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ひろしまの在来作物

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年4月8日更新

センターニュースの前身 「農業技術センターだより(1995年8月~2007年1月刊行)」 に
掲載されたシリーズ 「ひろしまの在来作物」を再編集し,掲載しています。

地名など,掲載当時のものをそのまま載せています。
現在の情報とは異なる場合もありますがご了承ください。

在来作物とは?

ある地域で古くから栽培されてきた農産物のこと。
世代を超えて,伝統的な栽培方法により,種や株が大切に保存され受け継がれてきた作物のことをいいます。

namae 

青大 うぐろ大根 近江菜 太田かぶ

かきちしゃ 蔭あずき 河内一寸 観音紫蘇 観音ねぎ 黄粉大豆 ゴキネブリ

笹木三月子大根 寺家在来 下志和地在来

田尻南瓜 立花豌豆 ちゅうじゃく ちょんまげ豆 テイレギ

温品ホウレンソウ 葉牛蒡 春木在来 ぶどうあずき 

御調在来 矢賀うり 矢賀ちしゃ

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janru

マメ科 アブラナ科 ウリ科 その他

 

マメ科

ぶどうあずき

ぶどうあずき

鞆港から車で約40分,備後灘に浮かぶ小さな島,走島に昔から栽培されている珍しい小豆がある。土地の人は「ぶどうあずき」と呼んでいる。その名のとおり,ブドウのマスカット色をした小粒の「あずき」で,1000粒の重さは僅かに37gあまりである。普通の小粒あずきが100~140gであるから,その大きさがわかろう。
味は普通あずきに比べると,少し落ちるとのことで,現地では粥に入れて食べている。
類似のあずきをご存じの方,古くから作られている作物や珍しい作物をご存じの方は情報をお寄せいただきたい。

農業ジーンバンク 沖森 當
広島県農業技術センターだよりNo.41(1996.12)

陰あずき

蔭あずき

黒い皮色に灰色の混色がある小豆で,100粒重が約20gもある大納言並の大きな小豆である。芸北町では無肥料でもよくできるといわれている。また,昭和58年の長雨の年には,他の品種は収穫皆無であったが,この品種のみ収穫できたともいわれている。名前のとおり,日陰でもよくできるという特性を有していると考えられる。
このたび,高田郡吉田町相合の今田氏からも種子を頂戴したが,外観は同じであったが,100粒重は3gと大変小さかった。外観からは別種ではないかと考えられる。同じようなものが比婆郡東城町内堀にもあるといわれる。生態的特性が明らかになれば,育種素材として利用できるのではないかと考えられる。

農業ジーンバンク 沖森 當
広島県農業技術センターだよりNo.42(1997.2)

ちょんまげ豆ちょんまげ豆(サムライ,シロクロ,ホウカブリ豆)

安芸郡蒲刈町田戸一帯に栽培されている在来「ささげ」である。名前を色々もっているように。場所より呼び名が違い,面白い外観で,侍のちょんまげを連想させ白地に黒い斑がある。
大正末期頃より栽培され「カンコロ飯」「赤飯」を炊くのに使用された。蒲刈町田戸は畑が少ないので昭和30年頃まで,サツマイモの畔のうえに播種し混植栽培された。現在は畑に5月下旬~6月上旬播種,草丈40cmの時摘芯して側枝を出させて結実させ,盆前から収穫し,8月下旬に終わる。栽培しやすく,「あずき」より収量は多いが味はやや落ちる。

農業ジーンバンク 沖森 當
広島県農業技術センターだよりNo.43(1997.4)

ゴキネブリ ゴキネブリ

品種名が大変ユニークな「あずき」で,100粒重は10.9g前後なので小粒の部類に入る。
広島市安佐北区白木町三田地域で,古くから作られている「ゴキネブリ」という大変おいしいあずきがある,との手紙を生活研究グループ代表広本文子さんより連絡を受けた。そのことをすっかり忘れていた半年後に,写真と一緒に送っていただいた。
ごき=御器(食物を盛る蓋付き椀)についた煮あずきを,舌で舐めるくらいに味のよいことからつけられた名前と思われる。

農業ジーンバンク 沖森 當
広島県農業技術センターだよりNo.44(1997.6)

立花豌豆立花豌豆

広島県には島しょ部地帯を中心に古くから栽培されている矮性のきぬさやえんどうがある。向島に入った品種は白花,能美島に入った品種は赤花で,赤花種の中には夏播き栽培にも利用できる極早生種もあった。入った年代については,農事調査の記事や古老の話から推測すると,能美島では明治10年頃,向島では明治40年頃と思われる。
向島の栽培は秋播き春採りで,その後,桑原茂三郎氏によって開発された整枝栽培技術と共に有名となった立花豌豆は,早晩性でかなりの変異が見られるが,草丈はいずれも1m足らずと極めてコンパクトにもかかわらず,莢は大きく肉厚で柔らかく食味がよい。栽培は容易で,寒冷地以外では秋播き,寒冷地では春播きする。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.50(1998.6)

河内一寸河内一寸

1948年より大阪泉南の種苗店(羽曳野市 西本種苗)との契約で沼隈郡内海町の農家が採種していたのが,大型のソラマメ「河内一寸」である。現在はJA沼隈がこれを引き継いでいる。1960年代,因島市や三原市鷺浦町の篤農家の中にはこの品種の採種を行って種子を販売するかたわら,優れた大粒系統の選抜を行い,独自の系統を保存している農家も何戸か見られた。そのうちの一部はジーンバンクに保存されている。
ソラマメは豆類の中では特異的に交雑率が高い(3~5%)ため,オープン採種では純系を維持しにくい。しかし,種子の大きさは累積因子の影響が強く,大粒(1粒重3g前後)種子の利用が大粒の生産に強く結びつくため,大粒種子の利用を続ければ生産力は落ちない。この品種は極めて大粒であることが特徴で,青果の色は淡緑色と余り濃くない。粒形指数は1に近い丸型肉厚で見栄えは素晴らしい。晩生で草丈は高く収量も高いが,ウイルス病等の病害に弱く,早蒔きは避ける。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.57(2000.1)

黄粉大豆黄粉大豆

三次市石原町で自家採種を繰り返しながら大切に保存されてきた品種である。皮色は黒,子葉色は緑色,100粒重25g前後とやや小型の品種で,極めて香りが良い。子葉色が緑色のため,上質の黄粉として利用されていたが,最近この品種で作った豆餅(御調町)や納豆(向原町)が好評である。本年は神石町の岩戸営農組合で豆餅材料としての実用性が検討されている。
栽培上の注意点としては,茎が細いため播種時期が早すぎると蔓化しやすく,地域で播種適期を把握して播種する必要がある。
これまでの栽培状況から判断すると,中北部の三次市では6月中~下旬,中南部の御調町では6月下~7月上旬が播種適期のようである。病虫害に対しては特に強くないので,排水対策と適期防除が必要である。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.61(2001.1)

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アブラナ科

ちゅうじゃくちゅうじゃく(たかな,搔ぎ菜)

「大葉たかな」は在来野菜として最も一般的で,広島県には「紫たかな」という代表的な品種があり,全国的に有名である。県北地帯には「大葉たかな」の在来種と思われる「青たかな」が各地で栽培されていて,別名を「ちゅうじゃく,搔ぎ菜」ともいわれている。
この名前で呼ばれているのは特に備北地帯のようである。比婆郡西城町油木「青たかな」,同町平子「ちゅうじゃく」,比和町「搔ぎ菜」,神石高原町「ちゅうじゃく」等である。地域によっては別に採種しないで野生化したものを利用するところもある。比婆郡西城町油木の「青たかな」は野菜の少なくなる時期に漬物として,また油炒めとして広く利用されている。
耐寒性が強く,広島菜のように株の根元が広く田植時期に煮食される貴重な野菜となっている。8~9月に食べる漬物(古漬)として利用することもある。

農業ジーンバンク 沖森 當
広島県農業技術センターだよりNo.45(1997.8)

テイレギテイレギ

テイレギは冬季の畑雑草であるタネツケバナの大型種で,和名をオオバタネツケバナという。水温が18℃前後の流水中でよく生育する。安浦町野呂山の伏流水が湧く谷で生育が確認されている。葉にピリッとした独特の辛味があり,柔らかい幼芽を刺身のつまやお浸しとして利用する。
安浦町では商工会青年部が中心になって周年栽培技術の開発と販売先の開拓に取り組んでいる。愛媛県松山市高井は古くからの産地で,本県へはここから入ったものと推察される。その年代は明らかではないが,郷土民謡「安浦たんと節」にもその名がでてくることから,明治時代には既に一般に利用されていたものと思われる。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.48(1998.2)

うぐろ大根うぐろ大根

うぐろ大根の「うぐろ」とは,広島の方言で「モグラ」を意味する。大根の形が元から先まで同一の太さで長さが短く,モグラに似ていることからこの名がついた。この品種は広島の在来種である「三月子大根」と「ねじま大根」の自然交雑の後代から選抜されたものといわれている。栽培の歴史は古く,既に江戸末期から観音地区や三篠地区で栽培されていた。うぐろ大根には,昭和15年頃には早生と晩生の2系統があり,早生は白茎で水入り大根,晩生は青茎で沢庵用うぐろ大根と呼ばれていた。現在残っているのは早生のみである。
品種の特徴としては,葉は薊葉で葉柄の毛茸は少なく細くて白い。根長は20cm度と短いが締まりは良く,浅漬けにした場合の品質は抜群である。ウイルス病に弱いため,早播きする場合は初期に寒冷紗被覆等を行ってアブラムシの加害を防ぐ必要がある。播種適期は高冷地で8月上中旬,平坦地で8月下旬~9月上旬である。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.54(1999.4)

笹木三月子大根笹木三月子大根

笹木三月子大根は笹木憲治氏(当時の広島市安古市町字長楽寺)によって育成された抽根しない極晩抽性の丸大根である。昭和36年に「三月子×聖護院」の交配後選抜が重ねられ,昭和50年にようやく目的とする固定系が育成された。
特徴としては,現在流通している丸大根の中では最も晩抽性である。また三月子の血を引いて抽根の程度が極めて少ないため,冬~春にかけては糖分が多く煮くずれしないことから,おでん等の煮食にはもちろん生食にも極めて適する。
何よりも優れた点は,殆どの大根品種が抽台開花する四月の端境期に良質のものが得られることから,家庭菜園や朝市での販売で人気は高い。県の中部地帯を対象とした栽培法の要点は播種期が9月中下旬,アール当たり約660株,窒素はやや控えめとする。寒さの厳しい地域では防寒用の藁等を株元に敷くと良い。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.56(1999.10)

近江菜近江菜

近江菜は三次地域に土着しているかぶ菜である。栽培は大正末期から昭和初期にタキイ種苗からの購入種子から始まったようで,既に70年以上の歴史がある。形態は野沢菜によく似ているが,色はやや薄い。葉は茎部まで葉身があり,表裏共に毛耳なく,肉厚で照りがある。播種期は菜としては遅いほうで,三次市での適期は10月中旬である。早く播きすぎると繊維が強くなり品質が悪くなる。よく熟した堆肥の施用効果は高い。
利用は煮物,漬物が主で,特に春先の漬物は歯触りが良いため,現地では喜ばれている。現在では採種の課程で交雑した数系統が栽培されており選抜が必要であるが,農業ジーンバンクでは形態の異なる数系統を保存している。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.59(2000.7)

太田かぶ太田かぶ

太田かぶは太田川流域の加計,戸河内地方で古くから栽培されている大型のかぶである。これと似たものに三次地方の寺戸かぶがある。これらの栽培起源は古く,明治38年に出版された農事調査書にも栽培の記述がある。当時はきびやあわとの混作でこれらの補完作物として栽培され,根も薹(とう)も共に利用していた。その後採種に失敗し,他のアブラナ科作物と交雑したため,根部の品質は悪くなり利用できなくなった。しかし,薹(とう)の部分は甘味と香りに富み歯切れもよく,青物の不足する春先の野菜として期待されている。
農業ジーンバンクでは現地で栽培されていた数系統のほか,農業技術センターで選抜された極早生から極晩生までの系統も保存しており,特に中部以北の地域特産物としての活用が望まれる。薹(とう)の生産量を高めるには株を大きくする必要があるため,東広島地域での播種は9月中旬を目安に行うのがよい。利用は漬物,和え物の他,油炒めや天ぷら等にも適するなど利用の幅は広い。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.60(2000.10)

春木在来春木在来

山県郡千代田町春木地区で数十年にわたって栽培されている在来の高菜である。葉の大きさは一般に栽培されている高菜類に比べるとやや小さく中助部も狭い。葉形は箒状で葉縁には浅い欠刻があり,高菜というよりは不結球白菜に近い。アントシアンの発生は少ないが,高菜類に特徴的な辛子臭は並である。耐寒性は特に強いとは思えないが,三池高菜等に比べると中助部の被害が少ないようである。
この品種の最大の特徴は極めて晩抽であるということである。一般の葉類は低温に敏感で早春に抽苔開花するものが多い。高菜類はその中では晩抽の部類だが,この品種は徳に晩抽である。秋播き菜類のほとんどが畑から姿を消す時期にまだ青々と生育しているため,この時期の煮物,浅漬けなどの素材として重宝される。
播種は中間地で9月中下旬が適地である。株の大きさが一般の高菜類より小さいため少し密植でき,掻葉もしくは間引き収穫しながら長期間利用できる。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.64(2001.10)

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ウリ科

青大青大

「青大」は品種分類では河南型の青長群に属する。耐暑性が強く肉厚で柔らかく,着果数は少ないが1果重が1kgくにもなる晩生の大型キュウリである。古くから福岡,広島を中心とした西日本で広く栽培されていたが,現在栽培が普及している節成り群に比べて晩生で収量が劣るため,栽培面積は次第に減少し,広島県でも既に栽培がなくなったものと思われていた。ところが,この度,福山市,神石郡神石町,比婆郡西城町等で栽培が続けられていることが確認された。特に福山市ではこのキュウリを「ドブウリ」と呼び,5~6人の農家がドブウリ生産組合を結成して市場出荷を続けている。
現在流通しているキュウリの用途がサラダや浅漬け等生食が主体なのに対して,「青大」はよく熟した果実を収穫して生食以外にも油炒めやあんかけ等煮食,味噌漬けや粕漬け等の各種漬物として利用する等,用途は極めて広い。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.49(1998.4)

田尻南瓜田尻南瓜

田尻南瓜は,1640年代に当時の福山城主水野勝成が島原に出兵した際,薩摩から持ち帰ったのが始まりと言われている。その後1810年~1840年代に品種改良が行われ,1果で10kgい大果が育成された。昭和に入ってからも栽培が継続されたが,次第に小果へと変わっていった。
現在ジーンバンクで保存している種子は,この小果種である。形状は菊座型が主で,大きさは1~1.5kg外皮は茶褐色で果梗部と花落ち部が少しへこんでおり,果肉が厚い。甘味は現在の洋種に比べるとやや劣るが味はまろやかで,煮付け,汁の具,天ぷら,肉詰めなどにも利用できる。何よりも貯蔵性に富み,腐敗や変質しにくい特徴がある。栽培は容易で着果性に優れ病害にも強い。適地は水田よりも少し乾燥する畑で,品質のよい物が採れる。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.52(1998.10)

矢賀うり矢賀うり

矢賀うりは昭和30年代の初めに当時の広島市矢賀町で栽培されたのが始まりとされている。その後,地元の種苗商を中心に,耐暑性が強く夏に苦みの出にくい系統の選抜が行われ,現在の品種ができた。この品種は,鮮やかな緑に黄色の縞を持ち,果実の美しさと浅漬けにした時の淡い甘味と歯切れの良さが特徴である。更に耐暑性が強く,夏場を中心に長期間収穫できる。
江田島町の現地では雑種かぼちゃの鉄かぶと台に接いだものをトンネル栽培し,10アール当たり7~8トンの収穫量をあげている。普通の栽培では春先,地温が15℃位になった頃,畝幅2m株間1m程度に植え付け,親蔓を5~6節で摘心し,子蔓を3~4本出し各蔓の10節以上に1番果として2~3個成らせる。果実は1個300g~400gの中型である。浅漬用としてはこの程度が適当で,これより大きくなったものは奈良漬け用に使用する。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.55(1999.7)

下志和地在来下志和地在来

肉色が淡黄で肉質柔らかく,シャリとさわやかな甘味がある小型の枕型黒すいかである。三次市下志和地町春木集落の升田昌三氏が昭和50年に三次市の八百屋「尾関商店」で購入したのがはじまりで,以後20年以上自家採種している。果重は着果数の多少にもよるが,平均して3kg度(これくらいの大きさにした方が良い),皮色は暗緑で縞はなく果皮は薄い。葉はやや大型で低温伸長性に優れるが,土壌病害には弱いようなので,連作する場合は耐病性台への接木が望ましい。着果が非常によいため必ず摘果する。1株の着果数は栽植密度と関係があり,3.3平方メートル当たり1株の場合は5~6果とする。果梗が蔓から離れ易いため,果実にマットなどを敷く時にはできるだけ動かさないように注意する。盆前収穫を狙う作型の場合,着果後30日程度で収穫できる。巻き蔓の枯れ具合と打音によって収穫期を判定する。収穫後の貯蔵性は劣る。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.65(2002.1)

御調在来御調在来

とうがんは歯切れが良いのが特徴で,好みによって味付けが自由にでき,夏には冷やして食べれば食が進み,冬には熱くして食べれば体が温まる便利な食材である。とうがんの中には重さが10kg上ある大型品種もあるが,この品種は3kg外の小型であるため切り売りの必要がなく,家庭菜園や産直市用にも適している。
株当たりの着果数は大変多く,5平方メートルに1株くらいの植栽株数の場合,1番成りで平均20果程度着果させることができる。果形は丸型,ワックスの発生は強く,果面には小さい刺が一面に生えているため,収穫時にはゴム手袋を着用するのがよい。着果後45日くらいで収穫できる。収穫物は涼しい場所に置けば冬まで貯蔵が可能である。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.66(2002.4)

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その他

葉牛蒡葉牛蒡

広島市西区南観音町で栽培されている葉牛蒡はいつ頃から栽培がはじめられたのか不明であるが,明治の終わりか大正の初め頃ではないかといわれている。主として葉柄を利用する珍しい牛蒡である。
越前白茎も葉牛蒡用の品種であるが,観音葉牛蒡が,(1)生育が早い,(2)茎の色が水ブキのように淡い飴色で艶がある,(3)香りが強い等の違いがあるといわれている。10月に播種して2月下旬~4月下旬まで収穫する。数回,霜に遭遇しないと特有の香りが出ず,バサバサして旨味がない。大切に作り続けたい在来種の1つである。

農業ジーンバンク 沖森 當
広島県農業技術センターだよりNo.46(1997.10)

温品ほうれんそう温品ホウレンソウ

昭和31年にホウレンソウの種苗登録第1号となった品種で,育成者は安芸郡温品町(現在,広島市東区温品町)の榎木為一氏である。発表当時は耐暑性の強い早生種として全国的に話題になった。その後,F1品種の普及につれて徐々に栽培されなくなり,原種はもう無くなったと思われていた。
平成4年,ダム建設により湖底に没する三良坂町灰塚の平尾虎雄氏より灰塚在来ホウレンソウとして提供された。その来歴は当時の営農指導員宮本勝三氏により「温品」であることが明らかとなった。温品ホウレンソウは収量,耐病性の面から問題があると云われているが,久井町梶谷満昭氏は「独特の味を生かして市場出荷したい」と話している。選抜育種も計画されているので,梶谷系温品ホウレンソウとして再び市場にでてくる日も近いものと思われる。

農業ジーンバンク 沖森 當
広島県農業技術センターだよりNo.47(1997.12)

かきちしゃかきちしゃ

レタスの仲間の非結球型グループの一つに,在来のかきちしゃがある。このかきちしゃの栽培は県内でも古くから行われており,大竹市後原の農家では,その品種を50年以上長期にわたって栽培している。
現在,ジーンバンクには在来のかきちしゃが5系統入っている。いずれも栽培歴は30年以上のもので,その内の2系統を栽培し特性調査を行ったが,葉色は緑と赤の違いはあるものの,いずれも冬季に色鮮やかで柔らかい若葉を次々と分化展張させた。ガラス質での栽培であったが,提供を受けた地域の気温を考えると耐寒性は強いと思われる。長日になる春先,系統によって抽台開花時期に差がみられた。
利用法としては,魚や肉を使った日本料理のつま物や味噌和え等に最適。採種も容易なため,家庭菜園で栽培する野菜に是非加えたい1品である。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.51(1998.8)

観音ねぎ観音ねぎ

広島市観音地区で葉ねぎの栽培が始まったのは明治中期で,以来100年以上にわたって品種育成,採種をしながら栽培が続けられている。現在栽培されている品種は九条系から選抜育成されたもので,分げつが多く,肉質柔らかく,耐寒耐病性に優れている。適した作型は2~7月播き,6~1月収穫である。春先に抽台しやすい性質があるため,冬越しして収穫する作型には適さない。
現在,複数の農家で自家採種を繰り返しながら選抜,維持されている。採種農家の好みで,系統による特性の違いが若干あるといわれている。最近は栽培期間中に3回程度土寄せを行い,草丈の1/3程度を軟白し,80cmにまで育てて収穫する大ねぎとして出荷されている。
主な用途としては,夏季には薬味,冬季には鍋物の材料として喜ばれている。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.53(1999.1)

観音紫蘇観音紫蘇

栽培の起源は明らかではないが,ねぎや葉ごぼうの産地として知られる広島市観音地区の農家が長年にわたって選抜を繰り返し育成したものである。紫蘇の葉には梅漬けの着色に利用されることでも解るように,酸により鮮やかな赤紫色を呈する色素が含まれている。
観音紫蘇にはこの色素が極めて多く含まれており,梅漬けの前にあくを抜くために行う塩揉み時に手が赤紫色に染まると言われている。さらにぺリラアルデヒドを主体とする香気成分の含量も多いため,品質の良い品種として市場で高く取引されている。梅漬け等の着色に使用する場合,他品種の半量でよい。平滑葉で葉色がやや淡い以外は,他の品種に較べて生育に大きな違いは見られない。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.58(2000.4)

矢賀ちしゃ矢賀ちしゃ(2種)

先日,広島市農林振興センターのNさんから「矢賀ちしゃ」の種はありませんかという電話を頂いた。早速検索すると赤系と青系の2系統があることがわかったが,発芽率が極端に低い。特に赤系ではコンマ以下である。Nさんには種の分譲時にそのことを伝えたが,とにかく早急に増殖しなければならないと思い,赤系では短期貯蔵の約半量,青系では百粒程度を用いてインキュベーター内で発芽を試みた。幸い両系統共に5粒程度発芽したのでガラス室内のポットに植え,現在栽培中であるが,これが共に優れものである。
葉の形は共に扇型で大きく,葉色は薄い黄緑の地に赤系は鮮紅色,青系はくすんだ褐色を共に刷ったようで美しい。肉質は極めて柔らかく,生食での食感は良い。高温下で栽培してもチップバーンの発生が極めて少なく,バクテリアによる株枯れの発生も今のところ見られない。先人の残した優れた遺伝子を絶やさず保存できそうでホッとしている。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.62(2001.4)

寺家在来寺家在来

広島には古くからパセリが栽培されている。品種はパラマウントから育成された「瀬戸パラマウント」と在来種から選抜した「鯉城」がある。「寺家在来」は「鯉城」から選抜されたものである。パセリは暑さに弱いため,広島市近郊では主として秋~春に栽培されていたが,1970年代に芸北町で盛夏期の栽培が試みられ一部が定着した。その中で葉色がやや薄く縮みが細かく耐暑性の強い数株が見つかり,当時,普及員の指導でこれらの間で採種が繰り返されながら栽培が継続された。その中の数株を先輩が西条へ持ち帰り,数年間自家採種したものを「寺家在来」として収集した。葉色は「鯉城」が濃い緑色であるのに比べてやや淡い鮮緑色で,縮みは「鯉城」より細かく品質は極めて良い。
ジーンバンクにはヨーロッパ産のSELMA-PARAという優れた品種があるが,「寺家在来」はこれよりも少し葉色が濃く縮みも多い。パセリは小さい株に低温感応性は無いが,栽培を半年以上続けた株が低温に遇えば抽苔する。「寺家在来」はガラス室で網掛け栽培すると全く種子がとれない。つまり自家不和合性が極めて強いため,採種は複数の株間で交配する必要がある。人工交配すると立派な種子が採れ,発芽率も高い。

農業ジーンバンク 船越 建明
広島県農業技術センターだよりNo.63(2001.7)


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