○ひろしま観光立県推進基本条例
平成十八年十二月二十六日
条例第七十三号
ひろしま観光立県推進基本条例をここに公布する。
ひろしま観光立県推進基本条例
目次
前文
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 基本的施策
第一節 ひろしま観光立県推進基本計画等(第七条・第八条)
第二節 魅力ある観光地の形成(第九条―第十一条)
第三節 観光産業の競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成(第十二条・第十三条)
第四節 国際観光の振興(第十四条・第十五条)
第五節 観光旅行の促進のための環境の整備(第十六条―第二十二条)
第三章 広島県観光立県推進会議(第二十三条―第二十七条)
附則
観光は、訪れる人々と地域の人々の相互理解と交流の促進や、地域における雇用の増大とサービス業、農林水産業、製造業など幅広い分野にわたる地域経済の活性化に寄与するとともに、潤いのある豊かな生活環境の創造等を通じて県民生活の安定向上に貢献するものである。
また、少子高齢社会の到来の中で、観光は、地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の実現を促進し、本県の文化、歴史等に関する理解を深めるものとして、将来の定住につながる交流人口の拡大に重要な役割を担っていくものである。
本県においては、厳島神社と原爆ドームの二つの世界遺産をはじめとする地域の特色ある歴史や文化、伝統等がはぐくまれ、瀬戸内海という国際級の観光資源や中国山地など豊かな自然と、四季の変化に富んだ気候に恵まれるなど、多彩な観光資源が集積している。
しかし、観光立県の実現に向けた基盤の整備及び環境の形成は、いまだ不十分な状態であり、本県を来訪する国内外の観光旅行者等の状況は、世界に通用するヒロシマの知名度にふさわしいものとは言えず、また、ゆとりや安らぎを求める志向など観光旅行に対する需要の高度化、少人数による観光旅行の増加など近年の観光をめぐる様々な状況変化への的確な対応も求められている。
これらに適切に対処し、観光立県を実現するためには、観光をリーディング産業として更に発展させ、国内外の誘客競争に打ち勝つことのできる「魅力ある観光地」を形成していくことが不可欠であり、このためには、広く県民が観光立県に対する理解を深め、一人ひとりがその担い手としての認識をはぐくむことが重要である。
ここに、県、市町、県民、観光事業者、観光関係団体等が協働して、観光立県の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、観光立県を実現するための基本理念を定め、県の責務並びに県民、観光事業者(主として観光旅行者を対象として事業を行う事業者その他観光に関連する事業を行う事業者をいう。以下同じ。)及び観光関係団体(観光事業者で組織される団体並びに観光の振興を目的として観光事業者及び行政機関等で組織される団体をいう。以下同じ。)の役割を明らかにするとともに、観光立県の実現に関する施策の基本となる事項を定めることにより、観光立県の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって活力ある地域づくり、本県経済の持続的な発展及び県民生活の向上に資することを目的とする。
(基本理念)
第二条 観光立県の実現に関する施策は、地域における創意工夫を生かした主体的な取組を尊重しつつ、魅力ある観光地の形成を図るとともに、県内外からの観光旅行を促進することが、県民が誇りと愛着を持つことができる豊かで活力に満ちた地域社会の形成及び潤いのある県民生活の実現のため重要であるとの認識の下に講じられなければならない。
2 観光立県の実現に関する施策は、県内外の観光旅行者への快適なサービスを提供できる環境を整備するとともに、地域の歴史、文化、伝統等に関する理解を深め、観光振興の担い手となる人材の育成及び地域のおもてなしの向上が図られるよう講じられなければならない。
3 観光立県の実現に関する施策は、本県が被爆県として世界の恒久平和のために果たすべき役割にかんがみ、国際平和及び国際相互理解の増進の観点に立って講じられなければならない。
4 観光立県の実現に関する施策を講じるに当たっては、観光が、県及び地域の経済社会において重要な役割を担っていることにかんがみ、県、市町、県民、観光事業者、観光関係団体等による相互の連携が確保されるよう配慮されなければならない。
(県の責務)
第三条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、観光立県の実現に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、市町が当該地域の特性を生かした観光立県の実現に関する施策を講じるに当たって必要な助言及び調整を行うとともに、市町が参画し、及び実施する広域的な観光振興施策に関して総合調整を行うことにより、市町相互の連携を図るものとする。
3 県は、市町、県民、観光事業者及び観光関係団体が、相互に連携して観光の振興に関する取組を進められるよう総合調整を行うものとする。
(県民の役割)
第四条 県民は、観光立県の意義に対する理解及び関心を深め、魅力ある観光地の形成に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。
2 県民は、観光旅行者を温かく迎え、地域における観光の振興に関する取組に参画するよう努めるものとする。
(観光事業者の役割)
第五条 観光事業者は、基本理念にのっとり、事業活動を通じて観光旅行者に快適なサービス及び環境を提供するとともに、地域における他の産業と連携することにより、地域の活性化に努めるものとする。
2 観光事業者は、県及び市町が実施する観光立県の実現に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(観光関係団体の役割)
第六条 観光関係団体は、基本理念にのっとり、業界及び業種の枠を超えた連携を図りながら事業活動を行うよう努めるとともに、観光情報の発信、観光旅行者の誘致、おもてなしの向上など受入れの体制の整備等に取り組むよう努めるものとする。
2 観光関係団体は、県及び市町が実施する観光立県の実現に関する施策に協力するよう努めるものとする。
第二章 基本的施策
第一節 ひろしま観光立県推進基本計画等
(ひろしま観光立県推進基本計画)
第七条 知事は、観光立県の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、ひろしま観光立県推進基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 観光立県の実現に関する施策についての基本的な方針
二 観光立県の実現に関する目標
三 観光立県の実現に関し、県が総合的かつ計画的に講じるべき施策
四 前三号に掲げるもののほか、観光立県の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、県民等の意見が反映されるよう必要な措置を講じるとともに、第二十三条に定める広島県観光立県推進会議の審議を経るものとする。
4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表するものとする。
5 前二項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(財政上の措置)
第八条 県は、観光立県の実現に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。
第二節 魅力ある観光地の形成
(国際競争力及び国内競争力の高い魅力ある観光地の形成)
第九条 県は、国際競争力及び国内競争力の高い魅力ある観光地の形成を図るため、市町、観光事業者その他の関係者との連携による観光地の特性を生かした良質なサービスの提供の確保並びに宿泊施設、食事施設、案内施設その他の旅行に関連する施設(以下「旅行関連施設」という。)及び公共施設の整備等に必要な施策を講じるものとする。
(観光資源の活用による魅力ある観光地の形成)
第十条 県は、自然、文化、歴史、産業等に関する観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成を図るため、史跡、名勝、天然記念物等の文化財、歴史的風土、優れた自然の風景地、良好な景観、温泉その他文化、産業等に関する観光資源の保護、育成及び開発に必要な施策を講じるものとする。
(観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備)
第十一条 県は、観光旅行者の国際競争力及び国内競争力の高い観光地への来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備を図るため、空港、港湾、鉄道、道路、駐車場その他の観光の基盤となる交通施設の整備等に必要な施策を講じるものとする。
第三節 観光産業の競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成
(観光産業の競争力の強化)
第十二条 県は、県内観光産業の競争力の強化を図るため、観光事業者相互の有機的な連携の促進、観光旅行者の需要の高度化及び観光旅行の形態の多様化に対応したサービスの提供の確保、工場、産業体験施設等を活用した産業観光など地域の産業との連携の促進等に必要な施策を講じるものとする。
(観光の振興に寄与する人材の育成)
第十三条 県は、観光の振興に寄与する人材の育成を図るため、観光事業に従事する者等の知識及び能力の向上、地域の固有の文化、歴史等に関する知識の普及の促進等に必要な施策を講じるものとする。
第四節 国際観光の振興
(外国人観光旅客の来訪の促進)
第十四条 県は、外国人観光旅客の来訪の促進による国際観光の振興を図るため、本県の伝統、文化等を生かした海外における観光宣伝活動の重点的かつ効果的な実施、県内における交通、宿泊その他の観光旅行に関する情報の提供、国際会議等の誘致の促進、通訳案内のサービスの向上その他外国人観光旅客の受入れの体制の確保等に必要な施策を講じるものとする。
(国際相互交流の促進)
第十五条 県は、本県と外国との間における経済交流、青少年による国際交流等を通じて、国際観光の振興を図るために必要な施策を講じるものとする。
第五節 観光旅行の促進のための環境の整備
(観光旅行者の本県への来訪の促進)
第十六条 県は、観光旅行者の本県への来訪の促進を図るため、県内の観光地に関する広報宣伝活動及び観光情報の提供を行うとともに、県内外における広域的に連携した観光の振興に関する取組など必要な施策を講じるものとする。
(観光旅行者に対する接遇の向上)
第十七条 県は、観光旅行者に対する接遇の向上を図るため、接遇に関する教育の機会の提供、旅行関連施設の整備、本県の優れた伝統芸能、食文化、映像文化その他の文化芸術、産業等の紹介の強化、地域の特色を生かした魅力ある商品の開発等に必要な施策を講じるものとする。
(観光旅行者の利便の増進)
第十八条 県は、観光旅行者の利便の増進を図るため、高齢者、障害者、外国人等が円滑に利用できる旅行関連施設及び公共施設の整備並びにこれらの利便性の向上等に必要な施策を講じるものとする。
2 県は、情報通信の技術を活用した観光に関する情報の提供等に必要な施策を講じるものとする。
(観光旅行の安全の確保)
第十九条 県は、観光旅行の安全の確保を図るため、観光における事故の発生の防止等に必要な施策を講じるものとする。
(新たな観光旅行の分野の開拓)
第二十条 県は、新たな観光旅行の分野の開拓を図るため、自然体験活動、農林水産業に関する体験活動等を目的とする観光旅行、心身の健康の保持増進のための観光旅行、食文化への理解を深めるための観光旅行、将来の定住につながる滞在型観光旅行その他の多様な観光旅行の形態の普及等に必要な施策を講じるものとする。
(観光地における環境及び良好な景観の保全)
第二十一条 県は、観光地における環境及び良好な景観の保全を図るため、観光旅行者による自然体験活動を通じた環境の保全に対する理解の増進、屋外広告物に関する制限等に必要な施策を講じるものとする。
(広報等)
第二十二条 県は、県民の観光立県に対する意識の高揚、おもてなしの心の醸成及び地域における観光の振興に関する取組への参画を促進するため、広報、啓発及び情報の提供に努めるものとする。
第三章 広島県観光立県推進会議
(広島県観光立県推進会議)
第二十三条 県は、基本計画について審議し、及びその実施を推進するため、広島県観光立県推進会議(以下「推進会議」という。)を設置する。
(組織等)
第二十四条 推進会議は、会長及び委員三十人以内をもって組織する。
2 会長は、知事をもって充てる。
3 委員は、県議会の議員、市町の長、観光事業者、観光関係団体の長、観光に関する学識経験を有する者、関係行政機関の職員その他知事が必要と認める者のうちから、知事が任命する。
4 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、再任されることができる。
(会長)
第二十五条 会長は、会務を総理し、推進会議を代表する。
2 会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
(会議)
第二十六条 推進会議の会議は、会長が招集し、会長がその議長となる。
2 推進会議の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 推進会議の会議の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(委任)
第二十七条 この章に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、会長が別に定める。
附 則
この条例は、平成十九年一月一日から施行する。