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子供の予防的支援構築事業について

印刷用ページを表示する掲載日2022年6月3日

子供と親の手

子供の予防的支援構築事業とは、福祉や教育機関が持つ子供の情報をもとに、データ分析により未然にリスクを把握し、予防的な支援をおこなう取り組みです。

具体的には

  1. 福祉や教育機関が持つ子供の情報を統合し、AIによるデータ分析によりリスク予測(リスク値の算出)を行う
  2. 統合された情報やリスク予測結果を職員が確認し、年齢に応じて、各機関に確認を依頼
  3. 関係者への調査を踏まえて支援対象者を決定し、予防的な支援を継続的に行う

といった流れを取っています。

(リスク値とは、過去の支援が必要とされた子供のケースに照らして、統計的にどのくらい類似しているかを表したもので、様々な行政情報をもとに、子供ごとに予測結果として算出しています。リスク値が高いことに問題があるわけではなく、子供や家庭に支援の必要性が高いのではないかと考えています)

子供の予防的支援の流れ

子供の予防的支援構築事業の目的

 核家族化の進展、ひとり親家庭の増加など家族形態の多様化や家庭環境の複雑化などにより、近年、児童虐待の相談対応件数や不登校は増加傾向にあります。また、地域社会との繋がりの希薄化により、孤独・孤立の問題も発生しています。

 このように子供が関わる環境は多様化していますが、子供や家庭の状況を部門横断的に把握する仕組みがないため、重篤になるまで表面化しないケースが発生しています。さらに、本来は支援が必要な家庭や子供であっても、自分で問題に気付かず、また、自分から相談を行うのが難しい場合などもあります。

 このような問題を解決するため、市町が保有する様々な情報をもとにリスクを抱える子供や家庭を見つけ、市町からアプローチできないかと考えました。この取り組みにより、「子供の育ちに関係する様々なリスクを表面化する前に把握し、予防的な支援を届けることにより、様々なリスクから子供たちを守り、子供たちが心身ともに健やかに育つこと」を目指していきます。

実施のメリット

青空と小学生のイメージ画像

1. 問題の長期化や重篤化を防ぐ

これまでの問題が起きた後の対応ではなく、リスクを早期に把握し、子供や家庭に対して予防的・継続的に支援することで、問題の長期化や重篤化を防ぎます。

2. 行政情報を有効的に活用

各部署で個別に管理されていた行政の保有する情報を一元化し、関係者間で素早く共有・分析できる仕組みを構築します。

3. 教育と福祉との連携を図ることができる

これまでは教育と福祉とで情報を共有する仕組みが十分にありませんでしたが、福祉と教育で相互に連携し、切れ目なく、多面的に見守り・支援します。

実施市町

府中町、海田町、府中市、三次市の4つの市町でモデル的に実施しています。

国においても、子供に関する各種データを連携し、支援が必要な子供や家庭に対するニーズに応じた支援を実施する取り組みを推進しています。

  • 令和4年度デジタル庁「こどもに関する各種データの連携による支援実証事業」に、府中町が採択されました(全国で7団体の採択)。(参考:デジタル庁こどもに関する各種データの連携による支援実証事業)
    府中町の取組の成果として、構築したシステムを活用し、R5.3にリスクが高い児童の情報をネウボラや学校に共有した上で、これまで行政が把握していない潜在的に支援が必要な子供として就学後9人、就学前4人を把握できました。
  • 令和5年度こども家庭庁「こどもデータ連携実証事業」に、府中町が採択されました(全国で14団体の採択)。(参考:こども家庭庁こどもデータ連携実証事業)
    昨年度把握した潜在的に支援が必要な子供に対して、予防的・継続的に支援を行っていきます。

個人情報保護・プライバシー保護への対応

個人の様々な情報を利用するため、個人情報保護・プライバシー保護として、事業の各段階において、次のような対応を実施します。

 
段階 個人情報・プライバシーの懸念 対応
情報収集

個別の目的で収集した個人情報を予防的支援という別の目的に活用

・個人情報保護法に則り、個人情報の収集時に予防的支援に活用することを申請書などに記載
・ホームページでの事業周知

データ統合・予測 データのみによるリスクが高い人に対する一方的な評価

・分析結果や所属などへの確認を踏まえ、職員により最終的な支援対象者の判断を実施
・リスクが高いことでのレッテル張りにならないよう職員の意識の向上

情報共有 情報の拡散

・システムへの情報閲覧対象者の限定、アクセス方法の厳格化
・情報共有対象の限定

支援 希望しない支援の押し付け 本人の求めに応じた対応、支援

Q&A

どのようなAIなのでしょうか?

活用するAI(人工知能)のデータ分析技術は、機械学習であり、過去のデータから規則性や判断基準を学習し、それに基づき、現在のデータを適用してリスクを予測するものです。

予測結果だけでなく、職員が予測の根拠となったデータ項目を確認しリスクが高い理由を把握できる、解釈性の高いモデルとなっています。

なぜAIを活用するのでしょうか?

多くのデータを統合させるため、個人ごとのデータを職員が確認していては支援対象者かどうかの判断がつきません。このため、AIを活用して、優先的に支援が必要な方を見つけるようにしています。

支援の対象となるかどうかはAIが判断するのですか?

行政の保有するデータだけで子供や家庭の状況を判断できるわけではないので、最終的にはAIの結果と学校などとの協議により、支援対象者を決定します。

個人情報の管理はどうなっていますか?

情報を管理した端末は、厳重に管理し、アカウントを付与された限定した職員のみが利用します。また、利用した職員のアクセスログの管理、外部からの不正アクセスの防止や監視を行っています。

なお、情報を把握しているのは、子ども家庭総合支援拠点の職員や母子保健担当部署の保健師、学校の校長などに限られます。

​関係者に共有された情報が他の目的に使われることはありますか?

この事業の目的である支援が必要な子供を見つけ、最適な支援を届けること以外に使われることはありません。

支援対象者に選ばれた場合には本人にお知らせがありますか?また、どのような支援が受けられますか?

支援対象かどうかの情報は、必要な支援を届けるため、市町や学校においてのみ共有し、本人にはお知らせしません。

また、支援は個人ごとの状況に応じて既存の必要な支援を行っていきます。選ばれた場合に特別な支援が受けられるものではありません。

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