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高齢期の精神疾患と対応の実際~デイケア事業を通して~

印刷用ページを表示する 掲載日:2011年3月10日更新

 この調査研究報告は,平成10年度から3年間にわたる老年期精神障害者デイケア事業をもとに,精神疾患を抱える高齢者への援助方法をまとめたもので,当時はあまり注目されていなかった認知症以外の高齢期精神疾患の理解も盛り込んだものです。
 平成13年12月,冊子として精神疾患を抱える高齢者の援助を行う関係機関に配布したところですが,このたびホームページに改めて掲載することとなりました。
 本文中「痴呆」の表現がありますが,当時の原文のまま掲載しておりますのでご了承願います。

目次

刊行に当たって
A 高齢期の精神疾患
 1 うつ状態
  (1)うつ状態とは(2)特徴(3)原因(4)対応
 2 幻覚・妄想状態
  (1)原因(2)主な鑑別点(3)高齢期の妄想チェック項目(4)対応
 3 神経症性障害
   (1)症状(2)発生類型(3)環境要因(4)高齢期神経症患者の臨床像の特徴(5)対応
 4 せん妄
   (1)チェック項目(2)原因(3)治療
 5 アルコール依存症
   (1)分類(2)特徴(3)チェック項目(4)対応

B 老年期精神障害者デイケアの実際

 1 はじめに

 2 デイケア開設の準備
  (1)名称(2)設備(3)利用者の募集(4)利用の手続き

 3 事業の概要
  (1)目的(2)対象者(3)実施日時(4)従事スタッフ(5)送迎(6)保険(7)費用

 4 活動の内容
  (1)1日の流れ(ある1日の例)(2)留意点(3)家族支援(4)評価

 5 対応の基本・留意点

 6 事例
  (1)事例の概要,(2)生活歴,(3)既往歴,(4)家族,(5)現病歴,(6)デイケア開始時のアセスメント,(7)経過,(8)まとめ

 7 今後の課題

 8 資料
  資料1:老年期精神障害者デイケア実施要綱
        別記様式第1号別記様式第2号別記様式第3号
        別記様式第4号別記様式第5号別記様式第6号
        別記様式第7号
  資料2:個人記録票の記入マニュアル
  資料3:各評価表と使用方法
        1長谷川式簡易知能評価スケール
        2老研式活動能力指標
        3改訂PGCモラール・スケール
        4GHQ
        5参考文献

資料 (Word版)

※ページ下部のダウンロードよりダウンロードしてください。

  資料1:老年期精神障害者デイケア実施要綱
        別記様式第1号,別記様式第2号,別記様式第3号,
        別記様式第4号,別記様式第5号,別記様式第6号,
        別記様式第7号
  資料2:個人記録票の記入マニュアル
  資料3:各評価表と使用方法
        1長谷川式簡易知能評価スケール
        2老研式活動能力指標
        3改訂PGCモラール・スケール
        4GHQ
        5参考文献 

刊行にあたって

我が国では,世界に類を見ないほどのスピードで高齢化が進んでいます。戦後の約50年間で男性で26年,女性で29年平均寿命が延び,2050年には約3人に1人が65歳以上という超高齢社会が到来すると予想されています。
高齢者の増加とともに,痴呆をはじめとする高齢期の精神疾患も注目されています。厚生省(現厚生労働省)患者調査に基づく年齢階級別精神障害受療率年次推移をみると,高齢者の精神疾患による受療率は近年急速に増加しています。痴呆を中心とした器質性精神障害が半数を占めるものの,うつ病や以前には高齢期には少ないと言われていた神経症もその受療率は壮年層より高値で,高齢者を取り巻く社会環境や心理的状況が容易なものではないことを示しています。
高齢者の精神疾患はその背景に生物学的・心理的・社会的要因が複雑に関与し,さらに高齢者個人の生活歴が集約されることから,その対応には高齢者の心性や社会状況をより理解し,高齢者自身が持つ力を引き出しながら援助することが大切であり,そのためには医師・看護婦・保健婦・福祉関係者・作業療法士などの専門スタッフがチームを組んでその実践にあたることが必要であると思われます。しかしながら,そのような実践活動を行う体制や手法がまだ確立されているわけではなく,平成12年度より始まった介護保険制度においても,精神疾患をかかえる高齢者の援助が不十分な状況です。
そういった状況の中で,当センターでは平成10年度より3年間にわたって老年期精神障害者デイケア事業を行い,精神疾患をかかえる高齢者が地域で生き生きと生活していけるためのよりよい援助方法を模索してきました。デイケア事業を通して,これまで孤独と不安にさいなまれ,様々な精神症状を呈していた高齢者が笑顔を取り戻していく姿を目の当たりにし,専門的な視野に立って適切な対応を行うことが高齢者にとって重要であること,そして,人とのふれあいが大切であることを痛感しました。この度,3年間の活動の中で得られた対応のコツやデイケアのやり方などをまとめ,これまであまり注目されていなかった痴呆以外の高齢期精神疾患の理解も盛り込んだ1冊としてお届けすることになりました。
この1冊が皆さまの地域精神保健活動のお役に立てば幸いに存じます。

平成13年12月
広島県立総合精神保健福祉センター

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A 高齢期の精神疾患

1 うつ状態

(1)うつ状態とは

気分が沈み気弱になり,何事をするのもおっくうになる状態です。考えがまとまらず仕事に集中できなくなったり,自分を責めるようなことばかり考えたり,死にたい気持ちになることもあります。また,不眠・食欲低下・便秘・全身倦怠・心悸亢進などの身体症状も出現します。

(2)特徴

高齢期は,様々な喪失体験(退職・財産の喪失・兄弟や配偶者の離別・身体的老化など)に直面し,うつ病の発症にそれらの因子が深く関与しています。そのため,複雑な病像を示すことが多く,これが特徴の一つとなっています。
さらに,いくつかの特徴を示します。

  1. 不安や焦燥が前景にある
    不安・焦燥・苦悶が前景に現れ,身体的愁訴や特定の事象を執拗に訴え続けることがあります。
  2. 身体症状や心気的愁訴が多い
    身体症状としての食欲低下,体重減少,便秘などの消化器症状や不眠,頭痛,頭重,発汗,口渇など自律神経症状は大多数の例に見られますが,胸部痛・胃部不快感・腰痛・しびれ感などの多彩な身体的愁訴が中心となり,精神症状が前面に現れないことがあります(仮面うつ病)。身体的愁訴の中では便通や排尿に関する執拗な訴えが多く認められます。
  3. 妄想を形成しやすい
    罪業妄想(皆に迷惑をかけている),貧困妄想(破産する,生活できない),心気妄想(癌である)がよく見られます。
  4. 痴呆様症状を呈することが多い
    集中力が低下し考えがまとまらなくなるため,物忘れや,判断力・思考力・計算力の低下が見られ,痴呆と思われることがあります(仮性痴呆)。 

     a.抑うつ症状の出現とほぼ一致して急に知的機能が低下した
     b.身辺のものや道具を上手に扱うことができ,日常生活に支障を来さない
     c.質問に対する返答は緩慢で「わからない」と答え,考えることを放棄してしまう

    等の場合は,痴呆は否定的です。逆にうつ状態が痴呆の前駆症状である場合もあり,注意が必要です。

  5. 意識障害を来しやすい
    食欲低下に伴う脱水などの身体状況の悪化や抗うつ薬などの薬物が要因となって意識障害やせん妄が引きおこされます。
  6. 薬物の副作用がでやすい
    抗うつ薬や抗不安薬による過鎮静,転倒,せん妄などの副作用がよく出現します。

(3)原因

うつ状態をひきおこす原因として次のものがあげられます。

  1. 脳や身体の疾患によるもの
    脳の器質的な障害(脳梗塞など),老人性痴呆疾患の初期,パーキンソン病,甲状腺機能障害など。
  2. 心理的なきっかけによるもの
    近親者の死,離別,災害,転居など。
  3. ひとりでに起こるもの
    心理的なきっかけがあっても,それが日常的な出来事であったり,全くないのにひとりでにおこるものもあります

(4)対応

心身の休養と正しい薬物療法ができる環境を整えることが重要です。
ご本人・ご家族に次のことをよく説明し十分な理解を得ることが必要です。

  1. 回復する病気であり,治療が必要である
  2. 抗うつ薬の効果発現までに2~4週かかるので,規則的に服薬し続けることが大切である
  3. 心身の休養が必要であり,無理な仕事は回復を遅らせるので,特に対人接触,人混みや旅行などは避ける
  4. 受容的・支持的・共感的に接し,激励したり叱ったりしてはいけない

<ケース例>
75歳,女性。
元来は朗らかな性格であった。
X年3月,交通事故に遭ったが大きな外傷はなかった。事故後,頭痛や肩痛が出現し整形外科を受診するも異常なしとの診断であった。保険や賠償などの手続きなどを行ううち,いつも不安でいらいらし,じっとしていられない状態となった。夜も眠れず,こんなにつらいのなら死んでしまった方がよいと思うようになった。5月,心配した家族に伴われ,精神科受診。うつ状態の診断にて抗うつ薬を中心とした薬物療法を開始。徐々に不安・焦燥感は薄れ,頭痛・肩痛などの身体症状も消腿した。

交通事故やその後の手続きなどのストレスをきっかけとして生じたうつ状態の一例である。不安・焦燥を中心とした症状から激越型うつ病といえる。頭痛・肩痛の身体症状もうつ状態に伴って生じたものである。

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2 幻覚・妄想状態

高齢期における幻覚・妄想は,高齢者を取り巻く心理・社会的な状況を反映していることや,他の年齢層に比較して脳器質性疾患によるものの多いことが特徴的です。心理・社会的要因として,高齢者の持つ不満・不安・生きがいのなさ・孤立・抑うつなどが慢性的ストレスとなり,幻覚・妄想へと発展すると考えられています。

(1)原因

原因疾患として,身体的病因・非器質性病因があります。
身体的病因としては,高血圧・糖尿病などの身体疾患やアルコール依存症,脳出血や脳梗塞などの脳器質性障害があげられます。
非器質性病因としては心因反応,精神分裂病,うつ病,妄想性障害などがあげられます。

(2)主な鑑別点

急性に一時的な意識障害を伴う場合は,脳梗塞・脳出血などの脳血管性障害やアルコール・薬物などに伴う中毒性精神障害が疑われます。
徐々に進行する知能障害を伴うものは痴呆が疑われます。
抑うつ気分や意欲低下を伴う場合はうつ病が疑われます。
意識障害や感情障害を伴わず,日常生活はきちんと行われているにもかかわらず,矛盾した考えにとらわれ,訂正できない場合には妄想性障害が疑われます。

*老年期妄想性障害老年期に特有のものとして,人格変化は少なく妄想状態を主とし,時に短期間幻覚を認める状態があります。女性に多く,妄想の主題が現実生活に関わるもので対象も身近な特定の人であることが多いようです。妄想の形成に,隣人とのトラブル・経済的な問題・孤独な生活・社会的孤立などの心理社会的な要因が関与していることが多く認められます。また,難聴や視力障害などが関与している場合もあります。

(3)高齢期の妄想のチェック項目

以下の項目が大切です。

  1. 妄想とそれに伴う行動が限定されているか,他に発展していないか
  2. 睡眠・食欲・着衣などの生活の乱れが伴っていないか
  3. 元来の性格やこれまでの生活歴に強気と弱気の併存と孤立という要素があるか

(4)対応

  1. まず,基礎となる精神疾患の鑑別が必要です。ご本人は受診を拒絶することが多いため,ご家族から精神科医に相談しましょう。
  2. ご本人の言い分をよく聞いてみましょう。妄想の中にその人の価値観や人生観が反映されていることが多く,どういう流れでそういうことを言い出したのか考えることができます。
  3. 高齢者の生理的変化として,変化に対応しにくくなり独善的なこだわりや曲解をしやすくなるため,現実世界の認識をゆがめてしまうことがあります。暖かくゆとりをもって寛容に接する態度が基本です。社会的孤独が関与しているケースも多く,まずは1対1の関係を持つことからはじめましょう。
  4. 地域の中では,問題を解決するという視点より,時に生じる危機状態を支えるにとどめて,個々人の生活スタイルを保障するような関わりのスタンスが大切な場合もあります。 

<ケース例>
70歳,女性。
元来内向的で人づきあいは苦手なほうだった。
10年前に夫が亡くなって後,一人で家を守ってきた。数ヶ月前より「天井裏に誰かがいる」「家の中のものを盗られる」と話すようになった。最近では,「ものを盗っているのは隣の住人である」と話したり,「隣人が毒をまいて殺そうとしている」と警察に訴えることも多くなってきた。ターゲットとなっている隣人との間にトラブルも絶えず,民生委員や保健婦に苦情が多く寄せられている。
記銘力低下・見当識障害は見られず,家事全般はきちんと行えている。

妄想性障害の一例である。ご本人には病気の症状であるという自覚はなく,この時点で精神科受診を強引にすすめることはご本人を傷つけることとなり,最善策とは言えない。まずは,ご本人の訴えをしっかりと受け止め,1対1の関係を作ることで本人の孤独を癒すことから始める方がよいと思われる。
地域での精神保健福祉活動が充実すれば,こういった状態になる前にご本人と関係を結び,予防的に関わることも可能であると思われる。

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3 神経症性障害

神経症性障害とは,精神的原因(心因)によって精神的症状あるいは身体的症状がひきおこされた状態です。
個人の要因としての性格や欲求不満に対する耐性と環境要因(対人関係などのストレス)とのかねあいによって発症することが知られています。

(1)症状

主な症状として次のものが挙げられます。

  1. 不安発作
    強い不安感が発作的に出現し,これに伴って強い身体症状(心悸亢進,息苦しさ,めまい,吐き気,冷や汗,頭痛など)が現れ,不安感が身体症状によっていっそう強められる状態です。
    ご本人は動悸や息苦しさのために今にも死にそうな恐怖感に襲われ,病院を救急受診することも多いのですが,医師の診察を受ける頃には治まっており,検査でも異常が認められません。
  2. 心気症状
    客観的に説明できるような疾患がないのに,種々の身体的・精神的不調を執拗に訴え,器質的病変がないことを説得しても訴えが軽減しない状態です。
    身体的な訴えとしては,頭痛・めまい・胸部圧迫感・胃部膨満感・便秘・残尿感・四肢冷感などが,精神的不調としては不眠(客観的には眠っているのに眠っていないと訴える)などが多く認められます。
    医者から心配ないと言われても,身体症状が大病の兆候ではないかと過度に心配するようになります。
  3. 強迫症状
    自分では不合理であるとわかっている考えや行動が,自分の意志や理性に反して現れ,自分で押さえようとしても押さえられない状態です。
    強迫的に出現する考えを強迫観念と言い,強迫的に行われる行為を強迫行為と言います。たとえば,自分で戸締まりをしておきながら忘れたのではないかという考えが生じ(強迫観念),どうしても家に戻って確認するという行為(強迫行為)を生じます。1,2度確認して納得でき日常生活に支障がなければ問題ありませんが,何度確認しても納得できず日常生活に支障を来す場合は症状として捉える必要があります。

(2)発病類型

心因や環境要因,経過などから3類型に分けられます。

  1. 青年期・壮年期に発病し,高齢期に至った群
  2. 本来,神経症的性格傾向の持ち主であるが,高齢期のストレスを引き金として発病する群
  3. 性格の偏りがなくても,高齢期特有のストレス状況が強く影響して発病する群

(3)環境要因

高齢期特有の環境要因として3つに絞ることができます。

  1. 身体的要因:身体の衰退,身体疾患の合併など
  2. 社会経済的要因:退職,社会的役割の喪失など
  3. 人間関係要因:家庭内葛藤,配偶者の死,孤独など

(4)高齢期神経症患者の臨床像の特徴

  1. 様々な症状が多彩に出現し,複雑です。
  2. 最も多いのは心気と不安・抑うつの混在です。
  3. 心気的訴えは多訴的・不定愁訴的で,多いのは睡眠障害と消化器症状です。
  4. 心気状態が慢性化すると依存的,疾病逃避的な臨床像を示すことがあります。
  5. 医源的な要因が発病や増悪因子として関与しやすくなっています。

(5)対応

  1. 共感的態度で安心感を送ることが必要です。しかし,依存的となり援助者を独占しようとする傾向もあり,巻き込まれない工夫も必要です。
  2. 身体疾患が合併していないか,他の精神疾患ではないかを確認しておくことも必要です。
  3. 精神科への受診を勧める際には,精神科へのおそれや偏見・不信感などに十分配慮することが大切です。
  4. 病前性格や生活歴,背景となっている環境的要因を調べ,生活環境の調整も同時に行わなくてはなりません。

<ケース例>
78歳,女性。
元来神経質で,些細なことも気になる性格であった。
3年前不整脈を指摘され,内科通院を続けていた。
1年前に夫が心筋梗塞で死亡し独居生活となった。その頃より不安感が強まり,急に胸が苦しくなり息ができず,このまま死ぬのではないかという恐怖におそわれた。何度も救急受診するが異常はないと言われ,あちこちの医者を転々とするようになった。内科医より精神的な問題を指摘され,精神科受診。外来での薬物療法・支持的精神療法とともに保健婦の訪問,家族調整,ケアハウスの利用などで安心感を持って生活できるようになった。

身体疾患に配偶者の死亡という喪失体験が加わって顕在化した不安神経症の一例。
精神科への受診は,ご本人の自尊心を傷つけることもあり受診をすすめる際には配慮が必要である。

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4 せん妄

軽度から中等度の意識混濁に加え,幻覚・妄想,精神運動興奮を呈する状態です。
高齢者では身体疾患のある人で10~20%に生じると言われています。
せん妄は,原因の早期診断と適切な治療により改善でき,これを改善することによって介護を容易にし,生活の質を高めることができるにもかかわらず,見逃されていることも多く,その鑑別は非常に重要であると思われます。

(1)チェック項目

  1. 軽い意識障害では,少し応答が遅い・話のまとまりが悪い・理解が悪く何回か聞かないと答えられないなどのことがよく見られます。
  2. 記銘力を試す簡単な質問(朝食の内容など)や見当識を知る質問(今日は何月何日ですかなど)をすると間違った回答が多く見られます。
  3. このような状態が急速に始まった,あるいは1日のうちで変動します。痴呆がある場合,意識障害の判断は難しいことが多いのですが,痴呆が急激にすすんだように見えるときは要注意です。
  4. 錯覚(カーテンが人に見える,壁のシミやシーツのしわを動物と言うなど)や幻覚(主に幻視:誰もいないのに何人か見えると言うなど)があることも診断に役立ちます。

 (2)原因

原因として次のようなものが挙げられます。

  1. 治療薬によるもの
    利尿薬,鎮痛薬,抗パーキンソン病薬,抗うつ薬,ジギタリス,H2ブロッカーなど
  2. 感染症
    肺炎,尿路感染症など
  3. 脱水・栄養障害
  4. 脳血管性障害
    一過性脳虚血発作,脳梗塞,慢性硬膜下血腫など
  5. 心血管系の障害
    心不全,高血圧,心筋梗塞など
  6. 外傷
    頭部外傷,骨折

(3)治療

  1. 原因疾患の治療
    原因となっている身体疾患を治療することが第一です。
  2. 環境の調整・睡眠障害の改善
    なるべく静かで昼夜の区別のつく部屋で,睡眠覚醒リズムを整えましょう。
    昼間は看護者や家族が暖かく接し,不安を取り除けるよう配慮することも大切です。日中,テレビ・ラジオを流すことも一つの手段です。
  3. 薬物治療
    少量の抗精神病薬が有効な場合も多く認められます。
    ただし,高齢者では抗精神病薬による副作用(過鎮静,ふらつきなど)も出現しやすく,注意が必要です。

<ケース例>
81歳,女性。
元来明朗快活な性格であった。腰痛のため通院中であったが,その他異常は認められなかった。転倒し大腿骨頸部骨折を生じたため入院し,大腿骨頭置換術を受けた。手術後3日目の夜より「火事だ」「泥棒が入った」など大声で騒ぎ興奮状態を呈するようになった。手術後であることを理解せず立ち上がろうとしたり,自分が病院にいることもわからないようであった。翌日は興奮状態も見られず,前日の夜騒いだことは覚えていなかった。

骨折と環境変化をきっかけにして生じたせん妄の一例。
典型的な症状経過を示した症例である。
高齢者では,この症例のような興奮状態を示さず,一日中ぼんやりした状態や幻視・妄想が続くケースもあり,注意が必要である。

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5 アルコール依存症

アルコール依存症は飲み方のコントロールができなくなる病気です。
「このへんで飲むのをやめておこう」と思ってもブレーキが利かず飲まずにはいられない状態になります。
依存には精神依存と身体依存があります。
精神依存は,「飲まずにはやっていられない」という気持ちが強まり,アルコールが自分の関心の中心になっていくため,一日中飲み続ける・身体の病気のためにやめるよう言われてもやめられない状態になります。
身体依存では,飲酒量を減らしたり中断した際,離脱症状として指先のふるえ,焦燥感,不眠,脂汗,動悸,吐き気などが出現します。酒をやめようと思っても,身体が酒をやめられない状態になっているのです。

(1)分類

発病の時期により3つに分類できます。

  1. 早発型:若年より問題飲酒のある症例
    高齢化に伴うストレスとの関連がありません。
  2. 高年悪化型:若年より若干の問題飲酒があったが高年に達してからそれが出現した症例
  3. 遅発型:若年時に問題飲酒はなく,高年に達してからそれが出現した症例
    高齢化に伴うストレスと問題飲酒の発現に因果関係があります。退職や配偶者との死別などがきっかけにあることが多く,うつ状態を合併しているものもあります。

(2)特徴

  1. 平均して飲酒開始年齢が高い
  2. 常習飲酒から問題発生までの期間が長い
  3. ちびちびと一日中,夜間も飲み続ける傾向がある
  4. 家族に絡む,不眠,徘徊,泥酔,失禁が多い
  5. 身体合併症が多い
  6. 痴呆の合併が多い

(3)チェック項目

  1. 飲酒の状況を詳しく把握しましょう
  2. 身体疾患や家族関係,経済状況などの状況を把握しましょう
    栄養失調や肝・心疾患の程度などによっては緊急に身体治療が必要な場合もあります。
    家族関係や経済状況が飲酒のきっかけとなっている場合もあります。
    また,飲酒問題に対してご家族がどのように対応しているのかも重要なポイントです。
    ご家族が疲弊している場合には,ご家族への支援も必要です。
  3. アルコール問題でご本人はどのくらい困っているのか把握しましょう
    ご本人は問題を否認していることが多く,そのことが治療を困難にしているケースも認められます。

(4)対応

  1. 飲むことに関わらないようにしましょう
  2. 暴力などを理由にお酒を準備したりお金を渡したりしないようにしましょう。
    ご本人がした失敗はご本人に責任をとってもらいましょう
    酔いつぶれたり,ものを壊した時,その片づけなどを周囲のものがしてしまっては,ご本人に自覚が生まれません。そのままにしておいて,失敗を見てもらうことで「やめなければならない」という自覚を促しましょう。
  3. 退職・配偶者との死別など喪失体験や孤独が飲酒のきっかけとなっている場合には,それを癒せるような福祉サービスの利用を考えましょう
  4. 身体疾患を合併している場合には,身体治療を優先して行わなければならない場合もあります

<ケース例> 
73歳,男性。
3年前に妻と死別後独居。そのころから少しずつ寝酒をたしなむようになった。
飲んでもなかなか眠れないため,飲酒量は徐々に増え一日中飲酒することもあった。
かかりつけ医より肝障害を指摘され,断酒をすすめられたがやめられない状態が続いていた。
飲酒していない時は穏やかで,独居生活の寂しさを語り,涙を見せることもあった。
保健婦の訪問や地域のデイサービスへの参加により,徐々に飲酒量は減少した。

 

参考文献

現代臨床精神医学,大熊輝雄著,金原出版株式会社
老年期精神疾患治療のためのストラテジー,長谷川和夫監修,ワールドプランニング
老年期の精神障害,西村健編集,ライフ・サイエンス
老年期精神障害,病態と薬物療法,佐藤光源監修,新興医学出版社
老年精神疾患へのアプローチ,室伏君士著,金剛出版
老年精神医学雑誌,1995Vol.6 No.10, ワールドプランニング
老年精神医学雑誌,2000 Vol.11 No.12,ワールドプランニング
日本医師会雑誌,2000 Vol.124 No.1,日本医師会
高齢者精神保健福祉ハンドブック,京都府立精神保健福祉総合センター編集

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別記様式第1号

別紙様式第1号

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別記様式第2号

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別記様式第3号

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別記様式第4号

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別記様式第5号

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別記様式第6号

別紙様式第6号

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別記様式第7号

別紙様式第7号

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【資料1】

個人記録票の記入マニュアル

1.健康状態
朝のバイタルサインチェック時に記入する。1回/月は体重を測定する。

2.来所・退所時刻
時刻を記入する。

3.来所手段
来所に利用された交通手段や,送迎者を記入する。

4.観察事項
デイケア場面での主観的印象に基づいて評価する。スケールは以下の6段階にわかれており,各項目のあてはまるところに○印をする。各項目の判断基準を次に示す。

6:かなりみられる 
5:
4:ややみられる
3:
2:あまりみられない
1:
0:全くみられない

1身だしなみを整えている。

6:理美容院を利用したり,アクセサリーを身につけたりし,おしゃれ心がある。時・所・目的に適した身だしなみがわかる。
4:日々の髭剃・整髪・肌の手入れができており,服装などの身なりが整っている。
2:自分の装いに対して関心が薄いが,清潔は一応,保とうとしている。
0:だらしなく,衣服もきちんと着られていない。(頭がボサボサ・汚れた衣服を着ている・季節に合わないものを身につけている等)

2食欲がある。

6:栄養のバランスや適切な水分量を考えることができ,人と交わりながら楽しく食事をとることができる。
4:適当な量を摂取することができる。
2:食欲があまりなく,摂取する量が少なめである。
0:摂取する量が少量あるいはほとんど取れない。

3自発的な発言がある。

6:自発的な発言がみられ,会話をリードすることもある。
4:自発的な発言がある。
2:自発的な発言は少ない。
0:自発的な発言はない。

4他者の話を聞こうとする態度がある。

6:話しかけられている時,聞いているというような姿勢を示し,うなづいたり,聞き返したりして,嫌なことは嫌,好きなことは好きといえるような表現力がある。
4:聞こうという態度はあるが,その表現のスムーズさは十分でない。
2:聞こうとする態度はあまりみられない。
0:聞こうとする態度はみられない。

5自分の意志を示すことができる。

6:したいこと,したくないこと,してほしいこと,してほしくないことをはっきり示せる。
4:自分の意志は示すが,十分ではない。
2:あまり自分の意志を示すことはない。
0:意志を全く示せない。

6自分の感情を表現することができる。

6:自分の感情を把握しており,状況にふさわしい感情表出ができる。
4:ときどき,状況にふさわしい感情を否定する。
2:しばしば感情の否定があったり,状況にふさわしくない感情表出がある。
0:直面化したときも感情の否定がある。状況に適応的な感情表出ができない。

7活動に意欲的に参加できる。

6:活動を楽しむことができ,活動に積極的,意欲的に取り組むことがで きる。活動の中心的役割を果たすこともできる。
4:おおむね活動に参加することができる。参加したときには楽しそうに振る舞える。
2:受動的な参加。参加しても楽しんでいる様子に乏しい。
0:参加できない。無関心。無感動。

8集中・持続力がある。

6:作業や活動に集中して取り組むことができる。持続力もある。
4:ときに集中力,持続力に欠けることがある。
2:作業や活動の内容によっては集中して取り組めるものもあるが,集中力・持続力に乏しい。
0:集中力・持続力に欠ける。

9他者への気配りがある。

6:他者の感情や集団全体の動きに気を配り,適切にそれを表現できる。
4:気を配るが,状況に応じた気配りにならないことがある。
2:あまり他者に対して気を配ることができない。
0:他者の方へ目が向かない。

10表情が生き生きしている。

6:視線が落ち着き,顔色などもよく,喜怒哀楽の表情が豊かで活気があり,生き生きとしている。
4:視線は落ち着き,喜怒哀楽の表情も見られるが,やや活気に欠け,状況によってコントロールが困難な場合がある。
2:表情が豊かとはいえないが,表情に硬さはない。
0:表情が硬く,無表情な時が多い。

11攻撃的な言動がある。

6:きっかけが了解できない時も含めて,攻撃的な言動がしばしば見られ る。
4:些細なことがきっかけとなり,攻撃的な言動がみられる。
2:了解できるきっかけがあり,やや攻撃的な言動が見られる。
0:攻撃的な言動はない。

12精神身体症状がある。

6:頻回の身体的な訴え(実際か架空の健康問題)があり,他に注意が向けにくい。
4:しばしば,身体的な訴えがある。
2:健康について気にしやすい。
0:精神身体症状がない。

13イライラがある。

6:気分の転換で解消されないイライラがある。
4:短気。しばしば怒りやすい。
2:敏感で,ストレスに対する耐性に乏しい。
0:イライラがない。

14不安がある。

6:常に,不安を取り除くために確認する言動がみられる。
4:ささいなことが気になり,しばしば確認する。表情に緊張がみられる。
2:憂うつで気になることはあるが,おおむね安心できている。
0:顕在する不安がない。

15抑うつ気分がある。

6:しばしば涙ぐみ,いつも落ち込んでみえる。
4:状況に関係なく,しばしば落ち込んでみえる。
2:時々,気分が落ち込み,沈んでみえる。
0:抑うつ感はない様子である。

16他の精神症状がある。

( )の中に顕在化している精神症状を記入する。
6:その症状が常にみられ,活動等の障害となる。
4:しばしば,その症状がみられる。
2:時々,その症状がみられる。
0:他の精神症状はみられない。

5.その他

家族からの情報や,本人の語ったこと,印象等,その他の特記事項を記述する。

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【資料2】

《各評価表と使用方法》

1 長谷川式簡易知能評価スケール

(1)使用目的と特徴
改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は,1974年に長谷川らによって作成された長谷川式簡易知能評価スケール(HDS)を1991年に改訂したものである。使用目的は認知機能の障害を簡便な方法で検出することであり,痴呆のスクリーニングが主目的となっている。
他の知能評価検査と異なり,動作性検査が含まれていないことが特徴である。例えば,図形の模写のような動作性検査は非常に有用な情報を与えてはくれるが,老年対象者に対する負担が大きく,防衛的な反応を引き起こさせる原因にもなりかねない。また,評価に際しては,本人の生年月日さえ確認できていれば,その他はあらかじめ情報を得る必要がないという点も使いやすい。

(2)使用方法
HDS-Rは9項目の質問で構成されており,最高得点は30点である。

問題1:「年齢」
満年齢が正確に言えれば1点を与え,2年までの誤差は正答とみなす。

問題2:「日時の見当識」
「今日は何年の何月何日ですか」と問う。続けて聞くのではなく,「今日は何月何日ですか」と聞き,「何曜日でしょう」「今年は何年ですか」とゆっくり別々に聞いてもよい。年・月・日・曜日それぞれの正答に対して各1点を与える。年については,西暦でも正答とする。

問題3:「場所の見当識」
「私達が今いるところはどこですか」と問う。被検者が自発的に答えられれば2点を与える。病院名や施設名,住所などは正確に答えられなくてもよく,現在いる場所がどのような場所なのかが本質的にとらえられていればよい。もし,正答が出なかった場合には約5秒おいてから,「ここは病院ですか。家ですか。それとも施設ですか」等とたずね,正しく選択できれば1点を与える。

問題4:「3つの言葉の記銘」
「これからいう3つの言葉をいってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください」と教示する。3つの言葉はゆっくり切って発音し,3つ言い終わったあとで被検者に繰り返してもらう。使用する言葉は2系列あるため,いずれか1つの系列を選択して使用する。1つの言葉の正答に対して各1点を与える。もし正答が出ない場合は,正答数を採点した後に正しい答えを教え,覚えてもらう。もし3回以上繰り返しても覚えられない場合にはそこで打ち切り,問題7の「言葉の遅延再生」の項目から覚えられなかった言葉を除外する。

問題5:「計算」
100から順に7を引かせる。「100引く7はいくつですか」「それからまた7を引くといくつになるでしょう」と問う。「93から7を引くと」というように検査者が最初の引き算の答えを繰り返していってはならない。各正答に対して1点を与えるが,最初の答えが誤ったものであった場合にはそこで中止し,次の問題へ進む。

問題6:「数字の逆唱」
「私がこれからいう数字を逆から言ってください」と教示する。数字は続けていうのではなく,ゆっくりと約1秒くらいの間隔をおいて提示し,言い終わったところで被検者に逆からいってもらう。正答に対して各1点を与えるが,3桁の逆唱に失敗した場合にはそこで中止し,次の問題に進む。

問題7:「3つの言葉の想起」
「さきほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください」と教示する。3つの言葉のうち自発的に答えられたものに対して各2点を与える。もし答えられない言葉があった場合には少し間隔をおいてからヒントを与え,正答すれば1点を与える。たとえば,「桜」と「電車」が想起できなかった場合,「1つは植物でしたね」というヒントを与える。その後「もう一つは乗り物がありましたね」というヒントを与える。ヒントは被検者の反応をみながら1つずつ提示し,「植物と乗り物がありましたね」というように続けて与えてはならない。

問題8:「5つの物品記銘」
あらかじめ用意した5つの物品を1つずつ名前を言いながら並べてみせ,よく覚えるように教示する。次にそれらを隠して,「思い出す順番はどうでもよいですが,いまここになにがありましたか」とたずねる。物品にとくに指定はないが,「時計」「鍵」「タバコ」「ペン」「硬貨」など必ず相互に無関係な物を用いる。各正答に対しそれぞれ1点を与える。

問題9:「野菜の名前(言語の流暢さ)」
「知っている野菜の名前をできるだけたくさん言ってみてください」と教示する。具体的な野菜の名前を検査用紙の記入欄に記入し,重複した物を採点しないように注意する。この問題は言語の流暢さをみるための質問であるため,途中で言葉に詰まり10秒程度待っても次が出てこない場合にはそこで打ち切る。採点は5個までは0点で,以後6個=1点,7個=2点,8個=3点,9個=4点,10個=5点となる。

(3)判定方法
HDS-Rの最高得点は30点である。つまり,21点以上を非痴呆,20点以下を痴呆の疑いありと考える。痴呆の重症度別平均得点は示されているが,重症度分類を行なうことは現時点では考えられていない。HDS-Rの目的はあくまでも痴呆のスクリーニングであり,重症度の分類ではない。が,各重傷度別の平均得点は以下のとおりであり,各群間に有意さが認められているため参考にされたい。

非痴呆 24.27±3.91
軽度 19.10±5.04
中等度 15.43±3.68
やや高度 10.73±5.40
非常に高度 4.04±2.62

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2 老研式活動能力指標

(1)使用目的と特徴
老研式活動能力指標(TMIG Index of Competence)は,Lawtonの活動能力の体系に依拠して,ADLの測定ではとらえられない高次の生活能力を評価するために開発された13項目の多次元尺度である。これらの尺度は,「手段的自立」「知的能動性(状況対応の語を内容に即して改変)」「社会的役割」の3つの活動能力を測定するもので,各質問項目の因子所属は,項目1~5が「手段的自立」,項目6~9が「知的能動性」,項目10~13が「社会的役割」である。
またこの尺度は,「手段的自立」より上位の水準の活動能力を評価できる測度がほとんどないなかで,「社会的役割」の水準を含む貴重な測度であって,在宅老人の生活機能の評価に適したものと考えられる。

(2)使用方法
老研式活動能力指標は,自記式の尺度として開発されたものであるから,知的機能の著しく低下した高齢者でなければ,調査票への記入が可能である。家族など日常をよく知っている者による評定も可能である。面接にて聴き取る場合には,回答者が本人であっても他の者による回答であっても,調査員が自分の判断で説明を加えたり,誘導したりすることのないよう十分に注意する必要がある。
なお質問には,「いますか」「ありますか」という問いのほかに「できますか」という問いが含まれている。これは,「できること」は「していること」と同義ではないという高次の活動の特性に配慮したものである。それゆえ「できますか」という問いの場合,できるのであれば,本人が現在しているかどうかにかかわりなく,回答は「はい」でなければならない。

(3)判定方法
それぞれの質問項目について,「はい」という回答に1点,「いいえ」という回答に0点を与え,単純に加算して合計得点を算出する。老研式活動能力指標を全国代表サンプルに使用したときの平均得点と標準偏差を性・年齢別に示したものが,次の表のとおりである。

 
《全国代表サンプルにおける老研式活動能力指標の性・年齢別得点》

                 (平均値±標準偏差)

 男性女性
65~69歳

11.8±1.9
-316

11.8±2.0
-352
11.8±2.0
-668
70~74歳11.1±2.8
-236
11.0±2.4
-301
11.0±2.6
-537
75~79歳10.4±3.2
-134
10.5±2.9
-211
10.5±3.0
-345
80歳~8.7±4.2
-96
7.6±4.2
-163
8.0±4.2
-259
11.0±3.0
-782
10.6±3.1
-1027
10.8±3.0
-1809

( )は標本数
(古谷野亘,橋本廸生,府川哲夫,柴田 博ほか:地域老人の生活機能:老研式活動能力指標による測定値の分布.日本公衆衛生雑誌,40:468-474,1993)

《全国代表サンプルにおける「できない」と回答した者の頻度》 

 男性女性
バス・電車での外出10.6 %14.8 %13 %
日用品の買い物9 %8.8 %8.8 %
食事の支度24.7 %11.3 %17.1 %
請求書の支払い9 %10.4 %9.8 %
預貯金の出し入れ12 %16.3 %14.4 %
年金の書類が書ける10.9 %21 %16.6 %
新聞を読む6.8 %20.2 %14.4 %
本や雑誌を読む21.1 %33.9 %28.4 %
健康情報に関心をもつ14.8 %16.7 %15.9 %
友人の家を訪問する30.6 %27 %28.5 %
家族等の相談に乗る19.7 %23.6 %21.9 %
病人を見舞う10.9 %13 %12.1 %
若い人に話しかける23.1 %19.8 %21.2 %

(出典:前表に同じ)

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《老研式活動能力指標》

毎日の生活についてうかがいます。以下の質問のそれぞれについて,「はい」「いいえ」のいずれかに○をつけて,お答えください。質問が多くなってますが,ご面倒でも全部の質問にお答えください。

 1.バスや電車を使って一人で外出できますか1.はい2.いいえ
 2.日用品の買い物ができますか1.はい2.いいえ
 3.自分で食事の用意ができますか1.はい2.いいえ
 4.請求書の支払いができますか1.はい2.いいえ
 5.銀行預金・郵便貯金の出し入れが自分でできますか1.はい2.いいえ
 6.年金などの書類が書けますか1.はい2.いいえ
 7.新聞を読んでいますか1.はい2.いいえ
 8.本や雑誌を読んでいますか1.はい2.いいえ
 9.健康についての記事や番組に関心がありますか1.はい2.いいえ
 10.友だちの家を訪ねることがありますか1.はい2.いいえ
 11.家族や友だちの相談にのることがありますか1.はい2.いいえ
 12.病人を見舞うことができますか1.はい2.いいえ
 13.若い人に自分から話しかけることがありますか1.はい2.いいえ
 合計得点
 実施年月日
 氏名
 

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3 改訂PGCモラール・スケール

(1)使用目的と特徴
PGCモラール・スケール(Philadelphia Geriatric Center Morale Scale)は,Lawtonによって開発されたモラールの測定尺度である。モラールの概念は,本来,戦場における兵員の士気や職場における従業員の士気を表わす概念であったが,Kutnerらによって老化・高齢者問題の研究に導入された。その際に,Kutnerらはこの語の意味を大きくかえ,「満足感,楽天的思考,および開かれた生活展望の有無を反映した,生活や生活上の諸問題に対する反応の連続体」であるとした。Kutnerらによれば,それは適応と同一の現象を表わす概念であるが,適応が主として行動に関わる概念であるのに対して,モラールは精神状態ないし一連の性向に関わる概念である。
Lawtonは,Kutnerら以来,社会老年学の領域でモラールの概念に付されてきたさまざまな意味を検討し,「モラールが高い」ということは,「自分自身についての基本的な満足感を持っていること」「環境の中に自分の居場所があるという感じをもっていること」「動かしえないような事実については,それを受容できていること」という3つの意味が含まれているとした。そして,このような「モラール」を測定するためには,モラールを多次元のものとして定義したうえで,それを一次元の得点として表わす尺度が必要であるとして,そのような尺度の開発を目指した。
こうして開発され,後に改訂されたのが,改訂PGCモラール・スケールである。改訂PGCモラール・スケールによって測定されるモラールは,「心理的動揺」「孤独感・不満足感」「老いに対する態度」と命名され,主観的QOLの評価を目的としている。

(2) 使用方法
PGCモラール・スケールは自記式の尺度として開発されたものであるので,知的機能の著しく低下した高齢者でなければ,調査票への記入が可能であると考えられる。面接で聴き取る場合には,調査員が自分の判断で説明を加えたり,誘導したりすることがないように注意する必要がある。
PGCモラール・スケールについても何通りかの日本語訳があるが,定訳といえるほどのものはない。ここには,古谷の訳文を示した。

(3)判定方法
質問項目のそれぞれについて,肯定的な選択肢(質問用紙の中で下線を付した選択肢)が選ばれた場合に1点,その他の選択肢が選ばれた場合には0点を与え,単純に加算して合計得点を出す。最高得点は17点である。質問用紙の中の[ ]内は所属因子を表わす。因子の名称は, が「心理的動揺」, が「老いに対する態度」, が「孤独感・不満足感」である。
改訂PGCモラール・スケールの得点は,幸福な老いの程度あるいは「主観的QOL」の指標であり,被検者の相対的な位置を示すものであるにすぎない。”幸福な人”や”不幸な人”の弁別を行なうものではない。

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4 GHQ

(1)使用目的と特徴
精神健康調査票(The General Health Questionnaire-GHQと省略)は,英国のMaudsley精神医学研究所のGoldberg,D.P.博士によって開発された質問紙法による検査法である。使用目的は,健常という範囲から変化した症状の発見に主眼点をおいたものである。健常な精神的機能が持続できているかどうか,あるいは,被検者を苦悩させるような新しい事実が出現しているかどうかの質問項目より成っている。検査に要する時間は概ね10~15分,短縮版で5~7分程度である。
日本版GHQ精神健康調査票は,「GHQ60」,あるいはその短縮版である「GHQ30」「GHQ28」が,日本文化科学社より発行されている。(原著者 Goldberg,D.P.  日本版著者 中川泰彬 大坊郁夫)

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5 参考文献

1) 加藤伸司:質問式による認知機能障害の評価測度(1).老年精神医学雑誌,7:1037-1044(1996).
2) 大塚俊雄,本間昭監修:高齢者のための知的機能検査の手引き.ワールドプランニング,東京(1991).
3) 古谷野亘:QOLなどを測定するための測度(1).老年精神医学雑誌,7:315-321(1996).
4) 古谷野亘,柴田博,中里克治,芳賀博ほか:地域老人における活動能力の測定;老研式活動能力指標の開発.日本公衆衛生雑誌,34:109-114(1987).
5) 古谷野亘,橋本廸生,府川哲夫,柴田博ほか:地域老人の生活機能;老研式活動能力指標による測定値の分布.日本公衆衛生雑誌,40:468-478(1993).
6) 古谷野亘:QOLなどを測定するための測度(2).老年精神医学雑誌,7:431-441(1996).
7) 中川泰彬,大坊郁夫:日本版GHQ精神健康調査票手引.日本文化科学社,東京(1985).
8) Lawton MP:Assessing the competence of older people.In Research planning and action for the elderly;The power and potential of social science,ed.by Kent DP,Kastenbaum R,Sherwood S,122-143,Behavioral Publications,New York(1972).
9) Kutner B,Fanshel D,Togo AM,Langner TS:Five hundred over sixty;A community survey on aging.Russel Sage Foundation,New York(1956).
10)Lawton MP:The dimension of morale.In Research planning and action for the elderly;The power and potential of social science,ed.by Kent DP,Kastenbaum R,Sherwood S,122-143,Behavioral Publications,New York(1972).
11)Lawton MP:The Philadelphia Geriatric Center Morale Scale;A revision.J Gerontol,30:85-89(1975).

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B 老年期精神障害者デイケアの実際

1 はじめに

当センターでは,昭和63(1988)年度よりパイロット的に痴呆性老人のデイケア事業を実施してきた。当初は,痴呆性老人に対する社会資源も少なく,介護保険制度も導入される前であった。しかし,次第に,痴呆性老人に対する医療,社会資源も充実し,知識も広く普及してきたことに加え,介護保険制度の導入を目前に,新たな事業の展開が求められるにいたった。
従来の痴呆性老人対象のデイケアを終了し,平成10(1998)年より,介護保険制度の適用を受けにくいと推測された前痴呆症状を含む老年期精神疾患(うつ病,妄想症,心気症等)を持つ者を対象としたデイケアを3年間のモデル事業として開始した。デイケア実施を通して専門的技術を集積し,県内各地への技術支援を行うことにより,老年期精神障害者の在宅福祉の向上を図ることを目的とした。
このモデル事業を実施している間,平成12(2000)年度より介護保険制度が導入され,制度上のサービスは実施されるようになったが,同時に,介護予防・生活支援事業も市町村を実施主体としてスタートしている。この事業の対象の中心となる閉じこもりがちな高齢者,要介護状態になるおそれのある高齢者の中には,精神保健福祉分野の援助を必要とする者も多く含まれると推察される。また,地域において,老年期妄想症への対応をせまられるなど,老年期精神保健に関する知識や技術の必要性は更に高まっていると思われる。
したがって,3年間の事業実施で蓄積されたデイケアの運営方法や,対応の留意点などをまとめ,地域へ伝達したいと思う。

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2 デイケア開設の準備

(1)名称

デイケアの開設にあたり,老年期精神障害者デイケアの愛称を,「はなみずきの会」とした。はなみずきは,当センターのよく目に付く位置に植えられている樹木の一つであり,利用者も親しみやすい名称であると考えた。

(2)設備

デイケアの活動に使用したのは主に多目的室(54m2)であった。この部屋は,当該デイケアの実施日以外に,精神障害者デイケアで,絵画や手芸などの活動に使用している。部屋の半分に,布製のテーブルクロスを掛けた楕円型のテーブルを設置した。椅子は高齢者用のやや固めのクッションで背もたれが比較的高く,肘掛が両側にあるものを用意した。このテーブルは、手芸や書道などの活動や,食事,お茶を飲みながらの休憩に使用した。また,残り半分の空間は室内でスポーツなどをおこなう時に使い,ビニール床のため,必要に応じて(例えばヨガなど)セラピーマットを敷いた。
昼食後の休憩をとる部屋は,横になって休めるように,畳敷きの和室(8帖)を使用した。料理の時には調理実習室を,グランドゴルフなどの広いスペースが必要な活動の時は,体育館やグランドを使用した。当センターでは精神障害者デイケアを実施しているので,設備や用具は共用したものが多かった。

多目的室の様子

(3)利用者の募集

既に,当センターにおいて相談・受診している人の中から対象となる人にデイケアの説明をおこない,利用希望者を募った。その他,近隣の保健所,市町村の高齢者精神保健福祉窓口に事業の説明を行い,利用希望者の紹介を依頼した。また,市町村の広報紙に案内の掲載を依頼した。対象者に対して,デイケアの広報・説明用にパンフレットを,広報紙掲載用には案内文を作成した。来所経路としては,広報紙を見てというものが最も多かったようである。

(4)利用の手続き

利用希望者については,デイケア担当スタッフが,本人あるいは家族とインテーク面接を行い,あわせてデイケアの説明をした。インテーク時に確認しておきたい情報については,インテーク票(老年期精神障害者デイケア記録票)を作成し(事業実施要領別記様式3~5),情報の聞き漏らしが少ないように配慮した。また,医師による診察も実施した。対象者については,実際に,見学参加を体験した後,通所申し込み書の提出を求め,継続参加について最終的に決定した。他機関に主治医がいる場合は,デイケア通所についての意見書を求めた。通所の期間は1年間とし,継続参加の場合は申込書を再提出するものとした。

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 3 事業の概要

(1)目的

デイケアの目的は,集団活動を通して情緒の安定や精神症状・問題行動の軽減を図り,より良い家庭・社会生活を支援し,併せて家族に対しても援助を行うこととした。

(2)対象者

老年期うつ病,老年期妄想症,心気症等の精神疾患を持つ,在宅の,概ね60歳以上の者を対象とした。対象人員数は,集団として活動しやすく,凝集性が保たれやすいことと,スタッフの人員を考え5~8人を目安とした。

(3)実施日時

毎週火曜日 9時30分~16時

9時30分~10時30分 各自来所・バイタルサインチェック
10時30分~12時00分 プログラム
12時00分~13時00分 昼食
13時00分~14時00分 休息
14時00分~15時30分 プログラム
15時30分~ 休憩及び帰宅準備
16時30分~17時00分 スタッフミーティング

(4)従事スタッフ

医師・保健婦・心理職がチームで対応することとした。医師は主に診察,スタッフに対するスーパーバイズを担当した。集団活動場面には常に,スタッフ2名がつくようにした。主担当が活動全体の流れをリードし,もう1名が補助するようにかかわった。

(5)送迎

当センターで送迎を確保することが困難であったため,家族の送迎や,本人が交通機関を利用して通所した。通所手段が確保できないことで,デイケアの利用ができなかった希望者もあった。送迎手段を確保することは大きな課題であった。

(6)保険

施設管理下中及び往復途上での利用者の事故を補償するために,「施設通所者のための損害保険」に加入した。1.活動日数が年間60日以内(活動日程表の提出が必要)2.契約時の通所者が合計2名以上という条件で,年間保険料は,一人当り2,900円であった。

(7)費用

弁当,茶菓子の代金として,一人1回当り実費500円を徴収した。

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 4 活動の内容

(1)1日の流れ(ある1日の例)

活動の内容と活動の様子

●受け入れ,バイタイルサインチェック,9時30分

来所時間は交通機関の関係等でまちまちである。来所した人から血圧・脈拍などのバイタルサインのチェックをおこなう。その日の身体状況,心理状況,1週間の家庭での様子などを中心に把握する。お茶を飲みながら,利用者同士も言葉を交わしている。最近,テレビや新聞で大きく扱われているニュースが話題になっている。

●プログラム(ヨガ),10時30分

部屋の半分に,セラピーマットを皆で敷く。繰り返し使っているヨガの入門的なビデオを使って体を動かす。皆,大体の流れは把握できているようで,動きは比較的スムーズである。Aさんは,体が硬いこともあって,「できません」とあきらめてしまいがち。スタッフが「できそうなところまでしてみましょうか」と身体の動きを補助すると,それにしたがって試みている。1時間弱のビデオを終了すると,マットの上でしばし,談笑しながら思い思いに体を動かしている。Bさんは,「これの後は,気分も,肩も気持ち良くなります」と,頬をやや紅潮させている。Cさんは「前は足を持てなかったのに,持てるようになりました」と前屈運動をしてみせる。 片付けも皆で行う。

●昼食,12時

スタッフが,昼食の準備をはじめると,自然と手伝いを始める人もある。座って待っている人もいるが,他の利用者が配膳をしてくれると,「ありがとうございます」とお礼をいっている。弁当の中の大根のおかずから,「好きな大根料理はなにか」という話になり,子どもの頃食べた思い出の料理の話題へとつながる。料理とそれにまつわる思いを,各々が思い思いに話す。スタッフは,時に,料理の食材など質問をしながら聴いている。利用者同士も,共に懐かしがったり,「うちの方では‥‥」と次々に話題が出る。しかし,Aさんはほとんど発言することがない。スタッフとしては少し気になるが,今回は特に介入することなく,様子をみることにする。

●休息,13時

畳敷きの別室で,休息をとる。畳の上にはマットと毛布を用意しておく。ほとんどの人が30分程度昼寝をする。スタッフは,プログラムを実施している部屋で待機している。Aさんは寝ることができないことが多く,他の利用者が寝てしまうと落ち着かなくなり,部屋を出てくる。休憩終了の時間まで,スタッフと共に過ごす。

●プログラム(手芸),14時

前回から引き続き取り組んでいる,小物入れを作成する。色紙をいくつも同じように折り,それを配色も考えながら,説明図のとおり組み立てていく作業である。それぞれ,能力に差があるので,折り紙を折る人,組み立てる人というように,作業は各人が分担して行なう。手を動かしながら,Bさんが,今までにも何度も繰り返し話してはいるが,同居している娘の不満を話す。Aさんは「娘じゃけこそ,わがままがでるんよ。嫁さんじゃったら,そんなことないよ」と応え,他の利用者もうなずいて聴いている。それでも,本日はおさまらず,過去の対人関係で不快な思いをした出来事にさかのぼり,攻撃的な言葉,表情となる。適当なところで,スタッフが話題をかえる。

●休憩(お茶の時間),15時30分

お茶とお菓子を用意して,作りかけの小物入れを前に,休憩をとる。完成が近いことを皆で楽しみに話している。来月の予定について確認し,プログラムの内容を皆で決める。Dさんはもともと,カラオケが好きで,自宅にカラオケ機器も用意して楽しんでいたが,最近は全くしてないとのことであった。しかし,Dさんの方から,「カラオケをやってみたい」と提案があった。カラオケは経験したことのない人もあったが,皆の同意が得られ,プログラムに取り入れることにした。

●帰宅,16時

家族が迎えに来る人もあるし,各々,交通機関等を利用して帰宅する。

●後片付け,スタッフミーティング,~16時30分

部屋の片付けなどをすませ,記録票の記入をする。その後,各利用者の状況などについて,情報交換をしたり,対応方法について検討したりする。また,一日の振り返りを行ない,プログラムの運営方法などについても検討をする。

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(2)留意点

1.バイタルサインチェック

基本的には,本日の活動が支障なく行えるか,注意する点はないかチェックをすることを目的として,血圧と脈拍の計測,問診を毎回行った。高齢者は様々な合併症をもっていることが多く,身体的な管理もあわせて行う必要がある。場合によっては,この時間に得た情報より,身体的な治療をすすめたり,薬の管理の指導を行ったりする必要があった。また,血圧は自分の平常値を覚えたり,毎回記録したりする利用者もあり,自分で健康管理する意識を高める効果もあった。
体調や,生活状況を個別にたずねる時間でもあり,生活上の変化も含めて様々な変化のサインを見つけ,個別対応の必要性など検討するためにも有用であった。高齢者は,身体面,精神面ともに変化が速いので,小さな変化も大切にし,迅速に対応しなければならないと思われた。

2.プログラム

プログラムの内容を決定するにあたり,通常,前月の終わり頃に翌月1ヶ月分の予定を,各利用者の希望を聞きながら,スタッフと共に話し合いで決め,予定表を作成した。スタッフは利用者の「したいこと」を実現していけるように援助するという姿勢でありたいと考えた。
また,プログラムの企画をするときには,次のような点に留意するとよいと思われた。

○利用者の意見を尊重し,利用者もスタッフも楽しめるものにする。
○同じものをある程度継続し,繰り返し実施するほうがよいものもある。そうすることによって,上達を実感したり,達成感を味わうことができる。
○利用者のペースや能力には差があるので,個々に合わせた実施がしやすいものがよい。例えば,個々人の能力や状態に合わせて,グループ分けをしたり,作業行程の分担ができたりするような活動である。
○利用者の能力が発揮され,評価される場面を見ることができると予測されるものを取り入れる。

プログラムの具体的な内容は次の表にまとめた。

活動項目プログラム内容支援のポイント
所外活動周辺の散策(花見・紅葉狩り等)
所外散策
気候の良い時期は,散策を行った。周辺の散策は,途中に休憩をはさみながら,1時間前後。
所外散策の場所は,利用者の希望をききながら,自動車で
30分程度の所を選んだ。
外気にあたり,自然に触れながら歩くことは,心身ともにリフレッシュするようであった。閉じこもりがちな利用者にとっては貴重な体験となった。
体を動かす活動ヨガ
ヨガ体操(ビデオによる)
ストレッチ体操( 〃 )
グランドゴルフ
卓球
体を動かす活動に関しては,同じ活動を繰り返しておこなうと上達が実感できるという利点がある。
能力差に関係なく楽しめるものにしたり,能力によってグループを分けたり,利用者同士が協力して取り組むようなものにしたり,皆が楽しめるよう工夫して実施した。
途中で,適宜,休憩をとった。
創作活動書道
手芸:刺し子,フラワードール,指編み,ロープ手芸,お手玉,小物入れ,人形,季節の飾り(正月,七夕,クリスマス)
ペーパーフラワー
折り紙
どんぐりゴマ
個人の能力に合わせて,内容を個別に設定する場合もあった。
作業行程を能力に応じて分担し,協力して完成させることにより,凝集性も高まった。
1回で完成できるようなものと,数回に渡り取り組むようなものを組み合わせ,必要に応じてスタッフが援助し,完成させる満足感を体験できるようにした。
季節感のあるものや,懐かしく感じられるものも取り入れ,幼少期に味わったような「楽しさ」を再体験できるように考えた。
男性には抵抗があると思われる針仕事なども「軍隊ではやった」と,比較的積極的に取り組んだ。
手作業をしながらであると,話しやすいようで,利用者同士の会話も活発にされた。
レクレーションビデオ鑑賞
室内ゲーム
トランプ
カラオケ
ビデオの内容は,参加者の希望に添って用意した。
ゲームは,ルールが単純なものの方が楽しめた。歓声を上げるなど,他の活動では見られないような楽しみ方ができた。
料理講座調理実習
団子づくり
切る・混ぜるなどの簡単な作業行程の多いものほど,全員が参加しやすい(男性の参加者もあまり抵抗がない)。
季節の素材を使うなど,季節感のある献立にした。
自分たちで作って食べることにより,日頃の食生活の見直しにもつながった。
園芸寄せ植え
種・球根植えつけ
植え替え
主にプランターで栽培し,活動をおこなう部屋の窓近くに置いた。
土を触る体験が,心地よい様子であった。
自分たちが植えた植物の成長を折にふれて確認できることは楽しい体験のようであった。

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3.昼食

昼食は,弁当代を徴収し,皆が同じ弁当とした。高齢者向きの献立・量であることが望ましいと思われた。昼食中は,様々な会話がなされる時間でもあり,プログラムを終えて,皆でお茶を飲む時間とともに,大変意味のある時間である。(下の「5.休憩(お茶の時間)」を参照)。多人数で食事を摂るということ自体楽しい体験であるという利用者の声も聞かれた。

4.休息

昼食後,別室(和室)で横になってもらうようにした。スタッフはその部屋には居らず,プログラム等を実施する部屋に待機した。30分程度の睡眠が取れるように設定した。中には,睡眠が取れない人や,落ち着かない人もあり,個別の対応が求められる場合もあった。

5.休憩(お茶の時間)

プログラムを終えて,皆でお茶を飲み,お菓子をつまみながら雑談をするというのは,集団の凝集性を高め,それだけで大変に意味のあることだと思われる。しかし,この「雑談」には,しばしば,昔話が登場し,あるいは,現在抱えている生活上の困難や身体・精神面の不調なども訴えられる。この「雑談」を,回想法的な考えや手法,あるいは,心理教育的な考えや手法を持って聴くと,より,この「雑談」の時間が意味のあるものになると思われた。そこで,参考にしていただくため,以下にそれらの概要を載せる。

6.スタッフミーティング

参加者の言動や状態についての情報交換や,参加者同士あるいはスタッフも含めて,集団としてどのような交流がなされているかの検討,または,活動内容の評価・検討など,一日の振り返りと評価を行った。
スタッフ同士が,ざっくばらんに話し合い,自分自身の感情の動きや対応の「クセ」のようなものを振り返っておくことも大切であると思われた。
記録も,分担してこのミーティングの時間の中で記入した。

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《回想法》

1.回想法とは

回想法(Life Review)は,1960年代にアメリカの精神科医Butler,R.により創始された高齢者に対する心理療法である。わが国では,1990年代後半より,痴呆疾患を持つ高齢者に対するグループ回想法を中心に実践が重ねられてきた。老年期には,「自分の人生は一体何だったのか?」「自分は何者になれたのか?なれなかったのか?」の問いが,死を前にして,心を占めるようになり,高齢者を過去の回想にむかわせるといわれる。Butlerは,老年期の回想を,「自然で普遍的な過程」と位置付け,回想法として積極的に治療にとりいれることを提唱した。高齢者の過去の回想を,受容的・共感的態度で傾聴し,高齢者が達成してきたさまざまなことを再評価すると同時に,未解決の葛藤との和解,人格の統合をはかることをめざす。つまり,「つまらない人生だと思ってきたけれど,案外頑張ったな」「まずまず,自分なりによい人生だったな」と,高齢者自身が,自分の人生を以前より誇りを持って肯定的に受け止めることができるようになるということである。期待される効果としては,不安の軽減,抑うつ状態の改善,満足感や自尊心の向上,心理的健康の増進などに改善をみるという研究報告がある。

2.方法

基本的に,グループ回想法では,参加者が8人程度,スタッフはリーダー1名,コ・リーダー1~2名で,週1回,1時間程度,8回から10回を一区切りとしたセッションを設定して実施する。毎回,テーマを決めてテーマにそってグループセッションをすすめる。場合によっては,子ども時代に使ったようなおもちゃや食べ物,懐かしい音楽など五感を刺激する刺激物を導入に用いる。スタッフが,交通整理,通訳,調停役,代弁者などさまざまな役割を担う中で,参加者が自由に発言し回想をすすめていく。当デイケアでは,セッションを設定したわけではなく,お茶の時間に,自然に生じる話題の中から,あるいは,季節や食べ物,プログラムの活動の中から回想に導入していった。

3. 留意点

  • 話し手の言葉に,誠実に耳を傾け,話し手の言葉の背後にある「思い」を理解するように努める。
  • 話し手の肯定的な側面にさりげなく言及し,自己評価が高まるように援助する。
  • 逆に否定的な回想に固執してしまうような場合は,さりげなく,その回想から気をそらすように援助する。
  • 話をしたくない人に無理強いをしたり,話の内容を批判する,あるいは誤りを指摘することなどは行うべきではない。
  • わざとらしいほど誉めすぎたり,同情を示したり,あるいは,聞き手の価値観を押し付けたりすることがないよう注意したい。

4.主な参考文献

野村豊子,黒川由紀子:回想法への招待.筒井書房販売,1992.
野村豊子:回想法とライフレビュー.中央法規,1998.
矢部久美子:回想法.河出書房新社,1998.
黒川由紀子,松田修,丸山香,斎藤正彦:回想法グループマニュアル.ワールドプランニング,1999.

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《心理教育》

1.心理教育とは

心理教育は,精神障害やエイズなど受容しにくい,あるいは慢性の問題を持つ人たちに,正しい知識や情報を心理療法的に十分な配慮をしながら伝え,病気や障害の結果もたらされる諸問題・諸困難に対する対処法を習得してもらうことによって,主体的な療養生活を営めるよう援助する技法である。この技法は,欧米では1970年代後半から,日本では1990年代頃より,主として精神分裂病を対象とした家族援助プログラムとして発展してきた。しかし,現在では,精神分裂病に限らず,また精神科領域に限らず,さまざまな方面で応用されている。
心理教育は次の3つの要素から成り立っている。

  • 家族や本人と援助者が,病気や治療などについての情報を共有する。
  • 日常生活を行う上での対処の方法を工夫するための話し合いをする。
  • 気持ちが楽になるよう,参加しているもの同士が支え合う。

心理教育の過程は,単に一方的に情報を伝えたり,対処を教えたりすることだけではなく,情報をもとにして,自分たちをより楽にする,より豊かにするために力を合わせて工夫する過程といえるであろう。

2.応用の例

不眠と耳鳴りを主訴として来所受診し,薬物治療とデイケアの利用をした女性(65歳)に,昼寝や,睡眠について詳しく聞いてみると,睡眠の量についてこだわりを持っていたり,昼寝の時間が長い,あるいは,夕方など遅い時間に取るという状況が明らかになった。適切な昼寝の取り方や,睡眠に対する正しい理解はデイケア利用者共通の課題と思われたため,お茶の時間にこのことを取り上げた。
高齢者の不眠症,睡眠,昼寝について取り上げた新聞記事の切抜きを参加者に配布した。記事を読んで,昼寝の取り方などについて話し合った。

3.主な参考文献

木戸幸聖監修:心理教育実践マニュアル.金剛出版,1996.
後藤雅博ほか:特集 広がる!家族支援/家族教室.レビュー,11:7-49,1995.
鈴木丈,伊藤順一郎:SSTと心理教育.中央法規,1997.
後藤雅博編:家族教室のすすめ方.金剛出版,1998.

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(3)家族支援

家族による介護を支援するというよりは,受療援助のための連携や,家族関係の調整を求められるような支援が中心となった。また,本人が望まなかったり,拒否したりして,家族とスタッフが接触することに慎重にならなければならない事例もあり,よりケースバイケースの支援のあり方が求められるように思われた。したがって,家族との連携は必要に応じて,個別に,不定期に行った。
老年期の精神障害は,状態が固定化していないと同時に,変化が「大きく」,「突然」現れるという場合も多い。デイケアの利用者については,スタッフが発見した変化の兆候を家族にフィードバックでき,対応をともに考えることができた。このことが,当デイケアにおける家族支援の中心的な役割となったと思われる。

(4)評価

まず,デイケア利用開始時に,知的機能のスクリーニングとして改訂長谷川式簡易知能評価スケール,高次のADLと考えられる社会的生活機能を中心に評価する老研式活動能力指標,主観的QOLの評価として改訂PGC,精神機能の状態や精神症状の把握のためにGHQを実施し,その後,定期的に各検査を実施し,利用者の状態把握,援助の評価をおこなった。(各評価の,使用目的,特徴,使用方法,判定方法は【資料3】を参照)

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 5 対応の基本・留意点

高齢者に対する尊敬を持ち,共感的な態度で接する。

どのような人生を歩んでこられたとしても,ここまで,様々な問題に対して,自分なりの対処をして過ごしてこられたということを忘れないようにしたい。参加者がデイケア参加後のアンケートに「自然なあたたかい人間関係ができた」と記入されていたが,このような気持ちを持っていただける関係を作りたいと思う。

デイケアの目標は,QOLの向上であって,症状の消失そのものではない。

私達は,目の前の困った,あるいは,本人が頻回に訴える精神症状に目がうばわれがちになる。ともすれば,この症状の消失に関心や,関わりが集中したり,「症状さえなくなれば」と症状の消失を急いだりしてしまう。しかし,症状にはそれなりの意味があり,症状によって生活のバランスが保たれている場合もあり,特に,老年期の精神疾患は,症状を「困らない程度」に抱えておく方が安定して生活できるということもある。「症状そのもの」ではなく,症状も含めた「生活の質」や「生活の満足度」,全体を視野に入れた関わりをしたいと思う。

高齢者の症状(病態)や状態を総合的に把握しておく。

高齢者は,様々な精神的・身体的な疾患を併せ持っていることが多い。状態を適切に把握しておくことが,適切な関わりの出発点になる。身体面の合併症が精神症状を起こすこともあるし,例えば,痴呆性疾患と他の精神疾患との鑑別など,専門医との連携は欠かせない。また,生活歴や現在の生活状況,家族状況などを十分に把握しておくと,その人の生活全体を視野に入れた対応が可能になると思われる。

高齢者に合わせた活動のペースですすめる。

家庭での生活とは違う場面で,適度な緊張感を持つということは,生活全体を活性化させると思われる。しかし,当然のことではあるが,活動の内容,ペースは,高齢者にあわせたものとなるように,また,スタッフ側の動くペースにも配慮する。適度な刺激は保ちつつも,ゆったりと,落ち着いてすごせるよう心がけたい。

「なじみの場」「楽しみの場」の提供という視点も大切にする。

高齢者は,その生きてこられた時代的背景や価値観から,「楽しむ」ということが得意でない人が多い。しかし,定期的に行く「場」があり,行けば,決まった人たちと安定した人間関係を結べ,安心して楽しんでよい「場」があるということは,高齢期の生活を豊かに営む上で重要な要素となる。老年期精神障害者は,症状や対人関係の結びにくさのため,老人会のような活動性の高いグループには参加できないが,従来のデイケアやデイサービスなどにもなじみにくく,地域とのつながりも疎遠になっており,閉じこもりがちになっている場合が多い。閉じこもることで,症状の悪化や,痴呆などの新たな問題が起こる危険性が高くなるという悪循環に陥りがちである。「場」を保障できるということは非常に大切なことであると思われる。

集団への導入には時間がかかる。

新規場面,特に集団場面への導入は,高齢者の特性から考えても,困難を伴う。特に,精神疾患を抱えていると,臆病さや不安が先に立つことが多い。「時間がかかる」ということを前提に,無理強いはしてはいけないが,段階的な参加をしてもらうなど,根気強く誘う必要があると思われる。

場合によっては,個別面接など個別の対応が要求される。

集団場面で「おや」と思うようないつもと違った言動が見られるときは,日常生活の変化が起きていることも多い。そのような場合は,個別の面接を設定した上で対応する必要があるだろう。集団活動と並行して,個別面接を継続的に実施しなければ十分に支えられない事例もある。個別支援の必要性が高いと考えられる。

参加者間の対人関係の調整が必要な場合もある。

老年期は,様々な喪失的な体験(仕事・財産の喪失,近親者との別離,老化などによる健康や能力の減退など)をし,自信を失うなど,傷つきやすい状態になっていることが多い。特に,精神疾患を持つ高齢者はその傾向が明らかで,対人関係で臆病になったり,何らかの独特の防衛的な反応をとることも多い。対人刺激により,症状が一時的ではあるが影響を受け悪化することなどあるかもしれない。集団場面では,過剰に介入してはいけないが,スタッフが調整役になる必要もある。

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6 事例

事例については,非公開とさせていただきます。

7 今後の課題

介護保険制度の中では対応しきれない問題に取り組むときに,当センターが今回モデル的に取り組んだデイケアのような場が支援の1つになると思われる。介護予防・生活支援事業の枠組みの中で,実施していくことが可能とならないかと考える。
たしかに,このような事業を行うにあたっては,ある程度のスタッフの配置や専門知識は必要である。しかし,まずは,疾病の理解や高齢者の心性などの知識を持ち,対応のコツをある程度心得た中核になるスタッフが少数でもあることで,支えるスタッフが増えていくものと思われる。例えば,専門医なども含めた地域のネットワークを整えたり,ボランティアを活用したり,地域の実情に即した工夫をすれば,地域でも実践可能であると思われる。

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8 資料

【資料3】

老年期精神障害者デイケア事業実施要領

1 目的

在宅の老年期精神障害者を対象に,治療的プログラムによる集団活動を実施することにより,情緒の安定・精神症状や問題行動の軽減を図り,家庭生活を円滑に営み社会性の維持を図ることを目的とする。併せて家族に対しても指導・援助を行う。
この事業は3年間のモデル事業とし,専門的技術の集積と県内各地への技術支援 を行い,老年期精神障害者の在宅福祉の向上を図る。

2 実施主体・実施場所

総合精神保健福祉センター

3 対象者

老年期鬱病,老年期妄想症,心気症等の疾患を持つ在宅の高齢者で,集団活動が 可能な方(送迎は家族及びヘルパー等関係者で行ってもらうこと)

4 事業内容

季節に応じた行事やゆとりのあるプログラム(音楽・料理講座・散歩・談話・手 工芸・工作・レクレーション等)を通じた集団活動

5 実施日時及び対象人員

日時,毎週火曜日,9時30分~16時
対象人員,5人~8人

 日課
 9時30分~10時00分 バイタルサインチェック
 10時00分~12時00分 プログラム
 12時00分~13時00分 昼食
 13時00分~14時00分 休憩
 14時00分~15時30分 プログラム
 15時30分~16時00分 休憩及び帰宅準備
 16時00分~16時30分 スタッフミーティング

 

6 スタッフ

医師(必要に応じて),心理職,ソーシャルワーカー,保健婦が従事する。

7 通所規則について

(1)通所の申し込み 
 別記様式1号による申し込み書を記入し提出する。

(2)通所の決定
初回面接と医師による診察後,通所の決定をする。
また,他の医療機関に主治医がいる場合は,老年期精神障害者デイケアの通所についての意見書(様式2号)を提出する。

(3)通所の期間
通所の期間は1年間とし,必要を認めた場合は継続する。

(4)退所について
次に該当する事由があるときは,医師が退所を決定する。

  • 退所の申し出がある。
  • 病状が不安定で,他の通所者に迷惑をかける行為がたびたびある。
  • 病状が不安定で,集団活動が困難である。

8 費用について

個人に係る費用については,実費を徴収する。一回当たり500円とする。

9 記録について

所定の別記様式3~7号を使用する。

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