広く県民に犯罪被害者等の置かれている現状や支援内容について周知し,社会全体の被害者支援の意識の高揚を図るため,公益社団法人 広島被害者支援センターの主催による講演会が次のとおり開催されました。
1 概 要
- ○日 時 平成22年12月2日(木曜日)
- 18時30分~20時00分

- ○場 所 鯉城会館(広島市中区大手町)
- ○主 催 公益社団法人 広島被害者支援センター
- ○後 援 広島県,広島県警察,広島市ほか
- ○参加者 約250名
2 内 容
- ○テーマ 交通事件の被害者
- ~防止,支援のために私たちができること~
- ○講 演(18時40分~19時30分)
- ・講師 岩嵜 悦子 さん (飲酒ひき逃げ交通犯罪被害者遺族)
- (生命のメッセージ展 参加家族)
- (MADD JAPANのメンバー)
- ・演題 「元紀を想う・・・母の悲しみ」
- ○対 談(19時30分~19時55分)
- ・講師と当センター長井理事による対談
- 「交通事件が被害者にもたらすもの~制度,支援のあり方を考える~」
3 講演会の様子
- 講師は,平成14年1月に,東京都多摩市で専門学校に通っていた三男の元紀君(当時19歳)を,飲酒運転の車にひき逃げされ亡くされました。
- 講演では,元紀君の生い立ちや性格の話から,事故に遭う前に交わした会話の内容,深夜に自宅にかかってきた警察からの1本の電話から始まった深い悲しみなど今も癒えることのないつらい気持ちを抱え,時には涙を浮かべながら話してくださいました。
- 講師が話された中で,次のような言葉が強く心に響きました。
- 交通事故による死者数の「1」という数字は,単なる数字ではなく,「1」それぞれに本人の無念の思いや遺族の深い悲しみ,人生を狂わされてしまったという現実があるということを忘れないで。
- 平凡な毎日の1コマが続いていたのに,それが一瞬にして消されてしまいました。何事に対しても感じることがなくなり,別世界にいるような夢を見ているような状態がずっと続きました。
- 事故後は周りが白黒の世界となっていました。3年半が過ぎてようやく白黒の世界が動き始めて,感じる心が少しずつ戻ってきました。それでも,つらい現実は,時と場所を選びません。これからもずっと心の底から笑うことはできません。
- 被害に遭った人を好奇の目で見ることなく,広い心で理解して欲しい。心に寄り添った支援をお願いします。
- 大切な命が守られるやさしい社会になることを願って活動をしていくことが私に託された宿題だと思っています。



続いて,講師と,弁護士をされている当センターの長井理事との対談が行われました。
対談では,被害者のために設けられている法制度(被害者連絡制度,裁判における意見陳述制度,仮釈放に関する意見聴取など)の現状に対する思いを,事件の捜査の段階から刑事裁判を経て,損害賠償請求などの民事手続までを実際に経験された講師が語られました。