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スイスの若者二人

スイスはローザンヌからの若者お二人が訪れて

 台風15号襲来の午後、20代と思しき男性二人連れのお客さん。外見でいうなら東洋系と西洋系の組み合わせで、少しためらいながらたずねますと、お二人ともスイスはローザンヌの大学生と自己紹介してくれました。アジア系の一人は両親がベトナム人だが、御本人はスイス生まれだとのこと。スイスの都市の位置関係がにわかに検討はつかなかったものの,レマン湖に面していてジュネーブの近くだという説明をもとにあとで地図を見て確かめました。なるほど100キロまでは離れていない。国際バレーコンクールの開かれる都市だ,と再学習した当方です。台風という貴重な経験もできたと笑っていました。
 うれしいのは、通常のホテルではなくバックパッカーズホステルを利用しているとわかったことです。当資料館を知ったきっかけを確かめそこないましたが、そこは先月、営業に回った施設だったことがすぐわかりました。日本文化になぜ興味を持つのかという話題で、お二人とも居合道を習っていること、周辺には柔道や空手道、合気道などの武道場もあることなどを紹介してくれました。日本文化の広がりおそるべし!居合道と聞いても身近で見たことのない当方は、居合道では武器を使うのですかと無邪気に尋ねたところ,似たような刀だけどアルミ製で危なくないのだと教えてくれました。太刀と刀の違いに触れると、どちらかがすぐに騎士が使うのが太刀だろうと鋭く見抜きました。さすが武道の修行者です。
 予測していたことながら、スイスでの使用言語のことを尋ねました。地域によってドイツ語、フランス語、イタリア語が使われていること,大学の授業は主として英語でおこなわれること,テレビやラジオ、新聞は?というと、各局や新聞社がいずれかの言語を選択しているとのことでした。不思議な国です。
   頼山陽の生涯をテーマとする常設展示にも案内しました。山陽自筆の手紙を前にして、そういえば縦書きの文化は珍しいのですよね、と話を振ると、古代エジプトのパピルスに書かれた文字も横書き縦書き両方がある、とかなり専門的なウンチクを披露してくれました。後で調べたところでも、ヒエログリフという象形文字は確かに縦書き横書きの両方があったようです。
  遅ればせながら、安価な扇子に、刀や手裏剣、浮世絵などを描いたものを個人的に仕入れていたものが、ささやかなお土産として初めて役に立ちました。別れ際に、ホステルで会う人たちにもこの資料館を紹介してくれることを託しました。