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平成22年度 第3回教育改革推進懇談会 概要

平成22年度第3回教育改革推進懇談会の概要 及び 平成22年度第2回教育モニターアンケートの集計結果について

1 懇談会の目的

 教育委員会委員が教育関係者と意見交換することにより,学校教育に関する施策の有効性を点検し,より適切・妥当な施策展開の方向性を探る。

2 日時及び場所

 平成22年12月2日(木曜日)10時~12時
 県庁北館2階 第1会議室

3 出席者

  • 広島県教育委員会委員 6人
  • 教育関係者 12人(学識経験者1人,学校関係者4人,町教育長1人,PTA関係者2人,民間4人)

4 テーマ

 ○ 「高等学校教育について:生徒の主体性や意欲,夢を育むためには,高等学校はどのような姿であるべきか」についての意見交換

5 主な意見等

意見交換テーマ:自己肯定感を高める取組

 ○ 自己肯定感については,県の「基礎・基本」定着状況調査をはじめ,様々なアンケートで取り上げられているが,データの読み方としての前提を考えておく必要がある。今年度の本校における中学2年生の「基礎・基本」定着状況調査では,「自分には,よいところがあります」という問に対して59.6パーセントの生徒が肯定的な評価を行っているが,この生徒たちが小学校5年生の時の調査では,68.3パーセントが肯定的な評価を行っており,8.7ポイントの減少であった。ただ,現在中学3年生の生徒たちの場合は0.9ポイントの減少であり,学年,地域,個々の状況により,差やばらつきがあると言える。本日配付された資料3「青少年の体験活動等と自立に関する実態調査」の結果では,小学生から中学生になると「今の自分が好きだ」と答える生徒が半減しており,そこまで減少するのかという印象はあるが,小学生から中学生になった時,自分に良いところがあると感じる生徒は少なくなると感じている。
 その要因としては2点挙げられる。1点目は,小学校では,1年生の時から同じ仲間で過ごしてきており,自分中心の評価であるが,中学生になると,広い地域から生徒が集まるようになって,新しい友達もでき,客観的に自分を見るようになる。そこで,自分の位置付けを理解し,他者との比較も行う中で,自分に自信がないと感じる生徒が多くなるのではないか。2点目は,中学校に入ると,進路や将来の方向性を考えるようになる。受験にも直面し,目標を持つ場面が出てくるが,そこで,将来の自分への期待の水準に届かないと,それが気持ちに出てくるのではないか。こうした点から,小学生から中学生になる段階で,自分の評価が厳しくなるのは当然あるであろう。
 大事なことは,生徒が中学校を卒業するまでに,学校として生徒自身に自信を取り戻させる取組を行うことである。生徒は一人ひとり違うので,それぞれの良い所,認めていい所を,学校,家庭,地域全体で評価していく仕組みを持つ必要がある。根本にあるのは,教職員が生徒一人ひとりを見ていく姿勢,仕組みである。これを具体的に進めるには,学校の文化を変えていく必要があると考えている。学校では,情報が属人的,閉鎖的な面がある。それを打ち破るためには,仕事の流儀を変えていく必要があり,そのことが,教職員全員で生徒一人ひとりを見ていくことにつながると考えている。
 
 ○ 今の高校生は,実習などを見ていると,自分たちが若い頃と比べても進歩してきていると思う。工業科や商業科の発表を見ても,生徒たちの前向きさを感じる。敢えて何がさらに必要かと問われれば,教員の教育が必要と言えるだろう。工業科では,図面を書く実習などで教員の指導力が低下しているが,教員自体に経験がないからであり,教員の教育自体を考えていく必要がある。生徒自体は前向きであり,資格取得を目指して取り組んでおり,それを伸ばしていくよう周囲が取り組んでいく必要がある。
 
 ○ 好きなことに取り組む生徒の姿は光り輝いているが,そのことから離れると,これが先ほどの生徒かと感じることがある。問題は,そのパワーを次の目標,将来の目標につなげ,いかに力を出させるかということである。教員のレベルアップが必要と言うが,生徒を学校に送り出す保護者が無関心であると空回りをすることになるので,まずは,保護者も学校に足を向け,教員と話をするなど,保護者と教員,生徒の三者が連携していくことが大事である。
 企業の場合,会社への愛着心は,仕事が好きになって初めて生まれてくるものであるが,学校も同じで,生徒も保護者も学校を好きになることが大事である。よく社員は会社の看板を背負っていると言うが,生徒も同じで,そういう意味での制服ではないかと思う。そうすると自ずから,あいさつ運動などでも,学校の一員としての自覚を持って恥ずかしくないような取組に繋がっていくのではないか。そういう取組が必要であると思う。基本は好きになることだ。
 ただ,就職しても半数の者が会社を辞めたり,大学に入っても,ある統計では,8人に1人が1年目で大学を辞めており,目的を持っていないので,友人も作れず,サークルにも入れず,何をやっていいのか分からない状況があるようだ。社会で生きていくための力が必要であると感じている。
 また,それぞれが連携を取ることが必要であり,地域の学校に親が安心して送り出し,企業も地域から人材を雇用し,大学も地域の生徒を多く受け入れていくことが重要である。
 
 ○ 資料3では,「今の自分が好きだ」と「勉強は得意な方だ」のグラフの形がそっくりであることが分かり,自己肯定感は,基本的には勉強が得意かどうかと大きく関わっていると言える。自己肯定感には,勉強や部活動での達成感,成就感が関わっているが,できた喜びだけではなく,分かる喜び,学ぶ喜びに繋げていかなければ,必ず挫折が待っていると思う。分かる喜びにたどり着いた生徒は,自主的な学びや,さらに大きな志,夢を育むであろう。しかし,高校に入ると,学習内容が格段にレベルが上がり,スピードも速くなる。その中で,できることがスタートであるが,分かる喜び,学ぶ喜びを身に付けさせていきたいと一番に考えている。そのためには,創造力の育成も必要であると考えている。
 私は教職員に二つのことを伝えている。1点目は,自分の学校に誇りを持ち,本人に自信を持ってほしいということ。2点目は,オールマイティになってほしいということ。授業や部活動,クラス運営,PTA活動など,何にでも関わりを持つようになってほしい,一つのことだけではだめだと話している。もちろん,その前提としては,教職員の連帯意識の醸成が必要である。

意見交換テーマ:教員の姿

 ○ 私はいつも教員は大変だと思っている。だから,任せきりではなく,親としてはそれぞれの役割を果たすことを自覚すべきだ。
 データのことが話題に上がったが,こうした資料は我々も会議で使うことがあり,データとして好ましくないものが出る場合もある。先程,一人ひとりの子どもを見ないといけないという話があり印象に残った。ある会議で,教員が「アンケートを実施したその日は,クラスでもめごとがあり,女の子がひどく泣いていた。家で大変なことがあったようだ。だからこのデータは気にしていない。この子が,この時,マイナス要素に○をしたことは理解できる。だからこの子を見守っていきたい。」と話されたが,この教員は子どもをよく見てくれていると感じた。それでは親はどうか。わが子がこうしたデータを家に持ち帰って来ると,学校の評判は良くないのかとか,偏差値はどうだとか,勝手に評価をしてしまうことがある。わが子との関わりを考えた時,わが子が何を知りたがり,何が分からないのか,どんな心境なのかを理解することに取り組まなければならないと思う。
 PTAとしては,わが子が通う学校の取組を支え,わが子がこうであればいいな,この子がこうありたいと思うことを察するという運動に取り組んでいかなければならない。学校に任せきりになるのではなく,保護者も学校に足を向け,教員が保護者に望んでいることにしっかりと耳を傾け,取り組んでいくことが大事だ。地域と学校と保護者との関係性が必要な時代になっていると感じる。
 教員のスキルの向上についても,保護者から発信するものもあると思う。仕組みや制度を充実させ,志の高い教員,生徒個々に対しての応用力が高い教員が一人でも多くなることを期待している。
 
 ○ 今年度もパイオニアスピリット実践事業など,高校生対象の事業のお手伝いをしている。こうした高校生は,多様化した社会の中で,前向きで積極的で夢を持ち,それを形にしっかりとできる。しかし,すべての高校生がそうではない。現代は,携帯電話やパソコンが普及し,情報が何でも手に入る社会である。昨日出席した会議でも,ゲーム機よりおもしろい遊びはないのではないかといった話題になった。ゲーム機の普及を見ても,子どもたちにとって夢は叶えられている気がする。欲しい物はすぐに現実に手に入るようになっている。今の高校生は,我々の時代のように,夢をどう描くのかではなく,夢は誰かが作って与えてくれるもので,夢を追いかけて自ら両手に取っていくという意識はすごく薄い。そういう社会の中で,高校生は一般的に指示されたことしかやらず,指示されたこと以外は一切できなくなっている。企業の採用担当者は,大学生も同様であると話している。なぜそうなるのか。この背景には,今までの生身のコミュニケーションを中心にした小学校段階からの,黒板に板書し,教科書を持って一生懸命授業をやるという姿から,次第に電子黒板の導入に変化していることがあるのではないか。そうしたものを社会が求め,開発することはいいのだが。
 今の高校の教員は余裕がない。そのような中で,授業では,パワーポイントを使う機会がすごく増えたと聞く。生徒には分かりやすく,使う資料が何も考えなくてもきちんと分かるものになっており,非常に効果的,効率的な教育だと思う。生徒がどれだけ理解できるかということになると,やはりもう少し生身の形に切り替えないといけないのではと思うが,板書の時間を割いて,分かりやすくまとめていく形になっている。その中でも,生徒は試験に関係がないと意識が低く,どんなに良いパワーポイントでも興味を持って見ないようになっているようだ。
 高校から企業に入っても,その延長線上にあり,誰かが作ったもの,指示したものはやるが,自らが考えてやる訓練ができていないということが,職場でも人事的な悩みになっている。
 学力が大切でベースであることは分かるが,子どもたちは多様な能力を持っており,自己肯定感はそれだけで達成されるものではない。パイオニアスピリット実践事業でプレイパークを作ってもらったが,小学生に喜んでもらったことで,高校生は役立ち感を得たようである。このようなことを,いろいろな角度で体験することで,自己肯定感を高めることができるのではないか。そして,他人に対して肯定的に捉えることができる自分ができたらいいのだが。
 今の子どもたちは,自分に自信がなく,人に対しても認めることができず,閉じこもりがちになり,そこを切り替えていくためには,教員が子どもたちに多様な経験,体験をさせることが大事だ。キャリア教育やインターンシップなどを通して経験したことを通じて学習にも興味を持たせ,総合的に育てていく必要がある。
 
 ○ 広島県内には,2,300社もの中小企業があり,平均社員数は33名くらいだが,非常に素晴らしい企業がたくさんある。大企業志向があるが,教員には,いろいろな企業を知ってもらいたい。私も製造業の素晴らしさを感じるが,そういう情報をどういう形で手に入れるかを考えていってほしい。早くいろいろな企業を知る機会を設ける,そういう導きを与えることが大事ではないのか。
 また,人には差はなく,違いがあり,その違いをどう見出し,どう育むかが大事である。そして,どんな希望を持たせるかである。人は,社会に出て生きていかなければならない。生活を守り,人間らしく生きていくことが大事である。そのなかで,自主・自立をどうコントロールしていくか。また,世の中のルールに対してどう対応していくかである。さらには,人間らしく生きていくために,コミュニケーション能力をどう高めるかである。
 子どもにどんな特性があるかを,親や教員は早く見出してほしい。そのために,親や教員は子どもをほめる力を持ってほしい。そして,子どもたちを導き出すことが大事だ。
 
 ○ 熱意がある教員は,生徒への影響力が強いと感じている。そういう教員は,人間的魅力を持ち,自信を持っているが,それは教員として重要な要素である。一方で,教え方が上手な教員もいるが,そういう教員は,放任ではないが,生徒が失敗しても任せている。効率や結果が重視される世の中にあって,失敗から学ぶことがたくさんあるからだ。優秀な技術者は失敗を経ないと育たないと言われるが,教員も生徒が失敗してもそれを見守ることが大事である。そういう教員になるには,幅広い経験が必要であると思う。つい教員は,先々を読んだり,危険を回避したりするが,経験をたくさんして,挫折感を持つ方が生徒を広く見てやれるのではないかと思う。
 教員も生徒も一緒だが,挑戦する中で,刺激を受け,面白さが分かり,伸びていくのではないか。教員が学校の枠の中にはまらず,どんどん外に出て行き,いろいろな刺激を受け,自分の適性や関心の高いものにのめり込むことがあればと思う。そうした経験から,教員も幅広くなっていくのではないか。経験し,いろいろな失敗,成功を重ねることで成長していくと思っている。
 
 ○ ある人から,人間にとって究極の幸せは4つあると聞いた。1つ目は自分は愛されていると感じた時,2つ目は褒められたり,感謝された時,3つ目は役に立ったと思った時,4つ目は必要とされていると思った時である。子どもたちへの一日の指導のなかでこれらの視点が抜け落ちないように教員が対応できているかが一番である。キャリア教育は,一生涯を通じより良く生きていくためのものであり,就職できる,進学できることも大切であるが,この4つの幸せを幼児・児童・生徒が感じられる教育が基本だと感じている。そのためにも,子どもたち一人ひとりに役割を与え,年間を通じて学校の中で一貫性を持って取り組むことが大事であり,これができているかをさらにきちんと教員が検証できることが必要だと思っている。障害を持つ子どもたちが自立と社会参加のために,持つ能力を最大限に発揮していく教育をしていく時に,この4つの幸せを感じることを押さえた教育が必要であると感じている。

意見交換テーマ:学校の体制

 ○ 高校には多様な生徒が来ており,学校の個性化が体制として必要である。また,現在,文部科学省も高等学校教育についてカリキュラムの柔軟化など多様な内容を提供できるように検討している状況がある。一方で,高等学校の新学習指導要領では,基本・共通の部分が強調されている。日本の高等学校として,ベースとしてすべての生徒に必要なものであるものをきちんと保障することと,併せて,様々な生徒の多様なニーズに合わせ,学校の中身を柔軟に作り上げることが求められていると理解している。
 自己肯定感は,本日の話でも生徒の主体性や意欲と必ずしもイコールではないと言える。自己中心的な自己肯定感を持つ子どもが,いろいろな現実とぶつかりながら,自己肯定感を下げたり,挫折感を味わうことがあるが,この経験は必要であり,これを繰り返すことで,夢がより具体的,主体的に取り組むべき課題になるのではないかと思う。
 学校には,子どもたちが,夢や主体的な課題をもう一度取り戻す力,再生させる力,挫折した時に,もう一回立ち上がり,これをやってみようと思わせるように生徒をサポートしてほしい。
 そのために具体的に何をすれば良いのかだが,先日のフォーラムのなかで,民間企業の方からお聞きした話であるが,社員に主体的に仕事をさせる秘訣を聞くと,それは,対話しかないということであり,一人ひとりの社員と,「君がしたいことは何か,君がやってみて達成感を感じることは何か」と一年かけてでも対話に取り組むことだということであった。それにより,社員が今何に直面し,何が課題で,どこを助けると達成感が得られるか,何に悩んでいるのかが分かるということであった。そういう対話を学校に持ち込んだとき,教員間の対話も大事であり,そういう環境を作るための校長のマネジメントも大事である。
 また,先日広島大学のペスタロッチ教育賞の表彰式で,受賞者である金沢で教員をしている金森さんに,「教員に必要なことは,授業中,何人の子どもと目線を合わせたか,一日のうち何人の子どもに個人名で声をかけたかである」という話をしていただいた。高校の授業は教科担任制であり,50分のうち1人1回は生徒と目線を合わせてやってほしいし,そういう教員の空気,文化,雰囲気を作る校長のマネジメントであってほしい。
 
 ○ 質的な知識を高めることが必要である。思考力,判断力,表現力,倫理観を高めていくためには,インターンシップ,キャリア教育の充実を図っていくことが重要である。
 地元の油木高校では,クラブ活動への100パーセント加入に取り組んでおり,クラブ活動への加入率が学校の安定化に比例していると思っている。クラブがあいさつ運動に中心的に取り組んだり,生徒会が入学式,卒業式で迎える生徒,送る生徒のために計画を練っているなど,主体性を発揮している。
 学校の特色を出すことが大切であり,産業ビジネス科では,「みつばちプロジェクト」に取り組み,日本で唯一養蜂が学べる学校として全国にアピールしているが,養蜂により収入を得ることで,地域で就農可能とする取組を行っている。地域の一員としての取組,地域に対する役立ち感が育ってきており,地域と一体となって学校づくりに取り組んでいる。
 情報発信についても,町の広報紙に必ず高校のスペースを設け,協力している。学校が地域を元気にしており,町内の行事にも積極的に参加している。高校の元気が地域を明るくし,地域の関心も高校に集まっており,良い相乗効果が得られている。
 
 ○ 特別支援学校では,学部間の独立性が高いので,学部を越えて相互に授業を見に行く体制づくりに取り組んでいる。
 また,高等部では,就業体験に取り組んでいるが,他学部の教員もその取組を目の当たりにさせることができれば,どういう力を付けていくべきかを理解させることが期待できると考えている。卒業後に,どういうものが必要で,今の教育にどういうものが欠けているのかなどを,現場を見て気付かせるようにできればと考えている。また,服装,あいさつ,名刺交換など,現実的な対応に教員が接することができる。
 現在,毎朝,職員室で起立して,校長に向かっておはようございますとあいさつをさせており,職員にはやらされ感が拭えないと思うが,高等部以外の教員も外に出て,見て,教育に生かすことをやっていきたい。
 
 ○ 先般亡くなられた福山東林館高校の喜田先生が「こころの教育」を推進しないといけないと話しておられた。最初の「こ」は転ばぬ先の杖。これは,小さな失敗を恐れ,家庭でも学校でも常に杖を出してしまうと,大きな失敗した場合に立ち直れなくなるので,小さな失敗を恐れてはいけないという意味である。次の「こ」は壊れたおもちゃ。子どもは新しいおもちゃを手にすると集中するが,壊れると見向きもしなくなる。学校では,優秀な生徒には目を向けるが,そうでない生徒には目を向けなくなることを例えたものである。最後の「ろ」は論ずるだけ。論ずるだけの教育ではだめだという意味である。「心の教育」とは反対のものである。
 教員の仕事の流儀を変えるという意見があったが,そのためには,学校の組織を変えなくてはならないと思う。学校はなべぶたの組織であるが,なべぶたは組織の体をなしていない。例えば,教科主任や学年主任に権限を持たせるなどの工夫が必要である。
 最近聞いた話で,今の教育改革は氷山の見えている部分だけであり,その下にあるものに改革が及んでいないのではないかということであった。その下にあるものとは,日本で長年大切にしてきた倫理観,道徳観,規範意識である。ここに改革を進めていくには,教え込むことが大切であり,良いことは良い,悪いことはだめ,うそをついてはだめ,人に迷惑をかけてはいけないなどを徹底して教えることができていないということであった。
 さて,第2回目の懇談会で私立学校の状況を話させていただいたが,是非私立学校の力を活用していただきたい。中山間地域にこそ公立学校がきちんとあって,地域の教育を行っていくことが必要である。私立学校は,残念ながら,採算が取れないため,出て行くことができない。だからこそ公立学校がその地域で教育を担っていかなければならないと我々は思っている。そのためには,私立学校の力を大いに活用してほしいというのが我々の意見である。広島地域では1割,福山・東部地区では2割が定員に余裕があり,活用してほしいと思っている。
 
 ○ 学校体制についてなべぶたの話があったが,県立学校ではきちんとした体制ができていると考えている。これをどう機能させていくかを考えることが大事である。
 学校として,生徒が行きたい学校を作る必要がある。そのために,県立学校では特色づくりに取り組んでいる。しかし,その取組について,情報発信はしているが,それが理解されているかという課題がある。
 きちんと情報が伝われば,生徒の満足度も高まり,納得して3年間過ごすことが,自己肯定感の上昇にも繋がるし,大きな夢も育まれると思う。

自由意見

 ○ 高校生のマナーの悪さは目に余る。
 マナーを身に付けさせるため,高校生にも様々な体験をさせることが必要ではないか。今の子どもは耐えることができないし,生身のコミュニケーションも上手ではなく,教員との関係もうまくいかない面がある。小学校で長期の宿泊体験活動を導入したが,これからは高校でも必要ではないか。そのためには,教員の指導が必要であり,長期に取り組むとなると生活技術が必要であるが,生活技術を持つ教員が少ない。また,カウンセリングも必要となってくる。今の子どもはわがままに育っており,すべて親が指示したことをやってきた子どもが多く,自立と口で言ってもできない。自分の限界を超える長期間の体験活動ができないものかと思う。そのために,自然体験活動ができる教員の教育はしっかりとやっていただきたい。
 教育の在り方だが,大学に行かないと落ちこぼれとの印象を教員が持っていないかと思う。今,製造業で巧みな技を持つ人が多い。今は,大学へ行かないと,将来不幸になると思って行くからものすごく辞めているという現象が起きている。高校時代からの価値の持って行き方だと思う。こういうことをやりたいと持っていくと,価値ある生き方ができる。得意なものを伸ばすような仕組みが必要である。
 今後は,一方通行の授業だけではなく,授業にワークショップを取り入れ,グループで考え,発表し,まとめていくことも必要である。教員もそういう意識を持ってほしい。

教育委員

 ○ 吉田松陰が「夢なくして目標なし。目標なくして計画なし。計画なくして実行なし。実行なくして成功なし。而して夢なくして成功なし。」と述べているように,夢のない人が成功するためしはないと教わってきた。今の社会は多様な価値観が渦巻いており,今まで日本が培ってきた既成概念が崩れてきた。これはまさに起業のチャンスでもあり,どんな夢でも実現できるチャンスでもある。鶏口牛後という言葉があるが,今の高校生にも,夢の大切さと社会の有り様を教員が教え,自分の思っていることが実現できるような教育に取り組んでいただきたい。
 
 ○ 学校の両輪は,学力を付けることと人間力を付けることである。このために大事なことは,学校行事やクラブ活動などの課外活動に取り組むことである。課外活動で頑張っても学力に自信がないと,課外活動が上手くいったから学力にすぐ影響するほど簡単なものではない。学校は,課外活動で頑張っている生徒の学力のバランスをきちんと見ることが大事だと思った。芦品まなび学園高校を訪問した際,校長から,生徒のプライドを維持しつつ仕掛けをし,達成感を与えているという話を聞き,印象に残った。仕掛けの一つは,その生徒に責任を負わせることであると思った。様々な立場の生徒にどんな仕掛けをすれば良いのか,どの程度の責任を負わせれば良いのかを見極めることが教員の力量であり,そのためには,一人ひとりの生徒を見ていく作業が必要であると思った。そのお膳立てをするのが管理職であり,教育委員会であろう。
 また,本日の話で挫折が必要であるとの話があったが大事なことであると思う。高校で大きな挫折を味わっても良いと思うが,そのためには,就学以前から小学校,中学校までの間に,小さな挫折と葛藤を経験し,その克服の積み重ねが必要である。段階を経ての高校の在り方を改めて検討しても良いのかなと思った。

  ○ 最近,海外留学をする学生が少なくなったと言われるようになった。日本が一番いい,広島が一番いい,我が家が一番いいとよく言われるが,自己肯定の極致である。やはり,よそを見て学び,自らを高めていく,磨くということ,志を持つことへ教育現場は向かう必要を感じた。
 現在,県立高校では小規模校連携に取り組み,授業交流で成果を出している。専門性を担保し,授業力が高い教員をどう生かしいくかを全県的に考えていく必要があると感じている。
 幼稚園,保育所から小学校へ,小学校から中学校へ,中学校から高等学校へのジョイントの部分が大切になると前々から感じている。市町教育委員会との連携が重要であると思うとともに,地元の高校を大事にしていただいていることが今日の話でよく分かった。ジョイントの部分を,今後も市町教育委員会の皆さんともっと語り合う必要があると感じた。
 
 ○ 高等学校づくりでは,改革が進み,概ねその使命が果たせるようになってきた。しかし,一人ひとりの生徒が本当に力を付けているのかという点において,企業も社会も家庭も,もう少し学校は考えることがあるのではないかという宿題を本日はいただいたと思っている。
 これまでの特色づくりという高等学校政策は,果たしてニーズに応えていたのかという点について,もう一度,各高校や高校全体として振り返る必要がある。社会に出てきちんと人生を築く力,社会に貢献する力をどんな高校でも,コアコンピタンス(核となる能力)として学力以外に付けていくことが求められている。それを支えるのが基本的な生活習慣,ルール,マナーである。それを踏まえながら特色づくりを磨き上げ,生徒や保護者のニーズに応えていく必要がある。データを持って,本当にニーズに応えているのか,真の特色づくりに取り組む段階にきているのではないだろうか。

その他

 ○ (「私学の現状と課題」について説明)

6 資料

(1)教育モニターアンケート(一般用)(PDF)

(2)懇談会資料

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