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平成26年度第4回 広島県の教育を語る懇談会

平成26年度第4回 広島県の教育を語る懇談会

 本県教育の在るべき姿を見据えて,幼少期から社会人に至るまでの一貫した「人づくり」について,先進的な事例や専門的な知見を踏まえた大局的な議論を行い,広島県全体で取り組む施策の企画検討につなげるため,平成26年度第3回「広島県の教育を語る懇談会」を開催しました。

1 開催日時及び場所

・日時 平成27年3月9日(月)13時00分~15時00分

・場所 広島県庁 北館 第1会議室

2 出席者

・外部有識者 5名

・行政関係者 4名

・県教育委員(委員長,教育長除く) 4名

 

3 議事要旨(委員の主な意見等)

≪テーマ≫

 本県の「教育,学術及び文化の振興に関する総合的な施策の『大綱』」に盛り込む内容について

〇 A4版資料の中にある,人口減少あるいは一極集中の加速化に関して,まず,広島県における中山間地域というものを,どういうふうに認識するのかが大切だと思う。人口が減って,高齢化が進むということは全国共通だが,中国地方における中山間地域,北海道における中山間地域,東北における中山間地域とそれぞれ特性があり,一律に中山間地域と言ってしまうと,それぞれの地域の特性が逆に見えなくなる。広島県内は,中山間地域といっても大変豊かであることが1つの特徴で,その豊かさをどのように豊かさとして認識するのかということと,生活の質や人の生き方,人生,そういう視点から,豊かさを育む地域として位置付けていく必要があると思う。中山間地域は,確かに人口は少なく,政策的には弱小な地域という言い方ができるかもしれないが,むしろ,そういう地域こそ豊かにすることが,広島県全域に豊かさをもたらすことに繋がる,そういう戦略的な地域だという認識をもつことが非常に大切だと思う。

〇 広島県の地域的な特性としては,例えば北海道に比べると,町と町との間の距離が比較的近いということは特徴であり,さらには,広島県域を越えて隣接する県と繋がり,ネットワークを緻密に組み立てていくことで,豊かな人を育て,豊かな生活,豊かな人生を送ることができる,そういう拠点にあるということを押さえていく必要があると思う。

〇 学校教育では,高等学校の配置や位置付けが,今のような観点からすると,ピタリと合っているのか,かなりずれた状態になっているのかを吟味することが大切だと思う。これまで全くその点について検討していなかったという認識は持っておらず,常に時代に応じながら高等学校の在り様について検討してきたということは十分認識しているが,これまで積み上げられてきたものを少し越えていかなければならない,少し発想を変えていかなければならないと思う。どのように高等学校を存続させていくのかということと,地域を振興させていくのかということが,うまく重なり合っているのかどうかという意味での配置の在り方が1つだと思うし,どちらかというとこれまで普通科主流で,これは広島県だけではなく,国の政策そのものがそうなっているが,果たして普通科先行のようなこれまでの高等学校で良いのかということ,さらには,小・中学校と繋がった高等学校をどのように考えていくのかということが重要だと思う。

〇 広島県より,もっと地域的に厳しくなった都道府県があり,そこは町の存続と高等学校の存続とがぴったり重なり,高等学校が色々な事情でなくなった途端,あっという間に地域の人口も減少するということが各地ですでに起こっている。そういう点では高等学校の存在が,地域の振興や人口の維持そのものに直接的に関わるような状況になってきていることから,高等学校の配置とともに,それを小・中学校とどう繋げていくのかということが大切であると思う。そういう意味において,もっと柔らかな地域の変化に応じた学校制度の在り方,広島版の中山間地域を軸にしたものが必要だと思う。

〇 そういう点を踏まえつつ,広島県における中山間地域が全国でも稀な,先進的な中山間地域という触れ込み,例えば,生涯学習社会が具体的に実現した社会とか,高齢・人口活動縮小ということについて,高等学校をキーポイントにしながら,その後を注視していくことも重要だと思う。

 

〇 A4資料の下のほうに,人口減少,少子高齢化という問題があり,子供がどんどん少なくなっていくことが問題になっている。大切に育てなければならない子供たちが,虐待等で命を落としたりする事案が随分多いと感じており,そういったことを解決していくことも,子供たちが健やかに育っていくという意味では,大事なことだと思う。

〇 教育という面で言えば,幼児期の養育や教育の充実はもちろん大事だが,その前に,子供を育てる親をどのように支援していくのか,あるいは教育をしていくのかという部分をもう少し大事にしていかなければならないと思う。どんな親も最初から子供が憎いとか,虐待をするということはないと思う。子供の虐待に対して何か解決に繋がる方策がないものかと考えてみると,初めての子供を産んで育てる親の支援をどのように手厚くしていくのかということに課題があると思う。子供を安心して育てていける社会であるということが親自身にも分かれば,色々なことにぶつかった時にも子供と一緒に乗り越えていけると思うし,子供を育てていく経験を積む中で,親は親として育っていくものだと私は感じている。単に子供を産んだからといって,誰でも親になれるというものではない。親はみんな分からないことだらけの中,手探りで一生懸命子供を育てている。子育てするための知識として様々な情報を得ることはできるが,自分の子供にとって何がベストなのかということは,自分一人ではなかなか分からないし,ただ情報を得たとしてもそれを上手く生かしていけないと思う。こうしたことからも,親同士が繋がり仲間づくりができる場を作る,あるいはそれをサポートしていけるような内容を大綱に入れるべきだと思う。

〇 学びというのは,成人後もできることだと思う。色々な経験を得た後に,改めて学び直し,そこから新たに力を付けていき,役立つ存在に育っていくということもあると思う。広島県教育委員会主要施策実施方針の施策の1つに,「生涯学習・社会教育の振興」があるが,この点にもう少し力を入れてみてはどうかと思う。ついつい,子供を育てるという視点で物を見てしまい,成人したらそこで終わる,成人になったらその人に任せてしまうという感覚になりがちだが,私自身も成人し,子供を育ててから,新たに色々なことを学んでいこうという思いになり,色々な活動をしたり,誰かの役に立ちたいと思った経緯がある。その時に一番役に立ったのが,公民館での活動だった。それが生涯学習という意味では,どんどん人を変えていける,そういう場を提供できるものになると思う。

〇 今,広島にはフードバンクといって,もったいない食品,食品ロスをいかになくすかという活動をしているところもあるが,案外知られておらず,子供たちの感覚の中に「もったいない」という意識を少し付けていかなければならないと思う。実施方針の中にもあるが,食育の推進という,単に体を作るために良いものを食べさせるというだけではなく,環境について,もう少し深く,子供たちや親自身が考えられるような機会を作ってもらいたいと思う。

 

〇 東京一極集中の加速化という問題自体は,今,地方創生と言われているとおり,日本全国の課題だと思う。その課題解決策がきちんと見えていない中で,しっかり取り組んだ場合には,広島県が全国に先駆けたパイオニアになり得る可能性を大きく持っている領域ではないかと思う。特に若者に対象を絞った場合に,どのように地方から人材を流出しないように,一極集中というものを回避していくのかということを考えると,ロールモデルの提示が非常に重要だと思う。人口流出が進んでいることや,東京や都市部への一極集中を回避しなければならないことは,誰も異論のないことだと思うが,具体的にどのようなキャリアパスを辿れば自分にとっても意味があり,自分の地域にとっても貢献できるような生き方や働き方があるかということが具体的に見えていない分,どうしてもリスクの少ない,例えば,学力の高い学生であれば東京の難関大学に進むのが良いのではないかというパスに乗りがちなのではないかと思う。こうしたことから,そのロールモデルをきちんと作っていくことが,人口流出を防ぐ方法や地方創生に繋がっていくと思う。

〇 毎年秋に,「東北未来リーダーズサミット」を行っており,津波の被害のあった沿岸部から高校生を毎年70名選抜し東京に連れていく。そこで2泊3日のプログラムを行うが,例えば国会議員や企業経営者の方々を呼んで話を聞いたり,チームごとに分かれて,自分たちが自分たちの地域のために何ができるのかというディスカッションをとおして提言を作るという活動をしている。そういうプログラムをとおして,彼らの中に自分たちの故郷を誇りに思う気持ちを具体的に引き出し,一方で,よりマクロな広い社会課題解決のためのビジョンというものを,彼らが自主的に考えられるような機会を提供することで,地元に根差した気持ちと,よりマクロな社会という観点から自分たちの故郷をどう見ていくかということを組み合わせるために何を考えるかということを狙ったプログラムを行っている。

〇 他の地域と連携しながら自分たちの地域がより良くなっていくために,自分たちに何ができるのかということを,当事者意識を持って考え,それを踏まえて実際にその道を歩き始めた個人の例があると,その後ろに続く,何百人,何千人という若い世代にとって,具体的な地域貢献のためのモデルというものが見えてくると思う。そういう取組が広がっていけば,地域活性化の旗手を育てるという種が,色々な所に広がっていくと思う。ただ,こうしたことを行っていく上では,学校の中だけで実践していくことはなかなか難しいところがあり,官民連携で,多様なアクターが共同して,そういったものを地域ごとに根付かせていくことが重要だと思う。A4資料の最後に,自分とは異なる考えや価値観などを持つ人たちとも共有するという点があったが,その点はとても重要で,その地域を活性化させていくという時には,その社会の中に共存する色々な人たちとの連携が必要だということを,全員が共通認識として持つことが重要だと思う。

〇 例えば,経済レベルが異なったり,都市部にいる学生と山間部にいる学生,色々なバックグラウンドを持っている学生など,色々な状況にいる学生たちがいると思うが,人材育成や次世代のリーダーとしての育成という言葉を掲げると,どうしても比較的経済的に裕福な状況の学生や学力の高い学生が出てきがちだが,幅広いバックグラウンドを持つアクターが一緒にならないと,そういったものは達成できないと思う。いかに取りこぼしのない形で,学生たちの可能性を広げていくのかという視点が重要だと思う。

 

〇 ここ10年くらい,グローバルやグローバル人材,あるいはコンピテンシーについて力点が置かれてきたと思う。それは「広島版『学びの変革』アクションプラン」にも反映されているが,最近の数年の間に,それとは違う流れが浮上してきているように思う。違うと言っても完全に対立する,全く違うということではなく,力点の相対的な違いということである。それがグローバルというよりもローカル,コンピテンシーや柔軟なジェネラルな力というよりも,より職業教育や産業人材というところに力点を置いた教育の重要性が急浮上してきているような印象がある。それは教育再生実行会議や,まち・ひと・しごと創生会議など,色々な所で既に目にしていると思うが,それがあまりにも狭いローカル,地域にずっと留まり続けるような,地域から出たことがないような人間を育てることになると,むしろ弊害の方が大きい。また,職業教育についても,非常に狭く固定的な専門教育だけ,特定の仕事に関する教育だけ行っても,その知識やスキルは使えなくなることも多いことから,それもまた弊害を含んでおり,ローカルや職業教育に力点,軸足を置きながらも,それが伸びしろのあるグローバルやコンピテンシーに繋がっていくような,そういう人づくりがこれから重要になってくると思う。

〇 どうすれば人口を維持したり増やしたりできるのかということに関して,人口減に苦しんでいる自治体間で検討する会議に居合わせることがあるのだが,その時に,これから地域を維持し,活性化していくためには,これまでの日本の凝り固まった価値観・規範を転換することが大事だということを助言している。例えば,今の日本の社会の中で,不当に冷遇され,厳しい扱いをされ苦しんでいる方たちを輝かせるような施策を,色々な自治体でそれぞれに導入していくことについて,日本全体にとって色々な波及効果があるのではないかと考え発言するのだが,地方の方々にとっては,そういう考えはどうも受け入れられないようだ。地方であればあるほど考えがある意味古く固まっている面があり,そんなことはできないと言われる。だから駄目なんだと思うが,例えば,婚外子は日本では不当に冷遇されているが,婚外子を含む一人親の家庭に対して,非常に手厚い支援を行うような地域があった場合に,多くの一人親たちが,それに期待して移り住んで来て,力を発揮してもらえるのではないかと思う。つまり,価値観の転換であり,日本の非常にヒエラルキーを成している階層構造の中で,苦しんでいる方に活躍していただくということは,広島の未来を考える上でも重要となってくると思う。

〇 もう1つは,パイオニアということはとても重要だと思うが,どこの地域でも同じような大綱を横並びで出していては,何ら突破には繋がらないということで,ある意味個性があるというか,陳腐ではない施策を作っていくべきである。その際に,どうすれば陳腐ではないものになるかというと,例えば,中央の教育行政で一応案としては提案されているが,予算の確保が難しく先送りになっているようなものを先行的に実施する,あるいは,中央でもまだ案として出てきていないような新たな発想を,県独自に考案していくということが考えられる。

〇 案として出ているが実行できていないもの,あるいは,案として提案されたばかりで,まだそれが緒に就いていないものの例としては,幼児教育の義務化と無償化,スクールソーシャルワーカーを全学校に配置し困窮家庭に対する支援を手厚くする,すべての高校に教育再生実行会議で言及されていた専攻科を設置し,その専攻科に在学するとともに,最近広がってきているMOOC(ムーク)を通じて大学の単位が取れるといった試みを導入していくということなどが例として考えられる。

〇 個別にNPO的な取組があるにしても,まだあまりどこからも提案されていない,施策としてなかなか実現されていないものとして,例えば,外国に繋がりを持つ子供に対して,ある地域において非常に手厚い支援をし,彼らがグローバル人材として地域を支えてくれることを期待する,障害を持つ子供を非常に肯定的に受け入れて,障害を越えていくような教育を行うことなどが挙げられる。ある特定の地域で,そういう特色を持った教育を行うということがあっても良いと思う。

〇 大都市・中都市あるいは地方に分けて若者の様子を分析すると,地方では,高等教育への進学率が低い。高校を出てすぐに社会に出ている人の比率がかなり高いが,その中で特に普通科高校を卒業した人たちが,非常に不安定な就業状態にあり,非正規率が極めて高いということが見えてくる。若者に強制する形ではなく,地域に残ってもらうことがこれから一層重要になっていくとすれば,普通科・専門学科問わず,高校を出てその地域に残ろうとする高校生に対して,卒業後数年間は絶対に就労を保障する,見守り続けるといった,厚い就労支援を行うことは,まだ日本の中では具体的に実施されておらず,日本にとって大きな課題であり,それが解決できれば,日本全体にとって希望の種になるといったことを,ぜひ広島の大綱には盛り込んでいただきたい。

 

〇 教育の戦略というのは,包括的でなければならないだろうから,小・中・高等学校を通じての色々な観点が必要だと思うが,人間として幼い頃に育つ,幼い頃にしか育てられないもの,大人になって,色々な分野の人々との交流をとおして感じたのは,センスである。それぞれの分野で一流になった人たちのセンスは完全に幼い頃にしか育っておらず,そのセンスを芽生えさせていくチャンスは,幼い頃にしかないということが一つ大事な点だと思う。

〇 幼い頃のセンスの育成に関して強力な方針を是非打ち出してもらいたいが,よく思い出すのが,若い頃,長野県出身の友人が「信濃教育」という言葉をよく口にしていた。今も信濃教育という言葉はあるようだが,長野の人は非常に誇りに思っていて,長野で生まれたことを大変嬉しいと,そういう誇りを持っていることが非常に気になった。資料の中に,「広島で生まれ,育ち,住み,働くことに喜びを感じる」というフレーズがあるが,例えば,「〇〇に変わる広島教育」など,そういう言葉が分かりやすい形で提起されると非常に良いと思う。

〇 これは広島市の問題として大きく関わると思うが,平和という話である。平和の拠点ということは非常に大切な広島の視点になると思う。例えば呉市に「大和ミュージアム」があるが,開館後10年間で入館者が1千万人くらいである。こういう科学館は,全国に国立科学博物館を除けばなく,戦艦大和の魅力もあると思うが,平和という問題と非常に関わりがあると思う。単に広島市の問題だけではなく,これは全国的な人気になっているので,広島という人間,広島で生まれて育って,住んだ人たちが持つべき全員のセンス,いわば,そういうものだと思う。そういう意味では,A3資料の右下に,「育成すべき人材像」とあるが,その中の「胸を張って『広島』,『日本』を語り」というところに,「平和」を入れて欲しかった。

〇 教育というと,人間対人間という形でよく語られるが,実際には,子供が受ける教育の側面には自然というものがある。自然と人間以外の生き物から与えられる影響というのは非常に大きい。1つ例を挙げると,4年前の3月11日に東日本大震災が起きて3か月くらい経った時に,仙台に住んでいる私の友人が,東松島という津波のひどい被害を受けたところの子供たちを十数人,スーパームーンに連れて行こうと子供たちを誘ったところ,海辺に行かなければならないので皆が嫌がった。東松島のような海のそばで生まれ育った子が海を見たくないと言う。その友人は夜だからと子供たちを説得して見に連れて行くと,スーパームーンは大変感動的で,見えると1秒か2秒で,子供が非常に胸を震わせ,また海が見たいと言ったという。その友人は3か月間,海がもう嫌いだと言っている子供たちに対して,海は大事だということを一生懸命説得しても全く効果を発揮しなかったのに,月を見た途端に子供が海を見たいと言ったことに自分の無力さを感じたと同時に,自然の持つ凄さを思い知らされたと言っていた。私はそうではなく,その友人が子供たちに3か月間語り続けた言葉は,潜在的には子供たちの胸にずっと溜まっていて,月を見た瞬間にそれが解き放たれたのだと思う。このように,自然や人間以外の生き物は,人間だけではどうにもできない影響を,子供たちに大きく与えることができる。そういうものを大きく加味した教育戦略というものを是非策定してもらいたい。

 

〇 教育委員として,広島県の教育を内側からずっと考えてきているが,高等学校の問題はもう何年も検討しており,御指摘のとおり,これからの高等学校とは如何ということは非常に難しい。フレキシブルスクールやグローバルに繋がる高等学校の在り方などについて,本県でも検討しているが,中山間地域を含む適正配置の問題と,小規模な高等学校の問題などについて,今,御指摘いただいたような形で教育委員として考えていくことは非常に大切だと実感した。

〇 生涯学習という問題で提言いただいたが,広島県は教育熱が非常に高い「教育県広島」であり,県民の教育水準が非常に高い中にあって,昨今,学び直しということを考えた時に,大学院が今まで議論されていなかったと思っているが,生涯学習という視点からの大学院での学び直しということであれば,教育委員も考えられると思う。

〇 同じような観点で,知事部局と教育委員会が非常に歯がゆい思いをしてきたのが高大接続である。大学と教育委員会は,高大連携という点で,広島県全体の中で考えていくことがなかなかできなかったことから,こういうことも議題としてあり得ると考えている。

 

〇 今回の大綱においても,少子高齢化の一方で,支援を受けなければならない子供について,配慮していく必要があると思う。

〇 広島県の特徴として,就学援助率が高いことが言えると思う。平成21年度の時点で,広島の就学援助率は21.6%だが,他に20%を超えている都道府県は7つしかない。平成25年度の県内の就学援助率が22.3%で,5人に1人以上,あるいは4人に1人近いという状況で,この子たちは一人親家庭で育つことが多く,一人親家庭への支援という点では,広島でも同じような実情がある。

〇 今年度,広島県では,「ひろしまファミリー夢プラン」の策定を予定しており,年度内に策定されると思うが,その中に,貧困対策計画と,一人親家庭と自立促進計画が盛り込まれている。色々な活動や学校訪問を行う中で,なかなか難しい子がいる学校に行くと,教育問題は経済問題だという声を聞き,学力は経済と比例しているという実態を伺う。県の教育としても,グローバルな中での人材を育てることは非常に重要だが,そもそもそういうところが雲の向こうで意識もできない子供たちがたくさんいる,ごく僅かな問題ではないということは言えると思う。この子たちを,職業教育だけではなく,グローバル人材にどのように育てていくのかという視点は,非常に重要だと思う。

〇 生活保護受給者の子供たちが,公立高校の海外への修学旅行に行かせてもらえない例がある。ケースワーカーの了解が取れないことが理由だが,海外に出られるすごく少ない機会ですら奪われている実情がある。県単独では解決できない問題も色々あると思うが,子供たちをどう育てていくのか,教育委員会だけでは対応しきれない問題が山積で,貧困問題を考えていこうとすると,知事部局と教育委員会がタッグを組まないと難しい点が多くあると思う。そういう面で,頑張れば雲の向こうにあるものを,どんな子供たちでも掴める可能性があるような大綱を広島県で作っていきたいと思っている。

 

〇 教育界と産業界,経済界をいかに結び付けるかということに携わっているが,私たちリーダーの責務は,色々な分野で活躍をしてくれる次のリーダーを育てることだと常々思っている。色々な分野のリーダーをどのように育てていくかということだが,東京一極集中ということから考えると,中山間地域の人間は,沿岸部に一極集中というか,学力の高い子供は沿岸部に出て行ってしまう。理由としては,中山間地域には中高一貫教育が全くなく,そういう受け皿がない中で,地元の教育が行われているからである。そういう中においても,地域の特性,例えば,地域の文化やスポーツ,芸能,そういうことで頑張っている学校も多くあり,地元の産業界も力を合わせて一生懸命頑張っているが,この春の入試において,ある学校では34人の定員に対して受験生が11人しかいなかった。どのようにしてこの11人の子供を支えていくのかを真剣に産業界も考えなければならない。例えば,グローバル化に対応できる子供を学校が育てても,そういう企業が地元にない場合は,結局は地元には留まらない。車の両輪のように,両方が頑張ってその地域を支えることが非常に重要である。高校間の距離が非常にあるので,例えばある高校がなくなると,隣の高校までかなりの距離があり,JRの本数も非常に少ないので通うことも非常に難しくなる。そうすると,地域が寂れていくことに繋がることから,今,地域,産業界共に方策を考えているところである。

 

〇 広島の計画なので,広島を打ち出せるものにしたいと思う。「広島で学んで良かったと思える日本一の教育県の創造」という目標のもとで大綱に盛り込むべき内容を自分なりに考えてみると,グローバル化社会への対応等は大事なことであり,それらのことを盛り込む方向だと思うが,課題のある子供へのフォローも重要だと思う。学力に課題のある子供の原因は,経済格差だけではなく,家庭環境や個人的な性格,能力ということもあると思うが,やはり経済的な格差が教育格差に繋がるという面は大きいと思う。県の学力の状況,県の方針,チャレンジビジョン等を見ても,基礎的な学力は概ね定着してきたという評価だが,もう少し上を目指すべきだと思う。これを改善していくためにはどうするべきか,いつから取り組むべきかということについては,小学校入学時に既に集中力が持続できない子が増えてきていることから,幼児教育も充実すべきであり,基礎的な学力をトレーニングで習得すべき小学校低・中学年,あるいは,中1ギャップへの対応も重要だと思う。

〇 広島県では,学力向上のための事業や,小・中連携も全県的に取り組んでおり,非常に忙しい先生のために,子供と向き合う時間の確保とモチベーションの向上を図れるような施策も行っているが,これらを引き続き推進すべきだと思う。先生が教える時間を確保するために,一部業務を代わりに行う人材を入れるということだが,それ以外にも,教える側の戦力をより充実していくこと,質を高めていくことについて,短期的には難しくても,長期的にはこういった方向に取り組んでいければと思う。

〇 本県では,学力に課題のある子を徹底的になくすというような取組ができればと良いと思う。派手な目標ではないかもしれないが,それぞれ取り組んでいくことをまとめてでも,こうした打ち出しが必要だと思う。

 

〇 中山間地域などに関連することだと思うが,地域との関係,地域づくりとの関係,地域の活性化,地域の活力との関係で,学校をどう捉えるのか。小学校がコミュニティを考える上で非常に大きな役割を果たしている面もあり,小学校がより身近なコミュニティであることも必要だと思う。

〇 何らかの理由で学力が十分に身に付いていない子供たちの底上げをしていくという視点,逆にリーダーという観点でどのように社会を引っ張っていくのかという視点,こういった点はすべて切り口として非常に重要だと思う。

〇 内容的なものとして,例えば,広島県の小学校では,3泊4日の自然体験学習を進めているが,そこからさらに,中学校,高校になった時にはどういうことが必要なのか,あるいは,幼稚園や幼児教育も非常にインパクトが大きいと思う。深掘りできるところがあったら,さらに御意見をいただきたい。

 

〇 広島市も,これから大綱を作っていくために色々と始めているところだが,先ほど御指摘のあった課題は全く同じである。広島市の場合は,市域が都会型となっているので,中山間地域の問題をあえて考えるという立場ではなく,広島市という立場の特徴をいかに出すかが大きな課題だと思っている。

〇 1つは平和教育。平和教育に関しては,小学校1年生から中学校3年生まで,教本を別途作成して,時間を確保して教育をしている。例えば小学校1年生であれば,ある日突然,自分の大切なものがなくなったらどう思うかというようなところから始めて,少しずつ原爆の問題について考えるようなことをさせている。

〇 もう1つは,「広島型カリキュラム」といって,理数系と言語能力をマッチさせたような教育を展開するということを始めている。例えば,色々なデータやグラフを見せて,それから何が読めるのか,何が考察できるのかを,グループディスカッションの形で話をさせていくということをしており,ある意味で,受け身型ではなく能動的な学習を習慣付けるねらいがある。

〇 広島市の場合も,ボトムアップなのか,リーダーを養成するのかという問題が常にある。色々な問題から言えば,いじめ対策や放課後対策といったボトムアップのレベルは,県も市も大綱の中に入れていかなければならないと思う。

〇 広島なので,平和というと,やはり原爆の話から始めることになるが,もっと幅の広い平和教育を行うべきだと考えている。例えば広島には,国連のユニタールがあるが,このユニタールは,世界の紛争地域に派遣できる人材を養成しており,世界に7か所しかない。その7か所が共同して,例えばアフガニスタンなどの色々な紛争地域に若者を派遣している。そういう拠点が広島にあるにもかかわらず,それが活かされていないという意見もある。これだけ身近にあるものがPRされていない,それを有効に活用しようとしないのは非常に残念であり,原爆の話ばかりに終始していると,視点が少し狭くないかということを若者には言っている。

〇 毎年,「青少年国際平和未来会議」を行っている。ありとあらゆる平和を阻害する要因を皆でディスカッションして,それに対して何をするのかを検討し,最終的には,多様性の理解と寛容な精神といった毎年同じ結論にはなるが,外国人と日本人が対等に考えていったときに,同じ結論になるではないかということをやることに私は意義を感じている。毎年70~80人の子供たちではあるが,方法等をもう少し幅広く伝える,広めることによって,まさに平和問題に関するリーダーが広島から育つと思っている。

〇 社会教育の重要性について,学校の中ではできないことを,社会の中でもう少し,若い世代に伝えるべきだと思う。どういう形でやるかという問題はあるが,私が預かっている青少年団体では,子供が子供を教える,中学生が小学生を,大学生が中・高校生を教えるという形のグループワークをずっと行っている。自分が若い時に,そういう体験をしたことが今活きており,必ずしも学校の時期だけで学ぶのではなく,生涯をとおして学ぶべきであるという姿勢を,私自身は植えつけられたと思っている。そういう形の教育を,広島市の中,広島県の中でも行うことができれば,リーダー養成にも繋がっていくと思う。

 

〇 中学生くらいに成長すると,地域の将来に対し,相応に問題意識が形成されている。その問題意識のもとに,どう自身の生き方と繋げていけるかが重要であり,そのあたりへの働きかけやカリキュラム,将来への方向性が,ある程度イメージされているというように繋がっていくと良いと思う。具体的には,どういう形でそこに高等学校が存在しているのかということが大きな問題であり,先程の話では,34の枠に対し11名の受験生ということだったが,例えば,その34人全員に,この高等学校に来たら,少なくとも高校3年間のうちの1か月くらいは短期の海外留学ができるというようなことが用意されていたとしたら,中学生は,もっとこの高校に行こうと思うのか,それとも,もっと行かなくなってしまうのか。何かぶら下げたようなものではなく,小学校から積み上げていき,高等学校にそういうものがあるということになると,子供たちにとっては,外国の方々と繋がりがある人生というか,そういうものが若い時代に培われるということで,広島県全体でそうなれば良いと思う。財政的な問題もあると思うので,まずパイロット的にどこかの地域で,小学校,中学校,そして高等学校あるいは大学との繋がりの中で,どこか外国との広がりや接点ができるようなそういうカリキュラムを行う取組を行えれば良いと思う。

 

〇 とても良い助言をいただいた。その学校は,高校生相手の学習塾がない町なので,大学生が週に2回行って,一緒に勉強を教えて教えられるという取組が行われている。学力のアップも図りながら,大学進学も視野に入れた学校づくりや中山間部ではあるが子供が通ってくれるような魅力づくりを産業界と一緒になってやっていかないと,子供の数も増えていかないと思う。地元の子供だけで定員を満たすのは,今後は非常に難しくなっていくと思っており,今の助言を今後とも参考にさせていただきたいと思う。

 

〇 なかなかすぐには上手くいかないかもしれないが,現在,産学官コンソーシアムというものが政府から提案されている。それは,色々な種別の教育機関,大学,大学院,専修学校,短大,高専,高等学校と産業界と行政が連携をして,教育機関の枠を超えたカリキュラムを作って,どこかの教育機関に所属はしているものの,その教育機関では学べない他の単位を,どんどん別の教育機関で学ぶことができるような構想である。いくつかの地域で,このことについて実際に提案されているが,まだきちんと出来上がっていない状態だと思う。

〇 先ほど話のあった34人中11人しか入学してこなかったような高校があった場合に,すごく特色化して,特色を強めることによって生徒を呼び込むという発想もあるし,逆に,規模の小さくなった高校をまとめて,ある高校の分校という位置付けにして,通常の授業はそこで受けるにしても,スカイプなどを使いながら別の学校の授業が聞けたり,授業に参加できたり,時には別の校舎で授業を受けたりするなど,連合体のような形で高校を運営していくという方向もあり得ると思う。

〇 過去に,地域合同総合制といったような提案もされていたことがあった。普通科と色々な専門学科の高校をまとめて,これがこの地域の高校だということにして,高校生なら全部どれでも学べるようにするという案が,少子化が進行してきた今,むしろ現実化する契機になっているのではないかと思う。

 

〇 大綱自体は,広島県における教育についてということで,公立・私立は関係ないと規定してあるが,従来の教育委員会の流れは,包括して公立学校だけを取り扱い,私立学校については,広島県では学事課が担当しているが,内容についてはあまりタッチしていない。単体では県の予算で最も大きい予算の1つである私立学校の交付金は出しているが,内容についてはタッチしてない。今後,大綱を考えるときに,従来どおり私立学校は建学の精神も含めて,行政としてはノータッチのほうが良いのか,それとも何らかの共通目標みたいなものを定めて,一緒に上手くやっていけるような体制にするほうが良いのか,色々なやり方等があると思うが,御意見があればお聞きしたい。

 

〇 県全体としてコントロールするというか,県全体の選択肢を広げるといったことも含めて考えていく視点は必要だと思う。

 

〇 学力の高い子が行く私立学校というのは,結局は進学校である。先ほど建学の精神と言われたが,確かに建学の精神は自分も叩き込まれたが,そのとおりだとは全然思っていない。女子の場合にミッション系のスクールがあるが,確かに宗教の時間はあるようだが,必ずしもそれに特化した学校だとは思っていない。いかに有名国立大学に多く合格させるか,医学部に何人合格させたか等,そういうことが競争の視点になっている。県で作ろうとする大綱が,私学にまで及ぶかどうかはよく分からないが,こういうことをやろうではないかという理想としては大変良いと思う。

〇 子供を私立学校に行かせる親は何を考えているのかというと,自分の子供を良い大学に合格させてほしいということであり,我々がこの場で議論しているような,グローバル人材を育てるという方向に誘導するのは大変難しいと思う。それを公立も私立も全てといったときには,結局,私学の存続の意義がなくなるような格好になっていくのではないかと思う。実際に,広島市内の公立高校で,かなり良い進学成績を収める学校が出てきて,そちらのほうが良いというニュアンスも出てきていると思う。このことで,私学としては焦りがあり,また,そちらのほうに特化しなければならないと思っているのではないかと想像する。

 

〇 確かに,大学進学実績を気にして入学させようとするということだと思うが,私学もそれぞれあるのかもしれないが,実際には,それぞれが建学の精神や教育方針をしっかり持ってやっていると思う。過重競争になるかもしれないという意見が確かにあるかもしれないが,教育方針や目的が違えば,取り合いになることが実際にはあるにしても,この学校はこういう子供を育てる学校,この学校はこうということで問題はないと思う。ただ実際は,東京の有名大学への進学が目標になっているところは多々ある。

 

〇 底上げ的な取組とリーダー育成という取組が,異なるアプローチとして捉えられることも多いが,本来は,社会的に弱い立場にいる若者であっても,社会との関わり方によっては,リーダーになっていく道があるはずで,いかに道筋をつけていくかが大変重要だと思う。例えば,孫正義氏やオルブライト国務長官など,大変な経験をした方が,将来的に社会で重要な役割を担い,自分の体験も踏まえて,より広い社会に対して共感力を持った人材になっていくというケースが実在しており,それをもっと増やしていくような考え方が大枠で込められていても良いのではないかと思う。ただ本当に社会的に弱い立場にいる若者を対象とした人材育成は,例えば学力の面や経済的な面で,困難な状況にある子供たちが多いことから,大きなコミットメントを求められる作業だと思う。その子たちが本来持っている可能性を引き出し,リーダーになれるような道筋にまで持っていくというのは,強い意志に基づいた労力を求められるため,理念に基づき一貫性のある方針のもとに教育を行っている私立学校にこそ,そういったことを行う可能性というか,でき得る希望を持っても良いのではないかと思う。ただ現実問題として,有名大学への進学率が重要になっていたり,経営の問題であったり,そういう制約条件が多々あるとは思うが,大きな考え方の中で,いかに底上げからリーダーへと道筋を作っていくのかというところに,役割分担や機能付けの具体案というものが出てきた,より包括的な案になってくる可能性があると思う。

 

〇 広島県の教育振興基本計画にある「将来にわたって,『広島に生まれ,育ち,住み,働いて良かった』と心から思える広島県」といったようなレベルであれば,公立と私立であまり境がないと思う。境があるのは,おそらく各論に至った時で,そういう意味では,目指す理念などは,私立,公立を越えて,共有の広島ゆえの目指すところを掲げていると思う。私学の建学の精神からいうと,ここのところも違うということはあるのかもしれないが,そうであるならば,どういう独自性が出ているのか逆に問わなければならないところがあり,独自の人間像を掲げることが,公教育という広い意味で捉えた時に,共有されるのかという,別の視点の課題が出てくると思う。

 

〇 すでにスポーツや文化の領域で普通のことになっていると思うが,例えば県内の高校が,公立・私立・国立の枠を越えて,同じ場所に参加して,同じテーマに関して追求し合うという機会を作ることは,それほど難しくないと思う。県教委として,個々の私学の教育精神に踏み込むことはすごく反発を招くと思うが,例えば,県として平和を中心に据えたグローバル人材の育成ということに焦点化するのであれば,県内の高校生たちが広く参加するような,例えば模擬国連の場や,県内の高校生を対象とするようなアジアの若者たちとの交流の場などを一緒に行うということは可能だと思う。そういうこと以外の方針まで巻き込もうとすると,かえって軋轢が起きると思う。

〇 経済的に恵まれていない子をどう育てていくのかが,教育現場での問題だと思う。それは広島教育の内実の課題で,その大切な中身の1つに,平和への志みたいなものがあると思う。平和への志といった場合に,積極的に未来に関わっていくという姿勢の問題なので,受け身ではないが,「広島で育って良かった」という非常に良いフレーズがあるが,それは戦略を作る側の表現であって,少し受け身のイメージがある。育っている個人としては,そういう街を作りたいという,もう少し主体的な関わり方になってくるので,そうすると平和も,平和な社会があると良いなあという願望に留まっていてはダメで,そういう社会をどう作るかという社会建設に参加していく姿勢が,教育の中で非常に貫かれていかないといけないと思う。

〇 原爆体験にしても,被害者としての原爆体験が,平和への願望だけに留まるのではなく,社会建設への参加という姿勢が求められる。平和の問題を議論するときに,単に受け身の,平和な社会が来ると良いなあというだけでは,なかなかそこの中でリーダーとしては働けない。自分自身,非常に高い志がないといけないと思う。

〇 「育成すべき人間像」の中に,「高い志」と書いてあったのは非常に良いと思う。大変良く考え抜かれたものだと思うが,「平和」という言葉を是非入れて欲しい。

(以上)

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