平成30年7月27日(金曜日)10時00分~16時30分 広島県福山庁舎第3庁舎381・382会議室
国及び広島県の生涯学習振興・社会教育行政の施策の動向について,社会教育主事等の専門的教育職員が常に更新しておくべき最新の情報を中心に行政説明を行いました。
まちづくりや福祉等の他の行政部局が関連施策を展開し,NPO・大学・企業等の様々なプレイヤーが出現するようになるなど,多様化する社会教育行政のなかで,社会教育主事は,「コーディネート力」「ファシリテーション力」「プレゼンテーション力」を身に付けるとともに,新たに「学びのオーガナイザー(組織者)」としての役割が求められていることなどについて確認しました。
行政説明資料はこちらから (PDF:6.13MB)
「協働的・戦略的なまちづくりと学び」と題して,講義・演習を行いました。
講義では,持続可能な地域・社会の構築のために学んだ成果を活用・循環することが求められており,人と人とのつながり(絆)を形成することが地域の課題解決に重要な役割を果たすこと,地域づくりの支え手・担い手(ローカル人財)を育成し,共通の課題に取り組む人のネットワークを構築していく必要があること等について話をしていただきました。
また,これらの実現のために,「生涯学習・社会教育に必要な戦略的視点」として,まず,自治体が向かう未来への方向性(総合計画・総合戦略・関連施策)をしっかりと把握し,住民が自分たちの未来を自分たちで描ける(自分事となる)ようなプロジェクトを仕掛けていくこと,そのためにも,ふだんから住民をつなぐ(巻き込む)だけでなく,職員自らがつながる(巻き込まれる)姿勢を持ち,「こういう地域社会にしたい」という未来志向のプロジェクトのフレームを組み立てていく必要があることについて学びました。
演習では,受講者の所属する各自治体の「協働のまちづくり条例」等を読み解き,気が付いたことをお互いにグループで意見交流しました。まちづくりと学びをつなぐプロジェクトのフレームを構築する際に参考となる視点として,「今の地域を知り,地域の未来像を共有してなりたい地域をみんなで目指す」視点と,「地域の資源と人と人とをつなぐことで課題を解決してビジョン実現へ近づく」視点の二つのパターンがあることなど,様々な気づきを得ることができました。
三次市のまちづくりの基本理念や仕組み等について事例発表をしていただきました。
三次市では,公民館をコミュニティセンターに変更し,住民自治組織の運営により各地域の「まちづくりビジョン」に基づいて,「郷の駅づくり」や「住民レストランの運営」,「住民出資による株式会社の設立」など,様々な住民自治・まちづくりの活動を展開しています。地域と若者をつなぐ仕組みづくりとして,市内の高校と経済・農業関連の団体が自分たちの活動を通して市の魅力を伝える地域自慢大会の開催など,“まちづくりと学びをつなぐ”ヒントとなる様々な事例の紹介がありました。
事例発表資料はこちらから (PDF:3.35MB)
最後に,山川講師から,「協働的・戦略的なまちづくりと学び」の観点からのまとめの話をしていただきました。
経済的価値・市場的価値ではなく,住民がこの地域に住み,この地域に関わることが幸せであるという社会的価値(幸福感)を生みだすことが大切であること,地域課題から「知」を再構成して「人と人」や「人とまち」をつなぐ仕組みを作る視点があることなど,多くのコメントをいただきました。
午後からは,”話し合いの達人”である田坂講師がファシリテーターとなり,「生涯学習支援者に必要な対話的態度と場づくり」について,「ワールドカフェ」の手法を使って学習しました。
ワールドカフェとは,“カフェ”にいるようなリラックスした雰囲気のなかで,参加者が少人数に分かれたテーブル(テーブルにはテーブルクロスに見立てた模造紙と各自一本ずつのペンを用意)で自由に対話し,他のテーブルともメンバーをシャッフルしてさらに対話を広げていく話し合いの手法です。
今回は,午前中の研修で学んだ「学びが生み出す協働の地域づくり」の理論や実践事例について,それぞれの自治体や地域でそれをどう生かしていくことができるのかを考えていくため,『で,どうしましょう?(ウチの場合・・・)』というテーマで対話しました。まず模造紙の中央にテーマを書き,その内容について各自が自由に書き込みます。多様な意見の交流のなかで,課題解決につながる新たな気づきが生まれるとともに,「ワールドカフェ」という参加型・対話型の学びの体験を通じて,生涯学習支援に必要な対話の意義や場づくりについて体験的に学んでいくことができました。
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