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「稲生物怪録」と「稲亭物怪録」

「稲生物怪録」と「稲亭物怪録」1

「稲生物怪録」と「稲亭物怪録」2

 広島県三次市を舞台とした江戸時代の妖怪物語である「稲生物怪録(いのうもののけろく)」は,全国的にも著名な妖怪の物語の一つです。三次在住の稲生平太郎という若者が7月の1月間にわたって多数のもののけと遭遇しますが,何事にも動じず,ついにはもののけが逃げ出してしまうというあらすじで,江戸時代からすでに多くの人たちに注目され,本・絵本・絵巻として数多く制作されました。
 明治時代以降,講談本や怪談本として引き継がれ,さらに,小説・戯曲・漫画の題材とされたり,映画や子ども向けの絵本にもなるなど,今日まで,さまざまな形で多くの人たちに親しまれています。
 ここで紹介する当館所蔵の「稲亭物怪録,(とうていぶっかいろく)」と題する絵巻は,題名が「稲生物怪録」とは異なっており,今まであまり知られていなかった系統の絵巻です。長文の物語と多くの挿絵(65枚)が掲載されています。絵の内容もこれまで知られていた絵巻と異なっており,「稲生物怪録」の成立と展開を考える上で非常に重要な資料といえます。