広島菜(広島市)
印刷用ページを表示する掲載日2011年12月1日
広島菜漬けは,海のカキと共に,広島を代表する特産物です。緑鮮やかな色合い,歯切れの良さが,なんともいえない風味をかもし出しています。
原料の広島菜は,慶長2年(1597)に導入されたとの通説があります。また,江戸時代には,藩主の参勤交代に随行した安芸国観音村(現広島市西区観音)の住人が,帰路京都本願寺に参詣し,同所で種子を入手,帰郷して栽培を始めたといわれています。京都から移入したので,今でもお年寄りたちは,「京菜」,「平茎」と呼んでいます。平茎は茎の形状からきた呼び名です。
広島菜は,漬け菜として,古くから親しまれましたが,今のように浅漬けで食べだしたのは,戦後のことです。昔は,べっ甲色になるまで,長く漬けたものを食べていました。また,主産地の安佐南区では「餅菜」といって,雑煮の具に使っています。 広島菜漬けが,世間に知られるようになったのは,カキ船の力が大きいといわれています。その理由は,カキめしによく調和できる材料として利用できるからです。 戦後は,贈答品として珍重され,栽培も広島市以外にも広がり,ふるさとの特産品として重要な位置を占めています。菜巻きむすび,古漬けのお茶漬けなど,古くからの郷土食として親しまれています。