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平成22年広島県議会6月定例会(平成22年6月11日)

印刷用ページを表示する掲載日2011年12月1日

知事説明要旨

6月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,県政の運営状況についてご報告申し上げます。

 

1 県政運営に当たっての基本的な考え方

 私は,広島県の持つ底力を最大限に引き出し,あらゆる分野で,新たな活力を生み出すための様々な挑戦を行うことを政策理念とし,県政運営に当たりましては,「県民起点」,「現場主義」,「予算主義から成果主義への転換」という三つの視点を基本に据え,平成22年度当初予算を編成いたしました。

この予算をもとに,政策を着実に展開していくためには,三つの視点の徹底を図り,職員が一丸となって仕事に取り組む必要があります。このため,本年3月に「広島県職員の行動理念」を取りまとめたところであり,この行動理念の実践を通じ,県庁全体がその持てる力を最大限発揮できるよう努めて参ります。

次に,本年度の事業運営方針の主なものについて,ご報告いたします。

 第1に,本年度は,私の県政の実質的スタートの年でありますことから,まずは基本的な構想を練り上げ,今後4年間の重要政策の仕込みと基盤の整備に努め,しっかりと成果に結びつけたいと考えております。

 このため,概ね10年後を展望し,本県の成長戦略を明らかにする,「新たな総合計画」の策定に取り組んでおり,現在,総合計画審議会の小委員会において,「人づくり」,「新たな経済成長」,「安心な暮らしづくり」,「豊かな地域づくり」の重点分野毎に,将来像や今後の取組の方向性などについて,ご議論いただいているところであります。今後,7月には中間報告案を取りまとめ,皆様のご意見も伺いながら,早期の策定に向け,取り組んで参ります。

 第2点目は,財政規律の確保と財政健全化の推進でございます。

選択と集中により,重点分野に人的・財政的資源を振り向けるため,厳しい財政規律を確保し,財政再建を果たしていく必要があります。

このため,「広島県経済財政会議」のご意見も伺いながら,「中期財政健全化計画」と「行政システム計画」を年内に策定し,着実かつ計画的な財政健全化への取組を進めて参ります。

 第3点目は,県政コミュニケーションの充実であります。

県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし」は,今月5日の呉市での開催で8回を数えました。県民の皆様と直接意見交換をすると同時に,地域資源を見つけ出す貴重な機会と認識しており,その成果を県政に活かして参ります。

また,各自治体の首長等と懇談する「県・市町懇談会」は,今月1日の府中町を含め,6市町で実施したところであり,市町と共通認識のもとで一致協力して,各地域の様々な課題解決に資するよう,年度内にはできる限り全ての市町を訪問して参ります。

さらに,本県の情報発信力の強化に向けた,広報のあり方などについて検討しているところであり,現在調査している県民ニーズなどの分析を踏まえ,戦略的な広報の実践に取り組んで参ります。

 

2 当面する県政の課題

次に,当面する県政の課題についてでございます。

宮崎県での口蹄疫発生を受け,本県では,関係農家への緊急調査を実施し,異常がないことを確認するとともに,家畜伝染病予防法に基づく消毒命令と,消毒薬の無料配布を行い,感染防止の徹底を図っているところでございます。

先般も口蹄疫感染について,念のため警戒を要する事例が県内で発生いたしましたが,早期に情報発表を行うとともに,万が一の場合を想定し,態勢準備を行いました。

幸いに,検査は陰性との結果でしたが,この対応経験も踏まえ,畜産農家の負担軽減を図るための緊急支援資金を創設するとともに,農場や車両などの消毒に必要な資機材を整備するなど,初動防疫体制の強化を図ったところでございます。

今後とも,県と畜産団体等で構成する防疫連絡会議を通じて関係機関との情報共有を図るなど,防疫対策に万全を期して参ります。

次に,現在,国において検討されている,一括交付金や子ども手当等の新たな施策については,地方の立場に立った制度設計を行うよう,この3日に,国に対して提案を行ったところであります。

また,高速道路の料金割引制度の見直しにつきましては,生活交通の阻害につながる料金引き上げを行わないこと,また,既に高速道路料金等の影響を受けている生活航路の存続を図るため,迅速かつ適切な措置を講ずることを,この度の提案に先立ち,先月,国に対して強く要請したところでございます。

次に,広島エアポートビレッジ開発株式会社の民事再生手続きにつきましては,3月の債権者集会において再生計画案が否決されましたが,ゴルフ場の売却により債権者への弁済率を高めるという,新たな再生計画案で,手続きが継続されております。

県といたしましては,貸付金債権を最大限回収していくことが県民の皆様に対する責務であると認識しており,今月23日に予定されている債権者集会において,新たな再生計画案が債権者の賛同を得て可決され,着実に実行されることを期待しております。

次に,鞆地区における道路港湾整備事業に関しましては,先月15日に,2名の仲介者の参加のもと,「第1回地域振興住民協議会」を開催し,住民の方々から,鞆地区の振興やまちづくりに係る様々な課題について,率直なご意見をいただいたところでございます。

今後,こうした課題について,さらに議論を重ね,できる限り早期に,鞆地区の活性化に向けた合意形成が図られるよう努めて参ります。

次に,広島高速道路につきましては,本年4月の2号線及び3号線宇品・吉島間の開通により,広島高速道路と山陽自動車道,広島呉道路などが直結され,広島港から広島東インターチェンジへの移動時間の短縮が図られるなど,広域的な交通や物流の機能が飛躍的に向上したところでございます。

また,5号線につきましては,この7日にトンネル予定地の状況を確認し,住民の皆様のご意見を伺って参りました。引き続き,関係機関と連携を図り,トンネル安全検討委員会の検討結果が早期に得られるよう努めて参ります。

次に,広島西飛行場につきましては,現在就航している,鹿児島・宮崎線について,本年10月30日をもって路線が廃止されることになりましたが,本年1月の県知事・市長会議で,県による財政負担の方針と市における飛行場のあり方の検討について広島市長と合意したところであり,市の検討結果を踏まえ,最終的な結論を出して参ります。

また,本年11月に「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」が,広島市で開催されることになりました。本サミットは,広島県及び広島市による国際的な貢献に資するものであり,本県の中・長期的な価値向上にもつながるものと考えることから,会議の成功に向け,広島市と協力して支援を行って参ります。

 

3 平成22年度主要施策

【緊急経済・雇用対策】

次に,平成22年度当初予算における主要施策について,ご報告いたします。まず,経済・雇用の情勢についてであります。

県内の景気は,海外経済の改善などを背景に,自動車,鉄鋼などの分野で,生産が緩やかに増加するとともに,輸出関連企業で設備更新の動きが見られ始め,県内企業の平成21年度の決算は,マツダ株式会社の営業利益が2年振りに黒字に転じるなど,一部に明るい兆しも見え始めております。

その一方で,ギリシャの財政危機に端を発したヨーロッパの信用不安の影響など,懸念要素もあり,今後の県内企業の動向を注視する必要があります。

また,県内の雇用・労働情勢に目を向けますと,本年4月の有効求人倍率は,0.60倍と依然として低い水準にあります。

 こうした中,本県では,平成21年度補正予算と平成22年度当初予算を一体として,総額672億円の切れ目のない対策を講じ,その効果がいち早く発現できるよう,速やかな事業執行に努めているところでございます。

特に,雇用対策につきましては,情報発信機能の向上や相談体制の強化を図る一方,未就職のまま,高等学校,大学等を卒業した方々を対象とした,企業での就業体験を組み合わせた研修の実施などにより,引き続き,就職支援を行っているところでございます。

また,県庁では,知的障害や精神障害,発達障害のある方を,初めて,臨時職員として5名採用いたしました。こうした取組を通じて,障害のある方々の民間企業等における雇用の更なる促進につなげて参ります。

これらの事業に加えまして,この度の6月補正予算では,「雇用機会の創出」に重点的に取り組むこととしております。

 その主な内容を申し上げますと,市町が行う体験型観光の情報発信や地域特産品の販路拡大事業など,地域の創意工夫に基づき,継続的な就業機会を創出するための事業へ助成するとともに,民間保育所に子育て支援補助員を配置し,相談支援機能の強化を図る事業,さらに,民間団体からの企画提案により,短期の雇用創出を図る事業を追加で実施するなど,延べ人数で,新たに約千人の雇用機会の創出を図ることとしております。

 次に,新たな活力を創出するための重点事業についてご報告いたします。

 

【人づくりへの挑戦】

第1に,人づくりへの挑戦につきましては,今後5年間の次世代育成支援の総合的・基本的な計画として「みんなで育てるこども夢プラン」を本年3月に策定し,スタートさせました。今後,県民一人ひとりが,子どもと子育てを応援する意識を持ち,それを実践する地域社会づくりに取り組むとともに,子どもと子育てにやさしい生活環境の整備などを推進していく必要があります。

このため,この度の補正予算におきましては,子育て応援の機運を盛り上げるためのイベントの実施のほか,子育て家庭の社会参加を促進するため,商業施設等でのスロープの整備やイベント会場における託児室の設置などを支援する予算を計上し,安心して子どもを生み育てられる広島県づくりに向け,積極的かつ総合的に取り組んでいくこととしております。

 

【新たな経済成長への挑戦】

次に,新たな経済成長への挑戦でございます。

まず,広島版「産業革新機構」の設立に向けましては,本年4月から,国の設立した「産業革新機構」へ職員を派遣し,具体的な支援方策などを学ぶとともに,県内企業のニーズの把握や,金融・法律などの専門家からの意見聴取などを行っているところでございます。平成23年度の早い時期の設立を目指し,本県に必要なファンドの規模や機能のあり方などについて検討を進めて参ります。

次に,観光をはじめとする地域産業の活性化についてであります。

まず,「瀬戸内 海の道構想」につきましては,関係分野の専門家等による構想策定委員会を設置し,先月,第1回目の委員会を開催したところであります。今後,各委員の指導・助言のもとに,市場動向調査や実証事業を実施し,瀬戸内海への集客・経済効果増大に向けた課題把握と推進方策のあり方の検討を進め,年内を目処に,構想の基本的考え方,施策の展開の方向性などを取りまとめて参ります。

 次に,本年度は,県内各地がテレビドラマの舞台になるという話題性を活かし,来月から,JR西日本と連携した観光キャンペーンを展開するとともに,瀬戸内海地域での周遊型観光ルートの形成に向けた観光メニューの開発,観光素材の強化を図るための地元市町等の取組への支援などにより,国内外からの更なる観光客の誘致に努めて参ります。

また,私自身も,本年4月に,台湾の旅行会社や航空・海運会社を訪問し,広島県の魅力をPRしてきたところであり,その結果として,台北航空路線の増便,広島港寄航コンテナ船のベトナム延伸等の成果につながったところであり,今後とも,このようなトップセールスにも,積極的に取り組んで参ります。

 

【安心な暮らしづくりへの挑戦】

 次に,安心な暮らしづくりへの挑戦でございます。

地域医療の再生につきましては,「広島県地域医療再生計画」に基づく,医師確保対策等を本格的に推進して参ります。

本年4月には,地域で医療に携わる医師の養成を図るため,広島大学医学部に寄附講座を開設いたしました。今後,外来・訪問診療など,医学生に対する地域医療の実践教育を強化して参ります。

 次に,がん対策につきましては,「がん検診に行こうよ」推進会議を設立するとともに,民間企業等とがん検診の推進に関する協定を締結いたしました。

今後,こうした幅広い協力体制のもとに,がん検診の普及啓発や受診率の向上に向けた活動を積極的に推進して参ります。

次に,環境対策につきましては,地球温暖化防止のため,県民一人ひとりのエコ意識の高揚を図り,実践行動を促すことを目的に,今月から新たに毎月第一土曜日を「ひろしま環境の日」として定めました。

これを契機に,市町や企業・各種団体と一体となって,エコドライブ,エコ通勤,省エネ生活の実践等を繰り返し呼びかけることにより,県民の温暖化防止の取組を促進して参ります。

 

【豊かな地域づくりと真の地域主権の確立への挑戦】

次に,豊かな地域づくりと真の地域主権の確立への挑戦についてであります。

現在,国では,この夏の「地域主権戦略大綱」の策定に向け,一括交付金や国の出先機関改革,義務付け・枠付けの見直し,基礎自治体への権限移譲の4つの課題を中心に議論が進められております。

県といたしましては,この大綱が地域の実情や意見を真摯に受け止め,真の地域主権の確立にふさわしい内容となるよう,引き続き,国に対して,積極的な働きかけを行って参ります。

また,本年4月に,「過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律」が施行され,本県では,引き続き,16市町が過疎地域に指定されることとなりました。今後は,この改正法に基づく「過疎地域自立促進方針」と「県計画」を早期に策定し,地域の特色を活かした過疎対策を積極的に実施して参ります。

 

4 6月補正予算案等の概要

 さて,今回提出いたしました議案について,その概要をご説明申し上げます。   

まず,一般会計補正予算につきましては,先ほどご説明いたしました,雇用機会の創出を図る事業や子育てを支援する事業など,緊急経済・雇用対策を中心に予算編成を行った結果,歳入歳出予算額は25億6,811万円となり,本年度予算の累計額は9,388億8,811万円となります。

また,公の施設の管理運営業務を指定管理者に委託するため,一般会計,特別会計及び企業会計におきまして,それぞれ,債務負担行為予算を計上しております。この予算の設定に当たりましては,「行政運営刷新」の視点から検討を行い,原則5年間の指定管理期間としておりますが,県民文化センターなどの5施設につきましては,施設のあり方や運営方法等を引き続き検討することとし,施設を円滑に管理しつつ,その検討期間を確保するため,現指定管理者への継続を基本としてその期間を1年とすることといたしました。

 次に,予算以外の議案といたしましては,「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」などの条例案8件,人事案件として,「広島県人事委員会委員の選任の同意について」など2件,その他議案では,「工事請負契約の変更について」の議案など5件を提出しております。

また,報告案件として,専決処分のほか,平成21年度繰越明許費繰越計算書,県が資本金の二分の一以上を出資等している法人の経営状況説明書などを提出しております。どうぞ,慎重にご審議いただいたうえ,適切なご議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

 

追加提出議案(平成22年6月16日)

知事説明要旨

 ただいま追加提出いたしました議案につきまして,その概要をご説明申し上げます。
 去る4月20日に口蹄疫が宮崎県で発生したことを受け,本県では,家畜伝染病予防法に基づく消毒命令と,消毒薬の無料配布を行い,感染防止の徹底を図って参りました。
 また,今月6日には,検査の結果は陰性でありましたが,県内の繁殖用の和牛に異常が見られる事例も発生いたしました。このため,家畜市場等の開催が中止された場合に畜産農家の負担軽減を図るための無利子資金を創設するとともに,初動防疫体制の強化を図るために必要な資機材を緊急に準備することとしたところでございます。
 しかしながら,宮崎県では,9日に都城市,10日に宮崎市及び日向市等で口蹄疫が確認され,12日には農林水産大臣が口蹄疫のまん延を防止するため,口蹄疫対策特別措置法に基づき,大分県,熊本県,鹿児島県全域を車両等の消毒の義務を課す必要がある地域として指定するなど,口蹄疫の影響は,短期間に,広域的な広がりを見せ始めております。
 このため,本県で感染が拡大した場合を想定し,初動防疫体制の整備から踏み込んだ,まん延防止対策や畜産農家の経営支援対策を図るための補正予算案を追加提出したところでございます。
 具体的には,宮崎県のような,同一県内での複数の地域における同時発生の状況を踏まえ,消毒薬や防護服などを追加的に整備するとともに,畜産農家が行う自主的なまん延防止対策を市町と連携して支援して参ります。
 また,口蹄疫発生に伴い,家畜市場等が閉鎖を経て,再開した後,風評被害等により取引価格が低迷した場合に,直近1年間の市場平均価格等との差額を補てんする制度を創設し,畜産農家の経営安定を図って参ります。
 このほか,まん延防止対策に,全庁を挙げて取り組む体制を整えるとともに,疑いのある事例の発生時に,検査結果判明前における,家畜等の移動規制を迅速かつ確実に実行できるよう,規則改正を行ったところでございます。
 以上の結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は9,300万円となり,本年度予算の累計額は9,389億8,111万円となります。
 この財源といたしましては,財政調整基金からの繰入金を充当しております。
 どうぞ,慎重にご審議いただいた上,適切なご議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

 

追加提出議案(平成22年6月22日)

知事説明要旨

  ただいま追加提出いたしました議案は,この度,県議会議員から選任の監査委員が辞職されましたので,後任監査委員の選任について,県議会の同意を求める議案でございます。
 どうぞ,適切なご議決をくださるようよろしくお願いいたします。

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