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平成24年広島県議会9月定例会(平成24年9月19日)

印刷用ページを表示する掲載日2012年9月19日

知事説明要旨

9月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,当面する県政の課題などについてご報告申し上げます。

 

1 当面する県政の課題

 まず,経済・雇用の情勢と対策についてでございます。

 為替相場の高止まり状態が続く中にあって,我が国の景気は, 世界景気の減速等を背景として,回復の動きに足踏みがみられる状況にあります。

 また,県内の景気は,設備投資や個人消費に持ち直しの動きがみられますが,全体としては横ばいで推移しております。

 さらに,雇用・労働情勢につきましては,7月の有効求人倍率が0.88倍と,持ち直しの動きが弱まっており,厳しい状況が続いております。

 こうした経済・雇用情勢の中で,今後は,「欧州債務危機」や為替相場の動向,エコカー補助金終了後の自動車の販売状況に加え,来年3月末での中小企業金融円滑化法の終了が県内企業へ与える影響,さらに,県内に大規模な事業所を有するエルピーダメモリ株式会社の経営再建,シャープ株式会社の事業再編の動向等を注視しながら,円高への対応や当面の雇用の維持・確保などに機動的な対策を講じつつ,将来に向けた成長戦略を着実に推進し,県内産業の競争力強化を図って参ります。

 次に,南海トラフの巨大地震への対応についてでございます。

 先月,国は,南海トラフの巨大地震の震度分布や津波高,被害想定を公表しました。

 これによりますと,県内の最大震度は,沿岸部の福山市から竹原市にいたる4市と大竹市で震度6強とされ,他の地域でも,震度5強以上とされています。また,浸水面積は,沿岸市町等において,最大で1,090haとされております。

 これに伴う人的被害や建物被害の想定は,本県が平成19年3月にまとめた東南海・南海地震の被害想定を超えております。

 今回の報告を踏まえ,県といたしましては,本県の詳細な地盤や地形のデータに基づき,調査・検討を行い,今年度中に,より詳細な浸水予測図や被害想定などをまとめることとしております。

 併せて,被害を最小限に抑えるため,県民の皆様に対して,建物の耐震化や早期避難の重要性を再認識していただき,家族や地域で自主的な防災対策に取り組んでいただくよう,引き続き,働きかけを行って参ります。

 次に,米国海兵隊輸送機オスプレイの導入に向けた対応についてでございます。

 オスプレイの導入に対しましては,これまで,県民の安全・安心を守る観点から,過去の事故原因や今後の安全対策等について説明を行うことや,安全性が確認されるまでは,オスプレイの試験飛行を行わないことなどを国に対して,強く要請してきたところです。

引き続き,県民の不安が払拭されるよう,オスプレイの安全性や再発防止などの安全対策について分かりやすい説明を求めて参ります。

 次に,国の出先機関の事務・権限の移譲に係る取組についてでございます。

 地域主権改革の推進は,現政府が一丁目一番地の政策と位置づけ,その一環として,国の出先機関の事務・権限を地方に移譲することについては,内閣総理大臣自ら,繰り返し決意表明されており,本県をはじめ,地方も積極的に取り組んできたところでございます。

 こうした中で,国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案の提出が次の国会に先送りになったことについては,大変遺憾に思っております。

 本県といたしましては,先月7日,中国5県として,特定広域連合の設立に向けた準備を進めていくことを,国に対して意思表明したところであり,地方分権改革を一歩でも前に進めるため,これまで以上に中国5県の連携を高めた上で,国に対して,改革の流れを止めることなく取り組むよう,強く求めて参ります。

 併せて,県議会の皆様と十分に意思疎通を図り,また,市町に対して丁寧に説明し,理解を得ながら,引き続き,必要な準備を進めて参ります。

 次に,広島市との連携についてでございます。

 昨年5月の広島市長との会談で合意した広島西飛行場のヘリポート化につきましては,国の設置許可が得られたことから,供用開始日を11月15日と定め,諸準備を進めているところであります。広域的な防災や医療のみならず,広島都市圏に不可欠な都市機能を担う施設として,今後,広島市と共同で運用して参ります。

 また,ひきこもりの人や家族の相談窓口となる「広島ひきこもり相談支援センター」を,今月7日に設置したところであり,広島市と一体となって運営を行うことで,利便性の向上を図って参ります。

 引き続き,県と市がそれぞれ実施している類似の行政サービスの最適化などの検討を進めるとともに,広島都市圏の魅力向上や観光振興,産業競争力の向上などの施策に協力して取り組んで参ります。

 次に,鞆地区における道路港湾整備事業についてでございます。

 6月25日に開催した福山市長との会談を踏まえ,新たな整備方針の内容を,鞆地区の住民の皆様に対して説明するため,7月に説明会を開催し,併せて,説明会で使用した資料を,鞆地区の全戸に配付いたしました。

 今後も,県が示した方針や考え方について,住民の皆様の理解が得られるよう,主体的に説明し,新たな方針に基づく各事業の推進に向けて,全力で取り組んで参ります。

 次に,広島高速5号線についてでございます。

 先月,トンネル安全検討委員会において報告書がまとめられ,委員長から提出がありました。これを受け,今月11日には,報告書の内容について,地域住民の皆様に対し説明会を開催したところでございます。

 今後,広島市とともに,報告書を踏まえ,地域住民の安全の確保を含めて必要な検討を行った上で,適切に事業判断して参ります。

 次に,米国ハワイ州との交流についてでございます。

 今年は本県とハワイ州が友好提携を結んで15周年を迎えることから,先月下旬に県議会団の皆様とともにハワイ州を訪問し,友好提携15周年記念行事をはじめ,コナ及び東ハワイ広島県人会創立45周年記念式典等へ参加し,交流を深めて参りました。

 また,同時期に米日カウンシル知事会議がホノルル市で開催されたのを契機に,経済分野等でのさらなる交流強化を図るため,ハワイ州との間で覚書を締結して参りました。

 今後とも本県とハワイ州との交流が,様々な分野でさらに促進され,双方にとって一層意義ある提携となるよう努めて参ります。

 なお,対中国経済関係強化につきまして,様々な取組を進めておりますが,現在,日中間の緊張が高まっている情勢に鑑み,今後の動静を注視して参りたいと考えております。

 

2 平成24年度主要施策

 次に,平成24年度における主要な施策の取組状況について,ご報告いたします。

 

【「新たな経済成長」への挑戦】

 まず,「新たな経済成長」の分野における取組でございます。

 本県が持続的な成長を遂げていくためには,自動車関連産業などの高度化・高付加価値化に加えて,次代の本県経済を担う新たな産業を育成することが重要な課題でございます。

 このため,本県の技術力が活用でき,今後市場の拡大が見込まれる医療と環境の分野で産業クラスターの形成を目指した取組を重点的に推進しているところでございます。

 まず,医療関連産業の分野につきましては,これまでの取組の結果,「ひろしま医療関連産業研究会」の会員企業が100社を超え,新製品・新技術の開発がスタートするなど,活動が活発化しつつあります。

 こうした企業の動向や7月に策定したアクションプランを踏まえ,9月補正予算では,研究開発や販路拡大など,企業の意欲的な活動に対する支援策を拡充するとともに,医療関連ビジネスを牽引・先導する製品開発,臨床での治験を踏まえた製品改良や新たな販売ルートの開拓など,今後のモデルとなる取組を関係者と共同して実施するための経費を新たに計上し,軌道に乗りつつある取組を着実に前に進めて参ります。

 また,環境浄化産業の分野では,市場が拡大する中国・四川省において,7月に商談会を開催いたしました。本県の環境関連企業13社と,四川省企業等35社が参加し,60件余の商談が行われるとともに,昨年の商談会から交渉を継続してきた環境分析装置を製造する県内企業と,四川省の販売会社との間で代理店契約が締結されるなど,具体的な成果も現れてきたところでございます。

 今後は,商談会に参加した日中双方の企業の意向を把握し,成約に向けた個別のフォローを行うなど,県内環境関連企業の海外展開等の取組を,積極的に支援し,成果の拡大を図って参ります。

 次に,観光振興とブランド構築に向けた取組についてでございます。

 観光プロモーション「おしい!広島県」につきましては,夏の観光シーズンとなる7月から,三原タコや広島レモンなど,「食」にポイントを置いたキャンペーンを展開するとともに,秋の観光シーズンに向けても,インターネット宿泊予約サイト,地元タウン誌を活用した情報発信に引き続き取り組んで参ります。

 併せて,地域の特色を活かした魅力ある観光地づくりを推進するため,情報発信力が高く,一般顧客層に対する影響力が大きい女性をターゲットに,モニターツアーの実施などを通じて,瀬戸内海の島々や食などの魅力を伝え,興味・関心を喚起するとともに,訴求力のある旅行商品を開発し,定着させて参ります。

 次に,外国からの観光客の誘致につきましては,今月11日から台湾を訪問し,広島~台北線を運航する航空会社との間で,相互交流の促進を図ることを目的とした覚書を締結したほか,現地の旅行会社やメディアに対する広島の魅力のPR,世界有数の自転車メーカーへのプロモーション活動を行ったところであります。

 さらに,フランスにおいても,今月18日から開催されている同国有数の観光見本市に出展するとともに,現地の旅行会社を対象とした説明会を行うこととしております。

 外国からの観光客数は,東日本大震災発生直後に大きく落ち込んだ状況から,回復傾向にあり,引き続き,大きな伸びが期待される国の状況やニーズに応じたプロモーション活動を展開することで,観光客数の増加につなげて参ります。

 次に,「瀬戸内 海の道構想」の推進につきましては,瀬戸内6県で構成する「瀬戸内ブランド推進協議会」を主体として,豊富な経験と実績を有するプロデューサーを先月設置し,ブランドコンセプトの策定や効果的な情報発信などを検討するとともに,フォーラムの開催や瀬戸内6県を船で巡るツアーなど,瀬戸内エリアが一体となった広域連携による試行事業をスタートさせることとしております。

 今後,構想推進の主体となる「瀬戸内プラットフォーム(仮称)」の構築に向けて,引き続き,積極的に取り組んで参ります。

 また,愛媛県と共同で開催いたします「瀬戸内しま博覧会(仮称)」につきましては,平成26年の開催に向け,実行委員会の設立や基本計画の策定などの準備経費を9月補正予算に計上しております。

 今後,このイベントの開催を通じて,地域の振興と瀬戸内ブランドの浸透が一層促進されるよう連携して取り組んで参ります。

 首都圏における情報発信の拠点となる広島ブランドショップ「TAU」につきましては,7月のオープン以降,10万人を超える方々にご利用をいただいております。

 今後とも,様々な仕掛けや,全国メディアを通じた情報発信を行うことにより,来店者の増加とリピーターの獲得を図り,広島の認知度や評価の向上につなげて参ります。

 次に,成長著しいアジア市場への参入・獲得に向けた取組でございます。

6月に実施したマレーシアでの物産展の成果を踏まえて,県産品の定番化に一層弾みをつけていくため,来年3月頃,再度マレーシアで物産展を開催するとともに,継続的な販売促進活動を実施するための経費を9月補正予算に計上しております。

 引き続き,時宜を得た取組を実施していくことによりまして,海外販路の拡大を図って参ります。

 また,アジア戦略を進めていく上で重要となる定期航空路線につきましては,7月にアシアナ航空の広島~ソウル線が増便され,週9往復の運航になりました。

 中国東方航空が運航する広島~上海線につきましては,4月に週2往復増便されて週9往復となっていましたが,今月20日からは,さらに週1往復増便され,週10往復となるなど,拡充が図られております。

 加えて,今月11日から台湾を訪問した際には,航空会社や旅行会社を訪問し,広島~台北線の増便につながる取組の実施等を要請したところであり,引き続き路線の開設・拡充に向け,着実に取り組んで参ります。

 次に,イノベーション力の強化に向けた取組でございます。

 本県産業の目指す姿として掲げている「イノベーション立県」の具体化に向け,産業界,大学,金融機関,行政で構成する「地域イノベーション戦略推進会議」を設置し,第1回目の会議を先月開催いたしました。

 今後,各界のトップメンバーでイノベーションを創出していくための方向性や中長期的な将来戦略を共有しながら,本県の持続的な発展に向けた取組をオール広島の体制で推進して参ります。

 また,本県経済の基盤を支える中小企業を総合的に支援するため,「ひろしま産業振興機構」の中に,マーケティング,ブランド化,知的財産戦略,経営戦略,生産管理などの分野で,トップレベルの実績を有する専門家等で構成されたチームによる支援体制を構築し,7月から対象企業の募集を開始しました。

意欲のある中小企業が抱える経営課題の解決を,これまで以上に充実した体制で支援し,着実な成長を促進して参ります。

 次に,自立に向けた農林水産業のイノベーションでございます。

 県内の集落法人は,先月末現在で217法人となり,その数も着実に増加していることから,今後は,こうした法人を,経営力の高い担い手へと育成していく段階になっております。

 このため,「2020広島県農林水産業チャレンジプラン」に目標として掲げる,年間販売額が8千万円規模の法人の育成を目指し,昨年度から,意欲のある法人を「担い手経営強化モデル事業」により支援しているところでございます。

 これまで5法人が,目標とする販売額を達成し,今年度は,11法人がモデル事業の採択を受け,目標達成に向けて取り組むなど,経営発展に向けた動きが活発になっております。

 また,本県農業を支える経営スキルを備えた人材の育成を図ることを目指し,「ひろしま農業経営者学校」では様々な研修を実施しております。

 6月に開講した「経営改善コース」においては,定員を上回る受講者が経営戦略の実践手法を学び,23名が修了しました。

 今後は,経営開始コース,実践応用コースを順次開講することとしております。

 引き続き,経営力の高い担い手の育成と,経営スキルを備えた人材の育成に並行して取り組み,産業として自立した農業の確立を推進して参ります。

 

【「人づくり」への挑戦】

 次に,「人づくり」の分野における取組でございます。

 まず,人口の社会減,とりわけ,生産年齢人口の減少に歯止めをかける対策といたしまして,大学連携による県内大学の魅力を高める取組を推進しております。今年度の前期では,留学に必要な知識やプレゼンテーション能力の育成等を目的としたプログラムが実施され,後期には,県内企業の海外拠点で活躍できる人材の育成などを目的とした4件のプログラムが開始されます。

 また,県内外の高校を対象として,6月には,県内大学の魅力を伝えるガイドブックを作成し,配布するとともに,7月から8月にかけて,進路指導担当教員を対象とした大学情報説明会を開催するなど,情報発信の強化に努めているところでございます。

 さらに,次代の県内産業を担う人材の確保を図るため,新卒の大学生を対象として,来月に初めて中国5県共同でU・Iターン合同企業面接会を大阪で開催いたします。

 この他,県外大学の就職担当教員・職員と県内企業との交流会や大学生の保護者を対象とした就職支援セミナーの開催など,県内企業へのU・Iターン就職の促進に取り組んで参ります。

 次に,グローバル人材の育成に向けた取組でございます。

 児童生徒の身近な場所で,日常的に異文化に直接触れることのできる機会を提供することにより,外国人と積極的にコミュニケーションを図ることのできる児童生徒を増やすことを目的に,来月から東広島市内の2箇所で留学生等の外国人と日常的に交流できる場所を開設いたします。

 また,グローバル社会に対応できる幅広い視野を持ち,主体的に行動できるコミュニケーション能力を身に付けさせるため,県立高校における海外の学校との姉妹校提携を推進しており,今年度に入って,新たに9校が提携いたしております。引き続き,各校の取組を支援し,来年度までに全校で提携できるよう取り組んで参ります。

 併せて,来月以降,県立学校の教員を姉妹校へ派遣することとしており,国際的な視野を持って指導できる人材の育成にも努めて参ります。

 次に,将来の本県を支える人材の育成に向けた取組といたしまして,校外での集団宿泊活動を通して,児童の豊かな心の育成を図る事業を平成22年度から展開しております。

 今年度は43の推進校のうち,11校において,農山村での生活体験ホームステイ,いわゆる民泊を実施し,体験先の地域の方々との交流を深めることができました。

 引き続き,子どもたちの学力・体力の向上を図るとともに,実体験やスポーツの振興などを通じ,全人的な教育を推進して参ります。

次に,女性の社会参画を促進する対策でございます。

 女性の就業者の中には,働く意欲を持ちながらも,仕事と子育ての両立に不安を感じて離職する人も多いことから,女性就業者を対象に,両立に向けた意識醸成や不安解消のための研修会,各種相談を,広島・福山において,7月から順次実施しており,研修受講者の報告会等を実施した企業に対して奨励金を支給することで,研修成果の波及・拡大を図って参ります。

 併せて,保育の受け皿づくりを引き続き推進するとともに,保育を必要とする低年齢児の増加等により,保育士に対する需要が高まり,人材の確保が困難となっている状況を踏まえ,7月に「広島県保育士人材バンク」を開所し,きめ細かなマッチングを開始したところでございます。

 また,男性も育児休業等を取得しやすい社会的機運の醸成と職場環境づくりのため,今月から「育メン休暇促進キャンペーン」を実施しております。来月からは,啓発用のテレビ番組を,昨年度より回数を増やして放送するとともに,県内外のイベント等で PR活動を行って参ります。

 今後,こうした取組を着実に実施していくことで,女性の社会参画を一層促進し,社会の多様性を確保することで,地域活力の維持・創出を図って参ります。

 

【「安心な暮らしづくり」への挑戦】

 次に,「安心な暮らしづくり」の分野における取組でございます。

 「がん対策日本一」を目指した取組といたしましては,「高精度放射線治療センター(仮称)」の整備に向け,中国財務局との協議が整ったため,二葉の里地区の国有地を購入することとし,9月補正予算に必要な経費を計上しております。

 併せて,「がん検診」の受診率向上に向け,7月以降,発信力のある著名人を活用した普及啓発と,地域や企業と連携した個別受診勧奨に取り組んでおりますが,年度後半は,「がん検診へ行こうよ」推進会議によるキャンペーンなど,受診促進に向けた取組を一層強化して参ります。

 次に,循環型社会の構築に向けた取組でございます。

 今年度末で課税期間が終了する産業廃棄物埋立税につきましては,昨年度設置した「産業廃棄物埋立税検証懇話会」の報告等を踏まえて検討した結果,課税期間を平成 29年度末まで5年間延長するとともに,税収の使途を,循環型社会の形成に寄与する施策の費用にも充当できるよう,関係条例の改正案を,今次定例会に提出いたしております。

 また,下水汚泥の安定的な処理と有効活用を図るため,芦田川流域下水道芦田川浄化センターに,汚泥を固形燃料化する施設を整備することとし,9月補正予算において,必要な債務負担行為予算を計上しております。今後,平成28年度の稼動に向け,施設の設計,建設,維持管理,燃料の引取りまでを一体的に引き受ける事業者の選定手続きを進めて参ります。

 こうした取組を進めることで,より一層,廃棄物の排出抑制,減量化,リサイクルを推進して参ります。

 次に,治安の向上に向けた取組でございますが,来年秋に「佐伯警察署(仮称)」を新設するのに伴い,県民からの意見募集を経て,広島市内における警察署の管轄区域の見直しを進めています。

 これにより,警察活動の効率化が図られ,犯罪対処能力が向上するとともに,区役所や地域住民との連携がしやすくなり,安全・安心なまちづくりのための活動が強化できるものと考えております。

 引き続き,広島市域における一行政区一警察署体制の構築に向け,「佐伯警察署(仮称)」の整備を着実に進めて参ります。

 次に,県営水道事業につきましては,公益性を確保しつつ,運営の効率化を図り,水道システムを将来にわたって安定的に維持していくため,今月,民間事業者との共同出資により,施設の管理・運営業務を行う株式会社を設立いたします。

 今後は,新会社が平成25年4月から広島西部地域水道用水供給水道の管理・運営業務を担えるよう,諸準備を進めて参ります。

 

【「豊かな地域づくり」への挑戦】

 次に,「豊かな地域づくり」の分野における取組でございます。

 まず,持続可能な中山間地域の構築に向けた取組につきましては,若者などの定住を促進するため,未来創造支援事業により市町の産業対策を支援しており,庁内関係局が連携したバックアップ会議に続き,7月には9市町の計画ごとにワーキンググループを設置し,計画の着実な推進を,きめ細かく支援しております。

 また,過疎地域の日常生活の課題解決に向け,住民自らが行う先導的かつ新たな取組を,先月,モデル事業として採択したところであり,取組の支援とともに,県内への波及に努めて参ります。

 次に,中山間地域における医療体制の維持・確保につきましては,広島大学大学院の医師を中山間地域の医療機関に派遣し,診療を支援する取組を実施しており,4月から7月までの4か月間における派遣実績は,延べ1,421回に達するなど,成果を上げております。

 さらに,7月からは,県北部地域において,医療機器等を搭載した診療車による無医地区等への巡回診療を開始いたしました。

 医療や地域交通など,中山間地域が直面している生活上の諸問題に対策を講じつつ,産業対策による根本的な課題解決に向けて,市町とも十分に連携しながら,引き続き積極的に取り組んで参ります。

 次に,「国際平和拠点ひろしま構想」の実現に向けた取組でございますが,今月4日には「国際平和フォーラムひろしま」を開催し,被爆から復興した広島が世界の平和構築のために担う使命と役割について,各分野のリーダーや研究者,実務家により議論をいただき,県民を始め多くの方々と共に考える機会とすることができました。

 また,国連機関ユニタールから招聘をいただいたことから,来月の下旬から,同機関の本部をはじめ,国連欧州本部,赤十字国際委員会などの国際機関を訪問することといたしました。

 この機会を捉えて,これまでの国際貢献の実績を世界に発信するとともに,「国際平和拠点ひろしま構想」の実現に向けた協力要請を行うなど,世界で最初の核兵器による被爆地の知事として,平和へのメッセージを届けて参ります。

 また,「ピース・アーチ・ひろしま」プロジェクトにつきましては,先月,若い世代を中心とした日本,米国の著名なアーティストによる「プレ・イベントコンサート」や「子どもピース音楽祭」を開催し,多くの方々にご来場していただいたところです。

 引き続き,平成25年8月に開催する「ワールド・ピース・コンサート」の成功に向け,一層の機運醸成に努めるとともに,「国際平和拠点ひろしま構想」の実現に向け,着実な歩みを進めて参ります。

 

3 9月補正予算案等の概要

 さて,今回提出いたしました議案について,その概要をご説明申し上げます。

 まず,一般会計補正予算につきましては,6月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ,真に緊急性,必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として編成したところでございます。

 具体的な補正の内容でございますが,先ほどご説明いたしました「ひろしま未来チャレンジビジョン」の原動力となる取組などに時機を逃さず対応するための経費のほか,社会資本未来プラン等に基づく「防災・減災等強化対策」や,「緊急経済・雇用対策」等について予算を計上しております。

 これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は78億6,204万円となり,今年度予算の累計額は,9,402億2,571万円となります。

 次に,予算以外の議案といたしましては,「広島県産業廃棄物埋立税条例の一部を改正する条例」など条例案12件,人事案件として,「広島県教育委員会委員の任命の同意について」など2件,その他議案では,平成23年度一般会計,特別会計の決算認定議案並びに平成23年度企業会計の決算認定及び剰余金の処分議案を提出しております。

 また,報告事項として,専決処分報告などを提出しております。

 どうぞ,慎重にご審議いただいたうえ,適切なご議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

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