第11回県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし」(大竹市)
第11回 県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし」を次のとおり大竹市において開催しました。
1 開催日時
平成22年7月24日(土曜日) 13時30分~15時30分
2 開催場所
大竹市立図書館 2階 : 大竹市立戸一丁目6-1
3 内容
知事と参加者が「挑戦そして実現!引き出せ広島県の『底力』」をテーマに意見交換を行いました。
4 参加者
大竹市在住の方 11名
5 傍聴
約30名参加
6 その他
懇談の模様を録画でご覧いただけます。
こちら(インターネット放送局)からご覧ください。
7 結果概要
○ご意見の概要
(1)青少年健全育成活動の取組について
○参加者
大竹市暴力監視追放協議会では,暴力団の排除活動とともに,まず子どもたちを悪に染めないことが大人の務めということで,少年サッカー大会の開催や,毎朝のおはようの声かけ,見守り活動などと合わせ,ストーンアート製作を行っている。子どもたちと地域の大人たちがうまくふれあっていけば,暴走族も暴力団もいない,安心・安全で,明るく,活気にあふれた住みよいまちづくりができると信じている。○知 事
暴力団排除ということだけではなく,もっと原点まで返って活動されたらすごく効果があったということで,まさに根っこのところから一緒に活動されることがいかに大事かというのをすごく感じる。また,お金をかけなくても,子どもたちがみんな元気で,まじめに育っていくという,お金をかけることが大事じゃないということが本当にあらわれているような気がする。しかも,みんながボランティアで手伝うことによって,むしろ活動が広がっているということも感じる。
(2)本の読み聞かせによる子育て支援の取組について
○参加者
親と子の本の広場「あいいく館」を,毎週土曜日に開館し,子どもたちとお母様方と,絵本,おもちゃ,工作などをして過ごしている。子どもたちの言葉がしっかり育っていくために,絵本はその助けになるものであり,できるだけ子育て支援,そしてまた子どもたちのよりよい人間形成の助けになるような働きをこれからも続けていこうと思っている。
○知 事
このあいいく館も,皆さんが手伝っているが,潤沢なお金や補助があるというのではなくて,皆さんがどうしたらいいかと考えられること自体がその活動の輪を広げていっているという印象を受ける。関わっている皆さんが人ごとではなくて,全部自分がやらなければというか,そういうふうになっていくのがすばらしいなと感じる。
(3)耕作放棄地対策の取組について
○参加者
耕作放棄地の増加を何とかしたいという思いから,松ヶ原振興協議会をつくり,どうしたら地域が元気になるかということで,2年前に,みんなが作っている野菜を直売する「わくわくファーム」を立ち上げた。どんどん若い人達が一緒に野菜を作るようになり,暮せたらなというのが希望である。一番の売りは,農薬をほとんど使っていないことである。
○知 事
わくわくファームでは,無農薬とはあまりうたっていなかったが,減農薬と言えばもっと買いたい人がたくさんいるのではないか。皆さんが毎週出荷され,張り合いもでてきている。
(4)伝統芸能(神楽)の継承の取組について
○参加者
大竹高校2年で,谷和神楽団に所属している。部活の先輩に誘われ見に行ったのが最初で,何度か見学しているうちに,とてもかっこいいと思い,自分もやってみたいと思ったのがきっかけである。今は舞子頭の指導のもと,舞の練習をしており,今年の秋までにはその役になりきって舞えるように週2回の練習に励んでいきたい。
○参加者
私も大竹高校2年で,谷和神楽団に入団している。谷和は,大竹市内から西に17kmぐらい上がったところにある人口25人の小さな集落で,谷和神楽団は,明治初期ごろから約130年の伝統があると言われている。週2回,夜8時から10時まで練習しており,私は,主に笛をやっているが,練習がないときは,家でDVDを観て練習をしている。今年の秋には一人で笛が吹けるように練習を頑張っていきたい。
○知 事
クラブ活動と両方で大変だが,好きなことをやっていることが一番だから,勉強も大事だけど,そうやって打ち込めるものがあったらいいと思う。頑張って欲しい。
(5)カキの販売促進の取組について
○参加者
大竹の玖波でカキの養殖業をしている。玖波漁業生産組合として,カキをいかに全国的に売るかということに取り組んでおり,大竹の特産品グループにお願いをして,「きたひ」と言う干しカキを開発し,毎年3月頃生産している。大竹にもいろいろなものがあると全国的にPRしていきたいと思っている。
○知 事
カキはもちろん生食用やレストラン用に出荷するものが多いと思うが,いろいろな付加価値で売れるようになると,もっといいと思う。是非広めていただきたい。
(6)伝統文化(大竹手すき和紙)の保存の取組について
○参加者
大竹手すき和紙保存会として,手すき和紙の保存に取り組んでおり,年間を通して150~200人近くの体験者を受け入れている。しかし,すき手が高齢化する中,現在,2名だけが交互にすいている状態となっている。また,原料となるコウゾの生産も大変な作業で,確保が難しくなっている。
○知 事
実は先程商店街で便せんとはがきを何枚か買わせていただいたが,長野の和紙も一緒にいただいて,大竹のほうがいいから書き比べてくださいと言われた。全国に自慢できる品質のようだ。現状はよく分かった。でも,伝統ある文化なので,なくなるのはもったいない。
(7)プラントメンテナンス業の技術継承の取組について
○参加者
プラントメンテナンスを営んでいる。大竹は,化学とパルプで,世界でも最先端の付加価値の高い製品を生産している。メンテナンスの職人が大竹・岩国地区のプラントを支えてきたが,我々の業界も高齢化が進み,後継者問題,若い人の育成が課題となっており,企業同士で一体となって,技能の教育施設の設置などを考えているところである。
○知 事
先程訪問した企業でも言われていたが,若い人に教える時間がないというのがもったいない感じがする。大竹の産業としてつなげていきたい。
(8)伝統文化(ひな流し)の継承の取組について
○参加者
大竹市青少年育成市民会議では,青少年の心に文化の芽を育てようと,大竹に江戸中期のころから伝わる「ひな流し」の行事を続けている。伝統文化の継承は,地域の意識の向上,認識の深さが大変必要なのではないかという思いがしている。大竹市には,本当に温かく見守っていただいているので,県にもご理解をいただければうれしい。
○知 事
伝統文化の継承は,地域の人がどういうものかを理解して,それをサポートしていくことが必要だということで,今日はいくつか伝統的なもののお話があったが,伝統を守っていかれたいとの思いがよく分かった。
(9)夏祭りの開催を通じた地域活性化の取組について
○参加者
木野両国夏祭り実行委員会に参加し,毎年7月最後の土曜日に,尻相撲大会を開催している。地元の小学校の統廃合問題が持ち上がった時に,地域も何か活性化しなければいけないということで始めた祭りで,今年8回目になる。残念なことに,来年,木野小学校がついになくなってしまうが,地域の皆さんのまとまりがすごくできたことはよかったと感じている。祭りは続けていきたいが,PTAや小学校の力が借りられなくなるなどの問題もある。
○知 事
私が勝手に言っては大変申し訳ないが,地域の中に根付いているので,こういう活動は是非継続していただきたい。今日幾つか出ている話と同じように,そうやって頼らなければいけない人が増えれば増えるほど,逆に活動が広がるかもしれない。
(10)水産業の振興について
○参加者
阿多田島の漁協では,長年,50年以上も海浜清掃を行っており,去年はその功績を認められて勲章までいただいた。私自身は,魚の稚魚づくりを30年以上やってきたが,魚価も低迷しており,もう来年からはやめようということになっている。
○知 事
稚魚づくりについては,県の事業が競合して民業を圧迫しているようなことはないか。
○参加者
多少あるとは思うが,今まで県の水産試験場にはいろいろな援助を受けてきた。かつては日本で先進県だった広島の養殖であるが,今はかなり下のレベルになっている。日本人の魚の消費量が最盛期の半分ぐらいになってしまい,それから外国からもどんどん魚が入ってきている。漁業は関税がほとんどないのと同じで,もう少し何か考えてほしいなと思う。島も,かつては広島県唯一の大規模な養殖場で養殖魚を県民の皆さんに供給してきたが,魚価の低迷や売れなくなったということで,だんだん衰退していっている。新しい産業を興そうといろいろ努力はしているがなかなか難しい。何とか水産業にも県で力を入れてもらって,かつての繁栄を再現できるようにしてもらいたい。
○自由討論
(1)合併について
○知 事
大竹市は,合併されていないが,合併について何か考えられたことはあるか。
○参加者
松ヶ原は地域性があると思うが,大竹市の飛び地なので,やっぱりいろいろな面で不都合はあると思う。だから,大竹市になるにせよ,廿日市市になるにせよ,松ヶ原の場合は一つになったほうがいいと感じている。
○参加者
合併をしていないので,合併の苦労は分からないが,まず一番に言えるのは,法務局や職安は出張所が一応あるが,県の施設がみな廿日市へかわっていったという苦労は確かにある。でも,大竹市の場合,小さいながらそれなりの市である。岩国とのつながりは,大竹には切っても切り離せないものがある。
(2)大竹市の自慢できるところについて
○知 事
大竹の中で,いいところというか,地域性として自慢できるところはどんなところがあるか。私は先ほどお伺いしていて,皆さんが自分たちのお力でいろいろなことをやられて,社会的な活動が盛んな印象があるが,どうか。
○参加者
大竹も捨てたもんじゃなく,熱い人はいっぱいいる。ストーンアートを通じて,石を運んでくれる人など,いろいろと出てきたので,熱い人は多いかなと思う。
○参加者
私たちはもともと大竹の人間ではないが,山あり,海あり,そして川もあり,自然の豊かなことと,何よりも本当に人のつながりがとても温かかったので,大竹に帰ってきた。
○参加者
私は,非常に温かい触れ合いができるまちではないかと思う。それと,ボランティアに長く関わっているが,皆さん,こういうことは自分たちでできるということをいち早く認識をされて,参加をくださるので,泥にまみれて汗をかくことに違和感がない。
○知 事
今日何回か出てきているテーマであるが,お金とか資源がたくさんあったらそれでうまくいくかというと,必ずしもそうではないような感じがする。なかったり工夫しなければいけないからこそ,一生懸命考えて,工夫をされて,つながりが深まっているような感じがする。
(3)将来とも広島県に住みたいかについて
○知 事
高校生の二人は,これから大学に入って,就職をするときに,広島県に残りたいと思うか。どこか外に出たいなと思っているか。
○参加者
ずっと住んでいるところなので,広島にいたい。
○参加者
私も,生まれてからずっと大竹市に住んでいるので,大竹市も出たくない。
○知 事
実は,これを聞くと,広島県外に出たいという高校生がほとんどである。私は仕事として,みんなからそういうふうに言われない広島県をどうつくったらいいかというのを一生懸命考える立場なので,いろいろと聞いている。なぜ出たいのかと聞くことが多いのだが,今日みたいにずっと住んでいるからここがいいということは,ここに住むことが好きだということであり,そうするとみんなに残ってもらえるのだということがよく分かった。ありがとう。
(4)産業観光について
○参加者
せっかく大竹にいろいろな工場があるので,工場見学ツアーといったものができればいいかなと思う。
○知 事
私は,コンビナートをライトアップしたら,夜,きれいなのではないかと思っている。
○参加者
夜,瀬戸内海側から来ていただいて,宮島の裏を回っていただいたら,岩国から大竹にかけて,大変すばらしくきれいである。
○知 事
今,ちょうど広島湾のライトアップというのをやっていて,宇品から船を出して,夕方ライトアップを見ながら来るのであるが,もうちょっとこっちに来たら,またいいのが見えるかもしれない。
(5)カキの日について
○参加者
11月にカキの日というのがあるが,3月に変えていただきたい。3月ごろが一番おいしいいうことで,私どももカキ祭りをやらせていただいている。
○知 事
今のカキの日は,多分シーズンの初めか何かで,そこから盛り上げるためにやっているのではないか。今,瀬戸内 海の道構想というのをつくっており,その中でもカキ,海産物は非常に大きな要素で,カキ祭りみたいなものもできたらいいなという議論もいろいろあるので,是非各地のカキ祭りの一つとして盛り上がるようにしていただければすごくいいかなと思う。
(6)県職員の給与カットの中止について
○参加者
がっかりさせられたことが一つある。大竹市でも人件費を削減されているのに,どうして広島県は削減をやめたのか。
○知 事
削減をやめたということはなく,給与の臨時カットは,臨時なのにずっと11年ほど続けていたわけなので,これはちょっと約束が違うのではないかということで,今年は少なくともカットをお休みにした。人件費を上げたわけではない。本来払うべき人件費を払わないできたものを,きちんと一回払いますというふうに今年した。なぜかというと,今年1年かけて人件費も含めた財政再建のあり方という計画をつくっており,当然その人件費をどうするかの議論がされなければいけないわけである。きちんと議論する上でいったん白紙に戻して,議論して,これからまた向こう先のことをやりましょう,考えましょうということである。
(7)鳥獣被害の対策について
○参加者
山の中に住んでいるが,一番困っているのがイノシシの被害である。私たちにできることは,私たちで頑張ってやっているが,どうにもならないハード面で,何とか手を貸していただけるようお願いしたい。
○知 事
鳥獣被害,特にイノシシについては,かなり県としても力を入れて,フェンスをつくったりなどいろいろやっているが,現実はなかなか追いつかない状況になってきている。ここ数年,かなりやったが,それ以上に増えてしまっている。これは森づくりというか,林業の対策も含めて,抜本的にいろいろやっていかないと難しいのかなという感じはしている。
(8)ブックスタート運動について
○参加者
赤ちゃんや幼児のときに絵本を手渡すブックスタート運動というのがあり,全国的には広まっているが,広島県でも是非その活動を進めてもらえたらうれしいなと思う。
8 現場視察
懇談に先立ち,大竹市内4箇所を現場視察しました。
○野菜直売所「わくわくファーム」
耕作放棄地を解消するため,松ケ原町振興協議会が設置した,住民が生産した農産物を出荷できる野菜直販所を訪ね,取組についてお話を伺いました。
○ストーンアート製作
青少年健全育成のため,大竹市暴力監視追放協議会が実施している,子どもと大人の共同による巨石アート製作活動を訪ね,取組についてお話を伺いました。
○プラントメンテナンス業の現場
大竹市の中心産業である石油化学工業の,ポンプやコンプレッサー等のメンテナンス業務を行っている中小企業の現場を訪ね,若い世代への技能継承の取組についてお話を伺いました。
○親と子の本の広場「あいいく館」
絵本を通して親子の絆や子どもの心を育てるため,ボランティアにより,毎週土曜日に読み聞かせや手遊び,本の無料貸出し等を行っている「あいいく館」を訪ね,取組についてお話を伺いました。
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