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広島県における家庭の教育力を充実するための方策について

広島県における家庭の教育力を充実するための方策について

広島県生涯学習審議会答申の概要(平成14年11月6日)

第1章 子どもたちの問題状況

1 広がりを見せる子どもたちの問題

 少子化が進行する中,子どもを巡る問題は広がりを見せ深刻化してきており,本県の刑法犯少年の少年人口1,000人当たりの補導人員は,9年,12年が全国ワースト1位,10年,11年がワースト2位,13年はワースト9位であり,兇悪化,粗暴化,低年齢化している。暴力行為,いじめ,不登校,中途退学のいずれにおいても全国平均以上となっている。

2 問題視される家庭の教育

 子どもたちの問題行動は,どの子にも起こりうる問題であり,背景に現代の大量情報,消費社会や知識偏重の学校教育,人間関係の希薄化等が複雑に絡んで,子どもの成長に大きな影響を与えている。
 様々な原因が輻輳する中で,家庭の教育力の低下が指摘されており,その原因は「過保護,甘やかし過ぎの親」「しつけや教育に無関心な親」が増加したことである。

第2章 変わる家庭教育

1 家庭教育の本質

(1)子どもの社会化と家庭教育

 子どもが言葉を覚え,周りの人を愛し,基本的生活習慣を身につけ,人間関係を形成し,社会的自立を果たし,社会に参加していく過程を,「社会化」という。この過程には,子どもの「社会化」を支援し,促進させる周囲の人々の存在が重要不可欠である。
 家庭は,子どもが体験する初めての社会であり,家庭教育は,全ての教育の原点。基本的生活習慣,倫理観,自制心,自立心等は家庭教育によって培われる。

(2)家庭の教育力の二つの側面

 「意図的教育力」:親などの家族が子どもに対して一定の目的をもって行う教育力。
 「環境による教育力」:子どもを取り巻く人間関係や自然・社会環境が持つ教育力。
 最近の家庭の教育力低下の要因として,この2つの教育力の相互補完機能が崩れてきたことが指摘されている。

2 家庭教育の現状

(1) 環境による教育力の低下

ア 労働などの体験機会の衰退

 今ほど経済的に豊かでなかった時代には,子どもは手伝いをすることで働く意味や家族 としての共同意識を無意識に学び,子守りをすることで子育ての困難さを味わった。
  しかし,産業構造の変化が進み,子どもは親の働く姿を間近に見ることが少なくなった。
 また,三世代同居のもとで赤ちゃんの誕生や祖父母の死去に立ち合い,生命への畏怖,畏敬を覚えたが,少子化,核家族化の中ではこのような体験も困難なものとなった。

イ 人間関係の希薄化

 子どもの「社会化」を考える時,子どもは集団の中で対立と協調,競争と共同を経験し,自己を発見し成長していくものである。
  しかし,現状を考える時,子どもたちが異年齢の子どもや大人の中でもまれる機会は減り地域から孤立する家庭が増え,子どもを社会で育てることを困難にしている。

(2) 家庭教育の偏り

ア 塾などの教育市場の拡大

 高度経済成長を機に,少子化や経済的に豊かになったことなどに伴い,家庭の中で子ど もへの関心が高まり,子どもへの教育熱が高まってきた。
 そのような中,塾などの教育市場は拡大の一途を辿り,全世帯の家計における教育費の占める割合は,昭和50年と平成12年の比較によると3倍以上になっている。

イ 「勉強」に偏重した家庭教育

 豊かな生活は高学歴が保証してくれるといった学歴重視の傾向とともに,勉強のできる子を育てることが家庭教育の大きな目標となった。
 偏差値が家庭教育に持ち込まれ,このことが子どもたちの生活から時間的,精神的なゆとりをなくした一因と考えられる。

(3) 父親不在の家庭教育

ア 男女の固定的な役割分業

 高度経済成長期は急速なサラリーマン化と核家族化が進む中で,「夫は外で仕事,妻は家事・育児が仕事」という男女の固定的な役割分業が広がった。
 その後,急速に産業構造が変化する中で女性の社会進出が進み,子育てと仕事の両立に悩む母親が増加してきた。それとともに,専業主婦の孤立化も問題視されてきている。

イ 父親の参画の希薄化

 父親の企業への帰属意識の強さと女性の社会進出の困難さが,父親の家事分担や家庭教育への参加を弱める要因となっている。国民生活白書によると,男性,女性共に家庭内協力型を求める割合が圧倒的に高く,父親の意識も変化しつつあるが,具体的な行動にどうつなげるかが問われている。

(4)情報社会の中の家庭教育

ア コントロール困難な情報環境

 多量の情報が氾濫する社会の中で,親が子どもへの情報環境をある程度つかみコントロールすることが困難な状況になりつつある。
 子ども達の,携帯電話,テレビゲーム機やパソコン等の所持率は上昇し,平成13年度文部科学省の調査によると,高校2年生女子の約83%がふだん携帯電話を所持している。

イ 仮想世界と現実の混同

  情報を活用することは,今後の高度情報通信ネットワーク社会を拓く大きな可能性につながるものと考えられるが,情報メディアへの過度ののめりこみによる子どもたちの人間関係の希薄化,直接的な体験の不足,仮想世界と現実との混同など様々な問題が指摘されている。

第3章 家庭の教育力再生の可能性と課題

1 認識から行動へ

 家庭の教育力を向上させるためには,我が家の具体的な行動につなげていくことが課題である。親の姿勢,しつけが根本的に重要であることを認識することや,夫婦が共同で子育てをすること,親自身が多様な学習機会を持ち充実した生活を送ることが重要である。
 その上で我が家の方針・ルールを決め,少しでも多く具体的行動に移すことが大切である。

2 開かれた家庭教育に

 子どもは,人間関係や様々な体験にもまれながら多くのことを学ぶ。子どもを家庭に囲いこむことなく,多くの体験と人との出会いが経験できるよう家庭を開かれたものにしていくことが必要である。
 家庭の問題を地域全体で考え,アクションを起こしていくことが地域の活性化と教育力の向上につながる。

3 生涯学習社会の中の家庭教育は

 学歴偏重の考え方を払拭し,生涯学習社会の中で,親子が家庭という場でともに学び合い,驚きや感動を共有し合う「学習家族」となっていくことが求められる。

第4章 家庭の教育支援施策の現状と課題

 これまでも,公民館やPTA等を通じて,家庭教育学級等が実施され学習機会を提供し,資料等によりその重要性が啓発されてきたが,社会教育法の一部が改正され,家庭教育に関する講座等の実施が市町村教育委員会の事務として明記され,その内容が問われている。

1 学習機会の充実

 団体や部局を超えた連携により参加率が高まる中,父親の参加率は2割に満たない現状であり,その参加を促進していく必要がある。

2 子育て支援ネットワークの充実

 子育てサポーター等配置市町村においては子育て相談や交流事業に積極的に活用されているが,広く県内に拡大を図る必要がある。

3 支援事業の充実

 「家庭教育手帳・ノート」「家庭教育ビデオ」等,住民への幅広いPRと様々な学習機会での有効な活用が望まれる。

第5章 家庭の教育力を充実するための方策

1 家庭に求めること

(1)基本的生活習慣を育む

ア 規律ある生活習慣

 我が家の家庭教育の基礎・基本を振り返り,親子で規律ある生活習慣を形成

  • 家族の中でもあいさつ,感謝の言葉を日常化する
  • 就寝時間を決め,生活のリズムを守る
  • 歯磨き,箸の持ち方,衣服の着脱等の基本的な生活習慣を定着させる
  • 子どもに毎日決まった手伝いをさせるなど,役割を持たせる

イ 「食」を大切にする家庭に

人間が生きていく上において重要な食について認識し,家族での食事を大切にする

  • 規則正しいリズムを保ち,1日3食の食事を摂る
  • 家族揃って食事を摂る
  • 親子が一緒に調理する機会を多く持つようにする
  • 生産活動を体験させ,生産の労苦や喜びを感じることで,食の重要性を認識させる
(2)規範意識を育む

ア しつけの充実

 人間関係や集団のルール,公共心や規範意識,勤勉性や自己規制力などを身に付けさせる

  • 生活の中で善悪を区別する力や我慢する心を身に付けさせる
  • 電車の中で席を譲るなど,親自身が実践して見せ,思いやりの心,譲り合う心を身に付けさ せる
  • 他人の子どもに対しても,叱るべき時は叱り,悪いことは悪いと教え,人として身に付けるべき基礎・基本をしつける

イ 「我が家の方針・ルール」の実践

 「我が家の方針・ルール」を確立し,親が手本となって,親子できちんと守っていくこと が大切

  • 「我が家のしつけ三原則」を決めて,実行する
  • 家庭での年中行事や地域の行事へ積極的に参加する
  • 親がお年寄や年長者を敬う姿勢を見せることで子どもに伝える
  • テレビやゲームに費やす時間を制限するなど,規律ある生活習慣を身に付けさせるための ルールを決めて実行する
(3)豊かな心を育む

ア 生きる勇気を育む体験の機会を充実

ゆとりの時間を確保し,様々な体験・学習をする機会を用意することが必要

  • 自然体験や文化活動を親子で企画し実行する
  • 山登りやサイクリング,研究活動など,忍耐力や努力が必要で達成感が得られる活動に親子でチャレンジする
  • 親子各自が役割を果たしながら生きる勇気を養う活動に取組む

イ 新たな読書の扉を開こう

読書は,子どもたちに基礎学力や考える習慣を身に付け,豊かな感性や想像力を育む

  • 就寝前に読み聞かせをするなどの具体的な取組みを習慣化する
  • 生活の中に,親子で読書を楽しむ「読書タイム」をつくる
  • 家族で図書館を訪れ,新たな本との出会いを求める
(4)愛情を育む

ア 父親の家庭教育への参加促進

今こそ父親の出番としてリーダーシップを発揮し,大人としての生き方を見せる

  • 家庭教育や家事に積極的に関わり,子どもの手本となる
  • 地域の行事に積極的に参画し,役割を果たす
  • 善悪をきちんと指導し,自ら行動で示す
  • 週1日子どもとふれあう機会を持つ

イ 家庭を安心して過ごせる場に

家族みんながゆったりとくつろげ,多くの体験を共有し,安心して過ごせる場所に

  • 親子の団らんを大切に,子どもの思いを受けとめ,親子で夢を語る
  • 子どもの良い所を認め,誉め,長所を伸ばしていく環境をつくる
  • 親自身が学ぶ気持ちを持ち,趣味や習い事などにチャレンジし,生活に新しい風を吹きこむ
  • 地域の行事に積極的に参画し,社会的なネットワークを持つようにする
  • 家庭を,家族や夫婦が会話を楽しめるような安心して過ごせる場所にする

2 地域でサポート

(1)地域でつながる

 子どもを見守り育てる地域に 青年の力を地域へ

  • 青少年育成市町村民会議,児童虐待防止ネットワーク会議などや,小・中・高・大学等の教育機関・各行政機関・各種団体・警察等との横の連携をすすめる
  • 大学生や高校生等の青年の力を,地域行事や子どもの体験活動などの機会に活用する
(2)親がつながる

  困ったときに相談できる地域に 日常的な声のかけあいを

  • 困った時には,お互いに助け合えるつながりをつくる
  • 地域の行事への参加を促進(誘い合い)する
  • 日常的な声のかけあいに心がける
(3)子どもとつながる

 子どもたちが企画に参画する 子どもたちの力を活用する

  • 子どもたちを地域行事(運動会・文化祭等)にスタッフとして企画の段階から参画させ,責 任を持ってやりきることを体験させる
  • 地域の公民館等のワープロ・パソコン講座等生涯学習活動で,青少年を講師またはアシスタ ントとして活用する

3 行政がサポート

 地域に根ざした行政を展開するため「共創」,「協働」の考え方に基づき,住民参加を促進したり, ボランティア団体,NPO等,民間の諸活動と連携した施策を展開することが大切である。

(1)全県的な学習の場づくり
  • 多くの親が集まる機会を活用し,妊娠期,幼児期,思春期など子育ての時期に応じた学習講 座を展開し,アドバイスを与える
(2)子育てを支援する人づくり
  • 身近な地域において子育てに関するアドバイスを与えたり,子育てのネットワークづくりを 行う「子育てサポーター・アドバイザー」の積極的な養成と活用を図る
(3)しつけを充実する意識づくり
  • 善悪を区別する心やがまんする心,譲り合う心,社会の中で生きていくための基本的なきまりなど,人として身に付けるべき基礎・基本をしつけることの重要性を啓発する
(4)「我が家の方針・ルール」づくり
  • 毎日決まった手伝いをさせる,テレビやゲームに費やす時間を制限するなど忍耐力を養い規律ある生活習慣を身に付けさせる「我が家の方針・ルール」づくりを奨励する
(5) 心を育む体験の機会づくり
  • 子どもの自然体験・社会体験の機会や自由に遊べる場を地域で豊富に用意するとともに,乳 幼児とふれ合う子育て体験機会づくりをすすめる
(6)読書を通じたことばの環境づくり
  • 朝の読書や読書を推進する教育を学校で取組むとともに,地域や家庭においても読書を推進 する環境づくりに取り組み,読書・読み聞かせボランティアの積極的な活用を図る
(7)父親のネットワークづくり
  • 父親の家庭教育への参加を促進するため,学校PTAを中心に「おやじの会」を組織し,親子のふれあい,問題行動の減少化を図る
(8)企業の協力体制づくり
  • 働く親,特に父親の家庭教育への参加を促進するため,企業等との連携により,出前講座や 職場参観などに取組み,企業の協力体制づくりを働きかける

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