【解説】
常称寺は,鎌倉時代後期の正応年間(1288~93年)に,時宗二代・真教によって創建されたと伝えられる寺院である。本堂は室町中期,観音堂は室町後期,鐘撞堂は江戸前期,大門は室町前期の建築とみられる。それぞれの建物は,後世の改造を受けながらも多くの当初材を残しており,往時の姿をよく伝えている。
本堂は,外観を和様,内部構成を禅宗様とし,内陣・外陣と脇陣を一体的空間とするなど,中世時宗本堂の特徴をよく表している。また大門は,現存する常称寺の建造物のなかでは最も古く,その重厚な構えは当時の寺格の高さを体現している。観音堂や鐘撞堂も,各時代の尾道周辺地域の意匠的特徴を備えており,当地域における建築文化の様相を示す貴重な遺構である。
中世時宗寺院は全国的に遺存例が少なく,そのなかでも室町時代の遺構が3棟も残っている例は希少である。また,室町前期から江戸前期にわたって建てられた諸堂は,それぞれの時代的・地域的特徴をよく備えており,時宗寺院の伽藍構成の歴史的展開を理解する上で,学術的な価値が高い。
名称 | 常称寺 本 堂 1棟 (附・須弥壇及び厨子 1具) 観音堂 1棟 鐘撞堂 1棟 大 門 1棟 附・墓処門 1棟 |
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よみがな | じょうしょうじ | |
指定 | 国指定 | |
種別 | 重要文化財 | |
種類 | 建造物 | |
所在地 | 尾道市西久保町 | |
員数 | 4棟 | |
指定年月日 | 平成19年12月4日 | |
構造形式 | 本 堂 桁行五間,梁間六間,一重,入母屋造,本瓦葺 観音堂 桁行三間,梁間三間,一重,宝形造, 向拝一間,本瓦葺 鐘撞堂 桁行一間,梁間一間,一重,入母屋造,本瓦葺 大 門 四脚門,切妻造,本瓦葺 附・墓処門 一間薬医門,本瓦葺 |
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法量 | ||
公開状況 | 内・外観適宜公開 | |
交通案内 | ○JR「尾道駅」から北東へ約1300m ○JR「尾道駅」から東方面行きバスで「長江口」下車,東へ約300m |
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関連施設 | 名称 | おのみち歴史博物館 |
開館時間 | 10時00分~18時00分(ただし入館は17時30分まで) | |
休館日 | 火曜日(祝日の場合は翌日)及び年末年始 | |
入館料 | 一般200円(20名以上の団体160円)※中学生以下無料 | |
所在地 | 尾道市久保一丁目14-1 | |
電話番号 | (0848)37-6555 | |
交通案内 | 徒歩:JR「尾道駅」から徒歩15分 バス:JR「尾道駅」から東方面行きバスで「長江口」下車,徒歩2分 |