2. 廃棄物の適正処理の推進
 
●現状と課題
 
(1) 適正処理の状況
 
 廃棄物が適正に処理されるよう,排出量や処理目的に応じ,効率的に施設の整備を図るとともに,「広島県一般廃棄物広域処理計画」に基づき,市町村と連携して,広域ブロックにおいて処理の広域化等を進めています。
 しかし,廃棄物処理法の改正による規制強化,最終処分場の逼迫,廃棄物処理費用の増加,各種リサイクル法の施工などにより不法投棄等の不適正処理が増加することが懸念されていることから,処理施設の立入検査等の実施により,不法投棄・不適正処理の防止に積極的に取り組む必要があります。
 また,「産業廃棄物分野の構造改革」を進め,優良な処理事業者の育成に努める必要があります。
 
図表1-1-7 家電リサイクル法対象4品目不法投棄台数
(1)品目別
区分 テレビ 冷蔵庫 エアコン 洗濯機
13年度 1,163 338 149 269 1,919
14年度 1,670 454 251 378 2,753
 
(2)場所別
区分 ごみステーション 山林 道路 その他
13年度 520 335 548 516 1,919
14年度 755 793 814 391 2,753
 
(3)地域別
区分 市域(県内13市) 町村域(県内66町村)
13年度 1,302 617 1,919
14年度 2,009 744 2,753
資料:県一般廃棄物対策室
 
図1-1-8 産業廃棄物不法投棄発生状況(投棄量10トン以上の事案)
産業廃棄物不法投棄発生状況
資料:県産業廃棄物対策室
 
(2) 最終処分場の状況
 
   一般廃棄物,産業廃棄物ともに,最終処分場の残余容量は逼迫した状況にあることから,新規埋立処分場の整備等により最終処分場を確保する必要があります。特に,産業廃棄物の最終処分場の残余年数は,管理型処分場で約4年しかなく,また,民間処分場の具体的な新設計画もないため,公共関与による新規埋立処分場の整備等により最終処分場を確保する必要があります。
 
図表1-1-9 一般廃棄物最終処分場の残余容量及び年数
一般廃棄物最終処分場の残余容量及び年数
資料:県一般廃棄物対策室
 
図表1-1-10 産業廃棄物最終処分場の施設数及び残余容量
産業廃棄物最終処分場の施設数及び残余容量
資料:県産業廃棄物対策室
 
図表1-1-11 産業廃棄物最終処分場の設置等状況
(平成12年度末現在)
設置主体 施設数 残余容量(万m3 残余年数
排出事業者 処理業者 公共 排出事業者 処理業者 公共
安定型最終処分場 7 76 1 84 10 480 18 508 9.4
管理型最終処分場 8 29 2 39 7 120 84 211 3.7
15 105 3 123 17 600 102 719 6.5
資料:県産業廃棄物対策室
注) 1 表中の施設は,廃棄物処理法第15条の許可対象施設です。
2 残余年数は,平成12年度の埋立量の実績(管理型57万立方メートル,安定型54万立方メートル)から試算したものです。
 
図表1-1-12 公共関与による埋立処分事業の実施状況
(平成14年度末)
名称 埋立面積
(ha)
埋立容量
(千m3
進捗率
(%)
事業期間 事業主体
箕島地区 35 1,597 97.7 昭和63年10月〜 (財)広島県環境保全公社
五日市地区 37.5 4,855 89.9 平成3年1月〜 (財)広島県環境保全公社
資料:県産業廃棄物対策室
 
[施策の方向]
不法投棄の防止など適性処理の推進,優良な処理業者の育成
最終処分場の確保
 
●施策の展開
 
(1) 廃棄物処理の安全性の向上
 
市町村に対する支援
 
一般廃棄物の適性処理を推進するため,市町村や一部事務組合の行うし尿,ごみ処理施設等の定期的な立入検査等を実施し,施設等の建設においては既存施設の耐用年数や老朽化の状況などを勘案しながら適正な支援を行うとともに,施設周辺の環境保全に努めるよう助言します。
ごみ処理の効率化とダイオキシン類対策の徹底を図るため,市町村合併の動向等を踏まえながら,ごみ処理の広域化に向けた市町村の取組を引き続き支援します。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
(ア) 一般廃棄物処理施設整備の促進 [一般廃棄物対策室]
 
 一般廃棄物処理施設については,既存施設の老朽化や廃棄物の収集量の増加に対して,市町村の計画的な施設整備を推進します。
 
[平成14年度事業実績]
図表1−1−13
一般廃棄物処理施設整備状況(稼動ベース)
区分 12年度 13年度
し尿処理施設 ごみ処理施設 し尿処理施設 ごみ処理施設
施設数 36 83 36 85
処理能力 2,832kl/日 4,300t/日 2,834kl/日 4,464t/日
資料:県一般廃棄物対策室
[平成15年度事業内容] 引き続き,計画的な施設整備を推進します。
 
(イ) 監視・指導等 [一般廃棄物対策室]
 
 一般廃棄物処理施設の適正な維持管理を促進するため,立入検査等を実施します。
 
[平成14年度事業実績]
図表1-1-14
一般廃棄物処理施設立入検査・指導件数
区分 立入検査・指導検査
し尿処理施設 107
ごみ処理施設 162
埋立処分地 54
浄化槽 2,373
2,696
資料:県一般廃棄物対策室
 
[平成15年度事業内容] 引き続き,立入検査等を実施します。
 
産業廃棄物排出事業者・処理業者に対する指導
 
排出事業者責任の原則のもと,「廃棄物処理法」に基づき計画的な立入検査を実施するとともに,マニフェスト制度の徹底や排出事業者による産業廃棄物処理委託時の処理能力等の確認の徹底など,排出事業者・処理業者等に対し適正処理を指導します。
ダイオキシン類の発生源である産業廃棄物焼却施設の設置管理者に対して構造基準,維持管理基準の徹底を図るとともに,ダイオキシン恒久基準への適合を継続的に監視します。
「 ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理基本計画」に沿った県内PCB廃棄物の適正処理,「感染性廃棄物処理マニュアル」に基づく医療機関及び処理業者に対する指導など,有害産業廃棄物の適正処理を推進します。
「産業廃棄物分野の構造改革」につながるよう,産業廃棄物の処理に関する情報の開示を推進し,優良な産業廃棄物処理業者の育成を図るとともに,産業廃棄物処理業者で構成する団体の活動に対して支援を行い,業界全体の健全な発展を促進します。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
(ア) 監視・指導等 [産業廃棄物対策室]
 
 産業廃棄物の適正処理を推進し,生活環境の保全を図るため,排出事業者及び産業廃棄物処理業者の事業所及び処理施設の立入検査を実施します。
 
[平成14年度事業実績]
図表1-1-15 事業所立入検査件数
区分 立入検査件数 延指導件数
産業廃棄物排出事業所 1,310 65
産業廃棄物処理業者 1,400 150
不法投棄等監視パトロール 283 10
産業廃棄物運搬車両検査 10 8
3,003 233
資料:県産業廃棄物対策室
 
図表1−1−16 産業廃棄物処理業者許可状況
(平成15.3.31)
区分 広島県 広島市 呉市 福山市
産業廃棄物 収集運搬 2,300 1,205 516 859
中間処理 189 89 14 36
最終処分 30 8 2 9
中間処理・最終処分 19 0 1 5
小計 2,538 1,302 533 909
特別管理産業廃棄物 収集運搬 355 195 88 161
中間処理 20 11 0 6
最終処分 3 0 0 0
中間処理・最終処分 0 0 0 0
小計 378 206 88 167
合計   2,916 1,508 621 1,076
資料:県産業廃棄物対策室,広島市,呉市,福山市
注) 1 表中の数字は許可業者数を表している。
2 1つの業者が複数の区分,複数の自治体の許可を有する場合,それぞれ計上している。
 
[平成15年度事業内容] 引き続き,立入検査を実施します。
 
(イ) ダイオキシン対策 [産業廃棄物対策室]
 
 平成14年12月から適用された産業廃棄物焼却施設のダイオキシン恒久基準対応を推進するため,施設の改善指導を行うとともに,排ガスの行政検査を実施します。
 
[平成14年度事業実績] 18施設について,排ガスの行政検査を実施しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,行政検査を実施します。
 
(ウ) PCB対策 [産業廃棄物対策室]
 
 平成13年7月に施行されたPCB廃棄物適正処理推進特別措置法に基づき,PCB廃棄物の保管状況を把握し,適正保管・保管状況等の届出を指導します。
 また,中小企業に対してPCB廃棄物の処理費用の助成をするため,環境事業団のPCB廃棄物処理基金への拠出(45,000千円)します。
 
[平成14年度事業実績]
図表1-1-17 PCB廃棄物保管等届出状況
(H14.3.31)
種類 単位 保管中 使用中
高圧トランス 事業所数 37 10
台数 281 85
高圧コンデンサ 事業所数 877 143
台数 11,303 1,629
低圧トランス 事業所数 5 2
台数 1,977 10
低圧コンデンサ 事業所数 72 9
台数 10,664 293
柱状トランス 事業所数 8 1
台数 284,354 117,000
安定器 事業所数 195 26
台数 125,061 15,677
PCB 事業所数 2 0
重量(kg) 25,327 0
PCBを含む油 事業所数 12 0
重量(kg) 292,919 0
感圧複写機(ノーカーボン紙) 事業所数 11 0
重量(kg) 29,005 0
ウエス 事業所数 7 0
重量(kg) 4,555 0
その他機器 事業所数 35 8
台数 98,032 41,763
汚泥 事業所数 2 0
重量(kg) 20 0
届出事業所数 1039    
資料:県産業廃棄物対策室,広島市,呉市,福山市
注) 容量で報告されたものは,重量に換算しています。
 
[平成15年度事業内容] 引き続き,届出指導等を行います。
 
平成15年度に講じる施策(新規)
 
(ア) 優良な産業廃棄物処理業者の育成[産業廃棄物対策室]
 
 産業廃棄物の処理に関する情報の公開を推進する産業廃棄物処理業者及びその団体の活動に対し,産業廃棄物埋立税を財源とした支援を行い,業界の健全な発展を促進します。
 
(1)データベース構築支援事業
実施主体 (社)広島県産業廃棄物協会
対象事業 県内全処理業者の事業内容及び環境関連情報を公開する事業
対象経費 データベース,ホームページの作成費用
補 助 率 1/2
 
(2)処理施設公開支援事業
実施主体 産業廃棄物処理業者
対象事業 個々の業者が処理施設の運転管理状況を排出者や住民等に公開する事業
対象経費 情報公開機器の整備費用
補 助 率 1/2[(社)広島県産業廃棄物協会への間接補助]
 
(2) 不法投棄防止対策の推進
 
 リサイクル費用を購入時に支払う前払制度に比べ不法投棄を惹起しやすい後払制度の「家電リサイクル法」の施行や最終処分場の逼迫等により不法投棄が多発することが懸念されるため,県の組織体制の充実を図るとともに,「不法投棄110番・ファックス」による情報収集や車両,ヘリコプター及び船舶を使用したパトロールの実施など,市町村や警察機関,JA・郵便局等の地域に根ざした各種団体,地域住民等との連携により監視体制の強化を図り,不法投棄の未然防止に努めます。
 市町村が行う監視機器や防止設備の設置,監視体制の強化などの取組に対して必要な支援を行います
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
監視・パトロール[産業廃棄物対策室]
 
 「不法投棄110番」による情報収集や,車両,ヘリコプター及び船舶を使用した監視パトロールを実施し,早期発見・早期是正に努めます。
 
[平成14年度事業実績] 車両によるパトロール(60回),ヘリコプターによるパトロール(12回),船舶によるパトロール(8回)を実施しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,パトロールを実施します。
 
地区不法投棄防止連絡協議会の設置[産業廃棄物対策室]
 
 地域事務所の管轄区域毎に,地域事務所,市町村,警察及び海上保安部で構成する地区不法投棄防止連絡協議会を設置し,不法投棄の情報交換等を実施します。
 
[平成14年度事業実績] 協議会を延べ14回開催しました。
[平成15年度事業内容] 引き続き,協議会を開催します。
 
平成15年度に講じる施策(新規)
 
地域廃棄物対策支援事業[一般廃棄物対策室]
 
 廃棄物の不法投棄等,不適正な処理が増加することが懸念されるため,市町村又は一部事務組合が実施する不法投棄対策事業を支援し,不法投棄の未然防止及び早期発見・早期是正を図ります。
 
項目 内容
実施主体 市町村(一部事務組合を含む)
対象事業 不法投棄監視事業,不法投棄防止に関する普及啓発活動事業,その他不法投棄に関する事業
対象経費 不法投棄防止パトロール,住民団体・民間警備会社への不法投棄監視委託,監視機器の設置,啓発活動,パンフレット作成等に係る費用
補助率 1/3
補助額 200千円〜10,000千円/市町村以内(人工規模等で異なる。広域的な取組の場合は,限度額を上乗せする。)
 
不法投棄対策班の設置[産業廃棄物対策室]
 
 処理施設の規制強化による処理料金の高騰,産業廃棄物埋立税の導入などをふまえ,悪質・巧妙化する不法投棄等不適正処理に対する監視体制などを強化するため,産業廃棄物対策室に,現職警察官,警察官OB及び県職員からなる不法投棄対策班を設置し,重大・悪質案件への早期対応等を行います。
 
(3) 最終処分場の確保
 
最終処分場設置者と地域住民とのコミュニケーションが円滑に図られるよう調整を行います。
最終処分場の設置の円滑化を図るため,周辺の環境保全整備に対する支援方策を検討します。
廃棄物処理施設の設置をめぐる紛争や「廃棄物処理法」の規制強化などにより廃棄物最終処分場の確保が困難になっていることから,広島市出島地区及び福山市箕沖地区の2地区において公共関与による新規廃棄物処分場の整備を推進することとしています。
 
平成14年度に講じた施策・平成15年度に講じる施策
 
公共関与産業廃棄物整備事業[産業廃棄物対策室]
 
 簑島地区及び五日市地区処分場の後継処分場として,広島地域(出島地区)及び備後地区(箕沖地区)において新たな最終処分場の整備を推進します。
 
図表1-1-18 公共関与による新規廃棄物処分場
名称 埋立面積
(千m2
埋立容量
(千m
埋立開始予定
出島地区(広島市) 180 1,900 平成18年度
箕沖地区(福山市) 157 1,044 平成22年度以降
資料:県産業廃棄物対策室

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