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サンフランシスコからの御家族

 サンフランシスコからの御家族

 月の第三土曜日に当たる日のことです。大きなお茶会が組まれていることもあり,昼前からロビーは賑わいを見せていました。そこへ市内の大手Rホテルからの電話で、「ある外国人家族が日本のお茶席体験を希望している。調べたところ資料館で開催しているようだが受け入れていただけますか。」という問い合わせでした。すぐお茶会の責任者に話をつなぐと快諾が得られました。その家族が現れたころはお茶会のお客さんがピークと思われる時間帯となり、次のお茶席グループに加わるまでにしばらく待たねばならないことがわかりました。そこで展示の案内を申し出ると,ぜひにという返答があり、どこか乗り気でなさそうな中高生らしき二人の御子息ともども、頼山陽の展示に続けて「現代刀の魅力」展を案内しました。案内役は全くの初心者ながら、御夫妻からそれぞれ十分に間を持たせるに足る問いかけをしていただいたおかげでなごやかなひとときとなりました。案内役から言えば、いずれの展示についても、ほお、そういうことをお尋ねですか、と関心を持つ視点が興味深いものでした。例えば,頼山陽直筆の原書があるか,彼はどういった書籍をもとに執筆ができたのか,何を持って脱藩と判断されるのか,どのように逮捕されたのか,などなど。
  その後、お茶席に招かれ、せっかくだからと離れた場所から様子を伺ってみました。無理に正座をするに及ばず,楽な姿勢でいいですよ,と進言しましたが、初めのうちは少なくとも脚の上に、つまり正座して順番を待っている様子が見えました。後で感想をお聞きすると、両親の感動に比べて御子息二人はそれほどでもなかったようです。抹茶が思ったほど甘くない,とも。米国サンフランシコからの来客でした。