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第19回「湯崎英彦の地域の宝チャレンジ・トーク」(25.05.25 安芸太田町)

印刷用ページを表示する掲載日2013年4月10日

 平成25年度 第19回県政知事懇談「湯崎英彦の地域の宝チャレンジ・トーク」を,次のとおり安芸太田町において開催しました。 

安芸太田町チラシ

1 開催日時

 平成25年5月25日(土曜日) 10時00分から11時10分まで

2 開催場所

 川・森・文化・交流センター : 山県郡安芸太田町加計5908-2

3 内容

県政知事懇談

安芸太田町懇談会

◆湯崎知事による挨拶

知事挨拶

◆地域住民の方(4組)による『私の挑戦』の発表

 安芸太田町在住で,あらかじめ選定した方に「人づくり」「新たな経済成長」「安心な暮らしづくり」「豊かな地域づくり」等の分野の取組について発表していただきました。

名前・職業等 取組内容 テーマ

奥田圭佑(おくだけいすけ)さん

地域おこし協力隊員

○昨年11月から「地域おこし協力隊」として,
安芸太田町吉和郷地区で活動中(大阪府出身)
○現在,農家レストラン立ち上げに取り組んで
おり,食材確保のため,遊休農地を復旧し,
野菜の作付け等も行っている。

「『人情・おもてなしの心』という
すばらしい強みを売りにして!」

佐々木小百合(ささきさゆり)さん

会社員

○安芸太田町健康運動クラブの一員として,
5月5日の2013フラワーフェスティバルに「安芸
太田元気森もり推進隊」として出場し,元気な
町をPR
※「きらめきプラチナ賞」受賞
○取組を通じて,世代交流の大切さを知る。

「元気な街づくりは世代交流から
~体験を通じて感じたこと~」

島津亮太(しまづりょうた)さん
県立加計高等学校3年生
(バレーボール部部長)

○バレーボール部で町内のイベントに運営
ボランティアとして参加(しわいマラソン,もみじ
ウォーク等)
○ひろしま菓子博での「加計高発きのこパウン
ドケーキ」商品化プロジェクトに取り組んだ。
※「スイーツひろしまコンテスト2013」審査員特
別賞受賞(中国新聞社主催)

「町の活性化のために
地元高校生としてできること」

横畠竜(よこはたりゅう)さん 
安芸太田町立戸河内中学校3年生

○祖父・父が広島県指定伝統的工芸品「安芸
の木杓子」(戸河内刳物)を製造
○木杓子づくりに打ち込んできた祖父の姿に
憧れて,家業を継ぐという夢を持つようになった。
そのためには,高校に進学して幅広い知識を
身につけ,いろいろな経験を積むことが大事だ
と気づき,日々,勉学に励んでいる。

「将来の夢」

安芸太田町発表者

地域おこし協力隊員 奥田圭佑さん
「『人情・おもてなしの心』というすばらしい強みを売りにして!」

奥田さん

●奥 田
 
地域おこし協力隊として,戸河内の吉和郷集落,那須集落,打梨集落を担当している。この3地域は,平成18年に,YUNプロジェクトを立ち上げ,高齢化が進む部落存続のために,協力して数々の事業を行ってきたが,プロジェクト立ち上げから7年が過ぎ,高齢化が進み,実質休業状態にある。次の一手として,吉和郷地区に地域マスタープランに掲げている「報恩講料理」を軸とした,農家レストランの事業計画がある。
 戸河内刳物や,天然の鮎,豊富な山菜など,もともとある宝も当然活用していくが,私が見た一番の強み・宝は,「人情・おもてなしの心」です。最近では,民泊の説明などでもよく聞くキーワードです。昨年11月に大阪から,人間らしい生活を求めて安芸太田町にやってきた。人間らしい生活とは,コミュニケーションのある生活です。すれ違えばあいさつを交わす,ご近所さんへのお裾分け,他人への気遣い。このまちにはそういった人情が残っていて,これが強みであり,売りになる。また,大概のお家にお邪魔したら,「まあ,あがりんさい」と言って,お茶やコーヒーなどの飲み物が出てくる。皆さんにとって当たり前の行為が,実は「おもてなし」です。それが売りであり,武器となり,商品となる。
 人情・おもてなしの心を売りに吉和郷の農家レストランの経営をすることは,地域の夢であり目標。中には無謀だという声もあるが,やる前から諦めるのではなく,まず行動。始めたのは,地産地消につなげるため,遊休農地を貸していただき,野菜やお米をつくっている。安芸太田町は,高速道路が非常に便利。地域の宝である,三段峡,恐羅漢といったすばらしい宝を使い,お客さんに来てもらい,皆さんの人情,おもてなしの心,そして私,大阪人特有の欲深さをプラスして,レストラン事業に生かしていきたい。
 過疎地だからといって諦めるのではなくて,一生懸命にやり続ければ,おのずと結果はついてくると信じて,温かく迎えてくださった安芸太田町町民の皆様,役場の皆様に恩返しするべく,引き続き一生懸命この任務に当たっていきたいと思っている。
○知 事
 
そこにいると,それが宝だとなかなか気づかないかもしれないが,それに気づいて磨きをかけようとしている。まちおこしには,よく「よそ者・若者・ばか者が必要だ」と言われる。別の言い方をすると,3人寄れば文殊の知恵ということ。同じ頭の人が幾ら集まっても,なかなかいい知恵は浮かばないけれども,違う視点を持った多様な人がいると,いい知恵が浮かぶ。これからの挑戦が楽しみだが,奥田さんが地域をサポートし,地域の皆さんが奥田さんをサポートする,それにかかっていると思う。

会社員 佐々木小百合さん
「元気な街づくりは世代交流から~体験を通じて感じたこと~」

佐々木さん

●佐々木
 
所属している安芸太田町健康運動クラブは12の運動グループがあり,会員数は約200名。「死ぬまで元気 ぴんぴんころり」を目標に,精力的に運動普及に取り組んでいる。
 去年5月の役員会で,フラワーフェスティバルのよさこいに参加することが決定した。安芸太田元気森もり推進隊を結成し,よさこい普及部のメンバーとして,参加する皆さんに踊りを覚えてもらい,最終的には100人のまとまった踊りに仕上げる役を任された。隊列を考えるためのデータ集めや,本番の化粧を考えるために地元の化粧品屋さんや神楽団にメイクの仕方を教わったりもした。練習日には会社を15分早く上がらせてもらい,練習がない日は健康運動指導士の先生方と振り付けの動きを考え直したり,練習方法を話し合ったりしてきた。気がつけば,誰に言われるでもなく,私が踊りのリーダーになっていた。
 今回参加された皆さんの平均年齢は67歳,決して若いとは言えない。高齢者の方は,音楽にあわせ,神楽の独特のテンポについていくのは本当に大変だったと思う。
 5月5日の本番。総勢151人の参加者全員,緊張感と同時に,期待感に胸躍らせて臨んだ。練習ではなかなか揃わなかった縦と横の列が,本番ではばっちり決まった。80歳を超える高齢者の方たちに喜んでもらえ,参加者の皆さんからねぎらいの言葉をかけていただき,感激の1日だった。翌日の新聞で私たちの姿が写真で大きく掲載され,さらに,年配の方々が元気に笑顔で参加されている団体に贈られる「きらめきプラチナ賞」を受賞し,二重の喜びに沸いた。高齢でも元気で健康な町をアピールするには,フラワーはもってこいの舞台だったと言える。
 今まで40代,50代世代は,まだ仕事や子育てで忙しい身だから,何かを中心になってやるのは難しいという消極的な考え方だった。しかし,このたびのフラワー参加を通して,与えられるのを待つ受け身の姿勢では何も進歩がないし,成長もしない。自分からその時間をつくってでも積極的にかかわっていくことで,経験を積まれた上の世代の方々との絆も深まり,世代間の交流にもつながっていくということに改めて気づいた。
 今後も町の元気づくり,健康づくり,さらには地域づくりに貢献できるよう,微力ながらお手伝いしていきたい。この神楽よさこいが,将来的には地域の子どもたちまで広まり,安芸太田の健康づくりの基盤になればいいと考えている。
○知 事
 
子育てや会社のことで忙しかったけれども,新しく地域のことに取り組んで一生懸命やると結果に結びつき,広がりが生まれて世代の違いも関係ないと思うようになってくる。参加した皆さんもそう思われたと思う。受け身でいては進歩がない。一歩前に出る。一歩でも進歩だと思う。出てみたら,違う世界が広がってきて,新たな境地が生まれるのではないか感じた。

加計高等学校3年生 島津亮太さん
「町の活性化のために地元高校生としてできること」

島津さん

●島 津
 
加計高校は安芸太田町唯一の高校。男子バレー部は7年前に設立し,部員が少なく試合に出られない時期もあり,女子と協力しながら練習を続けてきたが,昨年度の春の高校バレーで,広島県16位という,バレー部始まって以来の奇跡的好成績を収めることができた。コーチの指導のもと,充実した練習を毎日夜遅くまで行っていることや,広島大学で行われる合同合宿に毎回参加し,大学生の方からも指導を受けているおかげ。また,安芸太田町から支援を受けている加計高校を育てる会からは,公営塾のほか,部活動の外部コーチや,合宿や総合的な学習の時間への補助などもいただいており,これらの支援に対する感謝と,広島県で最も人口が少なく,中国地方で最も人口減少率が高いと言われる安芸太田町の活性化に貢献したいという気持ちを強く持っている。
 そこで,バレー部を中心に,安芸太田町のイベントでボランティアスタッフとして活動している。「しわいマラソン」では,毎年エイドステーションやゴール地点で活躍し,昨年はリレーの部の試走を20人の高校生で88km走り,大会を盛り上げた。「もみじウォーク」というウォーキング大会にも毎年参加し,受付,本部,コース誘導などで活躍している。健康促進だけでなく,地域経済への波及効果など,町の活性化を目的として開催していることを私たちも強く実感できている。
 これから取り組んでいこうと考えているのは,ひろしま菓子博で販売していただいた加計高発「きのこパウンドケーキ」の商品化プロジェクトの活動。私たちは,安芸太田町の地域産業であるきのこの栽培や活用について学んでいる。これまで,菌類研究講座で栽培したきのこなどを安芸太田町社会福祉協議会に提供し,高齢者への配食サービス,まごころ弁当の食材として使っていただいていた。昨年冬,もっと喜んでもらえるものはないかと考え,専門コースの先輩がつくったのが「きのこパウンドケーキ」。若者にしか思いつかない発想で,とてもおいしいとほめていただいた。
 このレシピを「スイーツひろしまコンテスト」に応募した。このコンテストは,広島県の豊かな自然の中で地元農家が栽培した農産物を材料として使い,その特徴を生かしたレシピであることが条件だった。501点の応募作品の中から,審査員特別賞を受けることとなり,さらに,入賞作品の中から6点が商品化され,ひろしま菓子博で限定販売された。今後,地元企業などと連携し,この「きのこパウンドケーキ」の商品開発が実現すれば,まちの活性化に貢献できると考え,挑戦していきたいと思っている。
○知 事
 
きのこという,まさに地域の宝を本当にうまく使い,ここまで形にした。すごいことだと思う。地域の活性化のために考えてくれている高校生がたくさんいるのではないか。加計高校の存在感は地域の中で大きいと思う。安芸太田町も,人口が少なくて大変だと言われているが,人数が少なくても県で16位になれる,やろうと思えばできる。それを実践している。こういう若者がいたら,安芸太田町も大丈夫だと思う。

戸河内中学校3年生 横畠竜さん
「将来の夢」

横畠さん

●横 畠
 
僕のじいちゃんは,宮島細工を源流とする広島県指定伝統的工芸品「戸河内刳物」の安芸の木杓子横畠工芸の2代目で,戦後間もない昭和25年,15歳でこの道に入った。去年の3月,ショッキングな出来事が起こった。作業場が火事で全焼してしまい,数々の商品はもちろん,職人の命とも言えるノミや柳刀などの道具もすべて焼けてしまった。数日後,焼け跡に入り,何か道具が残っていないかと探したが,使える状態の道具は全くなかった。じいちゃんのショックは大きかったようで,一時は,先代から受け継いだ横畠工芸はもう終わりだと思ったそうだ。じいちゃんは僕の「あこがれ」です。お客さんと話をしながら杓子をつくっていくじいちゃんの姿は,最高にかっこいい。仕事を辞め,その姿を見ることができなくなると思うと,とても悲しくなった。そんな中,全国の職人仲間や地域の皆さんから,頑張れ,応援しとるでと声をかけてもらい,じいちゃんは再スタートを切る決断をした。たくさんの方々に助けていただき,6月に再び作業場ができた。今,地域の皆さんへの御返しとして体験教室を始めている。
 じいちゃんが15歳から仕事を始めたことを知り,自分も15歳で家業を継ごうと考えて,勉強を投げ出していたとき,担任の先生に,じいちゃんや父ちゃんに話を聞けば,今,自分が何をしないといけないかが分かると思うと言われた。
 僕は父ちゃんに話を聞いてみた。確かにじいちゃんは15歳から仕事を始めたが,夜は加計高校の定時制で勉強していたと初めて知った。じいちゃんは勉強から逃げて,自分の好きな職人の道に入ったわけではなく,仕事と勉強を両立させていた。それを聞いて,勉強を放り投げていた自分が情けなくなった。
 父ちゃんは横畠工芸の3代目です。父ちゃんも,まっすぐこの道に入ったわけではなく,もともと会社に勤めていたが,結婚を機に杓子をつくるじいちゃんに出会い,その姿に感動して,伝統を受け継ぐ決心をしたそうだ。父ちゃんは,いきなり家業を継がんでも,社会に出て,いろいろな経験をして,たくさんの人と出会うことが必ず役に立つと思うと話してくれた。僕は今,剣道部に入っている。稽古はとても厳しく,つらいが,一瞬にかける集中力が磨かれる。一本とった後の達成感,仲間との団結,思いやりの心など,多くのことを学んでいる。しかし,人として学ぶべきことはまだまだたくさんあると思う。新しい出会いや経験を求め,僕は高校に進学します。じいちゃんや父ちゃんのような立派な職人になるためです。
 火事で使えなくなった道具の一つ,柳刀を,何で大事にとっているのか,じいちゃんに聞くと,「あんたらが新しく道具をつくろうと思ったら,形ある見本がいるじゃろうが」と話してくれた。父ちゃんや僕にしっかりと伝統を受け継いでほしいというじいちゃんの願いが伝わってきた。じいちゃん,父ちゃん,僕の3人で並んで杓子をつくる日を夢みながら僕は頑張ります。
○知 事
 
今どき,おじいちゃんにあこがれるというのはなかなかない。背中を見せて,子どもたちに夢を与えていくおじいいちゃんはすばらしいと思う。また,横畠くん自身も,しっかりと将来を見据えて,これからの自分のいろいろな可能性も考えながら,いつかは3人で一緒に戸河内刳物,杓子を彫りたいという夢を持っておられる。これから,いろいろなことをやるかもしれないが,それは寄り道ではなくて,夢に向かってのまっすぐな道ではないかと思う。広島県の伝統を,そして,安芸太田の伝統を守ってくれると思う。

◆知事まとめ

県政知事懇談

 安芸太田町森林セラピー基地グランドオープンイベント参加 
時間訪問先 内容 
 13:30~14:30

森林セラピー基地
グランドオープンイベント
<恐羅漢エコロジーキャンプ場>
(安芸太田町横川)

○広大な中国山地を有する安芸太田町では,県内初の
『森林セラピー基地』として認定を受け,「あきおおた
里山ガイド」の育成や「セラピーロード」の整備,体験
プログラムなどを作成。
○今回,森林セラピー基地のオープンに伴い,この取組
について町内外に広く周知し,ヘルスツーリズムの
まちづくりの機運を醸成すること目指す。

(※)「森林セラピー」とは,森の中に身をおき,歩行や森林内レクリエーションなどの方法によって,心身の健康を維持・増進,疾病の予防を目指すもの。

森林セラピー1森林セラピー2

  安芸太田町森林セラピー基地グランドオープニングイベントに出席しました。きれいな空気を沢山吸い込んで,ヨガを行いました。

4 傍聴者

 約180名参加

5 その他

 懇談の模様を録画でご覧いただけます。
 こちら(インターネット放送局)からご覧ください。

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