広島県内では、計画的な道路ネットワークの整備が進められています。
一方、ネットワークの完成にはまだ時間を要すことから、都市部を中心に継続的に交通渋滞が発生しています。
ここでは、広島都市圏の交通渋滞の現状と取り組みについて、解説します。
交通渋滞は、都市活動や生活環境などに悪影響をもたらします。
この時間やエネルギーの損失などを、経済損失として換算すると、県民一人あたり16万円にもなります。
自動車から排出されるCO2(二酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)の量は、走行速度が遅くなるほど多くなっていくため、地球環境保全の面からも渋滞対策が必要となっています。
また、燃費の悪化による資源の無駄遣いも発生しています。
広島都市部においては、自動車を代表交通手段としたトリップ(人の移動・動き)の割合が鉄道やバスに比べて高く、「自動車に依存した交通形態」となっています。
広島市都心部に流入する交通が朝の一時間帯に集中することで道路の容量(キャパ)を超え、これらが持続・累積することで渋滞が発生しています。
容量を増やす道路整備(ハード施策)と併せて、交通の需要をコントロールするソフト施策を実施することが有効です。
時差出勤(フレックスタイムなど)については、広島市内の事業所の約4割が導入しています。
時差出勤は、交通が集中する時間帯(ピーク時)の交通を、前後の時間帯に分散する効果がありますし、パーク&ライドは、集中する自動車交通から他の交通手段に転換する効果があります。
これらは、交通の需要をコントロールするソフト施策(交通需要マネジメント施策)の代表例とされ、国や多くの自治体で研究・検討されています。
広島市では、毎月2、12、22日をマイカー乗るまぁデーとし、ノーマイカーデー運動を推進しています。
「マイカー乗るまぁデー」は、クルマを利用してはダメというものでなく、クルマに依存するライフスタイルを見直し、市民一人ひとりが上手なクルマの使い方を考え、実践・体験することを通じて、地球温暖化の防止に貢献する行動の輪を広げていく取組です。