2017年6月9日
6月4日、北広島町でユネスコ世界無形文化遺産「壬生(みぶ)の花田植」が開催されました。 天気にも恵まれ、目にも鮮やかな田植えでした。
ところで、皆さんはこの「花田植」の歴史をご存じでしょうか? そのルーツは中世にさかのぼるとも言われます。 元々は稲作の平穏と豊作を祈る「田の神」を祭る儀礼だったのですが、同時に田植えをする方への慰安や、当時の数少ない娯楽としての要素もありました。
壬生の花田植を支える重要な存在である牛は、祭の朝、壬生神社にて飾り付けをされ、花鞍(はなくら)に造花も添えられます。
このおしゃれな牛に太鼓や笛の音に合わせて、早乙女(※)達が苗を植える。この様子があまりにも華やかであるところから、花田植と呼ぶようになったと云われています。
さて、そんなルーツを持つ花田植の祭りは今でも賑やかに行われていて、全国各地から見物客が訪れます。 壬生神社から田植え会場の道中である壬生商店街では、壬生小子ども田楽や本地の花笠踊りが披露されており、間近で見られる華やかな舞いに、沿道にいる見物客はあたたかい声援と拍手を送っていました。 続いて、飾り付けを終えた花牛も商店街を練り歩きます。
田植え会場に到着した飾り牛たちは、「代掻き」をして田をならしていきます。 そして、いよいよ田楽団の登場! 一斉に田植えを開始します。衣装も素敵ですね。 この催しを永く後世に伝えてゆこうとする活動を、地域全体で行っていることと、牛を使った代掻き作業や手作業での田植えなど、農耕文化の一端を現在に伝えるその内容やその規模などが評価され、2011年11月27日、ユネスコの無形文化遺産登録となったそうです。
祭り当日は、地元の高校生もボランティアスタッフとしてお手伝いしてくれています。 こうした次世代への文化伝承とともに植えられた苗も大きく育って、歴史を刻んでいく1つの過程になるのですね。 今年見に行った人も、まだの人も、来年ぜひ見に行ってみましょう!
※ 早乙女(さおとめ) … 苗代で育った苗を取り、田植えをする女性のこと。サンバイの音頭に合わせて田植唄を歌いながら田圃に早苗を植える花田植における主役の一つ。
北広島町観光情報サイト「壬生の花田植」
カンパイ!広島県「壬生の花田植」
ひろしま観光ナビ 「県北に初夏を告げるお祭り、壬生の花田植を見に行こう」
地元の高校生もボランティアスタッフとしてお手伝い
壬生小子ども田楽
本地の花笠踊り