このページの本文へ
ページの先頭です。

平成25年広島県議会12月定例会(平成25年12月5日)

印刷用ページを表示する掲載日2013年12月5日

知事説明要旨

 12月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,私の二期目の県政運営に当たっての基本的な考え方を申し述べ,議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

 私は,今回の選挙期間中,県内の旧86市町村を巡り,多くの県民の皆様と接し,本当に暖かい御声援をいただきました。それは,これまでの4年間の成果に対する評価以上に,これまでの取組を更に推し進めることにより,県民一人ひとりが豊かさを実感でき,将来に希望が持てるような広島県を実現してほしいという期待の表れではないかと考えております。

 私といたとしましては,その期待に応え,これまでの4年間,「ひろしま未来チャレンジビジョン」に沿って進めてきた様々な取組により生まれた成果や見え始めてきた変化の兆しを,より確かなものとし,確実にビジョンの実現に結びつけていかなければならないと考えております。

 このため,今後の県政運営に当たっては,これまでの様々な取組を起点として,次の観点から取組を推進し,更なる高みを目指して参ります。

 まず,第一に新しい価値の創造を意味する「イノベーション」を柱に,国の政策とも連動しながら主役である広島県内の企業活動を後押しし,所得や雇用拡大につながる活力ある経済づくりの大きな流れを創っていきたいと考えております。

 第二には,広島県をあらゆる面で支える源である「人」に着目し,広島県では人が伸び,あるいは集まっている,と評価されるようなプログラムや環境づくりを進めて参ります。

 第三には,瀬戸内海や平和などの本県ならではの強みや基盤を活かした施策に,市町を含めた官民協働で取り組み,それぞれの取組を具体的な成果につなげていきたいと考えております。

 第四には,今後,人や財源などの行政資源がますます制約される中で,目標の着実な達成に道筋をつけていくためには,これまで以上に,無駄の排除や効率化の追求,職員一人ひとりの企画力,実行力の向上を図る必要があるため,引き続き,三つの視座を踏まえた行財政改革に取り組み,健全な財政基盤の確立と日本一強い県庁組織を目指していきたいと考えております。

 そして,こうした取組を進めるためには,「県民主体」の広島県づくりを基本に,県民生活に最も身近な市町や,経済活動の主体である企業等とも連携・協働しながら,共に新たな価値を創造していくための政策を大胆に推進し,より高い成果が実感できる県政運営を目指して参ります。

 以上,今後の県政運営に当たっての基本的な考えを申し上げましたが,改めて初心に返り,県民の皆様,議員の皆様,そして県職員とともに,「広島に生まれ,育ち,住み,働いて良かったと心から思える広島県の実現」に向けて,全力で取り組んで参りたいと考えております。

 

1 当面する県政の諸課題

 次に,当面する県政の諸課題について,御報告申し上げます。

 まず,経済・雇用の情勢についてでございます。

 県内の景気は,輸出が自動車を中心に増加しているほか,公共投資も増加しており,全体として緩やかに回復しつつあります。

 また,為替の円安傾向や海外需要の回復を追い風に,上場企業の業績の改善が鮮明となっており,平成25年9月決算においては,全産業平均の経常利益が前年同期比で42%増加,製造業においては,すべての業種で増益となっております。

 一方,雇用・労働情勢につきましては,10月の有効求人倍率が1.07倍と,4か月連続で1倍を超えており,一部に厳しさが残るものの,緩やかに改善しております。

 また,来春卒業予定者の就職内定率は,10月末現在で大学生が55.1%,高校生については,67.1%と,いずれも昨年同期を上回っており,景気情勢の好転を受け,企業の採用意欲が向上するなど,改善傾向にあります。

 しかしながら,景気回復の動きは,業種や企業規模によってバラつきもみられ,また,企業の現金給与総額は,弱めに推移しており,引き続き,県内経済の動向に注視して参ります。

 次に,中山間地域振興についてでございます。

 豊かで持続可能な中山間地域を実現することを目的とした中山間地域振興条例を9月定例会において御議決いただいたところでございますが,この条例の着実な推進を図るための体制として,県庁内の中山間地域振興推進本部や,県と市町の協議の場である中山間地域振興協議会を設置し,中山間地域の振興に関する総合的な計画の策定に向けた議論を進めているところでございます。

 私は,今回の選挙において,中山間地域に暮らす県民の皆様の多くの笑顔に接し,中山間地域が,豊かな自然や風光明媚な景観,地域で培われた歴史や伝統文化,またそれらを守ってきた人と人との絆といった魅力にあふれ,県民の豊かで安全な暮らしを支える源として重要な役割を担っていることを実感いたしました。他方で,明らかに進む高齢化や朽ち果てた空家など,中山間地域が抱える課題が待ったなしの状況となっていることも改めて痛感いたしました。

 今後も,豊かな中山間地域が,将来にわたって明るい希望を持ち,その豊かさを実感していただけるような地域の実現に向け,引き続き取り組んで参ります。

 次に,鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。10月に鞆地区住民の方々と3回目の意見交換の場を持ったところでございます。

 意見交換の場においては,県の方針決定の根拠としております3原則について,どのように導き出したのかなどについて説明をさせていただきましたが,御理解を得るには至りませんでした。

 今後も,引き続き,鞆の住民の皆様に対して,丁寧な説明を行うことにより,御理解が得られるよう努力していくとともに,鞆の様々な課題の解決に向け,福山市と協議しながら,できるだけ速やかに事業に着手できるよう努力して参りたいと考えております。

 次に,広島高速5号線についてでございます。

 昨年12月に事業再開の判断をして以降,広島市,広島高速道路公社とともに,事業の進め方などについて,住民の皆様に説明を行っているところであり,また,私自身も9月には,直接,住民の皆様の声をお聞きしたところでございます。

 円滑に事業を進めていくためには,住民の皆様からの信頼回復や御不安の解消を図っていく必要があり,引き続き,住民説明会の開催など,丁寧な対応に努めながら,広島市や公社と連携して取り組んで参ります。

 次に,広島市東部地区連続立体交差事業につきましては,現在,見直し検討を行っているところでございますが,できるだけ早期に結論を得て事業に着手し,この事業に求められている都市内交通の円滑化や市街地の一体化などの効果を早期に発現していくことが重要であると考えております。

 県といたしましては,現在の見直し検討状況について,住民説明会の開催など丁寧に説明していく中で,この事業に期待されている住民の皆様方の思いをしっかりと受け止め,早期に事業を推進できるよう取り組んで参ります。

 次に,地方公営企業会計基準の見直しについてでございます。

 地方公営企業法の会計基準が見直され,平成26年度予算から適用される土地造成事業会計などの地方公営企業と,法の適用外ではありますが,同様の事業を実施しております港湾特別会計の臨海土地造成事業につきましては,平成24年度決算数値をもとに新たな会計基準による影響の試算を行い,この度,公表したところでございます。

 これら土地造成関連の事業につきましては,多額の評価損と将来の資金不足が見込まれますことから,県民負担を最小限とするという考え方により,その対応策を検討する必要があると考えております。

一方,更なる県勢発展のためには,企業の進出ニーズ等に適切に応える必要があるため,産業施策,企業誘致や経済基盤創出などとの整合性を図りながら,土地造成に係るリスクを分散・軽減する手法を導入するなど,事業全体のあり方について,今後,検討して参ります。

 

2 平成25年度主要施策の状況

 次に,平成25年度における主要な施策の取組状況について,御報告いたします。

 まず,ダイナミックな事業環境の創出に向けた新たな取組といたしまして,「INNOVATION TALK IN HIROSHIMA」と題し,実績のある起業家などの体験を直接聞ける機会を定期的に開催することとしております。

こうした取組を通じて,県内におけるイノベーションマインドの醸成を図って参ります。

 また,中小企業の技術力や成長性など財務諸表に表われない強みを評価する「技術・経営力評価制度」を開始しているところであり,これにより,中小企業の取引拡大や円滑な資金調達の促進を図り,事業拡大につなげて参ります。

 今後も,こうした取組などを進めることにより,創業の活発化や新事業展開の加速を進めて参りたいと考えております。

 次に,クラスター形成の促進に向けた取組のうち,医療関連産業の分野につきましては,取組開始から2年が経過したところですが,先頃,厚生労働省から公表された平成24年における本県の医療機器生産額が対前年比24%増の117億円余となるなど,所期の目標を達成しており,引き続き,「アクション・プラン」に基づく,総合的な支援を積極的に講じて参ります。

 また,環境浄化産業の分野では,本年1月,ベトナム・ハナム省知事の来広時に,環境分野における経済交流の活発化を提案したところ,同省から,計画中の水インフラ事業の具体化に向けて,技術面等からの協力要請がございましたため,環境浄化産業クラスター形成事業の一環として取り組むこととし,11月に「環境関連産業分野における協力に関する覚書」を締結したところでございます。

 今後は,県内企業等と連携しながら,工法等の提案やODA案件化など,ベトナム・ハナム省における案件について協力を行って参ります。

 次に,県内企業の海外ビジネス展開の支援に向けた取組についてでございます。

 自動車関連企業の海外展開を促進するため,ジェトロなど関係機関と連携し,海外展開に意欲のある企業とともに,進出に向けた検討を行っているところですが,この度,メキシコのグアナファト州との間で,「経済交流に関する覚書」を締結したところであり,今後,進出企業の円滑な操業や現地における生活環境面での支援など,広島県とグアナファト州とが協力して経済交流の促進に取り組んで参ります。

 さらに,グアナファト州は,世界遺産をはじめ優れた文化や景観を有しており,観光,教育,文化など幅広い分野におきましても,交流を深めて参りたいと考えております。

 また,昨年,設置しました「広島・四川経済交流事務所」及び「ひろしま産業振興機構上海事務所」を活用して,四川省成都で開催された「総合博覧会」及び「上海食品見本市」に出展したほか,香港・マレーシア・四川省において物産展を開催する予定でございます。 

 こうした取組を通じまして,県内企業のアジア市場等への参入・獲得を促進して参ります。

 次に,農林水産業のイノベーションに向けた取組についてでございます。

 国の農業政策につきましては,これまで50年近く続いた生産調整廃止の方向性や,農地を集積する新たな枠組みの創設が示されるなど,大きな転換期を迎えております。

このため,県内農業に大きな混乱が生じないよう,詳細な情報収集を行うとともに,地域の実情や特性を踏まえた制度設計を行うよう国へ要望を行って参ります。

 また,こうした転換期への対応を図るため,収益性の高い園芸作物の導入や,需要に応じた作物による水田活用を推進するとともに,農地の集積による生産コストの縮減に取り組むなど,本県農業の持続的な発展が可能となるよう関係者と協議を進めて参ります。

 次に,広島レモンのブランド化による,かんきつ産地育成事業につきましては,夏場の需要に対応するためのレモンの長期貯蔵に取り組んでおり,7月末までの貯蔵の実用化が図られたところでございますが,さらに,8月,9月の貯蔵の実現に向けた検討を進め,一年間を通じて安定的な供給ができるような体制の構築に取り組んで参ります。

 また,これから旬の時期を迎えます広島かきにつきましては,10月に策定した「広島かき品質管理マニュアル」に基づき,生産から流通まで一貫した品質管理体制の構築を進めるとともに,身入りが良いなどの特色ある高品質なかきを「広島トップかき」として位置づけ,首都圏でのオイスターバーや大手外食チェーンと連携したフェアの開催などを通じ,広島かきのブランド力の向上を図って参ります。

 次に,ファミリーフレンドリーな魅力創造に向けた取組についてでございます。

 女性の活躍を促進するために,男性の協力は欠かせないものであるため,県では,男性の家事や育児への参加を促す施策の一環として,男性の育児休業の取得を促進しております。

 そうした中,県内の男性の育児休業の取得率について,平成24年度においては,7.2%と,前年度の4.1%を大きく上回る結果となりました。

 これは,平成22年度から実施している,男性の育児休業を促進する企業の登録制度や,男性従業員が1週間以上育児休業等を取得した中小企業等へ支給する奨励金制度,さらには,社会に向けて,育児休業の取得の機運を高めるために実施したキャンペーンの結果が現われてきたものと考えております。

 今後も,男性の育児休業取得を促進し,男女が仕事も子育ても充実できる環境づくりに努めて参ります。

 また,がん対策につきましては,10月に「高精度放射線治療センター(仮称)」の建設に着工したところでございますが,質の高い高精度放射線治療を提供する放射線治療装置,いわゆるリニアックの購入手続きを進めるため,必要となる債務負担行為を12月補正予算に計上しております。

 引き続き,平成27年度の運営開始に向けて,着実に準備を進めて参ります。

 次に,広島の強みや基盤を生かした取組についてでございます。

 「瀬戸内 海の道構想」の推進につきましては,食やサイクリングなど,七つの戦略テーマに沿った取組を着実に進めて参りたいと考えており,7県で構成する「瀬戸内ブランド推進連合」のもとで,各県の魅力を一体的に発信するプロモーションの開催や,「瀬戸内国際芸術祭2013」の開催に合わせた広域クルーズの運行など,瀬戸内域内や首都圏での瀬戸内ブランド浸透に向けた広域連携事業に取り組んでいるところでございます。

 また,来年3月に開幕する「瀬戸内しまのわ2014」につきましては,先月,イベントの概要を発表したところであり,各季節毎に,広島・愛媛の両県において,数多くのイベントを展開することとしております。

 今後も,地元市町等と連携し,イベント内容の充実や積極的なプロモーションを実施することにより,両県の交流人口の増加や,多くの誘客につなげていくよう取り組んで参ります。

 次に,「瀬戸内しまなみ海道国際サイクリング大会(仮称)」につきましては,先月,広島・愛媛両県と関係市町,関係団体で構成する実行委員会を設置したところでございます。

10月に愛媛県側で開催されたプレ大会「サイクリングしなまみ2013」では,雨にも関わらず,多くの方々に御参加をいただき,来年度の本大会に向けて手応えを感じたところでございます。

 引き続き,実行委員会のもとで,実施上の課題への対応策等について,関係機関との協議を進め,実施計画の策定に向けて,両県が一体となって着実に準備を進めて参ります。

 今後も,こうした広域連携によるブランド化の取組を通じて,瀬戸内の魅力を磨き上げ,国内外に発信し,継続的な瀬戸内エリアの活性化に努めて参ります。

 次に,観光振興に向けた取組でございます。

 7月1日から9月末までの間,JRグループや地元自治体,観光関係事業者と一体となって実施いたしました,広島県デスティネーションキャンペーンにつきましては,平和記念資料館など主な観光施設において,期間中の利用状況が前年比約13%増となるなど,観光客の誘致に大きな成果があったと考えております。

 また,10月には,本県観光振興の指針となる「ひろしま観光立県推進基本計画」を策定したところであり,今後は,本計画に基づきまして,総観光客数や観光消費額の増加に向け,市町,観光事業者や関係団体等との協働により,魅力ある観光地づくりや,観光情報発信の強化,おもてなしの充実などに取り組んで参ります。

 次に「ひろしま」ブランドの確立に向けた取組でございます。

 これから本県が,多くの人にとって魅力的な地域となるためには,「ひろしま」の国内外での認知度,評価を戦略的に高めていく必要があることから,この度,地域全体のイメージアップや地域資産の価値向上のための取組の方向性などを盛り込んだ取組方針の素案を作成したところでございます。

 今後は,この内容について,幅広く御意見をいただきながら,「ひろしま」ブランドの価値向上の取組を,より実効性のあるものにして参ります。

 次に,「ピースアーチひろしま」プロジェクトにつきましては,県内市町をはじめ,地元経済団体や企業,マスコミ,文化団体等と実行委員会を設置し,国連や国内外の経済団体などと連携しながら取り組んで参りました。

 今回のプロジェクトは,イベントへの来場者数や全体収支が目標を下回るなど,課題が残るものとはなりましたが,当初の目的でありました「平和のメッセージの世界発信」を実現するとともに,「平和貢献活動を支援する仕組の構築」の端緒になったものと考えております。

 今後の方向性につきましては,事業の検証を十分に行い,その結果を踏まえ,実行委員会の御意見もいただきながら,検討することとしております。

 今回の取組も踏まえ,引き続き,国際平和の拠点形成に向けて,取り組んで参ります。

 次に,防災・減災に向けた取組といたしましては,10月に広島県地震被害想定調査報告書を作成,公表いたしました。これは,東日本大震災を踏まえて,あらゆる可能性を考慮し,最大規模の地震・津波を想定したものであり,今後,この想定結果を地域防災計画などへ反映し,県民の防災意識の醸成に努めるとともに,市町や防災関係機関との連携を図りながら,防災・減災対策を着実に推進して参ります。

 

3 12月補正予算等の概要

 さて,今回提出いたしました議案について,その概要を御説明申し上げます。

 まず,一般会計補正予算につきましては,9月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ,必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として編成したところでございます。

 具体的な補正の内容でございますが,先ほど御説明いたしました「ひろしま未来チャレンジビジョン」の原動力となる取組などに時機を逃さず対応するための経費のほか,「緊急経済・雇用対策」等について予算を計上しております。

 また,職員の給与について,去る10月7日に行われました人事委員会の勧告の趣旨を尊重し,給料月額を0.53%引き上げるなどの措置を講ずることとしております。

 これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は12億2,857万円となり,今年度予算の累計額は,9,400億607万円となります。

 次に,予算以外の議案といたしましては,職員の給料月額等を改定する条例案など7件,人事案件として,「広島県収用委員会委員及び予備委員の任命の同意について」の1件,その他の議案では,「工事請負契約の締結」など20件を提出しております。

 また,報告事項として,専決処分報告などを提出しております。

 どうぞ,慎重に御審議いただいたうえ,適切な御議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

おすすめコンテンツ

みなさんの声を聞かせてください

満足度 この記事の内容に満足はできましたか? 
容易度 この記事は容易に見つけられましたか?