第2章 環境の現状及び環境の保全に関する施策



第2節 ≪共生≫自然と人がふれあう潤いのある広島

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1 優れた自然環境・生物多様性の保全

 瀬戸内海沿岸,島しょ部から中国山地の脊梁に至るまでの地勢,気候の変化に富み,動植物も多様で自然の美にも恵まれた本県の優れた自然,かけがえのない自然を保全し,次世代へと継承していく必要がある。
 良好な自然環境を保全するためには,多様な生物群の総合的なシステムである生態系を保全するとともに,緊急に保護を要する「種」の絶滅を防止することはもちろん,これ以外の一般の多様な「種」を保護することが重要である。

[概況]
 開発行為や人間の生活活動による野生生物の育成・生息環境の悪化や種の絶滅のおそれなど自然の生態系のバランスが崩れてきていることが問題となってきている。
 県では,「広島県野生生物の種の保護に関する条例」を制定し,条例による指定種(11種)や県内の絶滅のおそれのある種を選定(動物122種,植物178種,合計300種)した,県版レッドデータブックを発行し,豊かな自然を形成する多様な野生生物の存続を図っている。
 こうしたことから,開発と環境との調和,身近なみどり環境づくりなど,自然と共生した地域づくりが課題となってきている。

広島県野生生物目録の内訳

区分 目数 科数 種数 文献数 産地数
哺乳類 7 17 43 71 401
鳥類 18 53 295 89 4,776
爬虫類 2 7 16 61 434
両生類 2 7 19 708
淡水魚類 10 29 98 170 3,998
昆虫類 25 361 3,895 1,432 30,683
甲殻類 4 31 135 57 248
クモ類 1 31 271 17 1,199
陸淡水産
貝類
11 48 159 212 2,599
動物計 80 584 4,931 2,109 45,046
種子植物 54 155 2,273    
シダ植物 10 23 306    
植物計 64 178 2,579 1,365 31,808
合計 144 762 7,510 3,474 76,854
絶滅のおそれのある
野生生物の種の選定状況
区分 絶滅種 絶滅
危惧種
危急種 希少種 合計 県内
種数
哺乳類 4 2 1 10 17 43
鳥類 0 10 10 19 39 295
爬虫類 0 0 0 2 2 16
両生類 0 1 0 5 6 19
淡水魚類 0 11 1 2 14 98
昆虫類 0 11 13 4 28 3,895
甲殻類 0 0 0 3 3 135
クモ類 0 0 1 0 1 271
陸淡水産
貝類
0 1 2 9 12 159
動物計 4 36 28 54 122 4,931
種子植物 3 39 49 60 151 2,273
シダ植物 0 5 13 9 27 306
植物計 3 44 62 69 178 2,579
合計 7 80 90 123 300 7,510
県自然環境保全室調べ   注)種類は亜種・変種を含んだものである。

2 自然を身近に感じられる快適環境の形成

みどり環境・水環境の保全と創造
 都市環境においては,生活の中で関わりの深い身近な自然が減少し,一方,農山漁村では過疎化が進行している地域を中心に,森林・農地等の環境保全機能の維持が困難な地域が発生している。
 このため,農用地・里山林の保全や都市公園の整備,道路・街路の緑化,砂防の緑化など地域緑化等を推進している。
 自然環境との調和や生態系への配慮を図るとともに,地域の景観にも配慮した水辺環境の整備を進めている。

3 自然と人のふれあいを促進する地域産業の振興
 農山漁村地域においては,その地域資源を活用した自然体験のための施設整備や体制整備を推進し,生産・供給・販売の体制を整備した地域産業の振興を図り,地域の良好な自然環境と県民とのふれあいを推進している。