第5回県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし」(庄原市)
第5回 県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし」を次のとおり庄原市において開催しました。
1 開催日時
平成22年4月24日(土曜日) 13時30分~15時30分
2 開催場所
庄原市役所庁舎 1階 :庄原市中本町1丁目10-1
3 内容
知事と参加者が「挑戦そして実現!引き出せ広島県の『底力』」をテーマに意見交換を行いました。
4 参加者
庄原市在住の方 10名
5 傍聴
約90名参加
6 結果概要
○ご提言の概要
(1)産業界と大学との連携促進について
○参加者
産業界と大学,研究機関を結びつけて,新しい事業や新商品の開発に携わっているが,大事なのは人であり,人を活かしていくことが重要。何かに頼るだけではなく,とにかくまず自分たちで動いて下地をつくっていくため,日ごろから頑張っている。
○知事
庄原での新事業や新商品開発で,一番可能性として大きい分野は何か。
○参加者
庄原の農産物を利用した,食べ物と環境関係の分野である。
(2) 行政,企業,市民が連携した森林整備の推進について
○参加者
今後,少子化が非常に深刻になり,経済に大きく影響を与えてくるのではないかと思う。どこでも若者の定住を考えていると思うが,地域の特性にあった定住対策を考える必要がある。
行政,企業,市民が連携して,森林整備ができないかと考えている。県内にいろいろと特区を作り,例えば庄原では森林整備の特区として取り組んではどうか。
○知事
森林税を使って里山の整備を補助する仕組みをつくっている。板橋自治区の「学びの森」では,企業も協力して,地元の人がボランティアで整備している。PRして,もっと活用してもらうことが必要。
若者をどう定着させるか,全国どこでもやっており,相当本気で取り組む必要がある。中山間地域であれば,農業や林業は大きな可能性となるが,受け入れ側もサポートする側も本気で取り組む覚悟が必要。
(3) 学校設備の改善について
○参加者
地元の小学校,中学校では給食用のトレイがなく,机の上に直に食器等を置いている。整備を要望しているが,県からも働きかけてほしい。
学校の先生は,提出書類のために夜遅くまで仕事をしている。子どもたちともっと触れ合えるよう,負担の軽減をお願いする。
○知事
教育委員会にお伝えするが,給食の出し方の工夫を,学校,職員,PTAなどが考えてみるのも一つの方法だと思う。行政による整備がベターなのは分かっているが,なかなかお金が出せないので,市民の方にどう力を出していただくか考えなければいけない。
(4) 過疎対策の推進について,介護人材の確保対策について
○参加者
地元の町は合併後,衰退が一挙に進み,以前の活力が失われている。現状を見ていただき,県政の中でどうするか考えてほしい。
訪問系の介護事業をやっているが,社会福祉法人は組織も大きく,税金面でも優遇され立ち向かえない。人材も大きい施設に流れ,人材不足で困っているので,訪問系の人材確保の施策を考えてもらいたい。
○知事
今年度,過疎指定されている市町について,まちの発展の計画を県も一緒に考えて作り,本気で支援していこうと考えているので,御協力いただきたい。
(5) 住民自治活動の推進について
○参加者
地域を活性化させるためには,住民自らがどこまでできるか,まずは地域にやらせてみることが大事。予算を付けたから何か考えろというのは大きな間違いであり,困ったときにどのようなサポートができるかを考えてもらいたい。
○知事
おっしゃるように,行政は,何が困っているかを見つけて,そこをサポートすることをこれからやっていくべき。現場主義を言っており,現場から政策提案するよう言っている。意識改革を進め,住民の役に立てるような県庁にしていきたい。
(6) 農業後継者への支援について
○参加者
国も県も法人に集中して支援を行っているが,農業後継者が忘れられているのではないか。後継者に対する支援をもう少し考えてほしい。
昨年,緊急機械リース対策事業が国から3回にわたって出されているが,高野町には全く伝わってこなかった。一部だけが恩恵を受けるのはよくないので,しっかり制度の広報をしてもらいたい。
○知事
農業後継者については,地域づくりも含めて大事なので,御意見をいただきながらどう支援をしていくか検討していきたい。
施策が周知されていないというのは大きな問題であり,国も県も市も同じ情報をベースにアドバイスできるよう心がけたい。
(7) 農業技術大学校の活用について
○参加者
県の事業仕分けの中に農業技術大学校が挙がったと聞いたが,廃止してしまうと,農業をやりたい若者が県外に流れてしまう。農業は,技術,農地,住居の課題から参入のハードルが高いので,大学校の2年間で技術を身に付けるのは重要。
庄原市では,農業をやりたい若者に休校になった学校の寮を開放しているが,この取組は地元とのつながりもでき,効果的なので,広島県のモデルとして実施してはどうか。
海の道1兆円構想では,海ばかりではなく,山の元気を是非組み込んでいただきたい。
○知事
大学校については,もっと効率的な運営ができるのではないかという指摘で,なくせということではない。
廃校の活用については,農業の若者以外にも,地域のたまり場的な使い方,子どもやお年寄りが集まるという使い方もあると思っており,今年いろいろ考えたいと思っている。
海の道構想では海の話がクローズアップされているが,それぞれの地域で別の形の観光や,活力の出し方があると思っており,地域ごとにあわせた取組も別途考えていきたいと思っている。
(8) 観光における広域連携について
○参加者
個人の商店の持っているノウハウを連携,融合させて新しい力を生み出していきたい。自分たち自身も考えていかなければいけないが,県でも支援をお願いしたい。
庄原市は,岡山,島根,鳥取と隣接していることから,是非ともこの4県にまたがった観光を企画していただきたい。
○知事
地域を思う心,愛する気持ちが一番大事であり,そういう力を大事にしていきたい。
他県との観光連携は当然で,連携してやらないとお客さんを呼ぶことはできないと思っているので,是非考えたい。
(9) 地域医療体制の確保について
○参加者
小児科の現状と病気に対する知識を学び,上手な受診の仕方を広める活動を行っている。庄原市には小児科が一つあるだけで,出産できる病院がない。安心して出産,子育てができるよう環境整備をお願いしたい。
○知事
小児科は先生の負担が大きく手が回らない状況となり,辞めてしまうという悪循環が起きているので,学習会で自分たちでできる部分をやっていただくのは本当にありがたい。産婦人科についても,一定の財政支援をしているが,なかなか出産ができるまでなっていない。大事なことなので,考えていきたい。
広島大学と岡山大学の医学部に地域枠を設けたり,地域医療に関する寄附講座を設けたり,関係機関と地域医療推進機構をつくって,地域の医師を確保していく取組もやっていく。
(10) 小規模校の存続について
○参加者
地元の高校は1学年3クラスであり,小規模校として再編のまな板の上に乗っている。なるべく自分の家庭から学校へ通わせたいという思いがあるので,基準はあるだろうが,広域な庄原市の地理的な面も配慮していただきたい。
○知事
小規模校は先生の確保が難しい,教科がきちんと教えられないという問題があるので,それができるよう,1人の先生が複数の学校で教えるなど,まず小規模校同士の連携を進めていきたい。きちんと教育することを目指しているので,小規模校の連携に協力をいただけるとありがたい。
○自由討論
(1) 合併について
○知事
物理的にすごく広い市になったので,いいことも悪いこともあると思うがどうか。
○参加者
周りに行くと寂しそうにしておられると感じる。
○参加者
対等合併だったはずなのに吸収合併のようにも感じる。元気な町とそれが難しい町の格差が広がりつつある。
○参加者
旧町それぞれの特色が薄まってきている。役場が支所になり,職員も異動で地域のことを知らない職員が増えてきて,行政が地元密着でなくなってきている。
○参加者
対等でないことを予算からも感じることがある。まだ一つになるというところまでは至っていない。
○知事
実際にはいいこともたくさんあるはずだが,財政の話などは実際に困窮した状況に直面しないと実感できないのだろう。県は合併を進めてきたが,それは不可避だと思う。合併に対するいろいろな思いもあるので,市町が中心となるが,県としてもどう関わっていくか,大きな課題であり,引き続き考えていきたい。
(2) 農業について
○知事
集落法人を中心に支援していることについてどう思うか。
○参加者
悪いとは思わないが,法人になったから補助金で今のところは食べていけるといった感じで,将来的な取組があまりないのではないか。次のステップが踏める法人であればいいと思う。
法人化してよかったのは,人を雇いやすくなり,後継者を育てることができること。県の技術指導やいろいろな支援も受けやすくなった。
(3) その他
○参加者
県立広島大学は教育環境もよく,我々もしっかり連携をとっていくので,拡充することはあっても先細りすることのないようお願いしたい。
7 現場視察
懇談に先立ち,庄原市内3箇所を現場視察しました。
○街道東城路
オープンしたばかりの観光交流拠点施設「えびす」と伝統的な建物「三楽荘」を見学し,街道を活かしたまちづくりについてお話を伺いました。
○株式会社グリーンカクエイ
建設業から農業へ参入し,水耕ネギを大規模に栽培している企業を訪問し,取組についてお話を伺いました。
○板橋さとやま友の会「まなびの森」
ひろしまの森づくり事業を活用して,不用木の伐採や進入路・炭窯の整備などを行っている里山再生の取組についてお話を伺いました。
関連情報
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