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DX工場見学者の集合写真

「工場版イノベーション・ハブ」が広島県に誕生!話題のDX工場に行ってきた!

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デジタル技術の急速な進化によって広島県内の企業でもDX (デジタルトランスフォーメーション) 化に向け様々な取組が進められています。

そんな中、全国の中小規模の工場の製造ラインが抱える課題を解決するため「DX工場」が設立されたのをご存知ですか?

今回はひろしまラボの研究員が工場の中に潜入!工場見学に関心のある株式会社良品計画、カルビー株式会社Calbee Future Labo、合同会社GeneLeafの皆様と一緒に先進的な取組をのぞいてきました。

DX工場で製造現場の課題を解決

DX工場の外観

今回、私たちが伺ったのは、制御盤製作及びシステム開発を主な事業として展開している東洋電装株式会社が、2022年2月広島市安佐北区可部に設立した「DX工場」です。

「DX工場」設立の背景

これまで国内の中小企業や工場を中心とした製造現場では小ロットのいわゆる“一品一様”の製品を職人や現場の属人的なノウハウで対応していたため、リソース不足や引き継ぎが課題になっていました。

製品のコストが高くなってしまい、納期も長くなる傾向にあることも。そこで製造現場のDXを通して同じ課題に悩む全国の工場にも展開し、製造業の技術的イノベーションに貢献していきたいという思いからDX工場を設立しました。

マスカスタマイゼーションの追求

現在、広島工業大学と共同でマスカスタイマイゼーションの実証実験を行っています。マスカスタマイゼーションとは大量生産と特注生産を合わせた造語。大量生産のように効率よく特注製品を製造していくために、研究フィールドとして活用しています。

実証実験を通して工場内の製造ラインが比較的少ない中小規模の工場でも、大量ロットの製品と遜色のない納期や価格での納品が可能になることを見込んでいます。DX工場では実際に実証実験の様子を見ることができますよ。

さっそく、DX工場に潜入!

工場に入る見学者

受付後、まず会社の概要やDX工場設立の背景をお伺いしました。

「今まで接点のなかったプレイヤーを呼び込むことで自社の生産性向上だけではなく中小規模工場にありがちな課題を解決する糸口を見つけ、さらに新しいサービスを生み出せないか探っていきたい」という言葉から、チャレンジの背景にある熱い思いを知ることができました。これも、工場見学の醍醐味ですね。

カメラとディスプレイで35.6%の作業のムダを削減

天井に設置されたカメラ

社員さんからの説明後1階にある移動制御盤の製造エリアへ。ここでは、工場内のセンサーや各種タグ、システム、手作業等の工程など製造現場のデジタル化が進められています。

天井を見上げるとカメラがいくつか設置してあることに気付きます。人の動きをカメラで録画し映像データを広島工業大学の先生や学生が分析ソフトを使って分析しているそうですよ。

ディスプレイに表示された作業内容と進捗状況

ディスプレイには、生産管理システムの画面が表示され、作業内容の抽出と進捗状況が可視化されています。

予定していたスケジュールから業務の遅延が見られる場合は、作業手順や導線の見直しをすることが可能です。例えば共有している工具を取るための往復時間がもったいないので、いくつかの工具を全員分購入する判断に繋がったとのことでした。

また、ゴミ箱まで一日に何度も往復もしていることが判明。ゴミ箱の位置を変えるなど導線を改善するきっかけになったそうです。改善を繰り返すことで最終的に35.6%の作業のムダを削減することができ、業務の進捗を数値化し共有することで職場の意識改革にも繋がるとは、大きな変化ですね!

タグでの管理

タグが取り付けられた工具

黒いビニールテープで巻きつけられたタグ

工具一つひとつにタグが取り付けられ、いつ誰が貸し出したのかなど入出庫情報をリアルタイムで把握することができるようになっています。

このタグのおかげで、システム上では貸出可能と表示されているのにも関わらず、実際に棚を見てみたら返却されていなかったという状況が避けられます。

工具を管理するシステム

また工具の場所を予め把握することで探す時間の削減も。薬品管理や資産管理にも活用できそうですね!

人の暮らしを支える制御盤サービス

トイレの外にスマートに設置してあるタブレット

製造現場のDXを担う1階を見学した後に、2階に移動しました。ここでは、オフィスDXの実証実験を行うための受付管理システムの他にも、人感センサーを体験できるショールームの機能も担っています。

例えばトイレの外にスマートに設置してあるタブレット。トイレ利用者にアンケートの回答してもらうことで、何回利用されたら「汚れている」と回答する人が多くなるのか?というデータを収集することができるそうです!

人の感覚ではなく、データに基づいて清掃される方の人数や頻度を調整することができるので、効率化と省力化に繋がりそうですね!飲食店やテーマパーク、オフィスなど幅広い場面での活用が始まっているそうですよ。

工場見学は、お気軽にお問合せを

東洋電装 社員の皆さま

最後に工場のDX化や今後について、IoTシステム開発事業プロジェクトマネージャーの岡田さん (写真一番右) にお伺いしました。

「DXという言葉は世間では流行っているけれど自分たちには関係ないという雰囲気が日本の中小企業にはあるように思います。ハードルが高いように感じるかもしれませんが、まずはビジョンを掲げてチャレンジを恐れずに一緒に前進していきたいです」

実際に同社では現場での小さな成功体験が積み重なってきているそうですよ。今後、良質なデータを集めるためのシステム化が進めば、そのノウハウを全国の工場に展開予定とのこと、今後の展開が楽しみですね!

DX工場での実証実験や工場見学に少しでも関心のある方はぜひ東洋電装までお問い合わせください!知識が豊富で親切な社員の皆様が丁寧にご案内してくださいますよ。

工場へのお問い合わせ

助成制度を活用しよう

最先端技術を導入している工場への潜入、いかがでしたか? DXはデジタル化から始まるわけですが、東洋電装の目指す姿はあくまで働く人が中心。「エンジニア一人ひとりがイノベーションを創出できる場所」をビジョンに掲げているからこそ、DX工場での実証実験を行っていることが分かりました。

今回参加した3社の皆様には、広島県の県内投資促進課が工場見学についてご紹介しました。このような出会いの場を創るだけでなく、広島県は成長しようとする企業を後押しします。

制度を活用した、ドリーム・アーツ広島本社の社内の様子

広島県の企業誘致制度 ひろしまけんのきぎょうゆうちせいど

広島県では「イノベーション立県」の実現に向けて、様々な助成制度などにより国内外の企業の誘致に取り組んでいる。

工場の設備投資やオフィスの移転・拡充などで活用できる助成制度もありますので、関心のある方はお気軽にお問い合わせください!