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広島県人権啓発推進プラン(本文)

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年3月31日更新

広島県人権啓発推進プラン(平成28年3月改定)

第1章 はじめに

 広島県人権啓発推進プランは,平成14年5月に策定した「広島県人権教育・啓発指針」に基づき,人権啓発に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための実施計画として,平成14年11月に策定,平成18年3月及び平成23年1月に改定し,人権啓発への取組を推進してきたところである。
 国は,平成14年3月に策定した「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成23年4月一部変更)において,人権教育・啓発に当たっては,普遍的な視点からの取組のほか,女性,子ども,高齢者,障害者,同和問題,アイヌの人々,外国人,HIV感染者・ハンセン病患者等,刑を終えて出所した人,犯罪被害者等,インターネットによる人権侵害,北朝鮮当局による拉致問題等の各人権課題に対する取組を推進し,それらに関する知識や理解を深め,更には課題の解決に向けた実践的な態度を培っていくことが望まれるとしている。
 また,性的指向や性同一性障害を理由とする偏見や差別などの人権問題に対する社会的な関心が高まっている。
 本県においては,このような人権を取り巻く情勢を踏まえ,このプランに基づき,住民に身近な行政サービスを担う市町と連携し,人権啓発への取組を着実に推進することとする。

第2章 人権啓発の推進方策

1 人権一般の普遍的な視点からの取組

(1)  人権に関する基本的な知識の習得

 県政世論調査(平成26年実施)によると,基本的人権が侵すことのできない永久の権利として憲法で保障されていることについての認知率は,前回(平成23年)の調査結果と同じ83.1%であったが,「知らない」と答えた者の割合が16.2%を占めており,いまだ十分とは言えない状況にある。このため引き続き憲法を始めとした人権に関わる国内法令や国際条約の周知など,人権に関する基本的な知識の習得を目的とした啓発を推進する。

(2)  生命の尊さ

 いじめや子ども・高齢者・障害者への虐待,配偶者等からの暴力,ストーカー事案,近隣でのトラブルに起因する事件など日常生活のあらゆる場面において,ささいなことから簡単に人が殺傷される事件が後を絶たない。
 また,個人の自由な意思や選択の結果ではなく,その多くが様々な悩みが原因で追い込まれた末,年間500人を上回る県民の尊い命が自殺により失われている。
 このため,生命の尊さ・大切さや,他人との共生・共感の大切さを真に実感できるような啓発を推進する。

(3)  個性の尊重

 世間体や他人の思惑を過度に気にする風潮や社会における横並び意識の存在などが,安易な事なかれ主義に流れたり,人々の目を真の問題点から背けさせる要因となっており,そのことにより,各種差別の解消が妨げられている側面がある。このため,異なる個性を前提とし,互いの違いを認め,尊重し合うことが大切であるということを訴えかける啓発を推進する。

2 各人権課題に対する取組

(1) 女性

 日本国憲法では,個人の尊重と法の下の平等がうたわれ,立法的な措置として,「男女共同参画社会基本法」,「男女雇用機会均等法」や「女性活躍推進法」が制定されるなど,男女が性別により差別されることなく,その能力を十分に発揮できるような環境整備が進められつつある。
 本県においても,「広島県男女共同参画推進条例」を制定し男女共同参画推進の基本理念を定めるとともに,条例に基づき平成15年2月から3次にわたる「広島県男女共同参画基本計画」を策定し,男女共同参画社会の実現に向けた取組を推進してきた。
 しかし,依然として,雇用機会や待遇などの面で,男女間の格差が存在したり,様々な分野における政策・方針決定過程への女性の参画が十分でないなど,男女共同参画が進んでいない状況がある。
 また,配偶者等からの暴力,性犯罪・性暴力,売買春,セクシュアルハラスメント,ストーカーなど,人権を侵害する事案も多発しており,「DV防止法」,「ストーカー規制法」等が改正されるなどの立法的措置がとられている。
 このため,「広島県男女共同参画基本計画」に基づき,男女が互いに人権を尊重し,能力を十分に発揮することができるよう,引き続き啓発などを行う必要がある。

  (具体的な取組)

  1.  政策・方針の立案及び決定過程における男女共同参画を促進する。(全部局)
  2.  様々な立場の県民,特に男性が男女共同参画に関する理解を深め行動することができるよう,多様な機会や情報手段により啓発を行う。(環境県民局)
  3.  雇用の分野における男女の均等な機会と待遇を確保するため,「男女雇用機会均等法」などの定着促進を図る。(健康福祉局,商工労働局)
  4.  女性の多様な場面,特に職場における活躍を促進するため,仕事と家庭が両立できる環境を整備するとともに,個々の能力を発揮し,多様なライフスタイルを可能にする働き方の支援を行う。(健康福祉局,商工労働局)
  5.  家庭における男女共同参画を推進するため,男性の家事や育児・介護などへの参画を支援する。(環境県民局,健康福祉局)
  6.  配偶者等からの暴力に適切かつ迅速に対応し,被害者の安全確保と自立を支援するため,被害者の保護に関する相談・支援体制の一層の充実を図る。(健康福祉局,警察本部)
  7.  配偶者等からの暴力,性犯罪・性暴力,売買春,セクシュアルハラスメント,ストーカー事案などあらゆる暴力の根絶に向けて,取締りを強化するとともに,人権の重要性について正しい理解と認識を深めるための啓発や被害が深刻化する前の早期相談につながる啓発を行う。(環境県民局,健康福祉局,商工労働局,警察本部)

(2) 子ども

 子どもの人権の尊重とその心身にわたる福祉の保障及び増進などに関しては,日本国憲法を始め,「児童福祉法」や「児童憲章」,「教育基本法」などにおいてその基本原理ないし理念が示されている。国際的にも,「児童の権利に関する条約」などに権利保障の基準が明らかにされ,「児童の最善の利益」の考慮など各種の権利が宣言されている。
 昭和54年に制定した「広島県青少年健全育成条例」においても,「青少年は,家庭,学校,職場,地域社会等あらゆる生活の場において,心身ともに健やかに成長するよう配慮されなければならない」と規定している。
 しかし,子どもを取り巻く環境は,児童虐待,子どもの貧困,非行の低年齢化,いじめなど依然として憂慮すべき状況が続いている。
 また,スマートフォンの普及などに伴い,子どもがインターネット上のトラブルや犯罪に巻き込まれるおそれが高まっているほか,いわゆるネットいじめも問題となっている。
 このような中,「児童虐待防止法」,「子ども・若者育成支援推進法」,「いじめ防止対策推進法」,「児童ポルノ禁止法」が制定されるなどの立法的措置が取られている。
 本県においても,平成27年3月に「広島県子ども・若者計画(第2次)」を策定し,社会生活を円滑に営む上での困難を有する子どもなどへの支援を推進するとともに,平成27年度から5年間を計画期間とする「ひろしまファミリー夢プラン」に基づき,全ての子どもたちが健やかに育つ広島県を目指し,各種取組を推進している。
 以上のように,子どもを取り巻く状況も変化し,その対応が図られているが,とりわけ,人権の視点からは,全ての県民が子育てを支え,たくましく健やかに生きる力を持つ子どもたちを育成するための啓発などを行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  子どもが健やかに育つために,家庭を始め学校,地域など,社会全体が,子どもたちの一人ひとりの人格を尊重し,健全に育てていくことの大切さを改めて認識し,自らの責任を果たすための啓発を行う。とりわけ,社会生活を円滑に営む上での困難を有する子どもに関する支援の仕組みづくりによる周知の拡大や,インターネットを適正に利用するための啓発を重点的に行う。(環境県民局)
  2.  「児童の権利に関する条約」の広報や「児童福祉月間(5月)」「児童虐待防止推進月間(11月)」を通じて,これらの趣旨の徹底を図り,子どもの人権について,社会全体の関心を喚起する。(環境県民局,健康福祉局)
  3.  児童虐待は,子どもに対する重大な人権侵害であり,こども家庭センターが市町や関係機関と連携しながら,児童虐待に対する正しい理解や未然防止の必要性について啓発するとともに,早期発見・早期対応から事後ケア(再発防止)に至るまでの一貫した取組を推進するなど,相談・援助体制の一層の充実を図る。(健康福祉局,警察本部)
  4.  児童の心身の発達,家庭や地域の実情に応じた適切な保育や健全な育成を促す指導を行うとともに,保育士や子どもに関わる指導員などに対する啓発を行う。(健康福祉局)

(3) 高齢者

 我が国の人口の高齢化は急速に進んでおり,65歳以上人口は総人口の27パーセントに迫っている。今後,人口減少・高齢化などの人口構造の変化に伴い,高齢化率は,平成32年には29パーセントを超え,その後も上昇していく見込みである。
 本県の高齢化率は,全国平均以上で推移しており,介護保険制度の要支援・要介護認定高齢者数の高齢者人口に占める割合も全国平均よりも高い。
 このような中,介護者による身体的・心理的虐待や,高齢者の家族などによる本人の財産の無断処分等の経済的虐待といった高齢者の人権問題が大きな社会問題となっている。
 国においては,「高齢社会対策基本法」に基づく「高齢社会対策大綱」(平成24年9月閣議決定)を基本とし,各種の対策が講じられている。
 本県においても,平成27年度から3年間を計画期間とする「第6期ひろしま高齢者プラン」を策定し,高齢者の活動・就業,権利擁護と虐待防止対策,総合的な認知症施策など各種の取組を推進している。
 今後とも,高齢者が社会を構成する重要な一員として,健康で生きがいを持って安心して生活できるよう,啓発などを行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  「老人保健福祉月間(9月)」などを通じ,高齢者問題を「世代を超えた共通の課題」として考える契機とするとともに,高齢者保健福祉の重要性について理解の促進を図る。(健康福祉局)
  2.  高齢者が地域社会の一員として活躍できるよう,高齢者及び地域住民に対する意識啓発,地域活動実践者やそのリーダーの養成,活動の場に関する情報提供などを実施し,高齢者の社会活動に係る支援を行う。(健康福祉局)
  3.  高齢者が長年にわたり培ってきた知識,経験などを活用して働き続けることができる社会を実現するため,定年の引上げや継続雇用制度の導入などによる65歳までの安定した雇用の確保,再就職の援助,多様な就業機会の確保のための啓発を行う。(商工労働局)
  4.  介護サービスを始めとする保健福祉サービスの利用者が適切なサービスを選択できるよう,市町及び地域包括支援センターを中心とした的確な情報の提供や権利擁護を含む相談・支援体制の整備を促進し,相談窓口の強化を図る。(健康福祉局)
  5.  高齢者への虐待防止について,市町及び地域包括支援センターなど関係機関の職員,介護支援専門員などに対する研修等を通じ,高齢者の人権尊重への理解と認識を深め,虐待の早期発見や各関係機関との連携による適切な対応に努める。また,介護保険施設などにおける身体拘束の禁止の徹底に努める。(健康福祉局)
  6.  高齢化の進展に伴い,認知症のある高齢者の増加が見込まれる中,認知症に係る適切な医療・介護サービスの提供体制の整備に加え,認知症のある人や家族が住み慣れた地域で安心して生活できるよう,認知症についての正しい理解の促進や,地域における支援体制の整備などに努める。
     また,市町において地域包括支援センターを中心に実施される高齢者の権利擁護事業の充実を促進するとともに,成年後見制度,社会福祉協議会の実施する福祉サービス利用援助事業の周知に努める。(健康福祉局)

(4) 障害者

 国においては,平成23年の「障害者基本法」の改正,平成24年の「障害者虐待防止法」の施行,平成25年の「障害者差別解消法」の制定など,国内法の整備を始めとする制度の集中的な改革を行い,平成26年に「障害者の権利に関する条約」を締結した。
 また,これらの動向を踏まえ,平成25年9月には「障害者基本計画(第3次)」を策定し,障害の有無にかかわらず,全ての国民が,障害の有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け,障害者の自立と社会参加の支援などのための施策の一層の推進を図るとともに,職業を通じての社会参加を進めていけるよう,「障害者雇用促進法」などに基づき,障害者雇用の一層の促進を図っている。
 本県においては,平成7年に「広島県福祉のまちづくり条例」を制定し,以来,障害者や高齢者を含む全ての人が,自由に行動し,社会参加ができる誰もが住みよい福祉のまちづくりについて継続的な取組を行っている。
 また,平成26年3月に,平成30年度を目標年次とする新たな「広島県障害者プラン」を策定し,市町や関係団体と連携を図りながら,全ての県民が障害の有無に関わらず相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて,総合的・計画的に障害者施策を推進している。
 しかし,障害者が日常生活又は社会生活を営む上では,いまだに働く場所の確保や情報の収集・利活用などに際して様々な障壁があり,不自由,不利益又は困難な状態におかれている。さらに,障害や障害者に対する誤った認識や偏見から生じる差別も依然として存在している。
 以上の動向を踏まえ,障害者が社会を構成する一員として尊重される共生社会の実現のため,障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消並びに障害者の自立及び社会参加の支援のための啓発を行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  「あいサポート運動」などを通じて,障害や障害者に関する理解を促進する。(健康福祉局)
  2.  障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供を差別と規定する「障害者差別解消法」についての理解を促進する。(健康福祉局)
  3.  全ての人々が,自由に行動し,社会参加ができるようなバリアフリー社会実現のため,福祉のまちづくりに向けた啓発活動を推進する。(健康福祉局)
  4.  障害者の職業的自立を目指し,国や関係機関と連携して,障害者の就業機会を確保するための啓発を行う。(商工労働局)
  5.  障害者が主体的な選択により,福祉サービスを利用できるよう,成年後見制度やこれを補完する福祉サービス利用援助事業などの制度の活用について周知を図る。(健康福祉局)
  6.  養護者や施設従事者などによる障害者虐待については,個人としての尊厳を尊重し適切な処遇が行われるよう,市町及び施設などの職員の研修に努めるとともに,人権の重要性についての理解と認識を深めるための啓発を行う。(健康福祉局)

(5) 同和問題

 同和問題は,日本社会の歴史的過程で形作られた身分差別により,日本国民の一部の人々が,長い間,経済的,社会的,文化的に低い状態に置かれることを強いられ,日常生活の上で差別を受けるなどしている,我が国固有の人権問題である。
 この問題の解決を図るため,昭和44年から特別措置法に基づき,各種の特別対策を講じてきた。この結果,同和地区の環境整備などについては着実に改善されてきたことから,平成13年度末の「地対財特法」の失効に伴い,特別対策を終了し,今後の施策ニーズについては,一般施策の中で対応することとした。
 しかし,結婚や就職などにおける差別,差別発言,差別落書き,インターネットを利用した差別情報の掲載などの事案が依然として存在している。
 このような現状を踏まえ,県民一人ひとりが同和問題について正しい理解と認識を深めるための啓発活動を引き続き推進していく必要がある。

(具体的な取組)

  1.  同和問題の早期解決を目指して,同和問題に対する正しい理解と認識を深めるとともに,人権尊重思想の普及を図るための啓発活動を実施する。(環境県民局)
  2.  事業主に対して,公正な採用選考システムを確立し,就職の機会均等が確保されるよう啓発を行う。(商工労働局)
  3.  社会福祉施設である隣保館は,地域社会全体の中で,福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして,生活上の各種相談事業や啓発活動などを行っており,それらに対する支援を行う。(環境県民局)

(6) アイヌの人々

 アイヌの人々は,少なくとも中世末期以降の歴史の中では,当時の「和人」との関係において北海道に先住していた民族であり,アイヌ語などを始めとする独自の文化や伝統を有している。
 しかし,アイヌの人々の民族としての誇りの源泉であるその文化や伝統は,江戸時代の松前藩による支配や,維新後の「北海道開拓」の過程における同化政策などにより,今日では十分な保存,伝承が図られているとは言い難い状況にある。
 また,アイヌの人々の経済状況や生活環境,教育水準などは,これまでの北海道ウタリ福祉対策の実施などにより着実に向上してきてはいるものの,アイヌの人々が居住する地域において,他の人々となお格差があることが認められるほか,結婚や就職などにおける偏見や差別の問題がある。
 このような状況の下,平成9年5月,「アイヌ文化振興法」が制定された。
 国は総合的かつ効果的なアイヌ政策を推進するため,内閣官房長官が座長となり,政府,有識者及びアイヌの人々から成る「アイヌ政策推進会議」を開催しており,同会議における了承を得て,平成26年6月に「アイヌ文化の復興等を推進するための『民族共生の象徴となる空間』の整備及び管理運営に関する基本方針について」が閣議決定された。
 こうした動向などを踏まえ,アイヌの人々について正しい理解と認識を深めるための啓発を行う必要がある。

 (具体的な取組)

  1.  アイヌの人々に対する偏見や差別意識を解消し,その固有の文化や伝統に対する正しい理解と認識を深め,アイヌの人々の尊厳を尊重する社会の実現を目指して,人権尊重思想の普及高揚を図る。(環境県民局)

(7) 外国人 

 我が国に入国する外国人は増加しており,本県においても海外からの旅行者や居住する外国人が増加するとともに,その国籍も多様化している。
 本県には約4万人の外国人が居住している。在留外国人数を国籍別に見ると,中国,韓国・朝鮮が半数以上を占め,フィリピン,ベトナム,ブラジルが続き,上位5か国の国籍の人が8割以上を占めている。
 少子高齢化が進行する中,本県では,国内外からイノベーションの原動力となる多様な人材の集積・定着を促進しており,今後も,外国籍県民の更なる増加が見込まれる。
 こうした中,本県では,国籍や民族を問わず全ての人の人権や様々な文化,生活習慣,価値観などが尊重され,一人ひとりが個性や能力を発揮しながらいきいきと活躍できる「多文化共生社会」を目指して,誰もが暮らしやすい生活環境の整備や地域社会へ参加できる環境整備を進めている。
 しかしながら,外国人の就労に際しての差別のほか,子どもの教育や入居・入店拒否など様々な問題が生じており,依然として本県に居住している外国人の生活上の諸権利が十分に保障されていないといった状況が存在している。
 さらに,近年,特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして大きな社会問題となっており,こうした行為は新たな差別を生じさせかねないもので,県民一人ひとりが外国人の人権について正しい理解と認識を深めていく必要がある。
 これらの状況を踏まえ,本県に居住している外国人が安心して生活できるよう,県民に対し,異なる文化,生活習慣,価値観などへの理解を深めるとともに,世界の人たちとともに生きていくという意識を育むための啓発を行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  多文化共生社会を目指し,人権尊重を人類共通の課題として,グローバルな視野で考えるとともに,一人ひとりが暮らしの中の問題として身近なところから行動できるよう,関連情報を提供し,人権意識の高揚を図る。(地域政策局)
  2.  外国籍県民とともに生きる多文化共生の地域づくりを推進するため,外国籍県民の言葉や生活習慣の違いから生じる課題を解決するとともに,地域社会で活躍できる環境づくりを進める。(地域政策局)
  3.  外国人労働者の雇入れに関しては,「出入国管理及び難民認定法」,労働関係法令,その他の法令に基づいて,外国人労働者の適正な雇用や労働条件が確保されるよう,事業主への普及啓発を行う。(商工労働局)

(8) HIV感染者等及びハンセン病回復者等

 医学的に見て不正確な知識や思い込みにより,感染症患者に対する偏見や差別意識が生まれ,患者等や家族に対する様々な人権問題が生じている。
 感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ,「感染症予防法」において,感染症の患者等の人権の尊重が規定されており,本県においても「広島県感染症予防計画」により,感染症の患者等を社会から切り離すといった視点ではなく,感染症の予防と患者等の人権の尊重の両立を基本とする観点から,患者等個人の意思や人権を尊重するとともに,あらゆる機会を通じて感染症に対する正しい知識の普及啓発を行う必要がある。

ア  HIV感染者等

 我が国のヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染者及びエイズ患者(以下「HIV感染者等」という。)の累積報告数は,平成24年に2万人を超え,現在も増加傾向にある。
 HIV感染症は,その感染経路が特定されている上,感染力もそれほど強いものでないことなどから,正しい知識に基づいて日常生活を送る限り,感染を恐れる必要はなく,また,近時の医学的知識の蓄積と新しい治療薬の開発などによってエイズの発症を遅らせたり,症状を緩和させたりすることが可能になってきている。
 しかし,HIV感染者等に対しては,医療機関での診療や,介護施設への入所が拒まれるなどの問題が生じている。
 このような状況を踏まえ,HIV感染者等に対する偏見や差別意識をなくすために,広く県民に正しい情報を提供するなど啓発を行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  「感染症予防法」を踏まえ,「世界エイズデー(12月1日)」のキャンペーン,中・高等学校への出前健康教育などを通じ,HIV感染症に対する正しい理解と知識の普及に努める。(健康福祉局)

イ ハンセン病回復者等

 ハンセン病は,治療方法が確立し,治癒する病気であるにもかかわらず,誤った認識のために偏見と差別があり,この結果,患者・回復者等の人権を侵害し,社会復帰を困難なものにしている。
 このような状況の下,国の損害賠償責任を認める判決が下され,これまでの隔離政策が正された。
 また,平成21年4月に施行された「ハンセン病問題基本法」を踏まえ,今後更に,ハンセン病患者・回復者等(以下「ハンセン病回復者等」という。)に対する偏見や差別意識をなくすために,広く県民に正しい情報を提供するなど啓発を行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  偏見や差別の解消のため,また療養所に入所しているハンセン病回復者等が円滑に社会復帰できるよう,ハンセン病に関する正しい理解と知識の普及に努める。(健康福祉局)

(9) 刑を終えて出所した人

 刑を終えて出所した人に対する偏見や差別があり,本人に真しな更生の意欲がある場合であっても,就職に際しての差別や住居等の確保が困難など,社会復帰を目指す人たちにとって現実は厳しい状況にある。
 刑を終えて出所した人が真に更生し,社会の一員として円滑な生活を営むことができるようにするためには,本人の強い更生意欲とともに,家族,職場,地域社会など周囲の人々の理解と協力が欠かせないことから,刑を終えて出所した人に対する偏見や差別意識を解消し,その社会復帰に資するための啓発を行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  刑を終えて出所した人に対する偏見をなくし,理解を深めるため,啓発を行う。(環境県民局)

(10) 犯罪被害者等

 安全で安心して暮らせる社会を実現することは,国民全ての願いである。しかしながら,様々な犯罪が跡を絶たず,犯罪被害者等の多くは,これまでその権利が尊重されてきたとは言い難いばかりか,十分な支援を受けられず,社会において孤立することを余儀なくされてきた。更に,犯罪などによる直接的な被害にとどまらず,精神的被害など二次的被害に苦しめられることも少なくなかった。
 こうした中,平成16年12月には「犯罪被害者等基本法」が制定され,犯罪被害者等の権利利益の保護や施策の基本理念及び国が地方公共団体の責務や実施する施策への国民の協力責務を規定するなど,犯罪被害者等を社会全体で支える支援体制が整備・確立されつつある。
 この社会的支援を背景に,犯罪被害者等の尊厳が重んじられ,その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利や各種利益の保護など,犯罪被害者等の人権擁護に関する啓発を積極的に行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  犯罪被害者相談などに対応する各種相談窓口担当者や支援に携わる者が相談などに適切に対応するため,支援ハンドブックなどの更新や研修会を開催するとともに,関係機関や団体との連携強化を図る。(環境県民局)
  2.  リーフレットやホームページなど各種広報媒体を活用し,犯罪被害者等のおかれている状況などについての県民の理解を深め,支援の必要性や各種制度及び相談窓口の周知などについて広報啓発を行う。(環境県民局)
  3.  保健・医療・福祉サービス,労働相談及び居住の安定を図るための施策などの対応を行う。(健康福祉局,商工労働局,土木建築局)
  4.  捜査過程における犯罪被害者等の早期の被害回復や精神的負担の軽減を図るため,権利利益の保護あるいは適正な処遇に配慮した情報の提供や被害者保護活動などの各種支援を行う。(警察本部)
  5.  犯罪被害者等の多様なニーズに対応したきめ細かな直接的支援が可能な民間被害者援助団体などへの支援を行うとともに,これら団体などの活動等について,県民への周知を図る。(環境県民局,警察本部)
  6.  性犯罪被害者等は,心身に大きなダメージを受けているにもかかわらず,被害が潜在化して,支援を受けられない状況にあるため,被害を抱え込まず,安心して,被害直後から総合的な支援を受けることができる環境を実現するため,ワンストップで支援を行うセンターの設置に向けた取組を実施する。(環境県民局)

(11) インターネットによる人権侵害

 インターネットの普及に伴い,その匿名性,情報発信の容易さから,ホームページ,BBS(電子掲示板),SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などで個人の名誉やプライバシーを侵害したり,差別を助長する表現を掲載したりするなど,人権に関わる様々な問題が発生している。
 「プロバイダ責任制限法」(平成14年5月施行)では,インターネットなどによる情報の流通によって権利の侵害があった場合,発信者情報の開示を請求できることが規定されている。国においては,調査の結果,名誉毀損やプライバシー侵害に該当すると認められるときは,法務省の人権擁護機関による削除要請について記載した「プロバイダ責任制限法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」を活用して当該情報の削除をプロバイダなどに求めている。
 また,個人情報の取扱いに関しては,「個人情報保護法」(平成17年4月施行)により,個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務が規定されており,本県においても,「広島県個人情報保護条例」(平成17年4月施行)により,県の機関が保有する個人情報の適正な取扱いを規定するなど,個人の権利利益の保護を図っている。
 こうした動向などを踏まえ,個人の名誉やプライバシーに関する正しい理解を深めるため,啓発を行う必要がある。

(具体的な取組)

  1.  個人の名誉やプライバシーに関する正しい理解を深めるため啓発を行う。(環境県民局)

  2.  県民や個人情報を取り扱う事業者に対して,個人情報の保護に関する正しい理解を深めるため,広く個人情報保護制度の周知・啓発に努める。(総務局)

(12) その他

 これらのほか,北朝鮮当局によって拉致された被害者等の問題,性的指向や性同一性障害を理由とする偏見や差別など,その他の人権に係る課題について啓発を行う。
 また,新たに生じる人権問題についても,それぞれの状況に応じて,啓発の検討を行う。

(具体的な取組)

  1.  拉致問題等についての正しい知識の普及を図り,県民の関心と認識を深めるため,広報・啓発を行う。(地域政策局,警察本部)
  2.  性的指向や性同一性障害などに関する相談に応じるとともに,性的指向や性同一性障害を理由とする偏見や差別の解消に向けて,啓発を行う。(環境県民局,健康福祉局)

3  人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対する研修等

 県職員に対しては,「広島県人権問題職場研修実施要綱」に基づき職場研修を実施するとともに,広島県自治総合研修センターにおいて研修を実施する。
 市町職員,教職員,警察職員,消防職員,医療・保健・福祉関係者などに対しては,それぞれが実施する研修等のための教材やプログラムを提供するなど取組に対して支援する。

4 総合的かつ効果的な人権啓発の推進

(1) 県民参加型の啓発活動の実施

 県民一人ひとりに人権尊重の理念を普及し,それに対する県民の理解を深めるためには,幅広い各種の啓発活動を総合的に実施することが重要であり,県民が親しみをもって参加できる人権啓発のためのイベントを実施する。

(2) 実施主体間の連携

 市町,民間企業などの事業所においては,従来からそれぞれの実情に応じた人権啓発の取組が行われているところである。県としては,ナビゲーターとして,これらの実施主体と連携を図るとともに,調整,支援・協力,情報発信を行う。

(3) 担当者の育成

 人権啓発に当たっては,地域・職域に密着したきめ細かな活動が必要であるとともに,担当者の育成が重要である。そのために,市町,民間企業などの事業所で人権啓発を担当する職員を対象に,必要な知識を習得するための研修会を実施し,その育成に努める。

(4) 文献・資料等の整備・充実

 人権に関する文献や資料等は,効果的な人権啓発を推進していく上で不可欠のものであることから,その整備・充実に努める。
 また,人権啓発の各実施主体などが保有する資料等について,その有効かつ効率的な活用を図るため,県民がこうした情報にアクセスしやすい環境の整備・充実に努める。

(5) 内容・手法に関する調査・研究

 人権啓発を効果的に推進するため,先進的な人権啓発の取組を行っている国,都道府県,大学などの取組内容・手法に関して調査・研究を行い,効果的な啓発内容・手法の開発に努める。

(6) マスメディアの活用等

 人権啓発の推進に当たっては,マスメディアの果たす役割は極めて大きい。県民に対して効果的に人権尊重の理念の重要性を伝えるためには,マスメディアの積極的な活用が不可欠である。そのため,新聞,テレビ,ラジオ,ホームページなどの広報媒体やパブリシティなど,様々な手法を活用した啓発を推進する。

(7) インターネット等IT関連技術の活用

 ホームページなどの充実により,広く県民に対して,多種多様の人権啓発に関する情報を提供する。

(8) スポーツ組織などとの連携・協力

 地元のスポーツチームとの連携などにより,県民が親しみやすい効果的な人権啓発・広報を行う。

第3章 プランの推進

1  推進体制

 人権啓発は,全庁的に総合的かつ効果的に推進する。

2 国・市町等との連携・協力

 人権啓発の推進に当たっては,広島法務局,広島県,広島市,社会福祉法人広島県社会福祉協議会,社会福祉法人広島市社会福祉協議会及び広島県人権擁護委員連合会で構成している「広島県人権啓発活動ネットワーク協議会」と連携・協力する。
 また,同協議会において,本県を始め国や市町の各種相談機関などとの相互の連携・強化を図る。
 市町,民間企業などの事業所の果たす役割は大きいことから,それぞれの役割や立場を尊重しつつ互いに連携・協力し啓発を行う。

3  フォローアップ及び見直し

 人権啓発に関する施策の実施状況を点検し,その結果を以後の啓発に反映させるなど,プランのフォローアップに努める。
 社会情勢の変化や国際的潮流の動向などを考慮し,人権に関する新たな課題についても適切に対応する必要があり,適宜,プランの見直しを行う。
 プランの推進期間は,平成28年度から平成32年度までの5年間とする。 

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