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神石高原町立三和中学校 取り組みの概要

取組みの概要

 本校は,平成15年度から,文部科学省から「人権教育総合推進地域事業」の指定を受け,研究主題を『「生きる力」の核となる豊かな人間性の育成~「心のノート」を生かした道徳教育を通して~』と設定し,3カ年計画で研究主題を達成するために,各年度の重点目標を設定し,道徳教育を研究の中心に位置づけ,心を育てる学校づくりに全教職員で取り組んできた。

平成15年度 重点目標「道徳教育に関する生徒の主体的な学びの促進」

 道徳教育は,学校生活全般の中で進められなければならないが,やはりその基盤となるのは「道徳の時間」である。まずは,その「道徳の時間」において,「心のノート」を活用することから始めた。「心のノート」には,学習指導要領に定められた道徳の内容がわかりやすく示してあり,課題がもてるような問いかけ,学習したことを自分なりにまとめる欄,実践を振り返ったり次の実践に向けての意欲化を図ったりする欄などがある。このような様々な用途のある「心のノート」を,いわゆる「心のガイドブック」として積極的・計画的に活用しようと,道徳の時間の年間指導計画に「心のノート」の活用ページという欄を設け,1年間を見通した活用計画を立てた。
 また,道徳の時間が,生徒対教師の間だけで展開されていくのではなく,全生徒と教師がともに語り合い,生徒相互の仲間意識を高めることによって他者理解を深め,一人一人の生徒の良さを生かす契機とすることをめざし,円になって座る形態にした。語り合う時は内側を向いて座り,自分の心と対話しながら記入する時は外側を向いて机に向かう。この形態をとることにより,語り合うときはお互いの顔を見ながら真剣に自分の思いを語り・聞き・さらに考えを深めることができる。反対に,「心のノート」やワークシートに自分の思いを書く時には,自分だけの空間で自分の心と対話しながら記入することができる。このように,語り合う時間と思考する時間の両方を大切にすることによって,生徒たちは,少しずつ本音を語ることができたり,文章に書くことができるようになっていった。
 前年度のアンケート結果から,生徒の中には,自分の意見がうまく言えない・本音を言うのが苦手という生徒もいた。そこで,全員の名前が記入されたネームプレートを活用し立場を明確にすることによって,できるだけ全員が自分の考えを表明できるようにと工夫した。
 尚,研究をはじめるにあたり,香川大学教授 七條正典先生(元文部省初等中等教育局中学校課教科調査官)を招聘して「『心のノート』を生かした道徳教育」について理論研修を行った。

平成16年度 重点目標「道徳教育の活性化と指導の改善充実の促進」

 前年度,道徳の時間における「心のノート」の活用に取り組み,ある程度の定着を図ることができた。さらなる取り組みとして本年度は「心のノート」を道徳の時間以外でも活用するよう,総合的な学習の時間・学活の時間の年間指導計画にも「心のノート」の活用ページという欄を設け,道徳の時間と同様,積極的に活用しようと取り組んだ。さらに,生徒がさまざまな機会に「心のノート」を開き,自己の生き方を考えたり,心に留めておきたいことを書き込んだりできるよう,常に自分で持っておくようにした。この取組により,中学校生活3年間で同じページを何度も繰り返し開くことにもなり,自己の心の変容が感じられ,今の自分の心を見つめるきっかけとすることもできると考えた。
 また,生徒の心に響く道徳の授業にするためには,教師自身が感動した資料であることが大切だと考えた。そのために,日頃から様々な道徳資料の収集や開発に努めた。
 さらに,授業づくりについて研修するため,先進校視察を行ったり,道徳の研究会に参加し,関西学院大学大学院文学研究科教授 横山利弘先生(元文部省初等中等教育局中学校課教科調査官)の講演を聴き,そこで学んだことを職員全体に還元していった。各教職員はより心に響く授業づくりをめざし,また,学んだものが生かされているかどうかを研鑽することも含め,視点を決めた授業研究も全クラスで実施した。1クラスではTTによる授業を実施し,多方面からの指導改善も試みた。

 三年計画の最終年度は,重点目標を「家庭や地域における道徳教育との連携強化の促進」と設定した。これまでも,道徳の授業の内容や生徒の感想を学級通信で知らせたり,学校だよりで学校の様子を積極的に家庭や地域に知らせてきた。さらに,学校と家庭や地域が連携して,生徒の道徳性をいっそう育むことができるようにするため,道徳の時間や総合的な学習の時間に,地域の方や保護者をゲストティーチャーとして招いて,生徒に直接語りかけてもらう場面を設定したり,保護者に直接的・間接的に道徳の授業へ参加してもらうなど工夫していきたいと考えた。そして,人権尊重の普遍的視点である「自尊感情」「他者理解」「権利と責任」「コミュニケーション」「生命の尊重」などについて学校と家庭と地域社会が一体となって取り組むことが生徒の人権意識の向上により一層効果的であると考えた。
 具体的には,総合的な学習の時間や道徳の時間を使って実施した。1年生は,1学期の「地域探求学習」で,地域の方にゲストティーチャーになってもらい,地域に出て学習した。2学期には「福祉体験学習」の事前学習でゲストティーチャーとして講話を行ってもらうとともに,その後,校区内の3つの介護施設で介護体験をさせていただいた。また,2年生は「職場体験学習」を,3年生は「高校体験学習」をそれぞれ地域の協力を得て1学期に行っている。
 これとは別に,全校を5つのグループに分けた縦割りの総合的な学習の時間(全10時間)も設けている。そこでは,琴,三味線,太鼓などの講師として地域の方を招いて実施した。
 これら多くの体験学習の直後または学年が進んだ後で道徳の時間に深化,統合させて生徒の道徳的価値の自覚を一層図り,道徳的意欲や実践力の育成をめざそうと考える。

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