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春の展示「広島ものづくり」

 広島県内では,地域の気候や風土に合った産業が育まれ,人々の生活の中で重要な役割を果たしてきました。ものづくりの伝統は現代まで伝えられ,熊野筆や備後絣などは全国的にも知られています。
 今回の展示では,県内でも特に備後地方の南部で育まれ,当館がこれまで調査研究を進めてきた塩,備後表,備後絣を始め,県内における経済産業大臣指定伝統的工芸品や広島県指定伝統的工芸品など通して,広島のものづくりの歴史と伝統を紹介します。

展示の概要

「広島ものづくり―塩・備後表・備後絣・伝統的工芸品―」は,四つのコーナーで構成されています。主な展示資料は,次のとおりです。

第1章 塩 

 弥生時代に土器による製塩が始まり,その後,塩分が付着した砂を利用して濃い海水から塩を作る方法が普及しました。江戸時代に瀬戸内の各藩は,積極的に塩田開発を進め,塩の一大産地になりました。
 明治38年(1905)から塩の専売制が始まり,塩の管理・販売を政府が計画的に行うようになりました。昭和42年(1967)からイオン交換膜法による製塩が導入され,昭和46年(1971)に塩田は姿を消しました。
 平成9年(1997)に塩の専売制が廃止され,全国で様々な塩が作られ,県内でも呉市蒲刈町などで独自の塩が作られています。
 ここでは,製塩土器,塩に関する文書や松永塩田に関する資料を通して,瀬戸内の塩づくりの歴史を紹介します。

製塩土器
製塩土器(満越遺跡出土) 尾道市教育委員会蔵

塩小売店の標札
塩小売店の標札 当館蔵

第2章 備後表

 藺草(いぐさ)の利用が始まるのは,弥生時代にさかのぼります。この頃は,住居の敷物というよりも遺体や器物を包む材料として用いられていたと考えられています。鎌倉時代の絵巻物には,一部の邸宅に畳が敷きつめられていた様子が描かれ,畳が次第に建物の床材の一部として利用されてきたことが分かります。
 近世になると藺草の栽培法や備後表の品質の良さなどが文献に現れ,福山藩による保護を受け,備後表は畳の有名ブランドとしての地位を確立していきます。
 明治時代になると,かつての福山藩領の問屋等は,組合を設立して品質の改善と販路の拡張を目指し,備後表の生産量は飛躍的に増えました。
 ここでは,復元された古代の畳や畳に関する絵巻物や藺草製品を通して,備後表の歴史を紹介します。

畳職の図
畳職の図 当館蔵

第3章 備後絣

 絣は文様を想定して染め分けた糸で織られる織物で,インドを発祥地としそれが日本に伝わったと考えられています。後に三大絣と呼ばれる久留米絣と伊予絣は18世紀末から19世紀初頭に始まり,藩の政策により綿作が盛んになった福山藩内では嘉永(かえい)6年(1853)に備後絣が始まったとされています。
 明治時代になると,三大絣は工場化を進めて大量生産に成功し,その地位を確立しました。第二次世界大戦後は,備後絣が圧倒的な生産量を誇るようになりますが,時代の変化により次第に生産量が減少していきました。近年,備後絣はデニムへの転換や,手織りの工芸品として注目を集めています。
 ここでは,三大絣の一つである備後絣の独特な文様や絵柄を紹介します。

備後絣
備後絣 当館蔵

第4章 伝統的工芸品

 伝統的工芸品とは,伝統的に使用されてきた原材料を用い,伝統的技術による手作業でつくられ,ブランドとして認められ,普段の生活で使われる製品を指しています。
 県内には,優れた伝統的工芸品として,「熊野筆(熊野町)」・「広島仏壇(広島市他)」・「宮島細工(廿日市市)」・「福山琴(福山市)」・「川尻筆(呉市)」の5件が経済産業大臣の指定,「一国斎高盛絵(いっこくさいたかもりえ)(広島市)」・「銅蟲(どうちゅう)(広島市)」・「矢野かもじ(広島市)」・「三次人形(三次市)」・「大竹手打刃物(大竹市)」・「宮島焼(廿日市市)」・「戸河内刳物(くりもの)(安芸太田町)」・「戸河内挽物(ひきもの)(安芸太田町)」・「備後絣(福山市)」の9件が広島県の指定を受けています。
 ここでは,県内を代表する伝統的工芸品を通して,広島のものづくりの伝統を紹介します。

戸河内挽物
戸河内挽物 工房しんたく蔵

戸河内刳物
戸河内刳物  横畠工芸蔵

矢野かもじ
矢野かもじ 株式会社クスノキ蔵

会期・休館日・開館時間

会   期     :平成30年4月20日(金曜日)から6月3日(日曜日)まで
休館日     :月曜日(4月30日〔振替休日〕は開館,5月1日〔火曜日〕は臨時開館)
開館時間 :午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

入館料

一般290円(220円),大学生210円(160円),高校生まで無料 ※( )は20名以上の団体 

関連行事等

講演会

開催記念講演会・博物館大学第1回
日 時 :5月12日(土曜日)午後2時~午後3時30分
演 題 :広島の伝統工芸品-継承への取組-
講 師 :伊藤奈保子(いとうなおこ 広島大学大学院准教授)

関連ワークショップ

「金箔貼り体験」
日 時 :4月28日(土曜日)午前10時~正午
講 師 :蓮池 稔(はすいけみのる 蓮池うるし工芸有限会社 代表取締役)
材料費 :500円
定員   :20名
対象   :小学生(要保護者同伴),中学生
※詳しくはチラシ (Wordファイル)(260KB)を御覧ください。

展示解説会

日 時 :4月29日(日曜日・祝日),5月27日(日曜日)午後1時30分~午後2時30分
解 説 :当館学芸員

 

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