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なりすまし詐欺被害者の手記

印刷用ページを表示する掲載日2014年2月25日

昨年の4月,なりすまし詐欺に騙されて

広警察署管内居住主婦(63歳) 

 私は,昨年の4月,思いもよらず,なりすまし詐欺に遭いました。
 それまで私は,テレビや新聞でなりすまし詐欺の記事を見聞きする度に,なんであんな簡単な詐欺にかかるのだろう,被害者の人は,よっぽど,人のいい方なのだろうと若干あきれ気味に思っていました。

 主人と三男が外出し,私一人が家事をしていたところ,突然,九州に就職している次男から,沈んだ声で,

  • 「お母さん,相談がある。電話では話せないので,休みを取って,これからちょっと家に帰る」

と電話が架かって来ました。
 その前日,次男と電話で話しており,声が余りに違うのでたった数時間でそんなに声が変わるものだろうかと不思議に思い

  • 「声,どうしたん」

と尋ねたところ,

  • 「風邪をひいた」

と答えました。
 私は,次男が会社を休んで帰ってまでして,私に相談がしたいとは,大変な事が次男の身に起こっていると思い,次男を落ち着かせるために

  • 「体,気を付けなさいよ」

と言ってやり,その時は,一旦電話を切りました。
 訳が解らないままに,私は,その災難の理由をあれやこれや考え,胸がどきどきし生きた心地がしなくなりました。

 そうしたところ,時間を見計らったように10分後に,次男から2回目の電話が架かってきました。
 急いで電話を取った私に次男は,

  • 「上司から,今は監査前なので,休みをとらせることはできないと言われた。」
  • 「帰って,お母さんに相談しようと思ったが,帰れない。」

としょぼくれて話しました。
 私は居ても立ってもいられなくなり,

  • 「何があったん」

と電話の向こうの次男を強く諫めたところ,次男は,ぽつぽつと

  • 「実は,先輩の紹介で先物取引に手を出して,会社のお金を使い込んでしまった。数日後に会社の監査があるので,もう駄目じゃ。さっき,直属の上司には正直に話した。」

と申しました。
 私は

  • 就職難の時代に大学を出て,やっとの事で就職した会社を次男が首になる。
    首になれば,次の就職先などどこにあるのか
    次男の将来はどうなるのか

と絶望で目の前が真っ暗になりました。
 電話の向こうの次男は,しばらくして,

  • 「僕に目をかけてくれている上司が,何とか監査を乗りきり,会社に残れるように色々考えてくれている。」

と言って電話を切りました。

 私は,

  • 悪い予感がやはり当たった。九州にいる次男は大変な事をやってしまった。このままでは,次男の将来は絶望的だ。しかし,次男に目をかけてくれている上司の人が,もしかすると何とかしてくれるかもしれない。

と知らず知らずのうちに見たこともない次男に目をかけてくれている上司の人にすがる気持ちになって行きました。

 そうしたところ,また時間を見計らったように10分後に,次男から3回目の電話が架かってきました。
 状況を一生懸命尋ねる私に,電話の向こうの次男は,

  • 「上司の○○さんと代わる。」

と落ち込んだ様子で一言いいました。
 電話口の上司の○○さんは,次男のことを大層誉めてくれ,

  • 次男に将来性のあること,そして,何とかして会社に残したい

と頼もしそうな口調で言ってくださいました。
 また,7月にはボーナスが100万円位出ることもその時,話してくださいました。
 私は,上司の○○さんに,次男が大変なことをしてご迷惑をおかけしたこと,それにも拘わらず,大変なことをお願いすることを謝り,そして感謝の気持ちを精一杯申し上げました。
 上司の○○さんは,快く,なりすまし

  • 解りました。
    よく調べて,できる限りのことをやってみましょう。

とおっしゃってくださいましたので,あらぬ限りの感謝の言葉を述べ,電話を切りました。
 また,この時,次男から,

  • 僕の携帯電話には,絶対に架けないで欲しい。
    携帯電話の着信履歴を監査の時に調べられたら,全てが明るみに出てしまう。
    そうすると自分だけでなく,危険を冒してもみ消し処理をしてくださっている上司の○○さんにも処分が及ぶことになりかねない。

と注意がありました。
 私は,テレビの刑事ドラマでそのような場面を見たことがありましたので,

  • 次男の注意はもっともだ,危ないところであった。

と思いました。

 それから,4回目の電話が,また約10分後に架かってきました。
 今度は,次男の上司である○○さんからでした。
 ○○さんは,電話に出た私に明るい声で,

  • 帳簿処理の方は今日中にやれば使い込みの痕跡を完全に消去することができる。
    帳簿さえ処理できれば,監査は何とか乗り越えることができる
    監査さえ乗り越えれば,使い込みの件は無かったことになり,次男の将来は有望なままである

と言ってくれ,次男と電話を替わられました。
 電話口に出た次男は,情けなさそうに,申し訳なさそうに,

  • 帳簿処理には,300万円いるが100万円しか自分は用意できない。ほんとに申し訳ないが200万円都合して貰えないか

と泣きながら言ってまいりました。
 もちろん,私は,借金をしてでも次男のピンチを助けるつもりでありましたので,

  • お母さんにまかせなさい。
    何をどうすれば,いいの。

と答えてやりましたところ,

  • 僕では詳しいことはわからない。

と言って,再び上司の○○さんと替わりました。
 上司の○○さんは,

  • 携帯電話を持って,コンビニのATMコーナーに行って,ATMを言われたとおりに操作してください

と細かな説明をされましたが,私は,携帯電話を持っておらず,また,コンビニの ATM の取扱いもやったことがないので,

  • 申し訳ありませんが,ちんぷんかんぷんの状態で無理である。
    何とか,銀行口座での振込にできないか

とお答えしました。
 そうすると上司の○○さんは,ご親切にも

  • ちょっと調べて見ます

と言って電話を終わられました。

 それから,約5分後に5回目の電話が次男の上司の○○さんから架かって来て,

  • 今日中に○○信用金庫△△さん名義の口座番号○○○に200万円を入金して貰えば,後は私の方で処理を済ませます。
    誰にもこのことを話さないでください。
    銀行では,高額振込の場合,振込理由を尋ねるように法律でなっていますので, 銀行員に振込理由を尋ねられたら,「親戚にお金を貸すことになったんよ」と答えてやり過ごしてください。

と親切なご指示を戴きました。
    私は,

  • 上手に払いたい一心で一言も聞き逃すまい

と一生懸命覚えました。

 そして,私は,夫と三男がこんな大事なときに不在のため車が使えないことに腹を立てながら,一刻でも急いで200万円を振り込まないと次男が人生を棒に振ると思い,急いで自転車に乗り,自宅から約1キロメートル離れた○○信用金庫広支店に向かいました。
    自転車で○○交番の前を通り過ぎた時,私は,

  • こんな時こそ,警察に行って相談に乗って貰えばいいんだが

と思いましたが,

  • そんなことをすれば,せっかく良いところに就職できた次男の将来が無くなってしまう

と思い直しました。
    そして,○○信用金庫広支店手前約10メートルにさしかかった時,ふと,

  • 私は何で,こんなに急いでいるのだろうなりすまし

と思いました。
    そして,次男から

  • 僕の携帯電話には,絶対に電話を架けないで欲しい。
    携帯電話の着信履歴を監査で調べられたら,全てが明るみに出る虞がある。

と注意されていましたが,1回掛けたぐらいでは大丈夫だろうと思い,

  • もう一度,次男と話をして,もう一度,次男の胸の内を確かめてみよう

と思い,自転車を停めて,黙って自宅から持ち出した三男の携帯電話で,次男に電話を架けました。
    電話に出た次男に,

  • あんた,これで本当に大丈夫なん?

と言ったところ,次男の反応は,

  • 何が大丈夫なん? 訳のわからんこと言いんさんな

とそれまでの泣いて感謝していた態度とは打って替わり,横柄な物言いでありました。
    私は訳がわからなくなり,

  • あんたが,会社のお金を使い込んだけえ,上司の○○さんの世話で私が200万円出して,会社に解からんようにして貰うんじゃないん。あんたが,私にさっき泣きながら頼んだ事じゃない。

と強い口調で言ってやったところ,次男は私よりももっと強い口調で,

  • 僕がそんなに信じられんの?
    今までに,金をどうこうしてくれと言うたことがいっぺんでもあるん。何,訳のわからんこと言うとるん。

とやり返してきました。
    この時,初めて私は,

  • テレビ,新聞,町内会の回覧等で言っていたなりすまし詐欺に自分が遭ったのだ

と言うことに気が付きました。
間一髪で「なりすまし詐欺」の被害を免れ,気が抜けた状態で自宅に帰ってみると夫と三男は既に帰宅していました。
 夫は,私の顔を見るなり,きつい口調で,

  • あんたがおらん間に次男から電話が架かってきて,全ての話を聞いた。
    あんたが,金を振り込みのをグズグズしているから,次男が泣きながらわしに早う振り込んでくれと言ってきたで。
    なにぐずぐずしょうるんや,早う,金を振り込んでやれや取り返しのつかんことになったらどうするんや

 と私をなじりましたので,これまでの経緯を話して聞かせました。しかし,夫は,私の話に半信半疑でした。

 そこへ,ちょうど次男を名乗る男からの第7回目の電話が架かって来ましたので,夫が急いで電話を取り,電話の相手にむかって,

  • お前ほんとうに,○○か

と次男の名前を言ったところ,電話は突然断となりました。
 以上が,私と夫が遭遇した「なりすまし詐欺」の状況であります。

 私が,「 なりすまし詐欺」 の被害に遭わずに済んだのは, 夫と三男がたまたま外出中に犯人から電話が架かってきたからであります。
 もし,夫と一緒の時に電話が架かって来ていたら,二人で車に乗って,銀行に行っていたことは間違いありません。
 車という密室の中で,次男の危機を心配し取り乱した私と夫の二人では,結果は火を見るより明らかです。

 それから,車がないのでしかたなく自転車で銀行に行ったのがよかったと思います。
 自転車を漕ぎ体を動かすことと,時間が経過することにより,冷静になれたのだと思います。

 私達家族は,今回のことについて話し合いました。
 その結論は,

  • あんなに巧い芸をする犯人を相手に,どんなに「なりすまし詐欺」の対処法を勉強しても,犯人はその上を行く新しい手口を考え出してくるので,やはり私達は,騙されてしまうだろう

ということと,

  • 家族が行った犯罪や不名誉なことを隠そうとすることは不誠実,無責任なことで,やった本人がやったことの責任を誠実にとり,真人間に戻ることが本人と家族にとって一番大切なことである。その時,家族は心を鬼にして,じたばたせずに,責任を執った後の助けだけを考えてやること

であります。
 その覚悟と心構えだけが,このような卑劣な詐欺から免れる唯一の方法であると家族みんなで話し合いました。

 最後に私と夫を騙した犯人の人達に言いたいことがあります。
 あなたのやった事は,

  • 子を思う親心を人質にとった卑劣極まりない行為

です。
 あなたが,私に対して,泣きながら,

  • お母さん,申し訳ない。
    お母さんに迷惑をかけて,ごめんなさい。
    お母さん本当にありがとう。

 と言った言葉の中に,誠の心は1%すらもなかったのですか。
 もし,あなたが人の親になって,子を思う親の心を知った時,あなたは,私に言ったこと,私に行おうとしたことに後ろめたさを感じないのでしょうか私は,怒っています。卑劣な心のあなたに。
 私は,反省しています。目先のみの愛情に固執した自分に

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