2-2 保護者観察調査と生活習慣定着度調査の相関係数】

保護者
観察調査


生活習慣
定着度調査
戸外遊び 基本的生活習慣 安全 コミュニケーション 善悪の判断 きまり 自然とのかかわり 整理整頓 聞く・話す あいさつ 読書 創作的表現 音楽的表現 身体的表現
睡眠(朝は気持ちよく起きる) 0.054 0.137 0.037 0.114 0.104 0.124 0.071 0.095 0.042 0.003 0.147 0.027 0.006 0.006 0.044
清潔
(歯みがきをする)
0.046 0.273 0.155 0.153 0.240 0.226 0.147 0.257 0.125 0.137 0.165 0.123 0.107 0.118 0.129
着脱衣(パンツやシャツを脱ぎ着する) 0.096 0.353 0.114 0.165 0.159 0.166 0.090 0.176 0.159 0.147 0.125 0.053 0.046 0.091 0.083
食事
(朝食を食べる)
0.063 0.204 0.100 0.168 0.203 0.224 0.078 0.156 0.133 0.122 0.161 0.063 0.037 0.048 0.071
排泄(大便をする) 0.121 0.129 0.100 0.091 0.134 0.147 0.116 0.148 0.094 0.119 0.150 0.058 0.031 0.067 0.120

(3) 保育者観察調査と生活習慣定着度調査の関連

 保育者の見た幼児の育ちの状況に対する評価と保護者の見た基本的な生活習慣定着度の関連についてクロス集計を行った。
(※報告書の見方:2)平均点分布参照) 

 その結果,保育者観察調査の15項目のいずれについても,生活習慣定着度が高いグループは生活習慣定着度が低いグループに比べて幼児の育ちに対する評価が高い傾向にある。(図1-3)

【図1-3 保育者観察調査と生活習慣定着度調査のクロス集計】

※グラフは,15項目の評定について「よくあてはまる」または「ややあてはまる」の回答割合の合計を示す。

保育者観察調査と生活習慣定着度調査のクロス集計グラフ

(4) 保育者観察調査と保護者観察調査の関連

 保育者と保護者が「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域15項目について行った4段階評定について,評定の全体的傾向を比較した。
(※報告書の見方:2)平均点分布参照)

 その結果,全体としては,保育者と保護者の間で幼児の育ちの状況に対する見方にずれがあることが分かった。(図1-4)
 平均点の分布は,「健康」「人間関係」「環境」の領域では保育者の方が保護者に比べ高い値となっており,「言葉」「表現」では保育者と保護者の評価が逆転もしくは接近している。
 保育者,保護者ともに最も評価が低い項目は,「人間関係」の領域の『コミュニケーション』であった。

【図1-4 保育者観察調査と保護者観察調査の関連:平均点の分布】

育者観察調査と保護者観察調査の関連:平均点の分布グラフ

 緑色の丸のイラスト 2 幼児の指導に関する全体的傾向

(1) 幼稚園・保育所における指導の状況

■ 保育者指導調査(幼稚園)

 幼稚園で,日頃特に重点的に取り組んでいる指導の内容について,幼稚園教育要領の「健康」 「人間関係」「環境」「言葉」「表現」5領域50の内容項目から各領域二つずつ選んだ。

 その結果,各領域で選択の割合が最も高いのものは次のとおりであった。
(図2-1-1~図2-1-5)
【健康】『先生や友達と触れ合い,安定感をもって行動する』(47.3%)
【人間関係】『友達とのかかわりを深め,思いやりをもつ』(40.0%)
【環境】『身近な動植物に親しみをもって接し,生命の尊さに気付き,いたわったり,大切にしたりする』(54.5%)
【言葉】『絵本や物語などに親しみ,興味をもって聞き,想像をする楽しさを味わう』(47.3%)
【表現】『かいたり,つくったりすることを楽しみ,遊びに使ったり,飾ったりする。(40.0%)

図2-1-1 幼稚園における指導の状況(健康)のグラフ


図2-1-2 幼稚園における指導の状況(人間関係)のグラフ

 

図2-1-3 幼稚園における指導の状況(環境)のグラフ

図2-1-4 幼稚園における指導の状況(言葉)のグラフ

図2-1-5 幼稚園における指導の状況(表現)のグラフ

■ 保育者指導調査(保育所)

 保育所で,日頃特に重点的に取り組んでいる指導の内容について,保育所保育指針(5歳児)の「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」5領域48の内容項目から各領域二つずつ選んだ。

 その結果,各領域で選択の割合が最も高いのものは次のとおりである。(図2-1-6~図2-1-10)
【健康】『友達と一緒に様々な運動や遊びをする』(58.7%)
【人間関係】『保育士や友達などとの安定した関係の中で,意欲的に遊ぶ』(69.6%)
【環境】『身近なものを大切に扱い,自分の持ち物を整頓する』(45.7%)
【言葉】『人の話を注意して聞き,相手にも分かるように話す』(58.7%)
【表現】『音楽に親しみ,みんなと一緒に聴いたり,歌ったり,踊ったり,楽器を弾いたりして,音色の美しさやリズムの楽しさを味わう』(71.7%)

図2-1-6 保育所における指導の状況(健康)のグラフ


図2-1-7 保育所における指導の状況(人間関係)のグラフ

図2-1-8 保育所における指導の状況(環境)のグラフ

 

図2-1-9 保育所における指導の状況(言葉)のグラフ

 

図2-1-10 保育所における指導の状況(表現)のグラフ

(2) 家庭における指導の状況

■ 保護者指導調査

 家庭の教育で,特に大切にしている内容について,保護者観察調査と同様の15の内容項目から五つ選んだ。

 その結果,選択の割合が6割を超えたものは次のとおりである。(図2-2)

  • 『家族や周りの人に自分から「おはよう」や「ありがとう」が言える』(75.7%)
  • 『自分の身の回りのことは自分でする』(73.8%)
  • 『約束やきまりを守る』(72.2%)

図2-2 家庭における指導の状況グラフ

幼児の育ちに関する全体的傾向 | 幼児の指導に関する全体的傾向

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