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平成27年広島県議会2月定例会(平成27年2月12日)

印刷用ページを表示する掲載日2015年2月12日

知事説明要旨

2月定例県議会の開会に当たり,県政運営の基本的な考え方や来年度における施策の概要等を申し上げた上で,ただ今提出いたしました平成27年度当初予算案をはじめとする諸議案等の概要を御説明いたします。 

1 本県を取り巻く情勢と認識

まず,本県を取り巻く情勢とそれに対する認識について御説明申し上げます。

【昨年8月土砂災害への対応】

1つ目は,昨年8月の土砂災害への対応についてでございます。

災害発生から,間もなく半年を迎えます。

改めて,被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。

被災された皆様は,癒えぬ悲しみとともに,今後の生活再建に向けて様々な不安を抱えておられます。

このため,住宅の提供や支援金の支給など,被災された方々の一日も早い生活の再建を支援するほか,被災地の早期復旧に向け,国・県・市が一体となって,全力で取り組んでいるところでございます。

早期の復旧に向けましては,国・県・市で構成する「8.20土砂災害 砂防治山連絡会議」を設置し,防災施設整備に当たっての役割分担や,市が策定している「復興まちづくりビジョン」との事業調整に取り組んでまいりました。

昨年12月には,「8.20土砂災害 砂防・治山に関する施設整備計画」を住民の皆様にお示しし,県が実施する箇所の一部について,工事に着手したところでございます。

被災地では,すべての避難所が解消されたものの,被災された方々の中には,自宅に戻れず,公営住宅や民間賃貸住宅などで生活を続けられている方々もおられます。

今後,被災された方々の生活再建を加速化させるとともに,県民が一体となって,災害に強い広島県を実現していくことが重要であると考えております。

【地方創生の動向】

2つ目は,地方創生に向けた動きについてでございます。

本県では,平成22年に策定した「ひろしま未来チャレンジビジョン」において,「人口減少・少子高齢化」を最も重要な課題の一つとして位置付けて以来,

・ イノベーションを持続的に創出し,雇用や所得を生み出す「新たな経済成長」

 ・ 多様な人材の育成や集積など,あらゆる分野の基礎となる「人づくり」

 ・ 暮らしに直結した生活基盤を支える「安心な暮らしづくり」

 ・ 個性や資源を生かした「豊かな地域づくり」

という4つの政策分野を相互に連関させて展開し,相乗効果をもたらしながら,好循環を作り出してまいりました。

まさに,「まち・ひと・しごと」を創生する取組を進めてきたところでございます。

 こうした取組により,

・ 創業件数が目標を上回るなど,創業・新事業展開の活発化,並びに企業立地が進んだことなどによる雇用の創出

 ・ 本県の人口動態における社会減少幅の縮小傾向

・ 県内への総観光客数が2年連続で過去最高を記録するなど,県内外の交流の活発化

・ 合計特殊出生率が全国平均を大きく上回ること

など,様々な成果や変化が,着実に現われ始めております。

 平成27年度は,チャレンジビジョン10年の前半を締めくくる年であり,これまでの成果を,着実に次のステージにつなげる必要があると考えております。

一方,国においては,本県がこれまで提案してまいりました東京一極集中の是正を,今後の基本的視点の一つとして位置付け,「まち・ひと・しごと創生」長期ビジョンと総合戦略を策定されるとともに,地方創生に向けた交付金を創設されたところでございます。

 国が地方創生の対策を強化されることは,これまでの本県の取組を後押しする大きな推進力として期待しております。

今後,国の総合戦略の内容を踏まえながら,必要なものは,チャレンジビジョンの見直しに反映させるとともに,国の交付金等を活用し,国と県が市町と一体となって,地方創生の実現に取り組んでいくことが重要であると考えております。

【経済・雇用の情勢】

3つ目は,経済・雇用の情勢についてでございます。

県内の景気は,鉄鋼や一般機械を中心に,輸出が増加傾向にあるほか,個人消費が,消費税率引き上げに伴う反動が和らぎ,底堅く推移するなど,基調的には緩やかに回復しております。

雇用・労働情勢につきましては,12月の有効求人倍率が1.32倍と8年4か月ぶりの高水準となり,一部に厳しさが残るものの,着実に改善しており,雇用者所得についても持ち直しております。

 しかしながら,一部業種や中小企業を中心に人手不足が深刻化しており,企業活動等への影響が懸念されることから,引き続き,県内企業への影響を注視するとともに,経済対策を機動的,弾力的に進めていく必要があると考えております。

2 平成27年度政策の基本方向

次に,ただ今申し上げました認識を踏まえて,重点的に推進する政策の基本方向について,三点御説明申し上げます。

【災害に強いまちづくり】

一点目は,災害に強いまちづくりに全力で取り組んでいくことでございます。

土砂災害で被災された方々の生活再建,並びに被災地域における二次災害防止の措置と,早期の復旧に,最優先で取り組んでまいります。

また,ハード・ソフト両面からの防災・減災対策や,「災害死をゼロにする」という新たな目標を掲げ,県が先頭に立ち,「広島県『みんなで減災』県民総ぐるみ運動」を展開してまいります。

【地方創生】

二点目は,地方創生により,東京一極集中の流れを逆転させ,広島への流れを作り出していくことでございます。

人の流れを変えていくためには,国が,東京一極集中の是正や,地方分権改革の推進など,構造的な問題を変えていくのと同時に,地方が,自らが直面している問題を自らで考え,魅力ある地域づくりを進めていく必要がございます。

このため,これまでの取組に加えて,

・ 定住の促進や投資誘致に向けた受入態勢の充実

・ あらゆる分野での更なるイノベーション促進による雇用の創出

・ 女性が働きやすい環境の整備など,家族で一緒に暮らしやすいファミリー・フレンドリーな環境の創出

・ 多様な主体の活動の活発化による中山間地域の地域力強化や都市の魅力向上

などに,従来の発想にとらわれず,創意工夫して取り組み,これらを着実に成果に結び付けることによって,「行ってみたい」だけではなく「住んでみたい」「住んで良かった」と実感できるような,魅力ある広島県づくりを進めてまいります。

【広島の使命】

三点目は,広島の使命として,「国際平和拠点ひろしま」構想を着実に進めていくことでございます。

今年は,被爆,終戦から70年を迎える節目の年となります。

被爆という事実が過去のものとして風化しないよう,核兵器のない平和な世界の1日も早い実現に向けて,国際的な機運の醸成に努めてまいります。

なお,ただ今申し上げました災害に強いまちづくりや地方創生の施策につきましては,国の経済対策を活用し,平成26年度2月補正予算と一体的に推進してまいります。

 

3 平成27年度主要施策

 次に,政策の基本方向を基に実施する,重点施策等の概要について御説明申し上げます。

【災害に強いまちづくり】

 政策の基本方向の一点目,災害に強いまちづくりに関する取組でございます。

まず,砂防,治山等の災害関連緊急事業につきましては,整備計画に基づき,国・県・市等が対策を行う99箇所の整備に,全力で取り組んでまいります。

また,「ひろしま砂防アクションプラン2014」等により,県内全域で,計画的な防災施設等の整備を進めてまいります。

土砂災害警戒区域等の指定につきましては,基礎調査を平成30年度までの4年,区域指定を平成31年度までの5年で完了させることを目標としております。

この目標を達成するため,市町ともこれまで以上に連携しながら,

・ 基礎調査の効率化など,指定プロセスの工夫や改善

・ 必要な予算の確保と,組織体制の充実

を行い,指定を加速化させてまいります。

「広島県『みんなで減災』県民総ぐるみ運動」につきましては,県民・企業・防災関係機関・行政が一体となって取組を促進するため,今次定例会に,推進体制などを規定した新たな条例案を提出しております。

来年度は,スタートの年として,梅雨前の5月に,

・ 地域住民等を対象とした「キックオフ講演会」の開催

・ 県内の学校,企業,自主防災組織など,それぞれの組織で一斉に取り組む「防災教室」の開催

など,オープニングキャンペーンを展開いたします。

今後,防災・減災のソフト対策の専門家や市町,自主防災組織や地域住民の代表などが参画した「推進組織」を新たに設置し,平成32年度までの「行動計画」を策定することとしております。

この「行動計画」において,県民の防災意識に関する目標を設定し,県民の防災意識の更なる向上に取り組んでまいります。

【地方創生】

 政策の基本方向の二点目,地方創生に関する取組でございます。

(新たな経済成長)

 まずは,「新たな経済成長」の分野における取組でございます。

 これまで,創業しやすい環境づくりや成長産業のクラスター形成など,ダイナミックな事業環境の整備と人材育成を重点的に行ってまいりました。

こうした取組により,事業開始から570件を超える創業実績や,医療関連分野への新規参入企業数が10社増加するなど,着実に成果が生まれております。

しかしながら,廃業率が開業率を上回り,県内事業所数の減少傾向が継続していることや,成長産業のクラスター形成が,目標達成に向けてシナリオどおり進んでいないことなどから,イノベーションの一層の促進によって,産業の付加価値を大きく高めていく取組が必要となっております。

まず,「新たな投資誘致戦略」についてでございます。

県内産業団地への企業立地による,雇用数の増大を主眼とした従来型の企業誘致に加えて,新たに誘致した企業や人材と,県内企業等との間で生まれる緩やかな連携や相乗効果などによって,絶え間なくイノベーションが創出される好循環を生み出していくため,本社や研究開発など,機能面に着目した新たな投資誘致に取り組んでまいります。

次に,県内外の多様なつながりの中で,新しい事業が次々に生まれる事業環境の構築を目指す「イノベーション・エコシステムの共通基盤の強化」についてでございます。

イノベーション創出の基盤となるつながりの場として,試行的に運営しておりました「イノベーション・ハブ」に,来年度は,

・ 機運づくりや,アイデア創出から事業化までを一元的につなげるプロデューサー的機能を新たに付加するとともに,

・ ビジネスモデルの事業化支援や他地域との連携を進め,

地域での自律的な取組の活発化や,イノベーション実現に向けたつながりを強化してまいります。

また,次世代の経営層をターゲットに,イノベーションを担うリーダーに必要な発想法や実践の手法を習得できる,本県独自の養成塾を試行的に開始するほか,新たな産学連携の仕組みの検討を行ってまいります。

多様な創業や新事業展開の促進につきましては,「ひろしま創業サポートセンター」による創業支援,全国トップレベルの専門家によるチーム型支援や技術・経営力評価制度により,融資や経営課題の解決を支援してまいります。

加えて,生産改善や新事業展開を進め,成長を目指そうとする中小企業を後押しするため,大企業のOB人材等を,現場改善などの指導人材として育成し,中小企業へ派遣することにより,競争力や生産性向上を図る取組を,新たに実施してまいります。

 次に,「産業競争力の強化」についてでございます。

 産業クラスター形成に向けた取組のうち,「医療関連産業」分野につきましては,レーザー技術や金属加工技術を応用した治療用機器,IT技術を活用したリハビリ用診断機器など,異分野からの参入,市場投入案件が増加しております。

引き続き,ニーズ発掘,研究開発,販路開拓など,企業活動を総合的に支援してまいります。

また,ひろしま発の新たな取組として,企業と医療・福祉現場が共同して行う治験や,臨床研究などの場である「実証フィールド」の整備・運用を通じて,県内医療関連産業の振興と集積を図るほか,医療関連企業の誘致に向けて,ビジネスセミナーの開催や積極的な訪問活動などに取り組んでまいります。

「環境浄化産業」分野につきましては,商談のスピードアップや海外市場参入の拠点づくりを進めるため,海外展開の際に負担となっている現地での実証事業や,現地法人等の拠点設置経費に対して新たに助成を行い,事業規模の拡大を図ってまいります。

また,ものづくり産業の高度化に向けて,実用化段階での技術開発,試作品開発の支援等により事業化を促進するほか,成長分野の一つである航空機産業への参入や,感性工学を活用した製品開発等を推進してまいります。

次に,「世界と直結するビジネス支援」についてでございます。

県内企業の進出ニーズが高く,ビジネスチャンスが見込まれる地域において,現地調査やビジネスマッチング等の取組を通じて,意欲ある企業の海外展開を促進するとともに,外国企業との連携を通じた新しい価値を生み出すビジネス展開を支援してまいります。

 具体的には,

・ 現地調査支援や専門家による指導等を通じた自動車関連企業のメキシコ等への進出促進

・ 物産展や商談会の開催,ハラル市場への参入支援を通じた食品分野の販路拡大

・ 米国シリコンバレーとのビジネス交流を通じた県内企業のイノベーションの促進

に努めるなど,中長期的な視点から海外市場の獲得を支援してまいります。

また,友好提携先であるメキシコ合衆国グアナファト州と,次代を担う青少年の交流や,中南米最大のセルバンティーノ国際芸術祭への神楽団派遣と広島の食の紹介イベントを通じて,広島県の魅力をPRし,更なる経済交流の促進を図ってまいります。

海外ビジネスを支える基盤といたしましては,航空路線誘致に向けたチャーター便に対する支援等を行うとともに,国際コンテナ定期航路ネットワークの維持・拡充及び取扱貨物量の増加を図るため,航路を開設する船会社と荷主企業に対する助成制度を実施してまいります。

 次に,「観光地ひろしま・瀬戸内 海の道構想の推進」についてでございます。

 観光は,地域への経済波及効果の大きい産業であることから,国内人口が加速度的に減少する状況においても,総観光客数を増加させる取組が必要です。

このため,関係市町等と一体となって観光資源のブラッシュアップに取り組むとともに,戦略的なプロモーションを進めてまいります。

また,尾道松江線・東広島呉自動車道の全線開通を契機とした,沿線エリアでのイベントの実施や,スキー場を活用した冬季誘客促進事業に取り組んでまいります。

インバウンドにつきましては,円安の影響等で,外国人観光客が増加傾向にある中,更なる誘客を図ってまいります。

具体的には,

・ 台湾やフランスなど,今後,大きな増加が見込める国ごとに,その状況やニーズに応じたプロモーション活動の実施

・ 多言語化整備等への助成など,受入基盤の整備促進

などに取り組んでまいります。

「瀬戸内 海の道構想」の推進につきましては,7県で構成する瀬戸内ブランド推進連合のもと,広域でのプロモーション,クルーズやサイクリング,瀬戸内の食など,7つの戦略テーマに沿った取組を着実に進めてまいります。

また,東京オリンピック・パラリンピックに向け,東京・大阪間のゴールデンルートに次ぐ新たな広域周遊ルートの形成を目指す国の動きと連携をとりながら,更なる瀬戸内ブランドの浸透・定着を図り,構想の具体化を推進してまいります。

昨年開催した「瀬戸内しまのわ2014」につきましては,多くの地域の方々の参画を得て,期間中,418ものイベントを企画・実施することができました。

“しまのわ”を通じて生まれた地域の活動を発展させるため,地域リーダーの育成や,ネットワーク構築の強化を目的とした交流会を開催するとともに,“しまのわ”エリアのイベント情報の発信に取り組んでまいります。

一方,来年度は,アジアへ配船される客船では過去最大となる,「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」をはじめ,3隻の大型クルーズ客船の寄港が決定しております。

受入に当たりましては,「広島港客船誘致・おもてなし委員会」を中心として,より良いおもてなしを実施するとともに,五日市岸壁に,税関など,客船を受け入れる際に必要となる施設整備を進めてまいります。

 次に,「担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立」についてでございます。

 これまで,「2020広島県農林水産業チャレンジプラン」に基づき,集落法人など地域の核となる経営力の高い担い手の育成や,収益性の高い園芸作物への転換を進めてまいりました。

本県農業が,将来にわたって持続的に発展していくためには,こうした農業構造改革を更に進める必要がございます。

このため,昨年11月に,「担い手が将来の生活設計を描ける経営の確立」を目指して,今後3か年の具体的な取組を取りまとめた「アクションプログラム」を策定いたしました。

今後は,このプログラムに基づき,施策を重点的に実施してまいります。

まず,農業分野につきましては,農地中間管理機構の活用による担い手への農地の集積や,キャベツなど収益性の高い園芸作物による大規模農業団地の形成,食品加工業者と連携した年間供給体制の整備を進めるなど,地域農業を牽引する経営力の高い担い手を育成してまいります。

また,販売力の強化による所得の向上を図るため,特色のある県産農林水産物を応援する登録制度や,首都圏等での販路開拓の推進,2次・3次事業者と連携した高付加価値化を促進してまいります。

畜産業につきましては,本県固有の血統を有する県産和牛の生産拡大による事業体の育成や,「比婆牛」などの地域ブランド化を図るため,施設整備や,酪農経営における和牛生産の取組を支援してまいります。

林業につきましては,10年後の主伐期を見据えた県産材の利用拡大に向けて,木造住宅の柱や土台など,主要部材の協定取引の拡大や,耐火構造等の建築物の知識を有する建築士の育成,大規模製材工場への安定供給体制の整備などを進めてまいります。

水産業につきましては,漁獲量の増大に向け,栽培漁業センターにおけるガザミなど,地域の核となる魚種の生産拡大のための施設整備や,資源増大計画の策定のための漁獲状況などの調査を実施いたします。

加えて,瀬戸内ならではの旬の魚の首都圏への販路開拓や,販売力強化に向けた施設整備の支援,就業から経営の確立まで一貫した研修を支援するなど,海面漁業の次世代を担う,経営力の高い担い手を育成してまいります。

かきにつきましては,広島かきのブランド力向上のため,3倍体かきの夏場の生食出荷に向けた広島かき協議会における出荷指針の作成や,高品質かきの安定的な生産・加工を行う施設整備を支援してまいります。

また,今年度のかきの採苗は,天候不順の影響により不調となっております。

来期のかき養殖業者の経営に支障を来すことが想定されることから,運転資金を融通する県独自制度を創設するとともに,種苗の安定的な確保のための仕組みづくりを検討するなど,かき養殖業者の経営の維持・発展を支援してまいります。

(人づくり)

 次に,「人づくり」の分野における取組についてでございます。

 本県では,結婚から子育て期まで,さらには,働く女性に対する支援も含めた切れ目のない施策により,仕事と家庭が両立でき,家族で一緒に暮らしやすい「ファミリー・フレンドリー」な環境の整備などに取り組んでまいりました。

 これまでの取組により,合計特殊出生率や男性の育児休業取得率が全国平均を大きく上回るなど,成果が現われておりますが,未婚化・晩婚化などによる出生数の減少が続いているなど,引き続き,総合的な対策を講じていくことが必要であると考えております。

まず,「少子化対策」についてでございます。

子供の出生に直接的な好影響がある若い世代の婚姻率を向上させるため,昨年8月に「ひろしま出会いサポートセンター」を開設し,1,200名を超える登録会員に対する婚活情報の発信や,企業による社員の婚活応援の取組を実施しております。

今後は,この結婚支援事業を更に拡大し,市町とも連携しながら,

・ 地域における婚活支援団体等へのサポート

・ 県民全体の機運醸成を図るための啓発プロモーション「みんなでおせっかい『こいのわ』プロジェクト」の実施

・ 民間との協働による独身者セミナー・交流会の開催

などに取り組んでまいります。

 また,不妊を心配している夫婦を早期治療につなげるため,普及啓発や相談体制の充実に加えて,新たに,不妊を心配する夫婦が共に検査を受けた際の自己負担額の一部助成を行い,安心・安全な妊娠・出産につなげてまいります。

 次に,「女性の働きやすさ日本一への挑戦」についてでございます。

女性が仕事と子育てを両立し,経験や能力を活かしていきいきと働くことができる職場環境を整備するため,今年度,先進事例のノウハウ導入手引書を作成しているところでございます。

来年度は,この手引書を利用して自社の現状の把握及び課題解決に努めていただけるよう,「働く女性応援隊ひろしま」の枠組みを活用し,企業に対する支援を行います。

 また,女性の再就職に対する支援として,先月「わーくわくママサポートコーナーふくやま」を設置いたしました。

広島市におけるコーナーと同様,潜在的に就職を希望している子育て世代の女性に対し,就職への一歩を踏み出せるよう,支援してまいります。

 さらに,女性の社会参画を促すためには,男性の育児参加や職場の理解・協力が不可欠と考えております。

このため,イクメンを応援するイクボスを養成する講座の実施や,優良事例集の作成,「いきいきパパの育休奨励金」の支給等に取り組むとともに,「イクメン企業同盟」の活動を推進し,男性の育児休業の取得等を促進してまいります。

これらの取組とともに,女性が仕事を継続し,又は始めようと思う時に,いつでも安心して子供を預けることができるよう,認可外保育所の利用などに対しても支援することにより,「女性の働きやすさ日本一」を実現してまいります。

 次に,「若者の定着・就業の徹底支援」についてでございます。

県内産業の次代を担う県外大学生等の県内企業への就職を促進し,本県の転出超過の状況を打開するため,新たに,大学入学後の早期段階から,広島で働く魅力を知り,企業理解を深められるよう,県内企業等の情報発信を行い,広島へのU・Iターン志向の向上を図ってまいります。

 次に,「社会で活躍する人材の育成」についてでございます。

 イノベーションを起こし続けていくためには,その原動力となる人材育成を担う教育において,地域,社会の将来像を見据え,社会で活躍することのできる人材の育成が重要であると考えております。

まず,学びの出発点となる幼児期の教育においては,教育環境に関わらず,県内すべての幼児が円滑に小学校へ入学できるようにするため,家庭教育への支援や,教育・保育施設への支援の在り方,体験活動の充実などについて調査・研究等を行います。

来年度は,その結果を踏まえて,施策の方向性を整理してまいります。

あわせて,

・ 円滑な小学校入学に向けて,幼保小接続カリキュラムの策定

・ 体験活動の充実に向けて,民間団体と連携した体験活動プログラムの開発

などを進めてまいります。

また,先般,グローバル社会で活躍するために必要な資質・能力の育成に向け,新しい教育モデルの構築を目指す「広島版『学びの変革』アクション・プラン」を策定いたしました。

来年度は,このプランに基づき,小学校・中学校・高等学校において,「学びの変革」パイロット校を指定し,「課題発見・解決学習」のカリキュラム開発や実践研究を通した,児童生徒の主体的な学びを重視する取組を進めてまいります。

さらには,異文化間の協働活動の機会を充実させ,グローバルマインドを系統的に涵養していくとともに,高等学校段階においては,海外留学者数の増加を図るため,短期留学プログラムの開発や留学経費の支援などを行ってまいります。

大学教育では,人材育成の機能強化を図る観点から,広島の大学において,社会に貢献する高度な人材を継続的に輩出するための教育環境の構築について,具体化に向けた方策の検討を行ってまいります。

また,県立広島大学においては,中小・中堅企業など県内産業を支える実践力のある経営人材を育成するため,経営専門職大学院の平成28年4月設置に向け,準備を進めてまいります。

社会人につきましては,イノベーションの原動力となる高度で多彩な産業人材の育成を図るため,中小・中堅企業が行う人材育成等に対する取組を支援してまいります。

 また,企業の海外展開に必要なキーパーソンを確保するため,奨学金支給等によるアジアをはじめとした優秀な理工系留学生の受入・育成を行うとともに,人材紹介会社の活用により,即戦力グローバル人材の確保を支援してまいります。

(安心な暮らしづくり)

 次に,「安心な暮らしづくり」の分野における取組でございます。

 医療・介護提供体制の構築につきましては,医師数の増加や,二次救急医療圏における救急搬送受入体制の強化などが図られてきているものの,依然として,医師の不足及び地域・診療科の偏在は解消されておりません。

 また,いわゆる「団塊の世代」が75歳を超える平成37年に向けて,地域における医療及び介護の総合的な整備が求められます。

 このため,医療介護総合確保促進法に基づく基金を活用して,

・ ICTの活用による医療資源の効率的な活用

・ 地域包括ケア体制の構築

・ 認知症施策の推進

・ 医師や看護師など医療従事者の確保

などの事業を実施することにより,急性期医療から在宅医療・介護まで,一連のサービスの適切な提供に努めてまいります。

 「がん対策日本一」に向けた取組につきましては,第2次がん対策推進計画に基づき,県民のあらゆる場面に対応したがん対策に取り組んでおりますが,今後,県民総ぐるみの取組を一層強化していく必要があると考えております。

このため,今次定例会に,広島県がん対策推進条例案を提出し,

・ がんの早期発見の推進

・ がん医療の水準の向上

・ 受動喫煙防止対策

など,がん対策を総合的に推進することにより,県民が心身ともに健康で,安心して暮らすことのできる社会の実現を図ってまいります。

広島県立広島がん高精度放射線治療センターにつきましては,施設・設備の整備,運営体制の構築など,今年秋の開業に向けて,着実に準備を進めてまいります。

防災・治安の拠点である警察施設につきましては,今年度,10警察署の耐震診断,設計を行っているところであり,作業を終えた警察署から改修工事を行い,順次耐震化を進めてまいります。

また,広島東警察署の移転に向けた準備を引き続き推進するほか,老朽化した交番・駐在所の計画的な建替整備を行い,県民の安全・安心な暮らしの確保に努めてまいります。

(豊かな地域づくり)

 次に,「豊かな地域づくり」の分野における取組でございます。

 まず,「中山間地域の地域力強化」についてでございます。

中山間地域の価値を県民共有の財産として理解し合い,次の世代にしっかりと引き継いでいくため,昨年12月に「中山間地域振興計画」を策定したところでございます。

 この計画では,地域に暮らす方々が将来に希望を持ち,安心して心豊かに,「笑顔で幸せな生活を営むことができる中山間地域」を目指して,

・ 多様な力でつながる「人づくり」

・ 夢をカタチにできる「仕事づくり」

・ 安心を支える「生活環境づくり」

の3つの柱に沿って,施策を総合的に展開することとしております。

来年度は,本計画と考えを一にする国の地方創生に向けた政策とも連動しつつ,地域を支える若手リーダーの育成や意識啓発,人材のネットワークづくりなどに重点的に取り組んでまいります。

 具体的には,フィールドワークを取り入れた地域づくりのノウハウを学ぶ実践的な研修を新たにスタートさせるとともに,これまでに,延べ2,000人の参加を得て開催してまいりました,地域づくりの機運醸成に向けたシンポジウムを,引き続き,県内全域で開催いたします。

 さらに,こうした取組と併せ,中期的な展望に立って,中山間地域を内外から支える人材の広域的なネットワークと,実践活動を活発化させていくため,多様な人材の交流イベントの開催に向けたプランづくりに取り組んでまいります。

 地域課題の解決に向けた取組といたしましては,県民の自主的な取組を促進するため,市町や大学と連携して,地域における計画策定や課題解決に向けた取組を支援し,実践活動の拡大につなげてまいります。

また,中山間地域の次代を担う高校生が,地域・市町と一体となり,地域の活性化に向けてプランを作成し,実践していく活動に対して,新たに支援を行うこととしております。

こうした取組を通して,子供たちの地域への愛着や理解を深めるとともに,地域の次世代のリーダーとして活躍できる人材を育成してまいります。

 産業対策を中心とした市町の未来創造計画への支援につきましては,庄原市や世羅町をはじめとする全域過疎9市町において,既存計画の見直しやフォローアップの取組などを支援しております。

あわせて,昨年,全域過疎地域に指定されました府中市や,一部中山間地域7市につきましては,新たに計画策定に着手し,中長期にわたる取組の検討が進められております。

 来年度は,それぞれの市町の進度に応じて,計画に基づく事業実施を支援するとともに,目標の達成に向けたPDCAを継続的に回しながら,中山間地域における人口減少の抑制につなげてまいりたいと考えております。

 次に,「多様な人材が集まる魅力ある地域環境の創出」についてでございます。

本県が地域間競争に打ち勝ち,更に発展していくためには,県内の人口・経済活動の約7割を占める広島都市圏,その拠点である広島市都心部の活力強化に戦略的に取り組み,魅力ある都市環境を創出することにより,広域から人材を惹きつけ,集積を図っていくことが必要であると考えております。

こうした観点から,広島市と連携し,広島駅前周辺の水辺空間の整備や,都市計画制度を活用した都心部の活性化など,広島市都心部の中枢拠点性を高める取組を進めてまいります。

また,市町が行う魅力あるまちづくりにつきましては,今年度モデル地区に選定した,廿日市市の「宮島口地区」,及び庄原市の「街道 東城路周辺地区」の2地区に加え,新たに1地区をモデル地区として選定し支援してまいります。

 次に,「ひろしまブランド価値向上の推進」についてでございます。

来年度は,「ひろしま」ブランドが目指す姿の一つである「自然と都市が融合した暮らし」を,本県への来訪者や居住者に体感していただくためのリーディング事業について,地域資産の価値向上に現場で取り組んでいる方々と共同で検討し,実施計画を策定いたします。

また,「ひろしま」ブランドに対する県内外からの認知・評価を高める取組の一環として,

・ 日本酒のブランド価値の向上を目指した,フランスでの広島フェアの開催や,流通チャネルの確立による安定した提供体制の構築

 ・ 食の魅力の向上を目指した,料理コンクールによる「人材の発掘・育成」や,市町・料理団体や学校等と連携した出前講座等による「食材の活用」や「食育の推進」

を進めてまいります。

次に,「東京圏から広島への定住促進」についてでございます。

東京一極集中を是正し,地方移住への流れを作り出すためには,東京圏等で高まりつつある地方移住の機運を取り込み,定住につなげる大きな流れを作り出すことが必要と考えております。

こうした観点から,「都市と自然の近接性」という地域特性を活かした広島らしいライフスタイルを確立し,その魅力を東京圏等に効果的に発信するとともに,首都圏相談窓口の運営など,定住サポートを強化し,市町と連携して,定住につなげる取組を一体的に進めてまいります。

【広島の使命】

 政策の基本方向の三点目,広島の使命に関する取組でございます。

「国際平和拠点ひろしまの形成」につきましては,平成25年に策定した「国際平和拠点ひろしま構想推進計画」に基づき,引き続き,「核兵器廃絶」と「復興・平和構築」の取組を包括的に進めてまいります。

 来年度は,被爆,終戦から70年となる節目の年となることから,広島の使命と役割を再認識し,決意を新たに,核兵器のない平和な世界の実現に向けた国際的な気運を一層高める必要があると考えております。

このため,軍縮・安全保障を幅広く議論する場である国連軍縮会議の開催を広島市と支援するとともに,今春,米国ニューヨークで5年に一度開催されるNPT運用検討会議の場において,本県の取組を発信してまいります。

 また,ひろしまラウンドテーブルの開催や,ひろしまレポートの作成・公表,復興・平和構築人材育成などの事業を継続して実施していくこととしております。

こうした事業を着実に実施し,人類史上初の被爆地である広島が,国際平和拠点として,核兵器のない平和な国際社会の実現に貢献できるよう,取り組んでまいります。

 

4 当面する県政の諸課題への対応

 次に,当面する県政の諸課題への対応について,御報告申し上げます。

【鞆地区道路港湾整備事業】

まず,鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。

鞆の再生・活性化に向けたまちづくりにつきましては,今年度実施いたしました調査・検討を取りまとめるに当たり,これまで地元の皆様との協議を重ね,様々な御意見を伺ってまいりました。

来年度におきましても,引き続き,住民の皆様の御意見を伺いつつ,「町中の交通処理対策」,「防災対策」,「まちづくり基金」において実現可能なものから,事業着手してまいりたいと考えております。

一方で,山側トンネルを含む県の全体方針につきましては,引き続き,住民の皆様との様々な話し合いの機会を通じ,丁寧な説明を行う中で,御理解をいただくよう,誠心誠意,努力してまいります。

【広島市東部地区連続立体交差事業】

次に,広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。

県と海田町は,昨年12月に,他の自治体の取組事例などを参考に,高架の高さを抑えた手法などによる大幅なコスト縮減について,検討を行うことの合意をしたところでございます。

現在は,技術的な検討などを外部に委託し,共同事業者である広島市とともに,JR西日本などと協議を行っております。

県といたしましては,引き続き,関係する皆様と十分に協議を行い,できるだけ早く見直しの方向性を固め,早期に事業効果が発現できるよう取り組んでまいります。

【広島高速5号線】

次に,広島高速5号線についてでございます。

県,広島市,広島高速道路公社では,1月上旬に牛田東地区の住民の皆様を対象に,事業に関する説明会を開催し,安全安心に係る具体的施策について,説明を行ったところでございます。

現在は,説明会にお越しになられなかった方に対しての個別説明の実施や,説明会の追加開催に向けて,地元との調整を行っております。

引き続き,広島市,広島高速道路公社と連携し,丁寧な対応に努め,住民の皆様の御理解・御協力を得ながら,事業推進に取り組んでまいります。

 

5 重点施策の実行を支える基盤

これまで申し上げました重点施策等を実行し,目標の着実な達成に道筋をつけていくためには,人や財源など,ますます制約される経営資源の最適配分に取り組み,これまで以上に,無駄の排除や効率化の追求,職員一人ひとりの企画力,実行力の向上を図る必要があると考えております。

このため,簡素で効率的な行政経営を念頭に,施策効果の最大化に向け,

・ 成果を志向する組織体制の整備

・ 業務プロセス改革の推進

・ 組織の力を引き出す人材マネジメント

という3つの取組方向に沿った県庁改革を実行し,全体最適な県政運営を行ってまいります。

来年度は,「中期財政健全化計画」と「行政経営刷新計画」について,次期計画の策定に着手することとしております。

引き続き,弾力的かつ持続可能な財政構造の確立と,最も質の高い行政サービスを提供できる日本一強い県庁を目指してまいります。

 

6 平成27年度当初予算等の概要

 次に,平成27年度当初予算案の概要を申し上げます。

 まず,「災害に強いまちづくり」や「地方創生」などの重点施策へ経営資源を重点的に配分することとし,506億円を計上したところでございます。

 一方で,財政の健全化につきましては,計画的な職員数の見直しなどによる人件費の削減や,利用計画のない土地等の売却などによる財源対策,徹底的な事業見直しによる政策的経費の縮減などを着実に実施したところでございます。

 この結果,来年度の一般会計当初予算案の規模は,総額9,982億円となり,対前年度比539億円,5.7%の増となっております。

 なお,これまで中期財政健全化計画に基づき計画的に取組を進めてきた結果,計画の最終年度である来年度末には,計画に掲げる全ての指標で,目標を達成する見込みとなっております。

また,予算以外の議案といたしましては,「広島県「みんなで減災」県民総ぐるみ運動条例」など,条例案25件,人事案件として,「広島県教育委員会教育長の任命の同意について」など2件,その他の議案では,「工事請負契約の締結」など10件を提出しております。

どうぞ,慎重に御審議いただき,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願い申し上げます。

追加提出議案(平成27年2月18日)

 ただいま追加提出いたしました議案につきまして,その概要を御説明いたします。

 まず,平成26年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。

 国においては,経済の好循環の更なる拡大を実現するとともに,魅力あふれる「まち・ひと・しごと創生」を推進するため,先月,「生活者・事業者支援」や「地方の活性化」,「災害・危機等への対応」を内容とする経済対策を打ち出したところであります。

こうした中,本県といたしましても,国の経済対策を活用し,平成27年度予算と一体的に,防災・減災対策などを中心とした「災害に強いまちづくり」や,「地方創生」に向けた取組などに前倒しで取り組むとともに,地域における消費喚起や生活支援を実施することとし,128億9,246万円を追加計上しております。

 このほか,福祉医療関係費など,事業費の確定に伴い,減額の対応を行うとともに,公共事業につきましても,国の認証などによる事業費の確定に伴う減額を行うなど,216億9,433万円の減額の整理を行うこととしております。

また,本年度予算のうち,やむを得ず,翌年度に繰り越して実施する事業について,繰越明許費を計上しております。

 以上の結果,一般会計につきましては,88億187万円の減額となり,本年度予算の累計額は9,681億3,763万円となります。

 また,特別会計補正予算案は10会計で,33億6,933万円の減額,企業会計補正予算案は4会計で,28億2,257万円の減額となっております。

どうぞ,慎重に御審議いただいた上,適切な御議決をくださるよう,よろしくお願いいたします。

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