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平成23年広島県議会12月定例会(平成23年12月7日)

印刷用ページを表示する掲載日2011年12月24日

知事説明要旨

 12月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,当面する県政の課題などについてご報告申し上げます。

1. 円高,東日本大震災等国内情勢を巡る課題 まず,国内経済を巡る情勢についてであります。
 我が国の経済は,東日本大震災の影響から持ち直してきているものの,急速な円高の進行・高止まりや欧米経済の停滞感が,景気の先行きを下振れさせる重大なリスクとなっております。
 県内の景気につきましても,円高の影響や海外経済の減速などから,生産の操業度を引き下げる動きがみられ始め,主要企業においては,今年度の業績予測を下方修正するなど,経営環境は非常に厳しい状況にあります。
 また,県内の雇用・労働情勢としましては,本年10月の有効求人倍率は0.82倍と,回復傾向にあるものの,依然として厳しい状況が続いております。
 円高の是正に向けては,自動車産業をはじめ,輸出型産業への依存度が高い本県経済にとって重大な影響が憂慮されるため,私も直接他県知事との連携を図り,政府及び日銀に対し,為替政策等,断固たる取組の早急な実施について,重ねて要請を行ってきたところであります。
 この間,政府においては「円高への総合的対応策」を講じることとし,先月下旬には,緊急雇用対策基金の増額・延長など雇用確保等の関連予算や東日本大震災及び原子力災害についての本格的な復興予算からなる第3次補正予算が成立いたしました。
 このため,本県といたしましても,国の第3次補正予算に対応し,この度の12月補正予算において,緊急雇用対策基金を積み増すとともに,未就職卒業者等の就業に必要な知識・技能の習得や,年間を通じて切れ目なく離転職者の就職支援を実施するための債務負担行為の設定など,雇用関連の支援策を追加いたしました。
 また,円高の影響により売上高の急減に苦しむ県内中小企業者等の資金繰りに対して,県費預託融資制度の要件を緩和して支援を拡充するとともに,一層の高付加価値化など国際競争力の維持・強化に向けた中小・中堅企業の取組を支援するため,企業立地促進助成制度を拡充したところでございます。
 これまでの補正予算等による支援策も含め,切れ目なく的確に緊急経済・雇用対策を講じて参ります。
 次に,東日本大震災や原子力災害からの復興につきましては,この度成立した国の第3次補正予算等による本格的な復旧・復興の取組により,一日も早く再生を成し遂げていくことが求められるところであります。
 本県といたしましても,かき養殖の再生や農産物の販路拡大など様々な面での支援に取り組んできているところであります。
 この度の12月補正予算におきましては,本格化する農地・農業用施設の復旧や,福島県が全県民を対象に実施する「健康管理調査」に協力するための職員派遣を行うほか,本県への避難者を対象とした民間賃貸住宅の借上げも行うこととしたところであり,今後とも,被災地や避難者の状況に応じ,的確な支援を展開して参ります。
 また,東日本大震災を踏まえた県の地域防災計画の見直しにつきましては,市町の機能が喪失した場合の対応や効率的な救援物資調達のための見直しなど,災害対策に関する国の検証等を待たず,県独自に取り組める事項について,市町や関係する民間事業者等も交え,年度内の整理を目指して検討を進めております。
 また,県単独では十分な応急対応がとれないような大規模広域的災害の発生に備えては,あらかじめ支援相手を定めて被災地ニーズに応じた迅速な支援を行う,カウンターパート制の導入について,先月,中国・四国地方9県で合意いたしました。
 さらに,岡山県や山口県とともに,島根原子力発電所で,万が一,原子力災害が発生した場合の広域的な避難先の確保について,島根県及び鳥取県に協力することといたしました。
 この度の12月補正予算におきましても,国の第3次補正予算を活用した公共事業を行うこととしており,本県における防災・減災対策の一層の推進に努めて参ります。

2. 当面する県政の課題 次に,当面する県政の課題についてであります。
 まず,先日,ユネスコの無形文化遺産保護条約政府間委員会において,「壬生の花田植」が,世界無形文化遺産に登録されることが決定されました。
 本県の貴重な文化財が,世界の文化を代表し,後世に承継すべき遺産として認識されたことは,大変意義深いことであり,今日まで保存に努めてこられた関係者の方々に心から敬意を表するものであります。
 今後は,厳島神社や原爆ドームとともに,世界に誇る貴重な文化遺産が本県にあることを積極的に情報発信し,本県文化の発展と地域の振興に役立てて参ります。
 次に,「国際平和拠点ひろしま構想」の策定につきましては,核兵器のない平和な国際社会を実現するため,核兵器廃絶のプロセスや復興・平和構築などの分野において,世界の中の広島として果たすべき使命と役割等を,10月末に,同構想策定委員会で取りまとめていただきました。
 この構想とその実現に向けた取組について,広く国際的な理解と協力を得るため,先月,国連本部や米国政府等を訪問するとともに,国際的な援助団体とも事業連携に向けた協議を行いました。
 国連本部では,潘基文国連事務総長から,全面的な支援の表明をいただくなど,構想への期待の大きさを感じるとともに,世界から見た広島の使命と役割を再認識したところであり,今回築いた各方面とのネットワークを活かして,世界中のリーダーや研究者,NGOなどが集い,核兵器廃絶と平和構築のための幅広い活動を活発に行う「国際平和拠点ひろしま」の実現に向けて,全力を尽くして参ります。
 次に,鞆地区における道路港湾整備事業につきましては,鞆地区の将来のあり方と深く関わるため,地域の将来に禍根を残すことがないよう,住民同士が話合いを積み重ねていくことが大切であるとの観点から,県として,鞆地区地域振興住民協議会を主催しているところでございます。
 協議会では,これまで1年半にわたって,真摯な話合いが積み重ねられた結果,多くの共通認識が確認され,相違点についても,お互いの理解が進んできており,話合いは大詰めが近づいているものと認識いたしております。
 先月の第18回協議会では,「協議会としては一つの区切りを迎えたのではないか」との仲介者の発言もあり,住民協議会として住民への説明会を行った上で,最終的な取りまとめをする予定となりました。
 今後,住民協議会の取りまとめを踏まえ庁内検討を行い,福山市とも調整の上,事業につきましての最終的な決定をして参りたいと考えております。
 また,広島高速5号線につきましては,先月27日に第6回トンネル安全検討委員会を開催したところであり,今後も引き続き,広島市及び広島高速道路公社と連携し,トンネル安全検討委員会の結論が早期に得られるよう努めて参ります。
 次に,環境への負荷の少ない持続可能な社会づくりに向けて,昨年度新たに第3次「広島県環境基本計画」を策定し,「低炭素社会の構築」や「循環型社会の実現」などを目標に,施策の展開を図っておりますが,地球温暖化防止等の今日の環境問題への対応には,あらゆる主体が考え,行動していくことが不可欠であります。
 このため,本定例会におきまして,自動車使用に係る環境への負荷軽減や事業活動に伴う温室効果ガスの計画的な排出抑制への自主的取組を一層促進することとし,関係条例案を提出しております。
 併せて,本年度末で現行の課税期間が経過する「ひろしまの森づくり県民税」につきましては,依然として手入れが必要な森林が多く存在し,引き続き県民の理解と参加を得ながら森づくりに取り組む必要があることから,事業評価委員会からのご意見も踏まえ継続することとし,関係条例案を提出しております。
 また,太陽光発電等再生可能エネルギーの普及促進につきましては,今月1日から,福山市で中国電力のメガソーラーが運転を開始したことに加え,5日には,竹原工業・流通団地へ,発電容量約4.3メガワットの商業用メガソーラー設置を計画する民間事業者と,立地協定を締結したところであり,今後とも幅広く県内でのメガソーラー設置が進むよう,積極的に取り組んで参ります。
 また,住宅用太陽光発電につきましては,学識経験者や関係業界などで構成する検討会において,電力固定価格買取制度に内在する課題等も踏まえ,基金の仕組みを取り入れた普及支援方策について,中間まとめをいただいたところです。
 県といたしましては,より多くの県民や事業者等が住宅用太陽光発電の導入に参画できるよう,ご提言をいただいた基金構想の具体化に向け,積極的に取り組んで参りたいと考えております。
 次に,病院事業につきましては,今年度「広島県病院事業経営計画」の中間見直しを行っているところであり,この度,見直し計画の骨子について取りまとめたところであります。
 この見直しでは,高齢化の急速な進展に伴い,今後増大・高度化していく医療ニーズに適切に対応するため,県立広島病院の救急医療をはじめとした各種の医療機能等のさらなる充実・強化を目指すとともに,一層の経営基盤の強化を図っていくことなどを骨子としており,そのための医療提供体制を強化することとし,関係条例案を本定例会に提出しております。
 次に,10月に開催された政府の地域主権戦略会議において,国の出先機関廃止に関し,広域連合を基本的な移譲先として,平成26年度中の事務・権限の移譲を目指し,来年の通常国会に関連法案を提出する旨,総理自らの方針表明がございました。
 こうした状況も踏まえ,同月の中国地方知事会において,国の出先機関の事務・権限の移譲について,広域連合を念頭に検討を進めていくこととしたところであります。
 今後,議会の皆様をはじめ,幅広く各方面からのご意見をお伺いしながら,具体的な検討に取り組んで参りたいと考えております。

3. 平成23年度主要施策 次に,平成23年度当初予算における主要施策等について,ご報告を申し上げます。

【「人づくり」への挑戦】 まず,「人づくり」についてでございます。
 まず,産業人材の確保につきましては,県内企業へのUIターン就職の促進を図るため,東京及び大阪におきまして関東,関西の24大学の就職担当教員や職員と,県内ものづくり企業等延べ46社との交流会を開催し,求人・就職活動に係る,大学と企業との関係構築を図ったところでございます。
 また,海外からの人材確保に向けては,広島大学や県内企業との連携のもと,10月に,タイ,インド,ベトナムからの留学生を広島大学に受け入れ,県内企業が海外展開する際のキーパーソンとなる人材の育成に取り組んでいるほか,海外からの留学生の受入促進を図るため,中国,韓国,ベトナムの3か国,6都市において開催された「日本留学フェア」に,県として初めて参加し,広島の留学環境についてPRを行ったところでございます。
 また,障害のある生徒の,就職意欲の向上や企業等への雇用促進に向け,本県独自の認定資格の開発や技能検定の実施について重点的な取組を進めており,今月には,雇用者である関係企業団体等からの意見も踏まえて開発した新たな認定資格について,接客及び清掃の分野の技能検定を実施することとしております。
 次に,今年度の広島県職場環境実態調査結果によれば,県内における男性の育児休業取得率は1.2%から4.6%に上昇いたしました。
 こうした状況も踏まえ,「いきいきパパの育休奨励金」や,男性の育児休業等促進キャンペ-ンの展開により,男性の育児休業取得に向けた職場環境の,さらなる整備促進に努めて参ります。
 また,この度の12月補正予算において,県の女性の就職相談窓口と国のマザーズハローワークの一体化により,女性の就職支援におけるワンストップ体制を充実することとしたところであり,仕事と子育てを両立できる環境づくりの一層の推進を図って参ります。

【「新たな経済成長」への挑戦】 次に,「新たな経済成長」についてでございます。
 ひろしまイノベーション推進機構につきましては,先月,県内外の金融機関をはじめ政府関係機関などから65億円余の出資を得て,投資事業有限責任組合が新たに設立され,6月に設立済みの40億円余と合わせ105億円余の資金を確保したところでございます。
 現在,運営会社において,第1号案件の実施を目指して調査等に鋭意取り組んでいるところであり,その状況につきましては,今後とも,県議会や県民の皆様に適宜ご報告して参ります。
 次に,アジアを中心とする海外成長市場を対象としたビジネス機会の拡大に向けては,10月に四川省成都市で開催された「第12回中国西部国際博覧会」に広島県として初めて出展をいたしました。
 約70万人の来場があり,「環境・省エネ」に焦点を当てた県内産業や観光面での魅力を広くPRし,参加企業からは,現地企業等から高い注目を集めることができたとの評価をいただいたところであり,県としても引き続き積極的な支援を展開して参ります。
 次に,観光・交流産業の振興に向けては,この度,「瀬戸内ひろしま,宝しま」をブランドキーワードとし,瀬戸内と広島のイメージの一体化と,意外と知られていない広島の沢山の宝の魅力に気づいていただくことを基本的な趣旨とする,観光地「ひろしまブランド」の構築に向けた新たなコンセプトを策定したところでございます。
 また,広告映像の制作や演出などにおいて数々の実績を有する専門家に観光地「ひろしまブランド」の構築に向けたアドバイザーとして就任していただき,今後,大河ドラマ「平清盛」を活用した誘客促進と併せて,新コンセプトによる各種の広告媒体を活用したプロモーション活動に取り組み,大型観光キャンペーンを展開して参ります。
 なお,「平清盛」につきましては,来年1月14日から宮島と音戸の両ドラマ館を結ぶ「きよもりブルーライン」の運航を開始する予定としており,ドラマの放映開始に合わせて,平清盛ゆかりの地への,時宜を得た効果的な誘客促進に取り組んで参ります。
 さらに,中山間地域における観光資源の開発につきましても,宝である地域の強みを活かす取組を支援しており,先月からは,島根県とも連携して,「食の道」や「たたらの道」などをテーマに,中山間地域の観光地を訪ねるモニターツアーも実施しているところであります。
 こうした取組により,あらゆる資源や強みを広島の宝として活かし,県内全域にわたって観光・交流産業の振興を図って参ります。
 次に,県内産業団地への企業立地につきましては,10月末に2件の立地協定を締結し,尾道流通団地及び河内臨空団地の分譲率が100%となったところであり,今後とも,トップセールスなど積極的な企業誘致活動に取り組み,本県への投資促進に努めて参ります。
 また,林業につきましては,国からの基金措置も活用して間伐の実施や森林整備の促進のほか,効率的な流通加工体制の確立に努めているところでございますが,国の第3次補正予算による基金事業の充実や実施期間の延長に伴い,この度の12月補正予算におきまして,基金を増額することとしております。

【「安心な暮らしづくり」への挑戦】 次に,「安心な暮らしづくり」についてでございます。
 まず,地域医療体制の確保に向けましては,「広島県新地域医療再生計画」に基づく事業について,10月に国からの内示を受けたところであり,この度の12月補正予算において,地域医療再生基金へ事業の財源を積み立てることとしております。
 これにより今後,ドクターヘリ専用機の導入など,計画的に医療提供体制の充実を図って参ります。
 また,広島都市圏における救急患者の受入困難事案の解消に向け,広島市との連携により,広島市民病院が一旦受け入れて初期診療を行う運用を10月から開始したところであり,引き続き救急医療体制の強化を図って参ります。
 次に,障害者の自立及び社会参加の推進に向けて,12月を広島県障害者福祉強調月間とし,今年8月に鳥取県知事から直接提案のございました「あいサポート運動」を,本県も連携して実施することとし,フォーラムや美術展の開催などを通じ,誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向けた環境づくりに取り組んで参ります。
 次に,安全・安心なまちづくりに向けて,これまでで最も被害の少ないまちなどを目標とする「なくそう犯罪」ひろしま新アクション・プランによる取組を本年1月から進めているところでありますが,10月末における県内の犯罪件数は,昨年同期と比べ8.4%減少するなど,順調に成果が現れつつあります。
 引き続き,日本一安全・安心な広島県の実現を目指し,地域と一体となって,女性や子どもなどの犯罪弱者を守る身近な犯罪の抑止や,少年非行防止総合対策などに取り組んで参ります。

【「豊かな地域づくり」への挑戦】 次に,「豊かな地域づくり」についてでございます。
 「瀬戸内 海の道構想」の推進につきましては,県のプロジェクト事業に加え,民間企業やNPO法人,地域活動団体等による公募事業につきましても,今年度10件を選定し,多様な主体の参加による戦略テーマの推進を図っているところであります。
 引き続き,「瀬戸内ブランド」の形成を目指して,地域の知恵とノウハウを結集して取り組んで参ります。
 また,広域的な連携による構想の推進母体となる「瀬戸内プラットフォーム」の設立について,岡山県や愛媛県をはじめ近隣県からの賛意を得たところであり,今後,鋭意その具体化を図って参ります。
 また,「過疎地域の未来創造支援事業」により,中山間地域において将来的に若者が定着できるような計画的な取組を支援しているところであり,今年度,庄原市では,尾道松江線の開通等を睨んで,高野地域の統一ブランドによる特産品の販売が始まり,また世羅町では,12名の新規就農希望者を迎えて農業の実践研修が開始されるなど,仕事づくりを中心とした取組が順調に進められております。
 引き続き,魅力ある中山間地域の形成に向け,他の過疎自治体における取組につきましても,積極的に支援して参ります。
 また先月,放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE)では,国際原子力機関(IAEA)と被曝線量測定技術の普及への連携・協働について合意したほか,世界各国の医療関係者等を対象に放射線の人体影響をテーマとした「国際シンポジウム」を広島で開催するなど,放射線被ばく者医療分野における国際的なネットワークの確立に向けた取組を進めております。
 県といたしましても,こうした広島の世界への貢献と国際協力の推進に資する取組を積極的に支援して参ります。

4. 補正予算案等の概要 さて,今回提出いたしました議案につきまして,その概要をご説明申し上げます。
 まず,補正予算案についてでございます。
 先ほどご説明いたしました,国の第3次補正予算を活用した防災・減災対策などに必要な経費のほか,国からの追加交付に伴う地域医療再生基金への積立金などを計上しております。
 これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は83億7,695万円となり,本年度予算の累計額は9,558億9,663万円となります。
 次に,予算以外の議案といたしましては,人事委員会の給与勧告などを踏まえ,職員の給料月額等を改定する条例案など15件,人事案件として「広島県収用委員会委員の任命の同意について」の1件,その他の議案では,「工事請負契約の締結」など14件を提出しております。
 また,報告事項として,専決処分報告3件を提出しております。

 どうぞ,慎重にご審議いただいたうえ,適切なご議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。


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