“放置艇対策”って何?Vol.1
皆さん,“放置艇対策"をご存知ですか?
「安全で美しい水の都・ひろしまを」
このスローガンの下,係留保管施設を整備し,放置等禁止区域を指定した上で,プレジャーボート所有者に適正保管を求めていく,これら一連の取組が“放置艇対策”です。
私たち広島港湾振興事務所(港営課管理第二係)は,管轄する港湾及び漁港の放置等禁止区域内において,主にプレジャーボートの撤去指導を行っています。
今日は,私たちの仕事についてご紹介します。
それでは,現場をご案内します。
まず,広島港江波地区です。地元の方々から「江波西運河・東運河」と呼ばれており,100隻を超えるプレジャーボートが係留されています。平成24年10月1日,ここは放置等禁止区域に指定されました。
〈江波西運河の遠景〉 |
〈江波東運河の遠景〉 |
〈放置等禁止区域指定図〉 |
長年,プレジャーボートを係留されている方が多いので,いきなり,放置等禁止区域に指定すれば,混乱します。そのため,私たちは,プレジャーボート所有者の皆さんに「いつから,規制区域をかけますよ。」と,事前に,しっかりお知らせをしました。
写真は,平成24年7月9日,パラペット(胸壁)に「お知らせ文」を貼る様子です。
パラペットの陸側,海側の見えやすい箇所に計24枚貼りました。
また,平成24年9月18日,所有者の皆さんに,一斉に「お知らせ文」を送りました。
指定された後は,指導票,勧告書,弁明機会付与通知,監督処分と段階的に撤去指導を強めていきます。
なお,漁船については,漁港などの係留場所が不足していることなどから,これまでと同様,プレジャーボートから撤去指導を進めることとしています。
次に,草津漁港です。
草津漁港は,平成19年10月1日,放置等禁止区域に指定されました。
これまでの撤去指導の結果,現在,放置艇はいなくなりました・・・と思いきや,パトロール中,指定看板のすぐそばに放置されたプレジャーボートを発見。近くの漁業関係者に尋ねると,2週間は放置されているとのことでした。
私たちは,この状態を「放置」しておくことはできません。
平成24年9月5日,速やかに警告文を係留ロープに取り付けました。
それでもプレジャーボートを移動させなければ,所有者を調べ,直接,撤去指導を行います。
秋になるにつれ,漁港内への漁船の出入りは活発になります。早く,移動させなくては!
当所の管轄区域は,廿日市市から坂町までと広く,そのうち,港湾区域の沿岸部及び草津漁港は既に放置等禁止区域に指定されています。私たちは,定期的にパトロールを行い,プレジャーボートの早期発見,早期対応に努めています。
続いて,「代執行」です。
「プレジャーボートは,所有者の皆さんが責任を持って適正な場所に保管しましょう。」
私たちは,これをモットーにして,所有者に粘り強く適正保管を求めます。しかし,いくら指導しても全く応じない悪質な所有者に対しては,最後の手段として,代執行を行います。代執行とは,所有者に代わって県がプレジャーボートを移動させ,その費用を所有者に請求するものです。
写真は,平成24年1月16日,広島港廿日市木材港北地区(港湾区域)に放置されたプレジャーボートを代執行により移動させたときの様子です。
1 放置艇を現場で撤去し,当所配備の公用船メロス号で曳航 |
2 船底に付いたフジツボのせいか,放置艇は予想外に重く,突然,ロープが切れるも,落ち着いて対応 |
3 当所配備のホイストクレーンで陸揚げ |
4 当所敷地内で保管 |
(注)乗船している職員は,防寒着の下にライフジャケットを着用しています。
最後に,県が整備した公的係留保管施設を一部ご紹介します。
広島市西区商工センター内を通り抜けて,八幡川を渡り,廿日市市方面へ向かうと,大きな「広島はつかいち大橋」が見えてきます。この橋の北側一帯は,静穏域であり,小型船舶の公的係留保管施設が集まっています。橋の西側近くには,廿日市ボートパーク(収容能力:575隻),東側近くには,五日市プレジャーボートスポット(収容能力:156隻)及び五日市メープルマリーナ(収容能力:海上536隻,陸上167隻)があります。
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私たちが放置等禁止区域内のプレジャーボート所有者に自主撤去を求めると,しばしば,「どこへ行けと言うんですか。」と問われます。それに答えるためにも,受け皿となる係留保管施設は欠かせません。