平成23年度 第3回県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし-未来チャレンジ・トーク」を,次のとおり「呉市,江田島市」地域において開催しました。
平成23年9月17日(土曜日) 13時30分から15時10分まで
呉市福祉会館 5Fホール : 呉市中央5丁目12-21
(1)湯崎知事による「ひろしま未来チャレンジビジョン」の発表
(2)地域住民の方による事例発表
氏名・職業等 |
取組内容等 |
発表テーマ等 |
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呉 市 |
井上 孝子(いのうえ たかこ)さん・NPOサポートセンターくれシェンド事務局長 |
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「『まち市民』を見つけよう! |
呉 市 |
岸菜 宝治(きしな たかはる)さん |
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「地域に恩返し!」 |
江 |
空久保 求(そらくぼ もとむ)さん・江田島市オリーブ振興協議会会長 ・海生交流都市(江田島市)開発協議会 ・江田島市建設業協会会長 |
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「オリーブを中心とした耕作放棄地対策と地域活性化の取組」 |
(3)意見交換
氏名・職業等 |
発表テーマ等 |
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呉 |
大谷 真由美(おおたに まゆみ)さん 「ひまわり21」代表 |
多文化共生のまちづくり |
江 |
小林 章人(こばやし あきひと)さん 卸売業 |
島民で創る観光地 |
呉 |
山田 麻友佳(やまだ まゆか)さん 市立呉高等学校3年生 |
自分への挑戦 -陸上競技(フィールド競技)を |
呉 |
横道 央(よこみち あきら)さん 市立倉橋東中学校3年生 |
倉橋町の豊かな自然環境を生かして |
江 |
牧野 里保(まきの りほ)さん 県立大柿高等学校3年生 |
夢に向かって-看護師になって地域へ恩返し- |
220名参加
懇談の模様を録画でご覧いただけます。
こちら(インターネット放送局)からご覧ください。
(左から井上さん,岸菜さん,空久保さん)
●井 上
まちの課題について気づいた人,考えた人,動いた人を「まち市民」と定義し,様々な目的や思いを持った「まち市民」を繋げる役割を考えながら,NPO法人くれシェンドで,呉市周辺のまちづくり活動に取り組んでいる。
「まち市民」の事例として,動物愛護センターでのボランティア活動を通じて実現した「いのちのパネル展」,一人みかん箱一箱分に思い思いの本を詰め,お店を開く市民活動「一箱古本市」,全国のフリーペーパーの展示会「かみフェス」などの開催がある。
心の中にある好きなことへの情熱に気づき,同じ思いの人たちとつながり,一緒に楽しむことが,自分のまちを大好きなまちにするヒントだと考えている。
○知 事
気づくというのは多くの人がされることだが,気づくだけではなく,それをどうしようかと考え,さらに動く。誰か動く人がいたら,考えている人が私も動いてみようかなと動いていく。そして輪になって広がっていくというイメージだと思う。それが様々な活動に結びつき,「豊かなまちづくり」につながっているのではないかと思った。私も共感させていただいた。これからも頑張ってよりよい呉市になるようにしていただければと思う。
●岸 菜
下島青年会として,海開き前のクリーン作業や秋祭り,町民体育大会,朝鮮通信使再現行列,町民文化祭,とんどなどに参加し,伝統文化の伝承と地域の活性化の活動に取り組んでいる。
約20年前に途絶えていた獅子舞を復活させ,秋祭りや町民文化祭,成人式などで披露させてもらっている。お年寄りが手を合わせて「ありがとう」と言ってくれる言葉がメンバーの力となっている。また,島外でのイベントでも獅子舞を披露している。これにより,下蒲刈町のことを知ってもらい,また島外に出られた人に少しでも帰ってきてもらって一人暮らしのお年寄りに喜んでもらいたいと考えている。
今後の悩みは会員の減少だが,小さい子どもや中学生に練習や青年会の活動を見てもらうことで,次の世代に続けていければと思っている。新しいメンバーたちと,今後,青年会の活動を通し,地域への恩返しをしていきたい。
○知 事
現在,割合としてはお年寄が増えている地域だと思うが,若い人の活動が地域全体の笑顔と幸せにつながっているということがよく分かった。
仕事も忙しい中で,若い人を集めて練習をして,といったこともすぐにできることではない。皆さんの情熱が集まって,ある方向に向けて一緒に活動したことが結実したものだと思う。一つ一つ,地域を幸せにしていくための努力というのも大変重要な挑戦だと思った。
●空久保
江田島市は少子高齢化により過疎化が急激に進み,耕作放棄地が増加している。そこで,「日照時間が長い・適度な雨量がある・温暖」といった江田島市の気候に適し,栽培が比較的容易なオリーブの栽培をすすめている。苗木の配布や,小学生の体験学習,オリーブの生産・販売技術の向上,加工に関する調査・研究を推進し,江田島市全土をオリーブのまちにするため試行錯誤している。
それに加え,いちじくの苗の定植も行っている。オリーブは採算ベースに乗るまでが8年から10年かかるが,いちじくは2,3年で出荷できるので,オリーブといちじくを併用することにより,より一層早くオリーブのまちになるものと考えている。この地域がモデルケースになるよう頑張っている。
また,江田島市には,海上自衛隊第1術科学校を起点に,オリーブ園や自然の美しさ,歴史など,観光の宝が多くある。これらを生かして滞在型の観光のまちにしていきたい。
○知 事
オリーブが採算ベースに乗るまで8年から10年かかるということだが,ゼロから新しい特産物をつくるということは本当に大変な挑戦だと思う。耕作放棄地という土地と,豊かな太陽の恵み,そして手入れがかからないというオリーブの特徴を生かした,まさに江田島市の今ある弱みを強みに変えていくすばらしい取組ではないかと思う。
耕作放棄地に竹が侵食していたり,イノシシの被害が酷いと聞いているが,対策などは考えておられるか教えていただきたい。
●空久保
荒廃した農地をオリーブ園にすることが私たちの目的であるので,竹の生えているところもオリーブを定植し,オリーブ園に変えていきたい。
また,今のところはイノシシがオリーブの実を食べるなどの被害はないと聞いている。
呉市で,まちづくり委員会のお手伝いをさせてもらっている。呉市と江田島市の各地区でタイアップしてイベントを行い,交流ができるきっかけづくりができたらと考えている。私の地域の小学校の授業等で,見学に行きたいと思った。もし可能なら協力させていただければと思う。また,PRはどのようにしていかれるかということについて教えていただきたい。
●岸 菜
呉市の下蒲刈町のホームページに,自分たちの活動を載せてもらっている。今後も,いろいろな地区のイベントに出て,もっと下蒲刈町のことを知ってもらいたいと考えている。
●空久保
ホームページでのPRは既にしている。オリーブが実りはじめるのに合わせて,またPR等々をしていく予定である。小学生には是非来てほしい。お待ちしている。
○知 事
後ほど(質問者)さんと岸菜さん,空久保さん,名刺交換をしていただいて,これから連絡を取り合っていただきたい。この「湯崎英彦の宝さがし-未来チャレンジ・トーク」は,交流やネットワークを拡大することが目的であるので,ぜひ交流を深めてほしい。
●大 谷
NPO法人ひまわり21で,日本語教室を運営している。地域住民と外国人住民が集まりお茶を飲みながら自由に話す時間を大切にし,いつも家族のような暖かい雰囲気づくりを心がけている。また,パネル展や,外国人住民の方の写真と文章の作品展を開催し,外国人住民と地域をつなぐ活動を行っている。外国人住民が社会参加していくためのジャンピングボード,地域社会への窓口でありたいと考えている。また,地域交流活動として,外国人住民と地域住民,広島国際大学の学生が一緒になってステンドグラスをつくる「インターナショナルアートワークショップin広」,呉市消防局と連携して進めている「防災教室」のプログラムづくりなど,日本語教室の中にとどめず,呉市が今よりももっと安心して住めるまちになるよう皆で考えながら活動していきたい。
○知 事
今ご紹介いただいたような活動が,地域の外国人になじんでいただく上で本当に大事なことだと思う。更に,日本人も外国人のみなさんとなじんでいただくと,先ほど「ひろしま未来チャレンジビジョン」の発表の中で申し上げたような地域のグローバル化につながっていくと思う。
●小 林
定置網漁業とちりめん漁に従事し,「江田島の海からうまい魚を届けたい」をコンセプトに,鮮度の追求と,新しく生まれ変わる江田島市に挑戦している。
特殊な針で魚の運動機能を抑制させ,鮮度を長く保たせる「快眠活魚」という,大分の方の特許技術を習得して,最高品質の身質を追求している。
また,江田島市で修学旅行生の誘致をするという話があり,今年の7月にデモ体験で大阪の中学生30名をシラス漁に受け入れた。自然体験を通して感動したり驚いたりしながら,人とのかかわりあいの重要性を学んでもらい,さらに,観察力や探求心を深めてもらいたいと思った。
江田島市全体でこの修学旅行等の受入れに取り組み,本当の江田島市の魅力の発掘にチャレンジしたい。
○知 事
漁業にも次々と新しく導入できる技術がある。その技術によって,これからも価値を高めていってほしい。
●山 田
今年の夏,走り高跳びでインターハイに出場した。今年のインターハイは東日本大震災で被災した岩手県で行われ,その際,海の一部のようになってしまった野球場と,テニスコートではなく駐車場で練習をする中学生の姿に衝撃を受けた。自分が当たり前のように使っている競技場やグラウンドが当たり前のものではないということを実感し,自分が大好きなことができるということは,とてもすばらしいことだと感じた。
これをきっかけに,私はスポーツを通じて様々な社会問題を抱えている国や地域に行って支援活動を行いたいと思うようになった。将来は,日本にある文化や技術を他の国に伝えていきたい。また,スポーツを通じて人を支えるような人間になりたい。
○知 事
今回の震災で,当たり前のことが当たり前でないということに気づいて,それがまた新たな自分の挑戦につながっていくという,すばらしい発表だった。高校生でそういったことを深く考えておられ,広島の高校生も捨てたもんじゃないと勇気をもらった。
●横 道
スナメリの調査を通して,地域の皆さんに倉橋町の自然の豊かさを伝える活動をしている。去年,本校の生徒が船溜まりに打ち上げられたスナメリの死体を発見し,それを骨格標本にしようとしたが,水産資源保護法によって保護動物に指定されているため,スナメリは捕まえることはもちろん,死体を骨格標本にするにも農林水産大臣の許可が必要な生き物だと知った。周囲の協力もあって,農林水産大臣に許可をいただき,骨格標本を作製することができた。また,スナメリの調べ学習に取り組んだところ,今でも倉橋島の周辺にはたくさんのスナメリが生息していることが分かり,改めて倉橋の自然の豊かさに気づいた。また,地域の皆さんに倉橋の自然の豊かさを伝える活動として,公民館の講座で学習の結果を発表した。自然の豊かさや大切さなど,学習したことを地域の皆さんに伝えることで,地域の自然を守る活動に取り組むきっかけにしたいと思っている。
また,安芸灘を中心とした蒲刈,愛媛県の中島,山口県の大島の人たちとも協力して,自然保護活動の輪が広がってほしいという夢を持っている。
○知 事
スナメリを発見したところから始まり,骨格標本にすると考えるということがまずすばらしいことだが,更に大臣の許可までとってしまう。そして生息調査までして,最後に地域の皆さんにそれを教えるという,最初の一歩から広がって最後には郷土愛につながる本当にすばらしい活動ではないかと思う。
大変だから,と止まる機会はたくさんあったと思うが,最後までやり遂げ,地域のためになっている。すばらしい活動,すばらしい挑戦だと思う。
●牧 野
看護師を目指して,看護専門学校の入試までにどれだけ自分の力が伸びるか,ということに挑戦をしている。夏休みには毎日のように学校へ行って集中して勉学に励み,また,音戸高校との合同学習合宿にも参加した。今後はたくさんの経験と努力をして,その知識を生かし,一人でも多くの患者さんを救えるような立派な看護師になりたい。
小さいときからお世話になっている近所の人や,学校の先生,友達,そして家族たちに恩返しをしたい。また,育ててくれた江田島市に恩返しをしたい。立派な看護師になれるよう,毎日夢に向かって挑戦し続けている。
○知 事
これまで本当にたくさんの人に助けられて大きくなってきたことを忘れずに,人のために努力をする。看護師のための勉強をする。これからまたたくさん勉強して,恩返しできるように頑張ってほしい。
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