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平成24年広島県議会6月定例会(平成24年6月21日)

印刷用ページを表示する掲載日2012年6月21日

知事説明要旨

 6月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,当面する県政の課題などについてご報告申し上げます。

1. 当面する県政の課題

 まず,経済・雇用の情勢と対策についてでございます。

 県内の景気は,設備投資や個人消費には持ち直しの動きが見られるものの,海外経済減速の影響等を受けて輸出は弱めの動きとなっていることから,引き続き,為替相場や「欧州債務危機」の動向等を注視するとともに,夏に向けた電力供給の制約などが県内産業へ与える影響にも留意する必要があります。

 また,雇用情勢につきましては,3月の県内高等学校卒業者の就職率が,直近10年間で最も高い98.5%となったものの,大学卒業者の就職内定率は,昨年を0.4ポイント下回る88.4%に留まり,また,4月の有効求人倍率も0.91倍と,持ち直しの動きが弱いなど,依然として厳しい状況が続いております。

 こうした状況を踏まえ,円高対策といたしまして,本年度から新たに,企業の生産技術革新に対する助成制度や,海外への製品輸出に必要な規格認証の取得に向けた取組を支援する制度を独自に創設し,現在,対象企業の支援に向けた一連の手続きを進めているところでございます。

なお,経営再建中のエルピーダメモリ株式会社につきましては,広島工場での操業継続の動向について,引き続き注視して参ります。

また,雇用対策につきましては,人材が不足している「介護・福祉」,「農林水産業」分野への就業促進や,未就職卒業者への就職支援などを実施し,切れ目のない雇用機会の創出に向けた取組を推進しているところでございます。

 6月補正予算におきましても,市町における観光PRの推進や特産品の販売力強化など,地域の創意工夫により,就業を促進する事業への支援等について,追加実施して参ります。

次に,国の出先機関の事務・権限の移譲に係る取組についてでございます。

政府の「国の出先機関の原則廃止」の方針を受け,中国地方5県におきましても,国の事務・権限の受け皿づくりについて協議を重ねて参りましたが,今月1日に開催された「中国地方知事会議」におきまして,地方分権改革を前進させる観点から,当面,「中国経済産業局」を対象に,平成26年度中に移譲を受けるため,国の動向を見極めつつ,特定広域連合の設立に向けた準備を進めることで合意したところでございます。

今後,各県において,県議会や市町村に対しまして十分にご説明し,その議論を踏まえた上で,国における法案を含む制度設計の状況を注視しながら,必要な手続きを進めて参ります。

次に,広島市との連携についてであります。

先月末,松井広島市長と会談し,県と広島市がそれぞれ実施している類似の行政サービスの最適化を図るため,まずは,「産業振興」,「観光振興」,「公営住宅」,「教育」の分野について検討を進めていくことや,「ひきこもり地域支援センター」の一体的な運営に向けて調整していくことで合意いたしました。

広島市とは,本県全体の活性化を図る観点から,引き続き,十分に連携し,広島都市圏の魅力向上や観光振興,県内産業の競争力向上などの施策に協力して取り組んで参ります。

次に,鞆地区における道路港湾整備事業についてでございます。

本年2月に取りまとめられた「鞆地区地域振興住民協議会」の報告書を踏まえて,道路のあり方のみならず,駐車場あるいは港湾機能の確保,防災対策,観光振興,景観の保全などを含め,様々な住民ニーズをできるだけ満たしていくためには,どういった方法があるのか,ということについて,福山市と精力的に協議を重ねてきたところでございます。

今後,早期に市長とお会いする機会を設け,できるだけ早く結論を出して参りたいと考えております。

次に,広島高速5号線につきましては,今月23日に第8回トンネル安全検討委員会を開催し,地表面沈下の解析結果等について審議いただく予定となっております。

引き続き,広島市と連携し,委員会の結論が早期に得られるよう努めるとともに,結論を踏まえ,適切に判断して参ります。

2.平成24年度主要施策

 次に,平成24年度における主要な施策の取組状況について,ご報告いたします。

本年度は,環境の変化や中長期的な構造変化も見据え,成果を念頭に置いたきめ細かいモニタリングの実施などにより,成長の原動力となる取組を未来に向かって一段と「加速」できるよう,スピード感を持って取り組んでいるところでございます。

【「新たな経済成長」への挑戦】

まず,「新たな経済成長」の分野における取組でございます。

観光につきましては,本県の豊富で魅力的な資源を全国に発信するため,新観光プロモーション「おしい!広島県」を3月の東京での記者会見を皮切りに展開しているところでございます。

このプロモーションの特設ウェブサイトへのアクセス数は,開設から1ヶ月間で本県観光ホームページへのアクセス数の2倍を記録するなど,手ごたえを実感しております。このため,6月補正予算により,夏と秋の観光シーズンに向けて話題性のあるキャンペーンの実施や,インターネット宿泊予約サイトの活用など,取組内容を一層充実させ,観光客数の大幅増加につながるよう,この機を捉えて,一気呵成に取り組んで参ります。

また,首都圏における情報発信の拠点となる「広島ブランドショップ」につきましては,7月16日の「海の日」にオープンする運びとなりました。

店舗名は,「ひろしまの「宝」を,首都圏,さらには全国の皆様の手の届くところにお届けする」をコンセプトに,広島の方言で「手が届く」という意味の「TAU(たう)」と決定いたしました。

今後は,効果的なPRやイベントの開催,選りすぐりの商品展開等を通じまして,「ひろしまブランド」の確立に努めて参ります。

さらに,「瀬戸内 海の道構想」につきましては,広域的な連携事業や,推進母体となる「瀬戸内プラットフォーム」の具体化を図るため,先月末に,兵庫県,岡山県,山口県,香川県,愛媛県とともに「瀬戸内ブランド推進協議会」を設置したところであります。

今後,この協議会の場で議論を深めながら,「瀬戸内ブランド」の形成に取り組んで参りたいと考えております。

 また,こうしたブランド形成の取組と並行いたしまして,先月,愛媛県とともにサイクリングイベントを実施したところであり,さらに,7月14日からは,尾道市をメイン会場に,「海フェスタおのみち」が開催されます。

一方,世界遺産の島「宮島」は,大河ドラマ「平清盛」の放映を機に注目が高まっていることから,多くの観光客を受け入れる態勢を整える必要があります。

このため,6月補正予算により,5月の大型連休に実施したパークアンドライドを,夏から秋の観光シーズンの,渋滞が予想される期間にも実施することといたしました。これにより,宮島を訪れる観光客の利便性を向上させ,本県を代表する観光地のホスピタリティの向上を図って参ります。

地域間競争が激しくなる中,本県が観光の分野で一層の飛躍を遂げるためには,「ひろしまブランド」,「瀬戸内ブランド」の構築を図ることが不可欠であることから,効果的なプロモーションを積極的に展開し,具体的な成果に結び付けて参ります。

観光以外の成長産業育成の取組といたしまして,県内に環境浄化分野で国内トップクラスの生産力や技術力を有する企業が多数あるという強みを活かし,環境浄化産業のクラスター形成に向けて取り組んでいるところでございます。

4月には,県内外から約90社の参加を得て,推進組織となる「ひろしま環境ビジネス推進協議会」を設立したところであり,今後,7月に予定しております四川省での商談会の開催等を通じまして,県内企業の海外展開等を積極的に支援して参ります。

次に,成長著しいアジア市場への参入・獲得に向けた取組でございます。

 中国との経済交流につきましては,その拠点となる「広島・四川経済交流事務所」を開設し,5月下旬から業務を開始したところであり,今後,この事務所を通じて本県企業のビジネス展開を支援して参ります。

 さらに,マレーシアでは,本県産品の販路拡大を図るため,6月1日から14日にかけ,物産展を開催いたしました。

県内からは,28社が137品目を出展し,期間中,目標を上回る391万円余を売り上げたところであり,これを契機として,県内企業の展開を一層促進するとともに,得られたノウハウ等を,他国での販路拡大にも活かして参ります。

次に,イノベーション力の強化に向けた取組といたしまして,その原動力となる産業人材の育成・確保を図るため,本年度,新たに「未来チャレンジ資金」を創設いたしました。県内企業の成長や産業の持続的発展に寄与する知識を習得することを目指す個人に対して貸付を行うこととし,現在,募集を行っているところでございます。

 また,ひろしまイノベーション推進機構につきましては,4月に第1号の投資案件として,総額約10億円の投資を行うことを決定いたしました。引き続き,ハンズオン型支援による投資先企業の成長や,新たな投資案件の発掘につなげて参ります。

次に,自立に向けた農林水産業のイノベーションでございます。

 ビジネスとして農業を成長させていくためには,経営スキルの習得と向上が不可欠であることから,農業経営のエキスパートを講師に招き,今月5日「ひろしま農業経営者学校」を開校したところでございます。

さらに,農業法人等が経営を拡大していくためには,即戦力となる人材の育成・確保が重要であることから,就農相談窓口を設置するとともに,就農希望者等のニーズやスキルに応じた様々な研修を,4月以降順次実施いたしております。

 次に,「売れるものを作る」生産体制の確立と戦略的な販売・流通等の仕組みの構築に向け,レモンにつきましては,東京,大阪,広島での新たな販路開拓や,認知度向上を図るための首都圏広報を実施するとともに,担い手育成を図るため,呉市に新規就農者を対象とした研修農園を4月に開設いたしました。

また,かきにつきましては,家庭での消費量の減少と東日本大震災による三陸産かきの大幅な供給量の減少により,消費市場全体の縮小が懸念されております。

このため,インターネット等を活用した消費拡大キャンペーンを,被災地と連携しながら,出荷時期に合わせて実施することとし,6月補正予算に必要な経費を計上いたしております。

さらに,宮城県のかき養殖業の復興のため,昨年に引き続き,今月10日から,気仙沼市へ技術者11名を派遣し,養殖筏を製作するなど,復旧作業を支援するとともに,今後の復興に向けた課題等について共同して対応するよう,協議検討を行ったところでございます。

本県は,震災の発生直後から,被災地の状況に応じた支援を行ってきたところであり,今年度も,昨年度に引き続き,港湾施設や農業用施設等の復旧支援等のため,職員を派遣し,被災地支援を行っているところでございます。

震災の発生から1年3ヶ月が経過し,本格的な復旧・復興に向け,今後,国を挙げた取組を一段と加速させていくことが求められている中,本県といたしましても,積極的に貢献して参りたいと考えております。

 

【「人づくり」への挑戦】

次に,「人づくり」の分野における取組でございます。

人口の社会減,特に生産年齢人口の減少に歯止めをかける対策といたしまして,県内大学の魅力づくりを推進しており,その一環といたしまして,6月補正予算により,県内大学の共用サテライトキャンパスを,広島市中心部で利便性の高い「鯉城会館」に整備することとしております。

また,4月には,県出身の大学生が多数在籍する関西の3大学とU・Iターンに関する就職支援協定を締結するとともに,県内企業とのマッチングを図るための合同企業説明会を現地で開催したところでございます。

今後も引き続き,県内外の大学等と連携しながら,次世代の県内産業を担う人材の確保を図って参ります。

 

【「安心な暮らしづくり」への挑戦】

次に,「安心な暮らしづくり」の分野における取組でございます。

「がん対策日本一」を目指した取組といたしまして,「がん検診」の受診率向上に向け,来月を本年度1回目の強化月間とし,市町や関係団体,企業等とも連携して,県民の皆様に届く効果的なメッセージを広く発信する予定でございます。

さらに,「高精度放射線治療センター(仮称)」につきましては,4月末に基本設計を終えたところであり,本年度は,平成26年度中の治療開始を目途に,実施設計を進めて参ります。

また,今月1日には,「広島県地域包括ケア推進センター」を設置したところであり,今後,このセンターを拠点として,医療,介護,予防,住まい,生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の構築を進めて参ります。

次に,防災対策の充実・強化に向けた取組といたしまして,東日本大震災を踏まえた防災対策の強化を図るため,地震被害想定の見直しを行っております。

今月1日には,第1回「地震被害想定調査検討委員会」を開催し,想定する地震や被害想定手法等の見直し方針を決定したところであり,今後は,この方針に基づき,見直しを着実に進めて参ります。

 また,治安の維持・向上を図るため,平成22年に「広島県暴力団排除条例」を制定し,暴力団を地域社会から排除していく施策を推進して参りました。これに呼応して,市町においても,県の条例を補完する条例の制定が進められ,4月の時点で,全市町で施行されたところでございます。これにより,県を挙げて暴力団を排除していく体制が整備されたところであり,引き続き関係者と密接に連携し,社会からの暴力団排除に努めて参ります。

 

【「豊かな地域づくり」への挑戦】

 次に,「豊かな地域づくり」の分野における取組でございます。

過疎地域の根本的な課題解決に向け,平成22年度から「過疎地域の未来創造支援事業」に取り組んでいるところでございます。

本年度から対象9市町の全ての計画が実施段階に入ることから,支援を本格化するため,5月には,部局横断的な支援体制として,「未来創造バックアップ会議」を設置したところであり,今後,市町の計画が着実に実施され,将来を担う若者などの定着が図られるよう,総合的に支援を行って参ります。

 また,中山間地域の産業としても大きな可能性のある観光につきまして,島根県と連携し,共通するテーマ等を活かした振興施策を推進するため,両県及び両県の観光連盟で構成する「広島県・島根県観光連携協議会」を4月に設立したところでございます。

今後,大都市圏での合同PRや,両県の魅力的な観光素材を活用した旅行商品の造成など,より効果的な振興策を講じて参ります。

次に,道路等の社会資本につきましては,引き続き,「社会資本未来プラン」を着実に推進するとともに,東日本大震災を踏まえた災害に強い県土づくりを進めていくことが期待されています。

このため,同プランに掲げた7つの施策区分や事業の種別を超えた「社会資本整備の優先順位」を設定いたしました。

今後は,この優先順位を踏まえ,限られた財源を有効に活用し,厳しい財政状況の中にあっても,社会資本の整備を効果的・効率的に進めて参ります。

 次に,国際平和拠点の形成を図るため,平成25年8月に開催する「ワールド・ピース・コンサート」に向けて,「ピース・アーチ・ひろしま」プロジェクトを展開しております。

4月から県内市町で開催しているリレーコンサートに加え,8月には,国内外の著名なアーティストによるコンサートや「子どもピース音楽祭」を実施するとともに,今月2日には,県民総ぐるみで取組を進めるため,「ピースサポーター制度」を発足させたところでございます。

今後,世界に「平和」のメッセージを発信し,平和貢献の支援に繋げていく「ワールド・ピース・コンサート」を成功させるため,機運醸成に努めて参ります。

                                  

3.6月補正予算案等の概要

 さて,今回提出いたしました議案について,その概要をご説明申し上げます。

 まず,一般会計補正予算につきましては,「ひろしま未来チャレンジビジョン」の実現に向けて,成長の原動力となる取組を一段と加速させる取組など,真に緊急性・必要性が認められる事業について適切に対応するという方針で編成したところでございます。

 具体的な補正の内容でございますが,先ほどご説明いたしました「ひろしま未来チャレンジビジョン」の加速化を図るための経費や,国の平成23年度第4次補正予算等を活用した緊急経済・雇用対策について予算を計上しております。これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は19億368万円となり,本年度予算の累計額は,9,323億6,368万円となります。

 また,公の施設の管理運営業務を指定管理者に委託するため,一般会計及び企業会計におきまして,それぞれ,債務負担行為予算を計上しております。

 次に,予算以外の議案につきましては,「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例」などの条例案8件,人事案件としては,「広島県公安委員会委員の任命の同意について」の1件,その他の議案では,「公共下水道の汚泥の処理に関する事務の事務委託に関する協議について」の議案など4件を提出しております。

 また,報告事項として,専決処分のほか,平成23年度繰越明許費繰越計算書,県が資本金の四分の一以上を出資等している法人の経営状況説明書などを提出しております。

 どうぞ,慎重にご審議いただいたうえ,適切なご議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

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