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令和元年度森林経営管理制度の取組について

印刷用ページを表示する掲載日2020年7月1日

 県では,市町が主体となって森林所有者の施業意思がない森林や森林所有者の特定が困難な森林など,既存の取組では森林所有者自らが経営管理できていない森林を適切に管理していくため,森林環境譲与税を活用し,森林整備及びその促進を図るための支援を行うこととしています。

令和元年度の具体的取組内容について

 取組初年度となる令和元年度については,昨年12月に策定した「新たな森林経営管理制度に関する取組の基本方針」に基づき,まずは,森林を経営管理するかどうかの意向調査を集中的に実施するため,取組の主体となる市町を支援するとともに,森林の経営管理の担い手となる「意欲と能力のある林業経営者」の育成を図りました。

市町支援

 森林経営管理制度の主体となる市町においては,実施体制が脆弱であることや 所有者の特定などの事務を進めるためには,かなりの手間と時間が必要であることなどから事務の実施に不安を有しているところです。
 このため,県は,市町の不安の解消に向けて,意向調査を進める地域の選定などについて,主導的に実施するとともに,事務全般をサポートしました。 

意向調査への支援等

 意向調査を進めるため,まず各市町における意向調査実施箇所や役割分担についての合意形成を図るための組織として,県が中心となって,市町ごとに,県や市町,森林組合,林業経営者などの地域の関係者から構成される「地域調整会議」を設置しました。

 この,「地域調整会議」で合意形成を図った後,市町が,事業者への委託等により,森林所有者に対する意向調査を実施するとともに,意向調査の結果を踏まえ,森林所有者の施業意思がない森林については,経営管理の内容を明らかにし,森林所有者から同意を得た後に,順次,経営管理権集積計画を作成することとしております。

《具体的取組状況》

 林務担当職員の配置が十分でない市町を支援するため,今年度から,地方機関3事務所に,森林経営管理制度を担当する専任職員を新たに配置し,市町のニーズを確認しながら,関係する会議の開催や資料の作成などを行いました。

 具体的には,意向調査実施箇所の検討に当たり,県から,航空レーザ測量データの解析結果を活用して作成した森林の集積・集約化が可能な林業経営に適した箇所の図面を提供し,検討の支援を行うとともに,関係者との意見調整を支援するとともに,市町が意向調査の実施に当たって直面する相続等の法律問題などに対して法律の専門家等を派遣できる体制を構築するなど,意向調査の阻害要因の解決に向けた支援体制を構築しました。

 ・意向調査に係る専門家(森林集積アドバイザー)の派遣はこちら →https://hsnz.jp/syusekiadviser/

 県が中心となって,「地域調整会議」の開催に向け,市町等と実施方針の決定や意向調査箇所の選定等の事前調整を実施しており,今後は,6月から11月にかけて,16市町において「地域調整会議」を開催し,事前調整で検討した内容について合意形成を図った上で,市町が意向調査を開始しました。 

地域調整会議の実施状況
月日 市町 出席者
R1.6.24 廿日市市 廿日市市,佐伯森林組合,広島県
R1.6.25 安芸太田町 安芸太田町,太田川森林組合,広島県
R1.7.4 三次市 三次市,三次地方森林組合,甲奴郡森林組合,広島県
R1.7.23 北広島町 北広島町,安芸北森林組合,太田川森林組合,広島県
R1.7.24 安芸高田市 安芸高田市,安芸北森林組合,広島県
R1.8.5 世羅町 世羅町,世羅郡森林組合,広島県
R1.8.22 府中市 府中市,甲奴郡森林組合,広島県
R1.8.23 庄原市 庄原市,備北森林組合,甲奴郡森林組合,西城町森林組合,東城町森林組合,広島県
R1.9.11 呉市 呉市,広島県
R1.9.13 広島市 広島市,広島県
R1.9.25 大竹市 大竹市,佐伯森林組合,広島県
R1.9.26 尾道市 尾道市,尾三地方森林組合,広島県
R1.10.4 東広島市 東広島市,賀茂地方森林組合,黒瀬町森林組合,尾三地方森林組合,広島県
R1.10.25 江田島市 江田島市,広島県
R1.11.5 福山市 福山市,広島県東部森林組合,広島県
R1.11.13 三原市 三原市,尾三地方森林組合,賀茂地方森林組合,広島県

意向調査選定の支援状況関係者との意見調整状況

市町研修

 意向調査や森林の境界明確化を行う市町においては,森林・林業行政の経験が少ないことから,県内の森林・林業関係の業務に携わる市町職員及び新たな森林経営管理制度等に基づく森林の集積・集約等の業務に携わる者を対象に,森林・林業に係る専門的知識の習得と,森林・林業行政の施策内容・目的等について理解し,業務を行う上で必要な知識の習得及び技能の向上を図るための研修を実施しました。

《具体的取組状況》

 6月13日から15日にかけて,森林・林業の施策目指す姿,法令(森林法,森林経営管理法)の講習を行うとともに,現地において,県内の森林の状況や役割,森林を取り巻く課題などについての講習を行いました。(3日間,53人の参加)

現地受講状況座学研修の状況

 7月29日から31日にかけて,広島法務局のご協力を得ながら林業経営の基礎となる森林の境界を管理するために必要となる所有権や境界杭等に関する基礎知識や,森林施業の概要,現地の調査方法等について演習等を行いました。(3日間,36人の参加)

現地受講写真演習中写真

 11月5日から6日にかけて,県内及び全国の先進事例(庄原市東城町,愛媛県大洲市,三重県津市島)の事例について講師をお招きし事例研究を行うとともに,森林経営管理制度の進め方や地域へのアプローチ等に関するグループワークなどを行いました。(2日間,38人の参加)

11月講義中写真11月演習写真

 

森林情報共有システムの検討

 今後,森林経営管理法による森林の集約化や生産流通構造の改革には関係者(県・市町・林業事業体)が有する森林に関する情報(所有者情報,森林資源情報,集約関係情報,施業履歴等)を共有し利活用していくことや,森林所有者,市町,林業経営体間の長期間の契約が存在するとともに,推進にあたっては県がこの取組を主体的に支援する必要があることから,関係者間の情報共有の仕組みつくりが必要となります。

 このため,今年度,今後の森林情報システムの在り方を整理し,森林に関する情報(所有者情報,森林資源情報,集約関係情報,施業履歴等)を共有し,利活用しやすいシステムを検討しました。

意欲と能力のある林業経営者の育成

 森林経営管理制度では,森林所有者の施業意思がないなど,自らが経営管理できていない森林を対象に「意欲と能力のある林業経営者」に森林の経営管理を委託することとしており,このために必要となる森林整備の担い手の確保に向け,林業経営体の育成や林業従事者の確保育成に向けた取組を行いました。

リーディングモデルとなる林業経営者の育成

 本県の林業経営者は,自社所有地での木材生産ではなく,森林所有者からの受託による生産が主体となっている状況や,周辺関係者との事前調整など,地域合意を図りつつ施業を行う必要があること,他の産業からの参入や県外からの参入が期待できず,新規参入も困難であることから,森林整備の担い手確保に向け,県内に存在する林業経営者から育成することが急務となっています。

 そこで,県内の模範となり得る林業経営体に対して,経営力強化に向けた経営戦略等の策定や,職場の安全管理に係るマネジメント能力向上に向けた取組を支援しました。

《具体的取組状況》

 (林業リーディングモデル養成)

 県内の模範となり得る候補者として県内2者の林業経営体を選定し,経営コンサルタントの協力を得て,自らの経営に関する業界動向,政策制度,森林資源,内部構造,提供サービス等の現状分析を行い,10年,5年の将来像を描き,経営戦略や中長期的な行動計画の作成を支援しました。この過程で,組織内で経営管理を行う人材が中長期の経営視点を身に着けることができ,規模拡大や人材育成の戦略や働く環境改善,業務効率化等の取組が生まれました。

職員による経営戦略の検討経営方針の社内発表

 (安全管理のマネジメント能力向上支援)

 安全管理への取組意欲の高い林業経営体3者に対して,労働安全衛生コンサルタントの協力を得て,安全管理に関する問題点や伸びしろとなる点を点検し,4回程度の訪問支援や社内研修により,安全管理のノウハウ習得や書類の効率化等を支援しました。
 また,支援した3者をモデルとして優良事例を波及させるため,県内6会場で現地検討会等を行いました(8月~10月延べ74名の参加)。

個別支援での現場安全パトロール現地検討会の様子

林業同世代コミュニティづくりの推進

 林業従事者の定着率向上を図るため,経営体の枠を超えた林業従事者のコミュニティを構築するとともに,離職時のきっかけとなる悩みや課題の解決を促すことを目的とした,同世代の林業従事者を対象とした研修を行いました。

《具体的取組状況》

 従事年数別に中堅従事者(3~5年目20~30代)とベテラン従事者(7年目以降30~40代)を対象に,「理想の職場」をテーマに,受講者それぞれの課題を掘り出し,共有化しながら解決策の議論を行うワークショップ形式の研修を行いました。課題としては,班内のコミュニケーションやモチベーションの向上策,組織目標の共有の具体策などがあげられ,各社の事例等による解決策が議論されました。

 (中堅従事者)
 日時:第1回 令和元年9月5日~6日,第2回 令和2年1月8日 
 参加者:11名

 (ベテラン従事者)
 日時:令和2年1月9日~1月10日
 参加者:10名

 研修風景1研修風景2
 

就業希望者・新規就業者に対する個別支援

 新規就業者の確保を図るため,林業への転職を希望する方に対し,就業の相談からその後の定住まで一貫した支援を行うもので,就職先のあっせんや定住先の確保の相談など,マンツーマンできめこまやかな対応を行う,専門相談員を関係団体に配置しました。

《具体的取組状況》

 (メンターによる支援)

 広島県森林組合連合会内に常設メンターを設置し,転職希望者の就職相談に対しマンツーマンでケアすることにより,経営改善に取り組む経営体のあっせんや,定住先の確保の相談など,就業後の生活までのきめ細やかな対応,就業後のライフスタイルの変化によって生じた生活への不安に対するケアを行っています。相談先は次のとおりです。

広島県森林組合連合会 無料職業紹介事業所
所在地: 〒730-0012 広島県広島市中区上八丁堀8−23
電話: 082-228-5111
Mail:moriren-soumu@hiroshima-moriren.or.jp

(従業希望者に対する情報発信等)

 就業希望者を掘り起こすため,転職希望者等に対し,広島県の林業就業に関する情報を専用ホームページ等により積極的に発信するとともに,県内等で開催する各種イベント(就農フェア,転職フェア)へブースを出して個別の相談窓口を設置し,林業への就職相談などを行っています。
 また,次世代の林業従事者の育成に向け,国,高等学校,関係団体が連携した取組を行うための協定を締結しました。

《具体的取組状況》

就農応援フェアに出展しました。
(1回目)
日時:令和元年6月29日(土曜日)
場所:広島県立広島産業会館
相談件数:53組74件(内林業相談4組4件)
(2回目)
日時:令和元年9月21日(土曜日)
場所:広島県立広島産業会館
来場者:53組95件(内林業相談7組7件)

 林業相談ブースでは,広島県森林組合連合会や広島県林業労働力確保支援センター等が参加者の皆様からの質問にお答えしました。
 また,ミニ講演会では,3名の新規就農者・先進農家と1名の林業家の方に,経営者として自立するまでの流れや心がまえについて講演いただきました。

相談風景講演会

その他

令和元年度中国5県森林経営管理制度業務担当者会議の開催

 令和元年9月3日に,中国5県の森林経営管理制度の担当者が集まり,森林経営管理制度や森林環境譲与税を議題に,各県の取組状況を報告するとともに,業務における課題等について情報共有を図りました。

担当者会議

森林経営管理制度及び森林環境譲与税説明会の開催

 令和元年11月15日に,林野庁森林利用課森林集積推進室の安高室長と大石係長を講師としてお招きし,市町担当職員向けの説明会を開催しました。森林経営管理制度及び森林環境譲与税の概要の説明を受けた後,意向調査の選定などの実務研修を行いました。

説明会

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