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令和5年広島県議会9月定例会(令和5年9月15日)

印刷用ページを表示する掲載日2023年9月15日

9月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本年度主要施策の取組状況及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

1.令和5年度主要施策の概要

【物価高騰等への対応】

まず、「物価高騰等への対応」についてでございます。

本県経済につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大時の行動抑制からの反動需要で個人消費が緩やかな回復を続け、製造業におきましては、部品不足の緩和等から生産活動が持ち直しつつあります。

一方、ウクライナ情勢などを背景とした物価高騰は、家計や価格転嫁の困難な企業の収益を引き続き圧迫しており、さらに、世界経済の動向、米国の金融引締めによる円安の進行など、不確実性が高い状況となっております。

こうした情勢を踏まえ、国の交付金等を活用し、物価高騰対策などを6月補正に引き続き実施するため、必要な経費を9月補正予算に計上しております。

具体的には、直面する課題である「物価高騰による影響緩和」といたしまして、燃油費高騰の影響が継続して厳しい経営状況が続く交通事業者に対し、価格高騰の影響額の一部を支援してまいります。

また、農林水産業者に対しては、肥料価格及び配合飼料価格高騰による影響を緩和するため、購入金額の一部を支援するほか、学校給食用牛乳向けの生乳の生産を行う酪農経営体に対し、生産コストの一部を支援してまいります。

さらに、中小企業等に対する資金繰り支援の拡充を図るため、金融機関を活用した伴走支援型特別資金の融資枠を増額いたします。

今後も、エネルギー・食料品価格等の物価高騰による課題に迅速かつ適切に対処するため、国の動向を注視し、物価高騰対策を切れ目なく実施してまいります。

【感染症への対応】

次に、「感染症への対応」についてでございます。

新型コロナウイルス感染症につきましては、この夏、県民の皆様が基本的な感染対策の取組に御協力いただいたおかげもあり、直近の定点医療機関あたりの報告数が、9月4日から9月10日までの一週間で15.02人となり、全国平均の20.19人を下回る数値となっております。

現在、感染者数は横ばい傾向で推移しており、今後、減少に転じるかどうか、引き続き感染動向を注視する必要があります。

医療体制につきましては、入院医療機関の迅速な受入や外来対応医療機関の診察など、幅広い医療機関の御協力により、病床がひっ迫することなく、医療で受け止める体制を維持できております。

御尽力いただいている医療関係者の皆様に、心から敬意を表しますとともに、深く感謝を申し上げます。

一方で、県内では、インフルエンザも流行しておりますので、県民の皆様には、引き続き、基本的な感染対策の取組に御協力いただくとともに、新型コロナの感染拡大に備えて、今月から開始されますワクチンの追加接種、いわゆる「秋開始接種」について、御検討くださるようお願いいたします。

県といたしましては、重症化リスクの高い高齢者を守るために、高齢者施設等における感染対策の支援を継続するとともに、県民の皆様が安心して暮らせるよう、発熱などの症状が出た場合の相談体制を引き続き維持してまいります。

また、5類感染症への移行に伴い、幅広い医療機関による診療対応が行われるよう、これまで医療体制の確保に取り組んできたところであり、この夏の対応状況なども踏まえ、適切な医療が提供されるよう努めてまいります。

加えて、今後、県民の生命や健康に重大な影響を及ぼすおそれのある新興感染症の流行など、次なる感染症危機に対しましては、これまで新型コロナに対応してきた経験を生かし、また、国が今月1日に発足させた内閣感染症危機管理統括庁とも連携しながら、機動的かつ効果的な対応を講じてまいりたいと考えております。

【広島サミットの成果の持続・発展】

次に、「広島サミットの成果の持続と発展への対応」についてでございます。

本年5月の広島サミットにつきましては、平和に関するメッセージに加えて、広島の自然や食、文化など本県が持つ多彩な魅力が世界に発信できたことなど、様々な成果が得られたところでございます。

こうした中、サミット開催に係る行政予算や民間投資等の実績から算出した県内への直接的な経済波及効果といたしましては、約725億円で、伊勢志摩サミット時の約1.5倍となり、G7サミットの広島での開催は、本県に大きな経済効果をもたらしました。

また、広島開催が決定した昨年5月以降の1年間における国内外メディアの報道実績は、約42万件で、伊勢志摩サミット時の約2.8倍となり、広島への注目度が高まったものと受け止めております。

さらに、今後、本県に来訪する観光客数の増加の見通しなどから算出したポストサミットの経済効果として、令和9年までの5年間で約1,649億円の観光消費額をもたらすものと推計しており、実際にサミット後の状況を見ますと、県内における6月の総観光客数は、コロナ禍前の令和元年比で約12.7%の増加となっており、多くの方々が広島を訪れているところでございます。

こうした状況を踏まえつつ、引き続き、国内外からの更なる観光客の獲得や「選ばれる」県産品の創出等に向けた広島の魅力発信について、時機を逃さず取り組んでいくことが必要であると考えております。

まず、観光客の獲得に向けましては、サミット開催効果を持続させ、宿泊需要を確実に取り込むため、物価高騰や人手不足等の課題を抱える宿泊事業者への支援に取り組んでまいります。

具体的には、冬の閑散期をターゲットに、本県の宿泊を促進するためのキャンペーンを実施することとし、必要な経費を9月補正予算に計上しております。

また、広島空港の国際線において、今年に入り、台北やソウル、大連・北京と広島を結ぶ直行便が就航し、今月22日からは上海線が運航再開されるなど、復便や新規就航の動きが具体化しており、こうした動きは、海外からの観光客の受入拡大にも大きく資するものと期待しているところでございます。

外国人観光客を含めた利用者サービスの向上につきましては、パートナーズ・プログラムで使用された美術館・縮景園では、館内・園内各所において、QRコードをスマートフォンで読み取る多言語の音声ガイドを導入しており、さらに、和文化体験ができるプログラムを提供するなど、美術館・縮景園の魅力を発信できるイベントを企画し、実施してまいります。

また、サミットで披露された本県の誇る文化芸術である神楽につきましては、県民文化センターで毎週開催している神楽公演で、今月から新たに英語字幕の導入を開始するとともに、中四国の神楽が集結するイベントを来月実施するほか、神楽のPR動画を作成し、県のホームページやSNSを通じ、国内外へ神楽の魅力を発信してまいります。

広島への注目度の高まりを生かした県産品の販路・消費拡大に向けましては、県内において、県外のバイヤーを招へいした県産品商談会を開催するとともに、県産日本酒につきましては、フランスを中心としたEUの日本酒バイヤーや現地の著名レストランシェフ、有力メディア等を本県に招へいし、酒造り現場の視察や食体験等を通じて、県産日本酒への興味・関心の向上を図ってまいります。

県産農林水産物につきましては、多彩な食の磨き上げと情報発信を行う「おいしい!広島」プロジェクトのPRイベントの開催や、駅、空港、バスなどのゲートウェイや移動手段への広告掲載、ウェブサイトでのPRなどプロモーションを更に強化してまいります。

次に、平和の取組に関しましては、世界各国のメディアが集まる国際メディアセンター内において実施した被爆の惨状を示す遺品や写真の展示、被爆者の講話などの取組を通じて、海外に向けて、平和に関するメッセージを発信できたものと考えております。

世界で高まった平和を希求する機運を捉え、「核兵器のない平和な世界」の実現に向けて、若者の参画を得ながら、着実に平和の取組を進めてまいります。

このような中、県議会訪問団の皆様とともに、先月、ウィーンで開催された「NPT運用検討会議第1回準備委員会」に参加し、サイドイベントとして、持続可能性と核兵器の関連や核抑止に代わる安全保障をテーマにパネルディスカッションを開催したほか、国連関係者や各国政府関係者との面会、バナー展示等を通じて、本県の平和の取組を説明し、賛同者拡大の働きかけを行ったところでございます。

こうした取組により、各国政府関係者をメンバーとする、核軍縮と持続可能性に関する「フレンズ会合」開催の準備に向けて、関係者から前向きな反応をいただくなどの手ごたえを感じるとともに、昨年に引き続き、HOPeユース大使や長崎県と連携した取組を通じて、被爆地の連帯を強く訴えることができました。

この度、県議会訪問団を派遣いただき、共に平和の取組を推進する姿勢を示すことができましたことは、大変意義深く、今後も、県議会の皆様と一層の連携を図りながら、進めてまいりたいと考えております。

また、7月に開催された「ひろしまラウンドテーブル」の議長声明を添えて、NPT全締約国に私から書簡を送付し、平和な国際社会の実現に向けて具体的な行動をとるとともに、広島を訪問し、被爆の実相に触れていただくことを要請いたしました。

8月6日には、国連軍縮部や国連訓練調査研究所との共催で、高校生及び大学生が、持続可能な未来に向けて自分たちに何ができるかについて議論し、発表するイベントを開催して、ライブ配信により、若者の提案を国内外に広く発信したところでございます。

さらに、日本がG7サミット議長国である年内に、若者をG7各国に派遣し、現地の若者との対話イベントを実施して、若者の国際感覚やチャレンジ精神を涵養するとともに、サミットで議論された、平和をはじめとした地球規模の課題の解決に向けた機運醸成を図るため、必要な経費を9月補正予算に計上しております。

こうした様々な取組により、サミットで高まった注目度や関心度を追い風とし、機会を逃さず対応していくことで、本県全体の更なる発展につなげてまいります。

【ウィズ・アフターコロナにおける経済の発展的回復に向けたLXの実践

次に、「ウィズ・アフターコロナにおける経済の発展的回復に向けたLXの実践」についてでございます。

はじめに、「DXの推進」につきましては、「広島県DX加速プラン」に基づき、仕事や暮らしなどの各分野における取組を着実に進めております。

まず、今年度の新たな取組といたしまして、DX実践までのモデルケースを創出するため、7月の第1回経営者向けセミナーを皮切りに、今月からは、民間事業者など40社を選定の上、「DX実践道場」を開始したところであり、個々の実情に合わせて伴走支援に取り組んでおります。

農業分野につきましては、ひろしま型スマート農業技術の実装に向けて、セミナー等の開催を通じて、農業者の皆様の御意見を伺いながら、実証試験で得た技術に更なる改良を加えるとともに、実証試験の最終年を迎える軟弱野菜やカット用青ねぎ、ぶどうの3つのテーマにつきましては、現在、実証成果を基に費用対効果の検証を進めており、今年度中に中山間地域に対応した収益性の高い経営モデルを構築してまいります。 

建設分野につきましては、データ利活用の重要性と有用性の発信や次世代を担うデジタル人材の育成等を目的として、インフラマネジメント基盤「DoboX」のデータを用いて作成した地域課題の解決に有効なアプリケーションやアイデアについて、コンテストを開催し、優秀作品を選考することとしており、来月から作品の募集を開始いたします。

コンテストの開催に先立ち、プログラミングの経験のない方でも気軽に応募できるようアプリケーションの開発等を支援するイベントを、明日から2日間開催し、参加者と職員が協働して地域の課題解決に取り組むこととしております。

人材育成分野につきましては、県内どこの大学・短大においても、デジタルリテラシーを修得できる環境の整備に向けて、県立広島大学や叡啓大学と連携し、デジタル分野に係る動画の提供や教員の派遣など、県内大学等を支援する取組を4月から開始したところでございます。

また、広島大学や広島工業大学と連携した「AI・データサイエンス入門」といった公開講座を8月から開催するなど、学生が学びやすい環境づくりに取り組んでおります。

次に、リスキリングの推進につきましては、昨年4月に設立した協議会において、今後習得が必要なスキルの明確化、労働市場の流動化を踏まえた社会システムの在り方などについて議論を行い、7月に最終報告書を取りまとめたところでございます。

最終報告書とあわせて作成した「企業向けリスキリング推進ガイドライン」及び「労働移動を円滑にするための施策ロードマップ」を活用し、リスキリングの推進と円滑な労働移動の実現に向けて、県内企業への支援を行ってまいります。

次に、産業イノベーションの取組につきましては、「ひろしまユニコーン10」プロジェクトにおいて、昨年度に引き続き、スタートアップ企業等の事業成長を支援するプログラムにて、先月16社を採択し、伴走支援などを開始したところでございます。

今回、採択した16社はもとより、「J-Startup WEST」をはじめとする地域の支援団体とも連携して、挑戦心のある企業の事業成長を後押ししてまいります。

【それぞれの欲張りなライフスタイルの実現】

次に、「それぞれの欲張りなライフスタイルの実現」についてでございます。

はじめに、持続可能な医療・介護提供体制の構築についてでございます。

地域医療構想の実現に向けた取組といたしましては、昨年11月に策定した「高度医療・人材育成拠点基本構想」に基づき、新病院の高度医療機能や施設設備などについて、再編対象病院や広島大学病院など関係機関と協議を重ね、医療人材の派遣・循環に向けた具体的な取組、新病院の整備に必要な事業費や収支計画等と合わせて、先般、「高度医療・人材育成拠点基本計画」として取りまとめたところでございます。

また、病院の再編による影響が予想される地域におきましては、地域の代表者や地区医師会長、有識者等で構成する地域懇話会を設置し、引き続き地域で安心して暮らし続けることができるよう、懇話会での御意見や住民アンケート調査の結果を踏まえて、県立広島病院の移転後の医療体制を含む土地の活用策の方向性についても整理したところでございます。

県といたしましては、引き続き、全県に裨益(ひえき)する新病院の整備を目指し、医療人材の派遣・循環に向けた具体的な仕組みづくりを進めるとともに、9月補正予算として、土地の取得や設計、県立安芸津病院を含めた既存病院の経営改善などに必要な経費を計上しております。

次に、地域共生社会の実現についてでございます。

医療的ケア児やその家族への支援につきましては、7月31日から東広島市の広島県立障害者リハビリテーションセンター内において、「広島県医療的ケア児支援センター」の運営を開始いたしました。

医療的ケア児及びその家族からの相談に対する支援や積極的な情報発信、支援を行う市町のサポートや支援に携わる人材の育成など、医療的ケア児及びその家族が県内のどこに住んでいても安心して暮らせる支援体制の構築に向け、取り組んでまいります。

また、今年度から、医療的ケアを理由にスクールバスが利用できず、保護者送迎により通学している県立特別支援学校の生徒等に対しましては、保護者の負担軽減のため、通学用の介護タクシーに訪問看護ステーションから派遣された看護師が同乗する通学支援に取り組んでおり、この取組を通じて、保護者の詳細なニーズや課題等を検証し、保護者負担軽減のための支援の在り方について検討してまいります。

さらに、「人と動物との調和のとれた共生社会」の実現に向けて取り組んでおります動物愛護センターにつきましては、広島空港や中央森林公園など、日常的に人が集まるエリアに移転し、動物愛護の啓発機能をこれまで以上に強化し、8月1日にリニューアルオープンしたところでございます。

引き続き、動物愛護教育を通して「命の大切さ」を発信するなど、動物愛護について関心と理解を深めていただけるよう、一層取り組んでまいります。

次に、治安・暮らしの安全確保についてでございます。

広島南警察署につきましては、経年による老朽化等により建替整備を進めてきたところでございますが、今月19日から新庁舎において業務を開始いたします。

新庁舎は、管轄区域である広島市南区のほぼ中央に位置し、区役所などの行政機関や国道2号などの幹線に近くなる上、地震や浸水に対しても強い庁舎であり、治安拠点、防災拠点として機能が強化されております。

引き続き、県民の皆様の暮らしが、一層、安全・安心なものとなるよう、取り組んでまいります。

次に、ネット・ゼロカーボン社会の実現に向けた取組についてでございます。

地球温暖化対策の推進につきましては、家庭における電気消費量を減らすため、LED照明器具の購入経費を最大で半額補助するキャンペーンを8月21日から開始しており、県民の皆様から現時点で2,800件を超える申請を受け付けているところでございます。

また、県自らが率先して再生可能エネルギーを導入するため、初期投資不要のPPA方式による太陽光発電設備の初めての設置に向け、事業者の公募を開始したところでございます。

カーボンリサイクルにつきましては、昨年度から誘致活動を行っておりました、国が主催する「第5回カーボンリサイクル産学官国際会議」が、今月27日に、地方開催としては初めて、本県で開催されることとなりました。

世界のカーボンリサイクル関係者が広島に集う国際会議を絶好のPR機会と捉え、産学官連携組織である「ⅭHANCE」による取組の紹介や、次世代教育の観点から、県内の学生や生徒との交流事業を実施するなど、世界に向け、本県でのカーボンリサイクルの取組を発信し、先進地としての認知度の向上を図ってまいります。

加えて、県内企業のカーボンニュートラルの実現に向けましては、県内ものづくり企業における取組を支援し、事業変革や付加価値創出を促進するため、地域ビジネスコミュニティである「ひろしまものづくりカーボンニュートラルビジネスプロジェクト」を開始したところでございます。

ポータルサイトによる情報提供やイベントを通じた企業間交流の促進、企業ニーズに応じたコンサルティング支援などを通じて、県内企業のカーボンニュートラルの取組を推進してまいります。

次に、スポーツを活用した地域づくりについてでございます。

パラスポーツにおきましては、広島東洋カープ、サンフレッチェ広島、広島ドラゴンフライズの選手などにサポーターに就任いただき、今月30日及び10月1日の2日間、東広島市を中心にパラスポーツの体験やパラアスリートによるトークショーなど、障害の有無にかかわらず誰もが参画し、楽しめる「インクルーシブ・スポーツ・フェスタ広島2023」を開催いたします。

このイベントを契機として、公益社団法人広島県パラスポーツ協会を中心に、県内市町、競技団体、民間企業、指導者など、多様な主体が一体となって取り組むことにより、多様性が尊重される共生社会の実現に向けて機運の醸成を図ってまいります。

【特性を生かした適散・適集な地域づくり】

次に、「特性を生かした適散・適集な地域づくり」についてでございます。

中山間地域の振興につきましては、中山間地域の人材プラットフォーム「ひろしま里山・チーム500(ごーまるまる)」の登録者の更なる拡大に向け、8月から県内4地域において、「さとやま元気交流会」を開催しており、既登録者との交流を通じて、地域づくりの実践者層の掘り起こしや地域とのつながりを作りながら、中山間地域の元気さを実感していただけるものとなるよう、取組を進めてまいります。

また、第2回「広島県集落対策に関する検討会議」を8月に開催し、安芸太田町及び神石高原町における住民自治組織等を対象とした住民の生活実態等の詳細な調査を踏まえ、持続可能な地域運営の仕組みや安心して暮らせる生活環境の在り方等について協議を進めているところでございます。

有識者からの御意見を踏まえ、引き続き、関係市町との密接な連携の下、集落の実態に応じた取組を検討してまいります。

県全域を対象とした地域公共交通政策のマスタープランである「広島県地域公共交通ビジョン」につきましては、先月開催した第5回法定協議会で、本県における公共交通の目指す姿の実現に向けた施策について議論したところであり、引き続き、具体的な施策等について議論を重ね、今年度中の策定に向けて、取り組んでまいります。

【社会的基盤の強化】

次に、激甚化・頻発化する気象災害等への対応についてでございます。

令和3年豪雨により甚大な浸水被害が発生した6河川における改良復旧プロジェクトにつきましては、本年3月に「流域水害対策計画」を策定した竹原市の本川(ほんかわ)において、現在、護岸工事の早期着手に向け、河(か)道(どう)拡幅(かくふく)のための用地取得を行うなど、着実に事業を進めております。

また、本年4月から7月までの豪雨等により、県内各地で公共土木施設の被害が発生していることから、復旧を進めるとともに、緊急的に対応が必要な箇所の修繕工事等を実施するために必要な経費を9月補正予算に計上しております。

引き続き、県民の皆様の生活への影響が最小限となるよう、早期の復旧・復興に向けて、取り組んでまいります。

流域治水につきましては、市町における水害リスクを踏まえた防災まちづくりを推進するため、床上浸水などの発生頻度と浸水範囲を示したリスクマップを今月から順次公表するとともに、流域における様々な対策を分かりやすく示すなど、流域治水の理解を深めるためのパンフレットを作成することで、県民の皆様の意識の醸成を図ってまいります。

ため池の総合対策につきましては、今年度、防災重点農業用ため池の診断を全て終える見込みであり、その結果を踏まえた防災工事を計画的に進めるとともに、ため池の定期的なパトロールや遠隔監視システムの導入を進め、農業者や地域住民の皆様の安全と安心の確保に取り組んでまいります。

盛土への対応につきましては、静岡県熱海市の土砂災害を踏まえ、危険な盛土等を包括的に規制するため、本年5月に「宅地造成及び特定盛土等規制法」が施行されたところでございます。

本県におきましては、全国に先駆けて今月28日から政令市、中核市を除く県内全域を同法に基づく規制区域に指定し、許可事務等の運用を開始することとしており、引き続き、国や市町と連携しながら、盛土等に伴う災害の防止に向けた取組を進めてまいります。

 

2.当面する県政の諸課題への対応

次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

まず、旧広島陸軍被服支廠につきましては、これまで、安全対策工事の着手に向けて、財政支援を行うよう、国に働きかけてまいりました。

こうした中、8月6日に行われた「被爆者代表から要望を聞く会」及びその後に行われた記者会見におきまして、岸田総理から「国の関連事業を通じた支援を行ってまいりたい」との発言がございました。

現在、文化庁に対し、重要文化財に指定した上で、文化庁補助金によって財政支援を行っていただけるよう調整を行っており、引き続き、取組を進めてまいります。

次に、広島高速5号線についてでございます。

シールドトンネル工事につきましては、牛田地区の住宅地区間を掘進(くっしん)しており、地表面変位の抑制などの対策を取りながら、慎重に工事を進めております。

受注者から建設工事紛争審査会に調停申請されていることにつきましては、事業主体である広島高速道路公社や広島市と連携し、適切に対応してまいります。

高速2号線との連結路につきましては、建設資材の高騰など社会情勢の変化による事業費の増額や、ボーリング調査結果を踏まえた橋梁構造の見直し等による工事完成の遅れが生じているため、広島高速道路の全体事業費及び事業期間の見直しを反映した、整備計画の変更に関連する議案を提出しており、引き続き、公社や広島市と連携し、着実な事業推進に取り組んでまいります。

次に、ローカル鉄道についてでございます。

本年4月に、ローカル鉄道に関する議論や支援の枠組の創設及び拡充が規定された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決、成立し、8月には、同法の基本方針が策定公布されたところでございます。

これに伴い、JR西日本からは、10月に予定される同法の施行後、国へ再構築協議会の開催を要請したいとの表明があったところであり、法施行後、国から、再構築協議会の参加の要請があった場合には、協議会の趣旨や、協議会で検討すべき内容などを踏まえ、改めて沿線市と協議してまいります。

引き続き、本県といたしましては、一部区間の鉄道特性の低さや赤字だけを取り上げた議論ではなく、JR西日本の国鉄改革の経緯を踏まえた責任、地域の公共交通の持続可能性や鉄道特性の考え方について、国を交え、全体での議論を行い、基幹的線区以外の線区も含めた鉄道ネットワークのあり方が整理された上で、個別路線のあり方が議論されるべきと考えており、本県の考えが受け入れられるよう、国とJR西日本に働きかけてまいりたいと考えております。

今月末に全設備休止予定の日本製鉄株式会社瀬戸内製鉄所呉地区につきましては、呉市や国と連携した合同企業面接会などにより、推計ではございますが、これまでに離職した方の約9割が再就職しているなど、支援の効果が表れていると考えております。

こうした中、今月4日に開催した合同対策本部会議において、日本製鉄から、協力会社への支援や跡地利活用などについて、今後とも、行政と連携し取り組んでいく旨の説明を受けたところでございます。

引き続き、関係機関が一体となって、雇用対策などの課題に適切に対応してまいります。

三原市の産業廃棄物最終処分場につきましては、処分場の浸透水の水質が廃棄物処理法の基準を超過していたことから、事業者に対して行政指導を行い、7月の水質の改善を確認した上で、産業廃棄物の搬入及び埋立処分の再開を認めたところでございます。

さらに、地域住民の皆様の生活環境への懸念を踏まえ、8月に追加検査を実施いたしましたが、浸透水は法の基準に適合しており、安全性を確認したところでございます。

引き続き、事業者に対して法に基づき、監視指導を徹底し、三原市とも連携して皆様の安全安心の確保に努めてまいります。

 

3.令和5年度補正予算案等の概要

次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。

まず、一般会計補正予算案につきましては、6月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。

具体的な補正の内容でございますが、物価高騰等への対応のほか、新型コロナウイルス感染症への対応、広島サミットの成果の持続・発展、社会的基盤の強化の取組などに、時機を逃さず対応するための経費について、予算を計上しております。

これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、212億5,253万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆1,798億8,781万円となります。

次に、予算以外の議案といたしまして、「職員の給与に関する条例及び広島県病院事業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例」などの条例案4件、人事案件といたしまして、「広島県教育委員会委員の任命の同意について」など2件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など5件を提出しております。

また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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