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はじめに

印刷用ページを表示する掲載日2012年6月14日
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原爆死没者慰霊碑広島は、長年にわたって、「核兵器のない世界」を築くというビジョンを抱き、そのためにあらゆる資源を利用し、たゆみない努力を重ねてきた。21世紀に入り世界が変化し続ける中、このビジョンに向かって私たちが進んでいると期待できる兆しがある。オバマ大統領は、米国が「核兵器のない世界」の実現に向けて誠実に取り組むことを新たに約束し、その具体的なステップとして、米国の安全保障政策における核兵器の役割を縮小しはじめた。本提案を通して私たちは、将来の世代がより平和な世界で暮らせるよう、この歴史的な好機をとらえ、世界平和貢献の行動指針となってきた広島のビジョンをより良いものにしたいと考えている。

私たちは、全ての核保有国の指導者が、米国と同様に「核兵器のない世界」の実現を約束し、軍拡競争をやめ軍縮プロセスを開始するための具体策を講じるよう求める。非核保有国の指導者にも、核軍縮の取組において責任を分担することを求める。なお、こうした流れの中で、拡大抑止における核兵器の役割を縮小し、燃料サイクルの多国間管理を強化する努力が重要である。

広島は、「核兵器のない世界」実現に向けた努力を新たに始めることをここに約束する。ここで提示されることは、従来からある脅威と新たに出現した脅威双方に対処する創造的な戦略構想への参加を呼びかけるものである。言うまでもなく、広島が単独で「核兵器のない世界」を実現することはできない。しかし、国際世論を喚起し、広島でラウンドテーブルを毎年開催し、そしてより安全な未来を模索する私たちの取組へ他国の参加を促すことはできる。
 
カブール核軍縮と核不拡散への取組だけでは、しかしながら、持続的平和は訪れない。世界中で多くの人々が、長年続く激しい内戦や国際紛争で命を落とし、それがまた、更なる暴力とテロリズムを生んでいる。ゆえに私たちは、核軍縮を進めるとともに、紛争解決及び紛争後の復興に向けても取り組まなければならない。

このような状況に鑑み、私たちは「3 × 3アプローチ」を提唱する。これは、(1) 核兵器廃絶、(2) 復興・平和構築、(3) 新たな安全保障体制の構築という3つの主要な課題と、(1) 平和のための理論構築、(2) 人材育成と研究活動を通じた平和創造・構築活動の支援、(3) 創造的なアイディアの創出とメッセージの発信という3つの行動を組み合わせたアプローチである。これによって広島のビジョンを強化し、私たちは、核軍縮への取組を継続しつつも、紛争解決及び紛争後復興にも新たに取り組みたい。以下から、国際平和拠点という新たな役割を担った広島が、核兵器のない世界を実現し、激しい紛争で疲弊した地域に持続的平和を促進するための、具体的な行動計画を提案する。

[国際平和のための3×3アプローチ]

3つの課題 (Challenges)3つの行動 (Actions)
  • 核兵器廃絶
  • 復興・平和構築
  • 新たな安全保障体制の構築
  • 平和のための理論構築・研究集積
  • 人材育成と研究活動を通じた平和創造・構築活動の支援
  • 創造的なアイデアの創出とメッセージの発信

 

[写真提供] 写真下:ユニタール広島事務所

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