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平成25年広島県議会9月定例会(平成25年9月19日)

印刷用ページを表示する掲載日2013年9月27日

知事説明要旨

9月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,県政に対する私の所信の一端を申し述べますとともに,当面する県政の課題について御報告申し上げます。

 私が知事に就任して以降の4年を振り返りますと,人口減少・少子・高齢化,経済活動をはじめとするグローバル化の進展など,社会全体の構造的な転換が現実のものとして進み,その対策として,新たな手立てを打つための最後の岐路に差し掛かった,県政にとって極めて重要な時期であったと考えております。

 このため,新たな経済成長,人づくり,安心な暮らしづくり,豊かな地域づくりという4つの挑戦を柱とした「ひろしま未来チャレンジビジョン」を策定し,「目指す姿」の実現に向けて,その土台づくりに,重点的に取り組んで参りました。

 そして,このビジョンに沿った取組の一つひとつをみていきますと,新たな方向性や具体的な成果が見え始めており,新しい成長に向けた芽は着実に育ちつつあるものと考えております。

今後は,これを更に大きな成果へとつなげ,ビジョンで描いた「目指す姿」を実現させていくことが,私に課せられた使命であると考えております。

 この強い決意を持って,来る11月の知事選挙への立候補を決意したところであり,県民の皆様の御負託がいただけるのであれば,再度,本県の舵取り役として,志と覚悟を持って,引き続き,ビジョンの実現に向けて,全力を尽くして参りたいと考えております。 

1 当面する県政の諸課題

 次に,当面する県政の諸課題について,御報告申し上げます。

 まず,経済・雇用の情勢と対策についてでございます。

 昨年来の為替の円安方向への動きは,輸出関連大手企業の収益を押し上げており,業種や企業規模によってバラツキはあるものの,県内景気は,全体としては緩やかに回復しつつあります。

また,内閣府が発表した平成25年4月から6月期のGDP速報値によると,物価変動の影響を除いた実質で,前期比0.9%増,年率換算で3.8%増となり,3期連続のプラスとなっております。

 このように,主力製造業の業績が上向き,それに伴い,人やモノの動きが活発になることによって,県内中小企業の景況感においてもプラス要因が広がりを見せ始めておりますが、一方では,中国をはじめとする新興国の景気減速への懸念が強まっており,引き続き県内企業への影響を注視して参ります。

 一方,雇用・労働情勢につきましては,7月の有効求人倍率が1.03倍と,5年ぶりに1倍を超え,一部に厳しさが残るものの,持ち直しの動きもみられております。

 こうした経済情勢を踏まえ,雇用対策につきましては,9月補正予算におきましても,雇用関連基金を活用した事業を実施するなど,引き続き,切れ目のない雇用や就業の機会の創出に努めて参ります。

 次に,「中山間地域振興条例」についてでございます。

山間部や島しょ部等からなる本県の中山間地域は,県土の保全や安定的な食料供給などの公益的機能を有するとともに,豊かな自然や風光明媚な景観,地域で培われた歴史や伝統文化といった魅力にあふれ,県民の豊かで安全な暮らしを支える源として重要な役割を担っているところです。

 しかしながら,中山間地域は,人口減少や少子高齢化の進展する中で,地域の基幹産業としての農林水産業の低迷や,医師不足,地域コミュニティの衰退など様々な課題を有していることから,地域が将来に向けて活力を維持し,安心して暮らしていけるための取組が必要であると考えております。

 このため,今次定例会におきまして,「中山間地域振興条例」の議案を提出しており,この条例におきまして,中山間地域の振興に関する基本方針を定め,多様な主体と連携しつつ施策を総合的かつ計画的に推進していくことにより,豊かで持続可能な中山間地域の実現を図って参ります。

 次に,広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。この事業は,広島市南区・安芸区,府中町及び海田町において,JR山陽本線と呉線を高架にすることで,交通の円滑化や線路による市街地分断の解消を図るものであり,広島都市圏東部地域のまちづくりの観点から進めてきた事業でございます。

しかし,工事着手後,完成まで長期間にわたり多額の負担が見込まれていることなどから,現在,広島市と連携して,実現可能な見直し案の検討を進めているところでございます。

 こうした中,先月,府中町と海田町に,これまでの検討状況について,説明させていただきました。

 海田町をはじめ,関係する地域の皆様には,御心配をおかけしているところではございますが,引き続き,関係市町と十分に調整を図りながら,できるだけ早期に方向性をお示しできるよう検討を行い,事業の早期実現に向けて取り組んで参ります。

 次に,鞆地区道路港湾整備事業につきましては,去る7月11日に,いわゆる架橋推進派である「明日の鞆を考える会」の方々との2回目の意見交換の場を持ったところでございます。

 意見交換の場においては,県が方針転換をした理由や,鞆のまちづくりをどのように考えているのかについて,私自身の考えを説明させていただきました。

 今後も,引き続き,鞆の住民の皆様に対して,丁寧な説明を行うことにより,御理解が得られるよう努力していくとともに,鞆の様々な課題の解決に向け,福山市と協議しながら,できるだけ速やかに事業に着手できるよう努力して参りたいと考えております。

 次に,一般財団法人広島県農林振興センターの分収造林事業につきましては,先の6月定例県議会におきまして,負債の整理に必要な議案の議決をいただいたところでございます。本件につきましては,県民の皆様に負担をおかけする結果となったことをしっかりと受け止め,来年度から一体となった運営を開始することとなる新たな県営林事業において,森林の公益的機能の持続的な発揮と,徹底した収支改善とを両立させるための仕組みを早急に構築して参りたいと考えております。

 このため,今次定例会では,今後の県営林の管理経営についての基本的な計画を定めるための条例案を提出し,県民の皆様に事業の状況をしっかりとお示しするための仕組みを構築するとともに,林業や経営の専門家など外部の有識者で構成する附属機関を設置することとしております。

これらを通じて,毎年度の事業実績についての評価や検証を加えながら,計画的な経営を行い,森林の公益的機能の持続的な発揮と木材の安定的な供給に努めて参ります。

 

2 平成25年度主要施策の状況

 次に,平成25年度における主要な施策の取組状況について,御報告いたします。

 まずは,「イノベーションを通じた新たな価値の創造」を目指して重点的に取り組んでおります施策についてでございます。

 ダイナミックな事業環境の創出に向けた取組といたしましては,創業後3年以内の事業者を対象に,地域の産業・雇用振興策に沿った雇用創出に資する事業計画を公募し,医工連携分野などをはじめ,高齢者支援や学童保育,教育などの提案事業を選定するなど,多様な創業を支援しているところでございます。

 また,ITを活用した新ビジネス創出を目指す「ひろしまIT融合フォーラム」を広島県と広島市が連携して7月に設立し,最新のIT技術を,農業や医療などの異分野の産業と組み合わせて,新たなビジネスアイデアを生み出す取組を進めているところでございます。

 今後も,こうした取組などを進めることにより,創業の活発化や新事業展開の加速を進めて参りたいと考えております。

 また,クラスター形成の促進に向けた取組のうち,環境浄化産業の分野では,7月下旬にインドネシア及びベトナムにおいて,県内企業12社が参加した商談会を開催し,約70件の商談が行われました。ベトナムでは,昨年から商談を支援してきた上下水道施設の設計ソフトウェアを開発する県内企業が,ベトナム最大手の建設コンサルタント会社と販売店契約を締結するという実績もあがっております。

 今後は,商談会に参加した企業の意向を把握し,成約に向けた個別のフォローを行うなど,県内環境関連企業の海外展開等の取組を積極的に支援して参ります。

 次に,県内企業の海外ビジネス展開の支援に向けた取組でございます。

自動車関連企業の海外展開を促進するため,国やジェトロなどの関係機関や金融機関などが,官民一体となって支援する「広島県自動車関連企業海外展開プロジェクト」を7月に立ち上げたところであり,今後,メキシコやASEANなどでの現地調査や専門家によるアドバイスを行いながら,企業ごとの進出可能性等を探って参ります。

さらに,現在,マツダ株式会社が新工場を建設しておりますメキシコのグアナファト州との間で,同州への進出企業が円滑に操業できるよう,経済交流協定の締結も視野に入れて,関係強化に向けた協議を進めているところであり,これらの取組を通じて,県内企業の海外展開を促進して参りたいと考えております。

 また,中国地方初となるLCC路線として,春秋航空日本株式会社が広島~成田線を来年5月に就航することとしており,これにより関東圏との交流の促進はもとより,ハブ空港である成田空港のネットワークを通じた利便性が向上するものと考えております。

 次に,農林水産業のイノベーションの推進に向けた取組といたしましては,8月から,「ひろしましごと館」に専任の相談員による就農相談コーナーを開設し,相談者の中から法人への就農希望者を対象に農業実践研修を開始するとともに,集落法人等の雇用管理能力向上を図るための労務管理研修を実施しているところでございます。

また,水産業における新規就業者対策といたしまして,今月から「広島県新規漁業就業者支援協議会」による,漁業の基礎から経営までを一体的に習得するための研修を開始したところでございます。

 今後も,こうした取組を進めることにより,農業や水産業における将来を担う人材の育成・確保や,雇用による法人の規模拡大を進めて参ります。

 次に,「多様な人材の集積」に向けた取組についてでございます。

人材育成の重要性やリーダーの役割についての認識を高めるため,県内企業の経営者層を対象として,7月に講演会を,8月からは「実践的マネジメント講座」を開催しているところでございます。

今後も,こうした機運醸成の取組などを通じて,イノベーションの原動力となる産業人材の育成・確保が図られるよう支援を行って参ります。

 また,若者の定着に向け,就職前の県外大学生を対象に,Uターン就職への意識向上を目的とした県内企業の若手社員との交流会を初めて東京・関西で11月に開催するほか,県外大学の就職担当者と県内企業採用担当者との交流会や保護者を対象とした就職支援セミナーを実施し,県内企業へのU・Iターン就職の促進を図り,次代の県内産業を担う人材の確保に取り組んで参ります。

 次に,「ファミリーフレンドリーな魅力創造」に向けた取組についてでございます。

本年4月に発足した,子育て支援に積極的な10県の知事で構成する「子育て同盟」の初めてのイベントとなる「子育て同盟サミット」を7月に鳥取県において開催しました。

当日は,加盟10県知事全員が集まり,今後の少子化対策や子育て支援施策について議論を行い,共同声明を発表しました。

今後も,この取組を進めることにより,加盟県の施策のブラッシュアップや共同事業の実施などに取り組むとともに,全国規模での機運醸成を図って参ります。

また,年々増加する保育所の待機児童の解消に向けた取組といたしまして,当初予定しておりました725人の保育所の定員増に加え,340人分を追加で整備することとしており,引き続き,保育所待機児童数ゼロに向けた取組を推進して参ります。

 次に,社会で活躍する人材の教育に向けた取組についてでございます。

学校における生徒指導体制を確立するため,本年4月に学校支援プロジェクトチームを立ち上げ,警察のスクールサポーターと連携しながら,問題行動が多発している学校に対し,集中的に対策を実施しているところでございます。

 関係校におきましては,暴力行為の発生件数が前年同時期に比べ,大幅に減少するなど,着実に成果が現れてきておりますので,引き続き,取組を進め,安心して学べる教育環境の確立に取り組んで参ります。

 また,今年度から,県内全ての公立小学校で3泊4日の長期集団宿泊活動の実施を目指すプロジェクトを展開しており,今年度は102校が,この夏を中心に,研修施設や農山村での民泊など,日常とは異なる環境の中で,自然観察や農業体験,田舎暮らし体験などの宿泊体験活動を実施しているところでございます。

こうした取組を通じて,児童の自立心や主体性,人間関係形成能力の育成に努めて参ります。

 次に,広島の強みや基盤を活かした政策についてでございます。

 「瀬戸内 海の道構想」の推進につきましては,7県で構成する「瀬戸内ブランド推進連合」のもとで,各県の魅力を一体的に発信するイベントの開催や,秋の「瀬戸内国際芸術祭2013」の開催に合わせた広域クルーズの運行などの広域連携事業に取り組んでいるところでございます。

 また,「瀬戸内しまのわ2014」につきましては,地域住民や,NPO,漁業協同組合等,地域の様々な主体と一体となって実施するサイクリングや食のイベントのほか,瀬戸内海を巡るクルージングなど多彩なイベントやプログラムの作り込み,開催機運の醸成,誘客促進に向けたプロモーション等に取り組んでいるところでございます。

 このうち,「瀬戸内しまなみ海道国際サイクリング大会(仮称)」につきましては,来月,愛媛県側で開催するプレ大会「サイクリングしなまみ2013」による検証を行うなど,開催に向けた準備を着実に進めて参ります。

 さらに,こうした取組と平行して,世界に誇るサイクリング・ロードの創設につきましても­­,国土交通大臣等に対して,5月の本県単独での要望に続き,8月には,広島県・愛媛県連名で要望活動を行ったところであり,今後も引き続き,関係自治体と連携し,国と自治体が一体となった協働整備事業の創設など,整備推進に対する支援を国に対して要望して参ります。

 今後も,こうした広域連携によるブランド化の取組を通じて,瀬戸内の魅力を磨き上げ,国内外に発信し,継続的な瀬戸内エリアの活性化に努めて参ります。

 次に,観光振興に向けた取組でございます。

 7月1日から,JRグループや地元自治体,観光関係事業者と一体となって進めている広島県デスティネーションキャンペーンにより,平和記念資料館や宮島など,県内主要観光施設等を訪れた観光客数は,堅調に推移しております。

 また,広島県にゆかりのあるタレントを活用した観光プロモーション「おしい!広島県」の新たな展開を,8月から開始したところでございますが,発表イベントが多くのマスコミに取り上げられるなど,大きな注目を集めているところでございます。

 今後は,このプロモーション映像や特設ウェブサイトを活用して,実際の誘客につながるよう,広島の旅の魅力をしっかりと発信して参ります。

 次に,「国際平和拠点ひろしま構想」の推進につきましては,近年,政治的な緊張が高まる東アジア地域における核軍縮・軍備管理の推進をテーマとして,関係各国の専門家や元外務大臣等の有識者による多国間協議の場である「ひろしまラウンドテーブル」を7月末に開催しました。

 会議では,東アジア地域における核軍縮・軍備管理の推進に当たっては,対話と信頼醸成を前提として,核兵器への依存を減少させた拡大抑止により,安全保障体制を構築すべきといった闊達な議論が展開されました。

 今後は,当面の取組を具体化する計画として「国際平和拠点ひろしま推進計画」を策定し,被爆地広島として,核兵器廃絶への取組と復興・平和構築のための取組を包括的に進めて参ります。

 また,「ピースアーチひろしま」プロジェクトにつきましては,世界のトップアーティストの参加を得て,「ワールド・ピース・コンサート」を7月末から8月にかけて開催し,多数の方々に御来場いただき,その模様をテレビやインターネットなどにより配信することで,音楽を通じて,平和のメッセージを世界に発信したところでございます。

 併せて,国内外の経済人等が一堂に会し,「新しい平和貢献のあり方」をテーマに「国際平和のための世界経済人会議」を開催し,「平和を阻害する要因の除去」や「国際平和に向けた世界経済の果たすべき役割」等について議論したところでございます。

 御来場いただいた皆様や開催に当たり御尽力いただきました関係者の皆様に対し,厚くお礼を申し上げます。

今後とも,こうした取組を活かしながら,「国際平和拠点ひろしま構想」の実現に向けて,着実に取り組んで参ります。

次に,防災・減災に向けた取組といたしましては,5月に広島市で発生した橋梁コンクリート片落下事故を受け,インフラ老朽化による事故により利用者等への被害が予想される橋梁・トンネル等の全ての箇所について,緊急総点検を進めているほか,6月に廿日市市で発生した土砂災害を踏まえ,急傾斜地崩壊対策の更なる取組を進め,早期対応により災害の未然防止を図ることができる防災上重要な公共土木施設等の整備を着実に進めて参ります。

 

3 9月補正予算等の概要

 さて,今回提出いたしました議案について,その概要を御説明申し上げます。

 まず,一般会計補正予算につきましては,6月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ,必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として編成したところでございます。

具体的な補正の内容でございますが,先ほど御説明いたしました「ひろしま未来チャレンジビジョン」の原動力となる取組などに時機を逃さず対応するための経費のほか,社会資本未来プラン等に基づく「防災・減災等強化対策」や,「緊急経済・雇用対策」等について予算を計上しております。

これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は79億302万円となり,今年度予算の累計額は,9,387億7,750万円となります。

 次に,予算以外の議案といたしましては,「広島県中山間地域振興条例」など条例案12件,人事案件として,「広島県教育委員会委員の任命の同意について」など3件,その他の議案では,「工事請負契約の締結について」など3件のほか,平成24年度一般会計,特別会計の決算認定議案並びに平成24年度企業会計の決算認定及び剰余金の処分議案を提出しております。

 また,報告事項として,専決処分報告などを提出しております。

 どうぞ,慎重に御審議いただいたうえ,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

 

追加報告事項(平成25年9月27日)

 知事説明要旨

 ただいま追加提出いたしました報告事項は,平成25年2月定例会において御議決いただいた高精度放射線治療センター(仮称)等複合施設新築工事の請負契約について,入札の結果,現請負金額との間に,226万円余の差金が生じ,本日,請負契約の変更を専決処分いたしましたので,議会に御報告するものでございます。

 どうぞ,よろしくお願いいたします。

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