市民参加型犯罪予防活動に関する犯罪環境学的分析研究
印刷用ページを表示する掲載日2011年12月1日
本研究は、これまでのわが国ではほとんど例のなかった、県民、行政、事業者、警察等が一体となった犯罪予防実践活動の検証であり、学問府の立場としてこれを犯罪学的及び刑事法学的に位置づけながら問題点を炙り出し、以て実践的な犯罪予防活動に新たな起動力を与えることをねらいとしている。 より具体的には、平成16・17年度に安佐南区で実施された「減らそう犯罪」住民・行政・警察協働モデル事業に対して、客観的・相対的視点から環境犯罪学的評価・分析を行い、効果的な波及手法を導出することを目的とする。そこでは、重要な担い手である市民の参加意義、参加形態、参加意識が検証されなければならない。 | |
A 分析 (1) 犯罪予防論 犯罪の機会を減少させるために、まちのデザイン、夜間の照明灯など物的な側面から行われたアプローチは環境犯罪学的であったといえる。(犯罪原因の究明という社会的犯罪予防論的なアプローチではない。) (2) 比較制度論 市民が防犯活動に積極的に参加していくというアプローチは、世界的にみても非常に珍しいタイプに属する。(犯罪予防に関する施策の意思決定に関して市民が参加するという国はあるが、実際の活動に参加するのは稀である。) (3) 地域知見論 「自分たちのまちだから」「世話になったまちだから」という非常に利他的な参加理由に基づいて行動している。 B 疑念への対応 (1) 「犯罪の転移」 広島の場合、活動が県民総ぐるみで行われている→転移する隙がない (2) 相互不信・監視社会 今回の安佐南区の活動は、協議会による市民間連携であり、横の連携を生み、これがむしろ肯定的に評価されるものとして表れたといえる。 | |
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・ 犯罪認知件数3割減、安佐南区では4割減。 「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動は非常に有効であったといえる。 ・ 安佐南区において集中的に活動した結果、他の地域に犯罪が拡散したということは統計上確認できない。 ・ 社会的なつながりが回復してきている。 ・ 県や県警、大学といったさまざまな機関が連携していくことができるようになった。 ・ 情報ネットワークが整備されてきたということも重要な成果。 ・ オール・イン・オールで、まず一つのことにみんなで取組むことの重要性、そしてさらに一人ひとりが、かけがえのない存在だということを、この防犯活動の中で学べたのではないかと考える。 |
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