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広島県人権啓発推進プラン(本文)

印刷用ページを表示する掲載日2021年3月31日

広島県人権啓発推進プラン(令和3年3月策定)

第1章 はじめに

1 策定の趣旨

 本県では,平成14年11月に「広島県人権啓発推進プラン」を策定し,3回の改定※を重ねながら,県民が人権尊重の意識を高め,互いに人として尊重し合い,だれもがいきいきと生活できる社会づくりに向け,様々な人権啓発に取り組んできました。
 しかしながら,依然として差別紙片のばらまきや児童虐待などの人権侵害事案が発生するなど,人権尊重に関する意識改革は十分でなく,引き続き取り組む必要があります。
 また,性的指向や性自認に対する社会の関心の高まりといった状況変化や,新型コロナウイルス感染症拡大に伴って顕在化した医療従事者等に対する誤解や偏見・差別,インターネットを通じた個人の名誉やプライバシーの侵害などの新たな課題についても,対応していくことが必要となっています。
 加えて,それぞれの人権課題で実施している啓発をより効果的・効率的に実施していくためには更に連携を図る仕組みづくりが必要です。
 このような状況を踏まえ,今後5年間の取組をまとめた「広島県人権啓発推進プラン(第5次)」を策定するものです。
 ※ 平成18年3月,平成23年1月,平成28年3月

2 プランの位置づけ

 「広島県人権啓発推進プラン」は,「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」(平成12年法律第147号)第5条に基づき,本県の基本方針等を定めた「広島県人権教育・啓発指針」(平成14年5月策定)の人権啓発部分に係る実施計画に位置づけます。

3 プランの計画期間

 令和3(2021)年度から令和7(2025)年度までの5年間

第2章 目指す姿と基本的な考え方

 

1 目指す姿(5年後の人権啓発の姿)

 ○ 個々人の性別※,年齢,障害の有無,民族,国籍などの様々な違いを認め合い,尊重し合う意識の醸成のための啓発が行われるとともに,社会情勢の変化や新たに発生する人権課題などを踏まえた取組が行われています。
 ○ 県民が多様性に関する正しい知識を得る機会や,課題に合わせた体験学習など日常生活の中に反映されるような実践的な講座に参加できる機会が増えています。

モニタリング指標

現状値

「広島は,お互いの人権を尊重し合うことができる」と感じる人の割合

【県民意識調査】

32.4%

[R2]

 ○ このプランは目指す姿に向けて関係する様々な人権課題への取組のうち「人権啓発」をとりまとめたものであり,関係する課題も多岐にわたることから統一的な成果指標は設定せず,県民の人権に関する意識の動向を把握するための「モニタリング指標」をおいて,その数値の動きを注視していくこととします。
 ○ また,課題ごとに「関連指標」を設定し,動向をモニタリングします。
 この「関連指標」は,その課題に関連する県計画がある場合はそれぞれの計画において設定された成果指標とその目標を,また関連する県計画が無い場合はその課題に関連の深い統計数値を指標としています。
 ○ 「モニタリング指標」と「関連指標」についてはその動向を毎年度検証・分析し,結果を施策に反映させていきます。
 ※ 性別には,身体的な男性と女性の区別だけでなく,自分の性別に対する認識である「性自認」(「心の性」とも言われる。)や,恋愛や性愛の対象となる性である「性的指向」などの概念を含みます。

2 基本的な考え方

(1)人権に関する基本的な知識の習得

 内閣府の世論調査※(平成29年度)によると,基本的人権は侵すことのできない永久の権利として,憲法で保障されていることを「知っている」と答えた人の割合は81.4%となっており,前回(平成24年度)の調査結果82.8%と連続して8割以上を占めたものの,いまだ「知らない」と答えた人も一定数存在しています。
 このため,憲法をはじめとした人権に関わる国内法令や国際条約の周知など,人権に関する基本的な知識の習得を目的とした啓発に引き続き取り組みます。

※ 出典:「人権擁護に関する世論調査」(内閣府)
 平成24年度は全国20歳以上,平成29年度は全国18歳以上の日本国籍を有する人を
 対象に実施
 〔参考〕平成29年度調査(うち20歳以上):「知っている」と答えた人の割合81.3%

(2)個性を尊重する意識の醸成

 世間体や他人の思惑を過度に気にする風潮,社会における横並び意識の存在などが,安易な事なかれ主義に流れたり,人々の目を真の問題点から背けさせる要因となっており,そのことにより,各種差別の解消が妨げられている側面があります。
  また,性的指向・性自認に関してなどでは,社会的関心が高まる一方で無知や誤った知識が新たな差別を引き起こしています。
 このため,正しい知識の普及を行い,根拠のない不合理な差別を許さず,多様性を認め,個性を尊重し合う意識を根付かせていくような啓発を推進します。

(3)実際の行動への反映

 いじめや子供・高齢者・障害者への虐待,配偶者等からの暴力,ストーカー事案,近隣でのトラブルに起因する事件など日常生活のあらゆる場面において,人権が侵害される状況が依然として存在しています。
 また,個人の自由な意思や選択の結果ではなく,その多くが様々な悩みが原因で追い込まれた末,尊い生命が自殺により失われています。
 このため,日常生活において,人権への配慮が自然に態度や行動に現れてくるよう,生命の尊さ・大切さや,他人との共生・共感の大切さといった人権尊重の理念を普及します。

3 各人権課題に対する取組

(1)女性

 日本国憲法では,個人の尊重と法の下の平等がうたわれ,性別により差別されないとされています。また立法的な措置として「男女共同参画社会基本法」,「男女雇用機会均等法」に加え,平成28年には「女性活躍推進法」の全面施行,平成30年には「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」の施行など,男女が性別により差別されることなく,その能力を十分に発揮できるような環境整備が進められつつあります。
 本県では,「広島県男女共同参画推進条例」を制定し男女共同参画推進の基本理念を定めるとともに,関連する県計画※に基づき,性別に関わらず個人が互いに人権を尊重し,能力を十分に発揮することができるよう,啓発を行ってきました。

 また,配偶者等からの暴力,性犯罪・性暴力,売買春,セクシュアルハラスメント,ストーカーなど人権を侵害する事案に対応するため,「DV防止法」,「ストーカー規制法」等が改正されるなどの立法的措置がとられています。
 本県では,関連する県計画※に基づき,暴力防止及び被害者支援に向けた啓発を行ってきました。

 ※ この項において関連する県計画は以下のとおり
      ・わたしらしい生き方応援プランひろしま(令和3~7年度)
      ・ひろしまDV防止・被害者支援計画(第4次)(令和3~7年度)

現状・課題

○ 配偶者等からの暴力,性犯罪・性暴力,売買春,セクシュアルハラスメント,ストーカーなど,人権を侵害する事案が発生しており,被害者の多くは女性が占めています。
 また,被害を受けても相談していない人もおり,未然防止や救済に向け,人権の重要性についての正しい知識と理解の啓発や相談窓口等についての周知が必要です。
○ 県政世論調査(令和2年度)によると「社会全体における男女の地位」が平等と思う人の割合は14.7%(女性11.5%,男性18.2%)と低い状況にあることなど,性別にかかわらず誰もが,個性と能力を十分発揮し社会のあらゆる分野に共に参画するという理念について,県民への理解が十分浸透しているとは言えない状況にあります。こうした意識の変革を図るためには,男女共同参画に向けた啓発において,効果的な取組を行っていく必要があります。
○ 各ライフステージにおける,男女それぞれの,互いのライフプランの考え方などへの理解不足や性差に関する固定観念等により,キャリアへの満足度が低かったり,配慮不足からくる行き違いが生じているおそれがあるため,男女双方が互いに理解を深める必要があります。
○ 女性がその個性と能力を十分に発揮し,安心して働き続けることができる社会の実現に向け,法整備を含め社会全体の機運は醸成されつつあり,女性の就業率は増加基調にありますが,出産・育児期の女性の離職により就業率が落ち込む,いわゆるM字カーブについては,底が浅くなってきているものの解消には至っておらず,指導的立場に占める女性の割合も2割弱(令和元年度)にとどまっています。このため,誰もが安心して働き続け,活躍できる職場環境づくりの意義や重要性について,事業者や従業員等の理解を深める必要があります。

取組の方向

 性別に基づく差別や権利侵害の根絶及び性別による役割分担意識の是正に向けた意識変革を図る啓発を行います。
 また,誰もが様々なライフイベントと両立しながら安心して働き続けるとともに,女性が仕事に対する意欲を持って,その力を発揮することができる環境づくりに向けた理解促進を図っていきます。
 実施にあたっては,関連する県計画に基づいて行います。

具体的な取組

(女性の人権擁護)
● 「DV防止法」に基づいて設置した「配偶者暴力相談支援センター」について,暴力被害を受けた女性等,誰もが相談・保護・支援を受けられるよう身近な相談窓口として周知を図ります。〔健康福祉局こども家庭課〕
● より早期から,対象に応じて,デートDVやDVに関する正しい知識の啓発を行います。〔健康福祉局こども家庭課〕
● 性被害の相談窓口である「性被害ワンストップセンターひろしま」について,中学・高校生など若年層への周知を強化するとともに,24時間365日,秘密厳守で相談できることや,Webを活用した相談申込みの受付などといった,被害者等の心情に配慮した取組の情報発信を行います。〔環境県民局県民活動課〕
● 配偶者暴力やストーカー事案等あらゆる暴力などに対して,認知の段階から対処に至るまで,関係部門が情報共有・連携の上,被害者の安全確保に向け,正しい理解と認識を深めるための啓発や被害が深刻化する前の早期相談につながる啓発を行います。
 また,こうした事案への迅速かつ的確な対応が図られるよう,警察官に対する必要な研修を実施します。〔環境県民局人権男女共同参画課,健康福祉局こども家庭課,警察本部人身安全対策課〕
● セクシュアルハラスメント,マタニティハラスメントなど様々なハラスメントの防止に向け,職場におけるハラスメント防止に関する国の指針等の周知を含めた企業等への啓発,相談窓口の周知などに取り組みます。〔商工労働局働き方改革推進・働く女性応援課〕

関連指標

現状

目標

備考

デートDVに関する精神的暴力の認識率(高校生)

66.5%

[R元]

75.0%以上

[R7]

「ひろしまDV防止・被害者支援計画(第4次)」より

性被害ワンストップセンターひろしまの認知度

7.4%

[R2]

13.0%以上

[R5]

「わたしらしい生き方応援プランひろしま」より

(性別による役割分担意識の是正)
● 性差による固定観念にとらわれず自分らしく暮らしている人の事例紹介や交流の場の設定,またこうした取組の発信により,県民の固定的な意識の解消につながるよう取り組みます。〔環境県民局人権男女共同参画課〕
● 固定的な意識の解消に向けてこれまで取り組んできた意識啓発については,ターゲットやテーマを地域の実情に合わせて選定するなど内容の工夫に加え,Webを活用して対象を広げることなどにより,啓発効果の拡大を図ります。〔環境県民局人権男女共同参画課〕
● 夫婦等のパートナー同士や,職域等の男女双方を対象とした研修や意見交換の実施などにより,それぞれが互いのキャリアやライフプラン,立場や考え方を認識し,配慮することができる意識の醸成を図ります。〔環境県民局人権男女共同参画課〕
● エソール広島(広島県女性総合センター)が実施する男女共同参画を推進するための研修・交流,相談情報提供事業及び啓発活動を連携して行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントや啓発資料展示を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,女性の人権について啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

性別にかかわらず,働き方や暮らし方を自分らしく選択できていると感じている人の割合

 

[R3]

現状値を把握の上設定

[R7]

「わたしらしい生き方応援プランひろしま」より

(職場における女性の活躍促進)
● 様々な職場において,妊娠・出産・子育て等のライフイベントと両立しながら,安心して働き続けることができる環境づくりに向けて,セミナーの開催や職場研修への講師派遣等により,企業への理解促進を図ります。〔商工労働局働き方改革推進・働く女性応援課〕
● 女性が仕事に対する意欲を持って,その力を発揮することができる環境づくりに向け,経営者等への取組の働きかけを行うとともに,女性従業員を対象とした研修及び企業や業種の枠を超えたネットワークを形成する機会の提供などによる意欲向上の支援に取り組みます。〔商工労働局働き方改革推進・働く女性応援課〕
● 男性の育児休業等の取得促進に向け,市町等の関係機関と連携して,男性が家事・育児・介護等に積極的に参画することの意義や効果などについて,男性従業員や企業に対し理解促進を図ります。〔商工労働局働き方改革推進・働く女性応援課〕

 

関連指標

現状

目標

備考

女性(25~44歳)の就業率

72.3%

[H27]

82.5%

[R7]

「わたしらしい生き方応援プランひろしま」より

県内事業所における指導的立場に占める女性の割合

19.1%

[R2]

25.0%

[R7]

「わたしらしい生き方応援プランひろしま」より

男性の育児休業取得率

13.0%

[R元]

30.0%

[R7]

「わたしらしい生き方応援プランひろしま」より

(2) 子供

 子供の人権の尊重とその心身にわたる福祉の保障及び増進などに関しては,日本国憲法をはじめ,「児童福祉法」や「児童憲章」,「教育基本法」などにおいて,その基本原理ないし理念が示されています。
 平成28年には,「児童福祉法等の一部を改正する法律」において,児童は適切に養育され,健やかな成長・発達や自立等を保証されることなどの権利を有することや,国民は児童の最善の利益を優先して考慮し児童の健やかな育成に努めることなど,児童の福祉を保証するための原理が明確化されました。
 また,「子ども・若者育成支援推進法」,「いじめ防止対策推進法」,「児童買春・児童ポルノ禁止法」などの立法的措置のほか,令和2年には親権者等による体罰の禁止が法定化された「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」が施行されました。
 本県では,「広島県青少年健全育成条例」を制定し,青少年はあらゆる生活の場において,心身ともに健やかに成長するよう配慮されなければならないと規定するとともに,関連する県計画※に基づき,全ての県民が子育てを支え,たくましく健やかに生きる力を持つ子供たちを育成するための啓発を行ってきました。

 ※ この項において関連する県計画は以下のとおり
      ・ひろしま子供の未来応援プラン(令和2~6年度)
      ・広島県地域福祉支援計画(令和2~6年度)

現状・課題

○ 子供を取り巻く環境をみると,依然として児童虐待,子供の貧困,いじめなど,深刻な問題があります。子供が人権侵害の被害者・加害者とならず,また自分自身も大切にし,健やかに成長するために,大人だけでなく子供に対しても正しい知識や理解を深めるための啓発が必要です。
○ こども家庭センター(児童相談所)や市町が対応する児童虐待相談件数は年々増加しており,全国的には子供の生命が奪われるなど重大な事件も後を絶たない状況にあり,引き続き,深刻な人権侵害である児童虐待の早期発見,早期対応のため,相談窓口や支援制度について周知を図ることが重要です。
○ 内閣府の調査※(令和元年度)では青少年のインターネット利用率は9割を超えていますが,インターネット上に相手が嫌がることを書き込む等,相手の人権についての認識や,有害情報・インターネットに起因する犯罪への意識が十分でない状況があることから,適正利用に関する情報の提供や講習会の実施等による啓発が大切です。

    ※  出典:「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」(内閣府)

取組の方向

 児童虐待をはじめとした子供に対する人権侵害を防ぐとともに,子供の健やかな育成のための情報提供や啓発に取り組みます。
  実施にあたっては,関連する県計画に基づいて行います。

具体的な取組

(子供の人権擁護)
● 子供への体罰の禁止や虐待が子供に及ぼす悪影響等について,保護者や子育てをこれから行う世代など県民への周知を図り,体罰によらない子育てを推進します。〔健康福祉局こども家庭課〕
● 児童虐待の通告義務,児童相談所虐待対応ダイヤル「189」などを,広く県民に周知していきます。〔健康福祉局こども家庭課〕
● 学校等と連携し,いじめ防止のための取組実践例をイベント等の場で発表するなど,いじめの未然防止,早期発見・早期対応のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課,教育委員会豊かな心と身体育成課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントでの子供の人権に関する事例発表や啓発資料展示を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,人権意識の醸成のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

体罰や暴言等によらない子育てをしている親の割合

76.3%

[R元]

83.0%

[R6]

「ひろしま子供の未来応援プラン」より

児童虐待により死亡した児童数

0人

[R元]

0人

[R6]

「ひろしま子供の未来応援プラン」より

いじめの解消率(公立小・中・高・特別支援学校)

78.0%

[R元]

83.6%

[R6]

「ひろしま子供の未来応援プラン」より

(青少年の健全育成)
● 「広島県青少年健全育成条例」の運用等により,インターネット等の適正な使用について子供,保護者や青少年活動に携わる人等への啓発など,青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為や環境から青少年を保護する取組を推進します。〔環境県民局県民活動課〕
● 暴走族・非行少年グループ対策として,暴走族・少年非行防止対策会議の開催により関係者が一体となった取組を推進するとともに,広報啓発用ポスターの作成・掲示を行い,県民意識の啓発及び高揚を図ります。〔警察本部少年対策課〕
● 少年の規範意識向上に向け,犯罪防止教室の開催,少年警察ボランティアと連携した少年に対する声かけ活動,少年の立ち直りに向けた少年サポートルームの開催などを行います。〔警察本部少年対策課〕

(3) 高齢者

 国では,「高齢社会対策基本法」に基づく新たな「高齢社会対策大綱」(平成30年閣議決定)を基本とし,各種の対策が講じられています。また,「高齢者虐待防止法」が制定され,高齢者の権利擁護のための取組も行われてきました。
 本県では,関連する県計画※に基づき,高齢者が社会を構成する重要な一員として,健康で生きがいを持って安心して生活できるよう啓発を行ってきました。

 ※ この項において関連する県計画は以下のとおり
      ・第8期ひろしま高齢者プラン(令和3~5年度)
      ・広島県地域福祉支援計画(令和2~6年度)

現状・課題

○ 本県の65歳以上人口は総人口の28.9パーセント(令和2年1月1日現在)を占め,今後も人口減少・高齢化などの人口構造の変化に伴い,高齢化率は上昇していく見込みです。
○ 高齢期になっても,県民の誰もが健やかに自分らしく輝き安心して暮らしていけるよう,本人の意思や能力に応じた就業や社会参加促進に資する情報提供,地域や事業主などの理解を深めるための啓発など,高齢者が活躍できる環境づくりに向けた取組を行う必要があります。
○ 介護者による身体的・心理的虐待や,高齢者の家族などによる本人の財産の無断処分等の経済的虐待といった高齢者に対する深刻な人権侵害は依然として発生していることから,虐待の通報義務や相談窓口について更なる周知を図る必要があります。
○ 高齢単身世帯の増加や認知症高齢者の増加を踏まえ,こうした高齢者やその家族が安心して生活できるよう,地域全体で支える社会づくりについて地域や関係者などの理解を深めるための啓発が大切です。

取組の方向

 高齢者が生き生きと活躍できる環境づくりや,自分の尊厳を保ちつつ安心して暮らしていけるよう,認知症や虐待等に関する正しい知識や権利擁護に関して普及啓発を行います。
 実施にあたっては,関連する県計画に基づいて行います。

具体的な取組

(理解促進)
● 「老人の日」(9月15日)の全国キャンペーンに合わせ,9月を県の老人保健福祉月間とし,懸垂幕の掲示や期間中の県や関係団体の取組について,県ホームページへの掲載により,周知を図っています。〔健康福祉局地域福祉課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントでの高齢者の人権に関する啓発資料展示を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,人権意識の醸成のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

(活躍できる環境づくり)
● 全国健康福祉祭(ねんりんピック)への選手派遣やシニア総合スポーツ大会,シルバー作品展開催などの各種事業を通じ,高齢者の生きがいと健康づくりをはじめ,積極的な社会参加を推進します。〔健康福祉局地域包括ケア・高齢者支援課〕
● 高齢者の特性や希望に合った就労的活動をコーディネートする人材の配置や,市町と連携したプラチナ大学の開校,退職前からのボランティア・市民活動等への参加を促す出前講座の開催などにより,高齢者の社会参画を推進するための普及啓発に取り組みます。〔健康福祉局地域包括ケア・高齢者支援課〕
● 高齢者が活躍している企業の優良事例の見える化などにより,企業に対して高齢者の積極的な雇用の働きかけを行います。〔商工労働局雇用労働政策課〕

(権利擁護の推進)
● 認知症の人やその家族が安心して生活できるよう,地域全体で支える社会の構築に向け,認知症に関する正しい知識と理解を更に促進するための啓発イベントの実施や団体・企業等との連携による啓発活動を実施します。〔健康福祉局地域包括ケア・高齢者支援課〕
● 認知症に関する正しい知識と理解を持って,地域や職域で認知症の人やその家族を手助けする認知症サポーターの養成を進め,実際に地域で活躍できるよう,認知症の人などを含む高齢者に対する理解を深めるための取組を推進します。〔健康福祉局地域包括ケア・高齢者支援課〕
● 地域包括ケアシステムにおける高齢者権利擁護に係る相談体制と担い手養成による市町等の支援を実施するため,地域包括支援センターの職員等を対象とした高齢者虐待等権利擁護に関する相談窓口の設置,専門職の派遣及び地域包括支援センター職員・介護保険サービス事業者等を対象とした高齢者虐待防止のための研修を行います。〔健康福祉局地域福祉課〕
● 高齢者虐待の通報義務や相談窓口について,県民及び養介護施設等に広報を行い,虐待防止と虐待発見時に速やかに通報するよう周知します。〔健康福祉局地域福祉課〕
● 県内各警察署に高齢化率が高く,高齢者の事件・事故による被害が多い地区を「高齢者防犯モデル地区」に指定(26地区)し,同地区における年1回以上の防犯・交通安全教室の開催をはじめとした効果的な活動を推進します。〔警察本部生活安全総務課〕
● 市町,高齢者団体,医療機関等によって構成される「安全情報ネットワーク」を活用して犯罪情報・防犯対策情報等を提供します。〔警察本部生活安全総務課〕

関連指標

現状

目標

備考

認知症サポーター養成数

269,000人

[R2]

362,000人

[R7]

「第8期ひろしま高齢者プラン」より

  (4) 障害者

 国では,「障害者基本法」,「障害者虐待防止法」,「障害者差別解消法」など,国内法を整備するとともに,平成26年に「障害者の権利に関する条約」に批准しました。これらに基づき,平成30年策定の「障害者基本計画(第4次)」に沿って障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を推進するとともに,「障害者雇用促進法」などにより,障害者雇用の一層の促進を図っています。
 本県では,平成7年に「広島県福祉のまちづくり条例」を制定し,以来,障害者や高齢者を含む全ての人が,自由に行動し,社会参加ができる誰もが住みよいまちづくりについて継続的な取組を行っています。また,関連する県計画※に基づき,障害者が社会を構成する一員として尊重される共生社会の実現のため,障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消並びに障害者の自立及び社会参加の支援のための啓発を行ってきました。

 ※ この項において関連する県計画は以下のとおり
      ・第4次広島県障害者プラン(令和元~5年度)
      ・広島県地域福祉支援計画(令和2~6年度)

現状・課題

○ 障害者が日常生活又は社会生活を営む上では,いまだ様々な障壁があり,不自由,不利益又は困難な状態におかれています。さらに,障害や障害者に対する誤った認識や偏見から生じる差別も依然として存在しています。このため,差別や偏見等を取り除き,障害者が人間としての尊厳を傷つけられることがないよう,県民一人ひとりの「心のバリアフリー」を推進するため,障害者について十分な理解の促進が求められています。
○ 県内の障害者実雇用率は過去最高を更新しており,障害者雇用は進んでいるものの法定雇用率には達しておらず,また,就労を希望する障害者は増加傾向にあることから,障害者が働ける場所を一層確保していく必要があります。
○ 障害者虐待防止や通報義務について,市町や事業者にとどまらず,学校や医療機関等への周知を図る必要があります。
また,虐待発見時の速やかな通報を確保するため,窓口の周知やそれを受ける市町,事業者等の職員の人材育成・普及啓発の推進が重要です。

取組の方向

 障害や障害者に関する正しい知識を啓発するとともに,障害者が社会を構成する一員として参加するための機会確保に向けた広報・啓発を実施します。
  実施にあたっては,関連する県計画に基づいて行います。

具体的な取組

(理解促進)
● 誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向けた「あいサポート運動」を推進するため,研修,あいサポート企業・団体の認定,あいサポートアート展の開催などにより,障害についての理解促進に取り組みます。〔健康福祉局障害者支援課〕
● 広島県知的障害者福祉大会の運営を支援することにより,障害者福祉について研究し,広く県民に対する福祉思想の普及・啓発を促進します。〔健康福祉局障害者支援課〕
● 広島県身体障害者福祉大会の運営を支援することにより,身体障害者の社会参加を促進し,福祉思想の普及・啓発を推進します。〔健康福祉局障害者支援課〕
● 社会の障害に対する差別や偏見等を取り除き,県民一人ひとりの「心のバリアフリー」を推進するため,障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談等に係る業務を効率的に処理する心のバリアフリー推進員を設置するとともに,障害の特性を知り,障害者への手助けや配慮を実践する「あいサポート運動」の推進,障害者に関するマークの普及促進等を図ります。〔健康福祉局障害者支援課〕
● 障害の特性や必要な配慮について理解し実践につなげるための出前講座や研修を企業・団体,地域,学校等を対象に実施します。〔健康福祉局障害者支援課〕
● 精神保健福祉に関する正しい知識の普及を図るため,家族会が実施する学習会等を支援します。〔健康福祉局健康対策課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントでの障害者の人権に関する講演会等の開催や啓発資料展示を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,人権意識の醸成のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

障害のある人が困っているときに,手助けをしたことがある人の割合

67.0%

[R2]

※県独自調査

70.0%

[R5]

※県独自調査

「第4次広島県障害者プラン」より

あいサポーター数

240,176人[R元]

255,000人

[R7]

(権利擁護の推進)
● 県障害者権利擁護センターの機能強化を図り,虐待発見時の速やかな通報を確保するとともに,障害者虐待の未然防止や通報義務等について,障害者,養護者及び事業者等への普及啓発活動を行います。〔健康福祉局障害者支援課〕
● 市町,事業者等の職員を対象とした障害者虐待予防・権利擁護に関する研修実施による人材育成・普及啓発を推進します。〔健康福祉局障害者支援課〕
● 障害者虐待防止ネットワーク推進会議を開催し,関係機関が把握している課題について検討の上,解消に向けた取組を行います。〔健康福祉局障害者支援課〕

 (活躍できる環境づくり)
● 障害者の就業支援のため,啓発冊子の作成,障害者雇用優良事業所の知事表彰及び先進事例から学ぶための障害者雇用企業等見学会を実施し,企業の障害者雇用についての理解促進に取り組みます。〔商工労働局雇用労働政策課〕

関連指標

現状

目標

備考

民間企業の障害者実雇用率

2.18%

[R元]

(法定雇用率2.2%)

法定雇用率※以上

[R7]

「安心▷誇り▷挑戦ひろしまビジョン

アクションプラン」より

  ※法定雇用率は,障害者の雇用状況等により算定され,R3.3から2.3%に引き上げられます。

 (5) 同和問題

  同和問題は,日本社会の歴史的過程で形作られた身分差別により,日本国民の一部の人々が,長い間,経済的,社会的,文化的に低い状態に置かれることを強いられ,日常生活の上で差別を受けるなどしている,我が国固有の人権問題です。
 この問題の解決を図るため,昭和44年から特別措置法に基づき,各種の特別対策を講じてきました。この結果,同和地区の生活環境の改善等,おおむねその目的を達成できる状況になったことから,平成13年度末の「地対財特法」の失効に伴い,特別対策を終了し,今後の施策ニーズについては,一般施策の中で対応することとされました。
 こうした中,平成28年には,部落差別の解消を推進し,部落差別のない社会を実現することを目的として,「部落差別解消推進法」が施行されました。
 本県では,県民一人ひとりが同和問題について正しい理解と認識を深めるための啓発活動を推進してきました。

現状・課題

○ 結婚や就職等における差別意識が存在しているほか,個人を誹謗・中傷する差別的な言動や誤った情報がインターネット上で書き込まれるなどの事案が依然として発生しています。
  同和問題は根拠のない不合理な差別であるという正しい知識と理解を深めるための人権啓発が重要です。

取組の方向

 同和地区出身者であることなどを理由とした差別等を防止するため,同和問題に対する正しい理解と認識を深めるための啓発活動を行います。

具体的な取組

● 行政職員や企業等の人権啓発担当者,隣保館運営等担当者などに対して,研修等を実施し,人材の育成を図ります。〔環境県民局人権男女共同参画課〕
● 隣保館が,福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして,生活上の各種相談事業や啓発活動を行うための支援を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕
● インターネット上の差別情報について,市町や関係機関等からの情報提供や随時検索などにより状況を把握するとともに,このような人権侵害を無くすための人権尊重の意識を高める啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントでの同和問題に関するDVD上映や啓発資料展示等を行うとともに,同和問題や人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,人権意識の醸成のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕
● 公正な採用選考により,就職機会が均等に確保されるよう,事業主に対し,国と連携して啓発を行います。〔商工労働局雇用労働政策課〕
● 新規採用職員を対象とする「初任(前期)研修」など,県職員を対象に実施している研修において,正しい知識の習得に取り組みます。〔総務局人事課〕

関連指標

現状

目標

備考

人権侵犯事件数(開始件数)

[広島法務局]:

同和問題に対する差別待遇

10件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

人権相談件数[広島法務局]:同和問題に対する差別待遇

12件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

 ※ 出典:「人権侵犯事件統計」(法務省)(http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_jinken.html)

(6) 外国人

 国では,特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして社会的に関心を集めたことから,平成28年に「ヘイトスピーチ解消法」が施行されました。
 また,外国人の技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を図るために平成29年に施行された「技能実習法」には,技能実習生に対する人権侵害行為等についても禁止規定等が設けられました。
 本県では,本県に居住している外国人が安心して生活できるよう,県民に対し,異なる文化,生活習慣,価値観などへの理解を深めるとともに,世界の人たちとともに生きていくという意識を育むための啓発を行ってきました。

現状・課題

○ 言語,宗教,習慣等の様々な違いを背景に,外国人の就労に際しての差別のほか,子供の教育や入居・入店拒否など様々な問題が生じており,依然として本県に居住している外国人の生活上の諸権利が十分に保障されていないといった状況が存在するとともに,地域とのつながりが希薄で孤立しやすい状況もみられます。
さらに,平成31年には,新たな在留資格「特定技能」が創設されて全国的に外国人労働者の本格的な受け入れが開始され,本県においても外国人の増加が見込まれています。
 これらの状況を踏まえ,本県に居住している外国人が,地域において孤立することなく安心して生活できるよう,多様性を認め,ともに生きていくという意識を育むための啓発を行う必要があるほか,外国人が地域とのつながりを深めながら,生活に必要な情報の共有が進むことにより,困ったときに相談できる環境整備などに取り組む必要があります。
○ 内閣府の世論調査※(平成29年度)では,ヘイトスピーチについて4割を超える人が知らないと回答していることから,特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動の解消についての理解・促進が必要です。

※ 出典:「人権擁護に関する世論調査」(内閣府)

取組の方向

 地域とのつながりを深めながら,生活に必要な情報を外国人同士で共有できる仕組みづくりなどを,市町と連携して取り組みます。また,県民が異なる文化,生活習慣,価値観などへの理解を深めるとともに,地域における多様性を認め,尊重する地域となるよう啓発を行います。

具体的な取組

● ひろしま多文化共生連絡協議会を開催し,市町及び国等の関係機関と連携強化を図り,外国籍県民の課題の共有やその解決に向けた取組を行います。〔地域政策局国際課〕
● 県民と外国人が共に暮らす地域の一員として相互に理解し,外国人が孤立することなく安心した生活を送ることができるよう,地域との繋がりを持ちながら必要な情報を共有できる仕組みづくりに向け,外国人と地域との橋渡し役を行う人材の発掘を市町と連携して実施します。また,小・中・高等学校において多様な価値観を尊重することの重要性の理解を促進するための授業を支援するなど住民の異文化理解の推進に取り組みます。〔地域政策局国際課〕
● 外国籍県民が社会の一員として地域と交流できるよう,市町や国際交流協会等が実施する日本語教室拡充や日本語学習支援者養成研修等を支援します。〔地域政策局国際課〕
● 公益財団法人ひろしま国際センターや市町と連携し,外国人相談窓口の運営及び対応する相談員等の研修会を行い,言葉や生活習慣の違いから生じる課題に適切に対応します。〔地域政策局国際課〕
● 外国人材の雇用に課題を抱えている企業等を対象とし,セミナー等の実施により,適切な受入れ環境整備に関する有益な情報発信を行います。〔商工労働局雇用労働政策課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントでの外国人の人権に関する啓発資料展示を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,人権意識の醸成のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

生活で困っていることがない(困った時に,すぐに相談できるを含む)と答えた外国人の割合

47.6%

[R2]

70.0%

[R7]

「安心▷誇り▷挑戦ひろしまビジョン

アクションプラン」より

人権侵犯事件数(開始件数)

[広島法務局]:

外国人に対する差別待遇

3件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

人権相談件数[広島法務局]:外国人に対する差別待遇

4件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

※ 出典:「人権侵犯事件統計」(法務省)(http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_jinken.html)

(7) 性的指向・性自認

  国では,「第5次男女共同参画基本計画」(令和2年閣議決定)において,「性的指向・性自認(性同一性)に関することについては,現在幅広く議論が行われているところ,こうしたことも含め,多様性を尊重することが重要であることは当然である」とされています。
 本県では,性的指向や性自認を理由とする偏見や差別を無くすため,正しい知識の普及に取り組んできました。

 ※ この項において関連する県計画は以下のとおり
      ・わたしらしい生き方応援プランひろしま(令和3~7年度)

現状・課題

○ 「LGBT」という言葉の認知度の急速な高まりを受け,社会全体に性的指向や性自認を理由とする偏見や差別等は不当であるという認識は広がりつつあるものの,依然として,同意のない性的指向・性自認の暴露(アウティング)が起きるなど,地域や職場,学校など様々な場面で周囲の無理解・偏見等によるハラスメントや,差別的な取扱い等が起きています。当事者が抱える困難や生きづらさが解消されるよう,地域社会や職場等での理解を深める取組が必要です。
○ 自分の性的指向あるいは性自認を打ち明けること(カミングアウト)で相手との関係が壊れるのではないかと不安を抱えたり,日常生活の中で偏見や差別,周囲の無理解等で悩みを抱えているにも関わらず,周りの人に相談できずにいる人がいるため,相談窓口の周知が必要です。

取組の方向

 性的指向・性自認に関する正しい情報の提供や多様性を認め合う意識の醸成に向けた啓発を行います。
実施にあたっては,関連する県計画に基づいて行います。

具体的な取組

● 企業や医療機関,福祉施設などで相談を受ける立場の人や人事担当者など人権啓発に携わる人に対して,県等が開催する相談員等向けの会議や研修会などの機会を捉えて,性的指向・性自認に関する正しい知識や,具体的な悩みに関する事例によって研修を行うなど,理解の促進を図ります。〔環境県民局人権男女共同参画課,全部局〕
● 性的指向や性自認に関する悩みを抱いている人が,エソール広島における「LGBT相談」や県立総合精神保健福祉センター等におけるこころの健康に関する相談などの相談窓口を知り気軽に利用できるよう,効果的に相談窓口の認知度の向上を図ります。〔環境県民局人権男女共同参画課,健康福祉局健康対策課〕
● より多くの県民が,自分の周りに,性的指向・性自認に悩んでいる人や,当事者がいる可能性があることを自覚してもらえるよう,人権啓発イベントや性的指向・性自認に関する啓発冊子の配布など,あらゆる機会を捉えた啓発を実施し,県民理解を推進します。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

県内の公的機関(エソール広島を含む)の性的指向・性自認に関する専門相談窓口における相談件数

172件

[R元]

430件

[R7]

「わたしらしい生き方応援プランひろしま」より

(8) 感染症患者等

  世界保健機構(WHO)では,昭和63年に12月1日を「世界エイズデー」と定め,エイズの蔓延防止と患者・感染者に対する差別や偏見の解消を図るための啓発活動の実施を提唱しました。
 国では,平成10年に「感染症法」が制定され,この前文で感染症の患者等の人権を尊重することがうたわれました。
 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)については,平成30年に改正された「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」において,正しい知識の普及啓発や感染者等に対する人権を尊重した医療の提供等の観点から新たな取組の方向性が示されました。
 ハンセン病については,令和元年に元患者家族等に対するいわれのない偏見と差別を国民と共に根絶する決意が示された「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律」の制定及び「ハンセン病問題基本法」が改正されました。
 本県では,関連する県計画※に基づき,患者等個人の意思や人権を尊重するとともに,あらゆる機会を通じて感染症に関する正しい知識の普及啓発を行ってきました。

  ※ この項において関連する県計画は以下のとおり
      ・広島県感染症予防計画(令和元年改訂)

現状・課題

○ 我が国のHIVの感染者及びエイズ患者の累積報告数は,平成30年末の時点で3万人を超えました。近年,HIV感染者及びエイズ患者の新規報告数は減少傾向にあるものの,予断は許さない状況です。HIVは感染を予防することが可能であり,感染した場合も治療法が進歩しています。しかし,エイズ及びHIVに対する正しい情報が社会に十分浸透せず,感染経路に対する誤解や長期療養に対する正しい認識がなされず,偏見や差別が十分に解消されていません。
○ また,ハンセン病は,治療方法が確立し,治癒する病気であるにもかかわらず,誤った認識のために患者・元患者やその家族に対する偏見と差別が未だに残っています。
 こうした偏見や差別意識をなくすために,広く県民に正しい情報を提供するなど啓発を行う必要があります。
○ 日本国内で令和2年に最初の感染者が確認され全国に広がった新型コロナウイルス感染症は,未知の感染症であったため不安や恐怖などを起因として,感染者やその家族・医療従事者等に対する不当な差別,偏見,プライバシー侵害等様々な人権侵害が顕在化しました。このような事例を踏まえれば,特定の感染症に係わらず県民一人ひとりが感染症について正しい知識を持ち,思いやりと良識ある行動が行えるよう啓発を行う必要があります。

取組の方向

  感染症の患者,回復者や医療従事者等に対する誤解や偏見・差別を防止するため,感染症についての正しい知識と理解の普及を図ります。

具体的な取組

● HIV感染症について,関係機関と連携し,会議や研修を行うとともに,正しい知識の普及と理解促進のためのイベントを実施します。〔健康福祉局新型コロナウイルス感染症対策担当〕
● ハンセン病について,元患者等の社会復帰支援策を講じるとともに,差別,偏見の解消のため正しい知識の普及啓発を行います。〔健康福祉局新型コロナウイルス感染症対策担当〕
● 新型コロナウイルス感染症をはじめ新たな感染症に関しても,感染者やその家族・医療従事者等に対する誤解や偏見に基づく差別を防ぐため,関係課と連携し,タイムリーに正しい知識と理解促進について啓発します。〔環境県民局人権男女共同参画課,健康福祉局新型コロナウイルス感染症対策担当〕
● 感染症に係る人権侵害防止のため,正しい知識について,啓発物やイベント等様々な機会を活用した啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課,健康福祉局新型コロナウイルス感染症対策担当〕

関連指標

現状

目標

備考

人権侵犯事件数(開始件数)

[広島法務局]:

疾病患者に対する差別待遇

0件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

人権相談件数[広島法務局]:疾病患者に対する差別待遇

1件

[R元]

HIV感染者0件

ハンセン病患者0件

その他疾病患者1件

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

 ※ 出典:「人権侵犯事件統計」(法務省)(http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_jinken.html)

(9) 刑を終えて出所した人

  国では,平成28年度に「再犯防止推進法」が施行され,犯罪をした人等の円滑な社会復帰を促進する等,再犯防止施策を推進することとされ,同法に基づく「再犯防止推進計画」が推進されています。
 本県では,関連する県計画※に基づき,矯正施設退所者の地域定着を支援しているほか,刑を終えて出所した人に対する偏見や差別意識を解消し,その社会復帰に資するための啓発を行ってきました。

 ※ この項において関連する県計画は以下のとおり
      ・広島県地域福祉支援計画(令和2~6年度)
      ・広島県再犯防止推進計画(令和3~7年度) 

現状・課題

○ 内閣府の世論調査※(平成30年実施)によると,犯罪をした人の立ち直りに協力したいと思う人の割合は,53.5%で,前回(平成25年実施)の調査結果59.1%から減少しており,刑を終えて出所した人に関わることへの不安感・抵抗感は依然として根強い状況にあることから,刑を終えて出所した人に対する県民の関心を高め,理解の促進につながるような取組が必要です。
    ※ 出典:「再犯防止対策に関する世論調査」(内閣府)

取組の方向

 刑を終えて出所した人に対する県民の不安感や抵抗感を軽減し,そうした人の社会復帰を進めるための啓発を行います。
 実施にあたっては,関連する県計画に基づいて行います。

 

具体的な取組

● 再犯防止推進法に基づき,刑を終えて出所した人を含む犯罪・非行をした人の更生支援に係る県計画を策定し,市町への周知や地域における福祉の担い手に対する研修,市町計画における策定の働きかけなどにより,犯罪・非行をした人が抱える生きづらさなどについて,社会の理解促進に取り組みます。〔環境県民局県民活動課〕
● 更生保護への理解を深める取組である「社会を明るくする運動」を関係機関,民間協力者と連携して推進することにより,県民に対し啓発を行います。〔環境県民局県民活動課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントにおいて,刑を終えて出所した人の置かれている状況や支援の必要性等についての啓発資料展示等を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,出所した人に対する理解を深めるための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

地方再犯防止推進計画を策定した市町の数

※他計画との一体的策定を含む

2市

[R2]

20市町

[R7]

「広島県再犯防止推進計画」より

 (10) 犯罪被害者等

  国では,平成16年に犯罪被害者等の権利利益の保護や施策の基本理念及び国が地方公共団体の責務や実施する施策への国民の協力責務を規定した「犯罪被害者等基本法」が制定されました。また,平成30年に「犯給法施行令」等が改正され,支給制限の緩和や給付金額の増額等が図られました。
 本県では,関連する県計画※に基づき,犯罪被害者等の尊厳が重んじられ,その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利や各種利益の保護など,犯罪被害者等の人権擁護に関する啓発を行ってきました。

 ※ この項において関連する県計画は以下のとおり
      ・「減らそう犯罪」第5期ひろしまアクション・プラン(令和3~7年)

現状・課題

○ 犯罪被害者やその家族は,犯罪などによる直接的な被害にとどまらず,興味本位のうわさや心ない中傷などによる精神的被害やプライバシー侵害など二次的被害に苦しめられることもあります。
 また,犯罪の態様によっては捜査機関に被害を届け出ない被害者が相当数存在するほか,支援機関である犯罪被害者等支援窓口を知らない人の割合は約4割という状況になっています。
 犯罪被害者が置かれた状況に対する県民の理解を深めるための啓発を行うとともに被害の潜在化を防ぎ,必要な支援を受けることができるよう犯罪被害者等支援窓口の周知に取り組む必要があります。

取組の方向

 犯罪被害者等の尊厳が重んじられ,その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利や各種利益が保護されるよう,地域社会において配慮され,尊重され,支えられることの重要性について,県民の理解や共感を深めるための啓発を行います。

具体的な取組

(理解促進)
● 犯罪被害者等が置かれた状況に対する県民の理解を促進するとともに,相談窓口の認知度向上を図るため,犯罪被害者講演会や街頭啓発キャンペーン等を市町や民間支援団体,関係機関と連携して実施します。〔環境県民局県民活動課〕
● 犯罪被害者等支援施策に取り組む意義及び必要性を理解し,犯罪被害者等個々の状況に応じた適切な支援を提供できるよう,行政や関係団体職員等に対し,基礎的知識や具体的な対応の習得を目的とした研修等を実施します。〔環境県民局県民活動課〕
● 犯罪被害者等支援施策に関する情報などを一元的に集約し,犯罪被害者等や支援員等が幅広く活用できるよう県のホームページ上で発信します。〔環境県民局県民活動課〕
● 公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けた, 公益社団法人広島被害者支援センターに対する助言・指導,財政的支援を行います。〔警察本部警察安全相談課〕
● 「社会全体で被害者を支え,被害者も加害者も出さない街づくり」に向けた機運の醸成として,犯罪被害者等の人権尊重理念の普及を図るための啓発活動を推進します。〔警察本部警察安全相談課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントにおいて,犯罪被害者等の人権についての啓発資料展示等を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,人権意識の醸成のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

(犯罪被害者等への支援)
● 捜査過程における二次的被害の防止・軽減を目的として,犯罪被害者等が受ける精神的,経済的,身体的被害の軽減を図るための支援活動の充実強化及び国の「犯罪被害者等基本計画」に沿った施策に関する研修を推進します。〔警察本部警察安全相談課〕
● 「犯罪被害者等支援総合窓口」を設置し,犯罪被害者等からの相談や問い合わせに対し,各種支援制度に関する情報提供や専門支援機関の紹介等を行います。 特に潜在化しやすい性被害については,専門の相談窓口「性被害ワンストップセンターひろしま」により,安心して相談でき,適切な支援を受けることができる旨の情報提供等を行います。〔環境県民局県民活動課〕

関連指標

現状

目標

備考

犯罪被害者等を支援するための相談体制の認知度

11.2%

[R2]

18.0%以上

[R7]

「安心▷誇り▷挑戦ひろしまビジョン

アクションプラン」より

 (11) インターネットによる人権侵害

  国では,平成14年に制定された「プロバイダ責任制限法」で,インターネットなどによる情報の流通によって権利の侵害があった場合,発信者情報の開示を請求できることが規定されました。あわせて,名誉毀損やプライバシー侵害に該当すると認められるときは,法務省の人権擁護機関による削除要請について記載した「プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」も決定されました。
 個人情報の取扱いに関しては,平成15年に「個人情報保護法」が制定され,平成27年の改正により,個人情報を取り扱うすべての事業者に同法が平成29年5月から適用されることとなりました。
 本県では,「広島県個人情報保護条例」により,県の機関が保有する個人情報の適正な取扱いを規定するなど,個人の権利利益の保護を図るとともに,個人の名誉やプライバシーに関する正しい理解を深めるための啓発を行ってきました。

現状・課題

○ スマートフォンなどの通信機器の機能向上やSNSの利用者の拡大などにより,インターネットを利用する機会が増加しています。こうした中,利用者側のモラルが求められていますが,インターネット上での個人等に対する誹謗中傷,差別を助長する表現の掲載など,人権を侵害する事案は後を絶たない状況にあります。
 インターネット利用にはルールやモラルを守り,相手の人権を尊重することの大切さやインターネットによる人権侵害を受けた場合の対処法などについて啓発を行う必要があります。

取組の方向

 インターネットを通じた,個人の名誉やプライバシーの侵害を防ぎ,適正なインターネット利用や被害を受けた場合の救済手段の周知啓発を行います。

具体的な取組

● SNSやインターネット掲示板への個人を誹謗中傷する書き込み等に関する県民からの相談に対して必要な助言を行います。また,不正に個人情報を入手するウイルスや偽・詐欺サイト等について,県民に対してホームページ等での情報発信による注意喚起を行います。〔警察本部サイバー犯罪対策課〕
● インターネットを利用したサイバー犯罪の被害を未然に防止するため,県民に対して広報資料の発信及びサイバー犯罪被害防止のための講演・セミナーの開催等,広報啓発活動を実施します。〔警察本部サイバー犯罪対策課〕
● 個人情報保護制度について,個人情報の適正な取扱いを促進するため,県ホームページによる個人情報保護制度に関する情報提供,県民や事業者からの個人情報に関する相談への対応や県職員を対象とした個人情報保護制度についての研修会開催などを行います。〔総務局総務課〕
● 県民を対象とした人権啓発イベントにおいて,インターネットによる人権侵害についての資料展示等を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,人権意識の醸成のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

インターネット掲示板への書き込みをめぐるトラブル等の相談件数

4,433件

[R元]

「県警本部集計」より

 

(12) 国及び他団体と協力していく分野 

 ○ 北朝鮮当局による拉致問題等

 北朝鮮当局による日本人拉致問題は重大な人権侵害であり,平成18年には国や地方公共団体の責務として拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものとする「北朝鮮人権侵害対処法」が施行されました。
 本県では,北朝鮮当局による拉致問題等についての関心と認識を深めるための取組を行ってきました。

現状・課題

○ 現在においてもこの問題は解決されておらず,長年にわたり拉致被害者等への人権侵害は続いています。拉致問題を早期に解決するため,拉致問題に関する幅広い国民世論の形成を行っていかなければなりません。

取組の方向

 北朝鮮当局による拉致問題等は重大な人権侵害であり,一日も早く解決すべき課題であることについて,県民の関心と認識を深めていきます。

具体的な取組

● 北朝鮮人権侵害問題啓発週間(12月10日から12月16日)を中心に,国・市町との共催による映画上映などの人権啓発イベントや国作成ポスターの掲示,県ホームページ,SNSなど様々な媒体を活用した啓発活動を実施します。〔地域政策局国際課,警察本部外事課〕
● 北朝鮮による拉致問題に対する県民の関心と認識を深めるため,県民を対象とした人権啓発のイベントにおいて資料展示やDVD上映などを実施するとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布等を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

人権侵犯事件数(開始件数)

[広島法務局]:

北朝鮮当局によって拉致された被害者等に対する人権侵犯

0件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

人権相談件数[広島法務局]:北朝鮮当局によって拉致された被害者等に対する人権侵犯

0件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

※ 出典:「人権侵犯事件統計」(法務省)(http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_jinken.html)

  ○ アイヌの人々

 アイヌの人々は,固有の言語や伝統的な儀式・祭事,ユカラ(神謡)などの多くの口承文芸等,独自の豊かな文化を持っていますが,近世以降のいわゆる同化政策等により,今日では,その文化の十分な保存・伝承が図られているとは言い難い状況にあります。
 特に,アイヌ語を理解し,アイヌの伝統等を担う人々の高齢化が進み,これらを次の世代に継承していく上での重要な基盤が失われつつあります。
 アイヌの人々が民族として誇りを持って生活することができ,その誇りが尊重される社会を実現することを目的として,令和元年に「アイヌ施策推進法」が施行されました。
 本県では,アイヌの人々について正しい理解と認識を深めるための啓発を行ってきました。

現状・課題

○ 本県は,地理的な関係等から,アイヌの人々について理解や知識を深める機会が十分あるとはいえない状況にあるため,人権啓発のイベントの場や人権啓発冊子配布等の機会を活用し,アイヌの人々に対する理解を深め,偏見や差別をなくすための啓発が必要です。

取組の方向

 先住民族であるアイヌの人々について,歴史や文化を含めた正しい知識を啓発します。

具体的な取組

● アイヌの人々に対する偏見や差別意識を解消し,その固有の文化や伝統に対する正しい理解と認識を深め,アイヌの人々の尊厳を尊重する社会の実現を目指す国の方針を踏まえ,適宜関係団体と協力しながら,県民を対象とした人権啓発イベントでのアイヌの人々についてのDVD上映や啓発資料展示等を行うとともに,人権全般を対象とした啓発冊子の配布などにより,人権意識の醸成のための啓発を行います。〔環境県民局人権男女共同参画課〕

関連指標

現状

目標

備考

人権侵犯事件数(開始件数)

[広島法務局]:

アイヌの人々に対する差別待遇

0件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

人権相談件数[広島法務局]:アイヌの人々に対する差別待遇

0件

[R元]

「人権侵犯事件統計」(法務省)より

 ※ 出典:「人権侵犯事件統計」(法務省)(http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_jinken.html)

第3章 効果的な啓発の実施

1 プランの推進体制

 広島県人権教育・啓発指針(平成14年5月14日決定)に基づく施策を総合的かつ効果的に推進するため,広島県人権施策推進協議会※1における人権啓発活動の企画・実施や情報共有,意見交換などを行うとともに,市町,広島県人権啓発活動ネットワーク協議会※2と連携・協力します。

※1 広島県人権施策推進協議会:庁内の部局及び行政委員会で構成された組織
※2 広島県人権啓発活動ネットワーク協議会:広島法務局,広島県,広島市,広島県人権擁護委員連合会,社会福祉法人広島県社会福祉協議会及び社会福祉法人広島市社会福祉協議会で構成された組織

2 効果的な啓発方法

(1) 情報の共有と活用

 広島県人権施策推進協議会等の場で共有した人権啓発の情報を元に,好事例を活用することで取組内容を充実させていきます。
 また,県政世論調査などの統計データを活用し,県民の関心について「女性」と「子供」など関係性が強い課題同士や,関心が高い課題と比較的低い課題や新たな課題について,啓発の実施内容・時期・対象などの組み合わせを行うことで,効果的・効率的に理解を深めてもらうような取組を進めていきます。

(2) 人権課題全般の周知

 県民が親しみをもって参加できる人権啓発のためのイベントの実施や,人権全般を対象とした冊子の作成,配付など,幅広く各種の人権課題を扱った啓発活動を実施することで,県民の人権課題全般に対する関心や理解の底上げを図るための啓発を行います。

3 人材育成

(1)人権に関わりの深い特定の職業に従事する者に対する研修等

 県職員に対しては,「広島県人権問題職場研修実施要綱」に基づき職場研修を実施するとともに,広島県自治総合研修センターにおいても人権に関する研修を実施します。
 市町職員,教職員,警察職員,消防職員,医療・保健・福祉関係者などに対しては,それぞれが実施する研修等のための教材やプログラムを提供するなど各実施主体による取組に対して支援します。
 また,研修の教材への活用など人権啓発を効果的に推進するため,先進的な人権啓発の取組を行っている国,都道府県,大学などの取組内容・手法に関して調査・研究を行います。

(2)担当者育成のための研修等

 人権啓発に当たっては,地域・職域に密着したきめ細かな活動や,人権啓発を推進していく担当者の育成が重要であるため,市町,民間企業などの事業所で人権啓発を担当する職員を対象に,必要な知識を習得するための研修会を実施し,その育成に努めます。
 また,効果的な人権啓発を推進するため,人権に関する文献や資料等の整備・充実に努めるとともに,県のホームページなど様々な機会を活用して,人権啓発DVDの貸出や冊子の紹介を行うなど,利用の促進を図ります。

4 多様な手法や時機を捉えた啓発

 県民に対して,より効果的に人権尊重の理念の重要性を伝えるため,新聞・雑誌・テレビ・ラジオのマスメディアやホームページ,ソーシャルメディアなどを積極的に活用するとともに,地元のスポーツチームと連携した広報活動など,多様な手法による啓発を継続的に粘り強く実施します。
 また,社会的情勢の大きな変化や新たに発生する課題については,的確に状況の把握を行い,関係部署と連携して速やかに対応するなど,時機を捉えた啓発を行います。

5 フォローアップ及び見直し

 本プランに基づく施策について,モニタリング指標・関連指標や取組実績により実施状況を毎年度点検し,その結果をとりまとめ県ホームページ等において県民に公表します。併せて広島県人権施策推進協議会において,点検で判明した課題や取組実績等を共有し,課題の改善に向けた対応や好事例の活用など,本計画のフォローアップを行っていきます。
 また,社会情勢の変化や国際的潮流の動向などを考慮し,新たな課題についても適切に対応する必要があることから,適宜,状況を踏まえながら,それぞれの取組に反映していきます。

 

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