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現在地ひろしまたてものがたり

たてもの情報(14)|旧呉鎮守府司令長官官舎


印刷用ページを表示する 掲載日:2017年10月18日

旧呉鎮守府司令長官官舎(入船山記念館)/Commander’s Residence of forer Kure Naval District

近代日本黎明期における

呉の街の発展を感じ取る

 入船山記念館1

 明治19年(1886)、呉浦に第2海軍区鎮守府を置くことが決まり、同22年(1889)に呉鎮守府が開庁。その翌年に洋風木造総2階建の軍政会議所兼水交社が建てられ、同25年(1992)から長官官舎として利用され始めます。しかし、同38年(1905)の芸予地震で建物が倒壊、同年に廃材の一部を利用して現在の建物に建てかえられました。その後、平成に入って明治38年の資料を基に調査、解体、修復され現在に至ります。

 建物は、木造平屋建て、洋館部と和館部からなっています。設計を担当したのは、櫻井小太郎でした。櫻井は英国に留学し、若干21歳で日本人としては初めての英国公認建築家の資格を取得。明治26年(1893)に帰国した後は、海軍技師となり「旧呉鎮守府司令長官官舎」の設計を手掛けました。洋館部と外観は、英国風を取り入れて、柱や梁など木造の骨組みの間をレンガや漆喰で埋め、木材を外部に見せるハーフティーバー様式(イギリス中世に興った木造建築様式)を採用しています。屋根は、宮城県雄勝産の天然スレート(粘板岩)を魚の鱗のように葺いています。和館部は、長官とその家族の住居として使われていたとされ、表座敷と裏座敷、離れ座敷があります。

 また、この建物のもうひとつの特徴が、洋館部の壁や天井の壁紙に日本国内でも数カ所にしか現存していない金唐紙を使用していることです。平成の復原の際に、洋館部の広間、玄関・廊下に腰壁に輝く金色の「縦縞花柄文様」、応接所の壁の「流水文様と菊花文様」、客室の壁の「草花と昆虫」、食堂の壁の「入船の森」と天井の「花模様」の5種類を再現。明治期に開花した飛躍的な成長を遂げた洋風建築の雰囲気を体感できる造りになっています。


設計者/櫻井小太郎
竣工/1905年
用途/資料館
住所/呉市幸町4-6
問合せ先/0823-21-1037
交通アクセス/JR呉駅から徒歩13分
公開情報/見学可能(9:00~17:00)
観覧料/250円(高校生150円、小・中学生100円)
撮影/OK(展示室は不可)
HP/http://irifuneyama.com/


写真データダウンロード(御自由にお使いください。)

入船山記念館2

海外からの賓客も想定した食堂。当時軍艦で振る舞われた食事サンプルも展示 (その他のファイル)(16.96MB)

入船山記念館3

西側の和館部は長官の私的な空間で落ち着いた佇まい (その他のファイル)(12.12MB)

入船山記念館4

金唐紙を豊富に使った洋館の応接室 (その他のファイル)(15.1MB)

 洋館の外観は英国の邸宅建築を思わせる

洋館の外観は英国の邸宅建築を思わせる (その他のファイル)(10.83MB) 


今回ご紹介した建物は10月22日(日)に特別講座が開催されます!
詳しくは「たてものがたりフェスタ2017」のページをご覧下さい!

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