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広島県障害児教育ビジョン

2 今後の障害児教育の具体的な施策・方針

1 適正な就学指導及び教育相談体制の整備・充実

(1)市町村の就学指導委員会の機能の充実

 県及び市町村に設置されている就学指導委員会は,市町村教育委員会が障害のある幼児児童生徒の就学すべき学校を判断するに当たって,専門的な立場から調査や審議を行い,教育委員会に助言を行っています。
 適正な就学指導を行うためには,保護者等への十分な情報提供に努め,一人一人の教育的ニーズを的確にとらえるとともに,適切な教育を提供するための場を判断していくことが重要です。そのためには,就学指導委員会の助言は,専門的立場からのものでなければなりませんが,地域によっては,専門医や障害児教育の専門家が十分に確保できていない状況もあります。複数の市町村が共同で委員会を組織するなど,就学指導委員会からの専門的な助言を得ることのできる体制づくりが求められています。

☆ 施策の方向

 市町村に設置されている就学指導委員会の機能の充実に向けた支援を行うとともに,保護者等への十分な情報提供を行うよう指導します。

☆ 主要な施策
  •  市町村に対して,教育学,医学,心理学等に関する専門家の紹介等を行うとともに,就学指導担当者に対する研修を実施します。
  •  専門医や障害児教育の専門家が十分に確保できない場合に,複数の市町村が共同で就学指導委員会を設置するよう指導します。
  •  就学指導を行うに当たっては,保護者等に対して障害のある児童生徒の教育内容等について専門家の意見を聴く機会を提供するなど,十分な情報提供を行った上で保護者等の意向を把握するよう指導します。

適正な就学

上矢印↑

市町村の就学指導委員会の機能の充実

上矢印↑

市町村に対して,教育学,医学,心理学等に関する専門家の紹介等,就学指導担当者に対する研修障害児教育の専門家等の確保のため,市町村が共同で就学指導委員会を設置保護者等に対して,十分な情報提供を行った上で保護者等の意向を把握

(2)関係機関が一体となった相談支援体制の整備

 障害のある幼児児童生徒及び保護者等が安心して生活していくためには, 県内どこに住んでいても,早期からの相談と支援を適切に受けられることが求められます。そのためには,教育,福祉,医療等の関係者が一体となって,保護者の相談に応え,障害のある乳幼児が早期から適切な支援を受けることのできる体制を整備するとともに,保護者等に対して適切な情報を十分提供することが望まれます。

施策の方向

 教育,福祉,医療等の関係者が一体となった早期からの相談支援体制を整備するよう市町村教育委員会の取組みに対する支援を行います。
 また,保護者等に対して,相談支援に関する情報を十分に提供するよう努めます。

主要な施策
  •  市町村教育委員会による乳幼児期から学校卒業後までの一貫した相談支援体制づくりに対する指導や支援を行います。
  •  市町村が実施する先進的な取組みの成果を県内全域へ普及促進
  •  教育,福祉,医療等の関係機関で構成する相談支援チームづくり
  •  教育・発達相談会などの実施による保護者等の悩みへの対応や教育に関する情報提供等の具体的な相談支援
  •  県内どこに住んでいても,早期からの相談が適切に受けられるよう,相談機関や学校等の情報をホームページに掲載したり,障害児教育に対する理解促進のためのガイドブックを作成するなど,相談支援に関する情報を幅広く提供します。
     市町村に対して,教育学,医学,心理学等に関する専門家の紹介等を行うとともに,就学指導担当者に対する研修を実施します。

【関係機関が一体となった相談支援体制】

関係機関が一体となった相談支援体制の図

(3)盲学校,ろう学校及び養護学校のセンター的機能の整備

 盲・ろう・養護学校が,地域における障害児教育に関する相談のセンターとしての役割を果たすためには,各学校に専任の教育相談主任を置き,関係者による研修・研究体制を組織することにより,資質の向上及び学校間,関係機関との効果的な連携に努めることが望まれます。

施策の方向

 盲・ろう・養護学校では,地域の実態や家庭の要請等により,障害のある幼児児童生徒又はその保護者に対して教育相談を実施したり,教員の専門性や施設・設備を生かした地域における障害児教育に関する相談のセンターとしての役割を果たすよう学校体制を整備します。

主要な施策

 盲・ろう・養護学校が地域の障害児教育に関する相談のセンターとしての役割を果たすために,モデル校を設置し,専任の教育相談主任を配置するとともに,教育相談担当者の資質の向上に努めます。

<センター的機能>

・乳幼児やその保護者に対する早期からの教育相談
・小・中学校に在籍する障害のある児童生徒やその保護者に対する教育相談
・障害児学級担任等に対する教材・教具の創意工夫の仕方や教育内容,授業づくりなどの指導に関する相談
・市町村教育委員会の教育相談担当者との連携
・地域の人々の障害児教育に対する理解の推進

センター的機能

2 これからの盲学校,ろう学校及び養護学校

(1)盲学校,ろう学校及び養護学校の教育内容の充実

 これからの障害児教育は,障害の重度・重複化や多様化,社会の変化等を踏まえ,障害のある幼児児童生徒の視点に立って,一人一人のニーズに合った教育的支援を行うことが必要です。
 盲・ろう・養護学校では,幼稚園,小学校,中学校及び高等学校に準ずる教育を行うとともに,障害に基づく種々の困難を改善・克服するために「自立活動」という独自の指導領域を設けています。また,幼児 児童生徒の障害の状態等に応じて弾力的に教育課程が編成できるようになっており,それぞれの学校が,幼児児童生徒や地域の実態等を踏まえ,創意工夫を生かした魅力と特色のある教育課程を編成し,障害のある幼児児童生徒が生き生きと活動できるよう教育内容の充実を図る必要があります。

 盲・ろう・養護学校は,それぞれの学校の専門性に基づき,一人一人の障害の状態等に応じて,様々な工夫と配慮のもとに,きめ細かな教育を行う学校です。
 そのため,各学校は,保護者や福祉,医療等の関係者と連携を図り,一人一人の幼児児童生徒の障害の状態及び発達段階や特性等を的確に把握し,適切な教育課程を編成することが必要です。また,一人一人に応じた指導を展開していくためには,個別指導の重視,集団の構成の工夫,教材・教具の創意工夫等が必要です。
 こうした様々な工夫等によるきめ細かな指導を充実していくためには,授業改善を目的とした取組みを図ることが必要であり,盲・ろう・養護学校の共通課題として,次のことに努めます。

  • 幼児児童生徒の障害の状態及び地域や学校の実態等に応じた教育課程の改善
  • 個別の指導計画の作成及びそれに基づいた指導の改善・充実
  • 盲・ろう・養護学校それぞれの専門性に基づくきめ細かな指導の充実に向けて,各学校における教育活動について,保護者等の意見を取り入れた自己評価,必要に応じた外部評価,さらに評価結果の公表による意見を取り入れた改善
ア 盲学校教育

 盲学校においては,乳幼児期から学校卒業後に至るまでの視覚障害者に 対する総合的・専門的な相談・支援を行うとともに,視覚障害者の職業的な自立を促進します。
 そのため,盲学校教育の相談センターとして,視覚障害のある幼児児童生徒及びその保護者等に対する相談と支援を行う体制を整備していきます。
 また,高等部については,専門的な教育内容・方法の充実を図るため,専門学科の見直しを行い,職業的な自立の推進に努めます。

イ ろう学校教育

 ろう学校においては,個に応じたコミュニケーション手段の習得及び聴覚活用を促し,言語力を高める指導を充実します。
 そのため,福祉,医療等関係機関と連携した早期乳幼児教育の在り方を検討します。
 また,聴能・言語訓練用機器などの専門的な施設設備を活用し,小学部・中学部の一貫した教育の中での基礎学力の定着や高等部での進学と職業的な自立を目指した教育内容の充実を図ります。

ウ 養護学校教育

 養護学校には,障害の種別により,知的障害養護学校,肢体不自由養護学校及び病弱養護学校があります。
 一人一人の障害の状態等に応じて,専門性に基づくきめ細かな指導を展開し,教育内容の充実に努めます。
 そのため,個別の指導計画の作成や自立活動の指導に当たって,医師等の専門家の指導・助言を求めるなど,適切な指導ができるよう各分野の専門家との連携を推進します。
 また,児童生徒の障害の重度・重複化への対応のため,看護師の配置を検討するなど,児童生徒が安心して学習できるよう努めます。

(2)総合型の養護学校の設置

 近年,障害の重度・重複化が進む中で,通学にかかる時間を考慮することや,児童生徒の障害の種類,程度に応じた指導の一層の充実を図ることが求められています。そうした中,全国では,知的障害養護学校や肢体不自由養護学校等が培ってきた指導内容・方法を活用しながら,様々な専門性を有する教員の協力体制や複数の障害に対応した施設・設備を整備し,知的障害養護学校と肢体不自由養護学校等を合わせた形の養護学校を設置している事例があります。本県においても,一人一人の教育的ニーズにきめ細かく対応できる総合型の養護学校の設置が望まれます。

施策の方向

 一人一人の教育的ニーズにきめ細かく対応できる総合型の養護学校(知的障害と肢体不自由を併置した養護学校)の在り方を検討します。

主要な施策

総合型の養護学校の在り方について,次のことを検討します。

 障害の種類や程度に応じたきめ細かな指導を行うための知的障害教育,肢体不自由教育の専門性を生かした教育課程  看護師等の専門家の配置,医療的ケアの実施が可能となる学校体制の整備

知的障害養護学校(知的障害者を教育する教育課程) 

肢体不自由養護学校(小・中・高等学校に準ずる教育課程)

下矢印↓

総合型の養護学校

・指導内容の充実

・専門家との連携

重複障害のある児童生徒

障害の状態等に応じたきめ細かな指導

医療的ケアの必要な児童生徒

 安心して学ぶことのできる学校体制

(3)高等養護学校の設置

 全国では,軽度の知的障害のある生徒への対応や,職業的自立の推進等の観点から,職業に関する専門学科やコースを備えた高等養護学校の設置が進んでいます。
 本県においても,現在,養護学校高等部卒業生の就職率が低いという課題も踏まえ,中学校障害児学級等を卒業した軽度の知的障害のある生徒を対象とした高等養護学校の設置が望まれます。

施策の方向

 軽度の知的障害のある生徒を対象とした職業的自立,社会的自立を目指した養護学校の在り方を検討します。

主要な施策

職業的自立,社会的自立を目指した養護学校の在り方について,次のことを検討します。

  • 職業的自立を目指したきめ細かな指導ができる教育課程
  • 地域や地場産業と連携した教育内容
  • 雇用関係機関との連携による職業教育
  • 設置学科,募集方法等

職業的自立・社会的自立

上矢印↑

高等養護学校

  • 職業的自立を目指した教育課程の編成
  • 地域・地場産業と連携した教育内容の創造

上矢印↑

中学校障害児学級等に在籍する軽度の知的障害のある生徒

 連携
両矢印企業・雇用関係機関

(4) 盲学校,ろう学校及び養護学校の適正配置

 本県の盲・ろう・養護学校については,一人一人の障害の種類,程度に応じたきめ細かな指導を充実していくために,各学校の在籍者数やその教育効果,地域性等を勘案してより適正な配置とし,重点的・拠点的な学校の整備を図る必要があります。今後,すべての本校・分校・分級・分教室の配置について見直すことが望まれます。

施策の方向

 一人一人の障害の種類,程度に応じたきめ細かな指導を充実していくために,各学校の在籍者数やその教育効果,地域性等を勘案し,専門性を備えた盲・ろう・養護学校の適正配置を行います。

主要な施策
  •  盲・ろう・養護学校の整備
     障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて能力や可能性を最大限に伸ばす教育を行い,さらに障害のある幼児児童生徒が自己のもつ能力や可能性を最大限に伸ばすための教育システムと教育内容を創造するため,適正な就学指導に基づいて,各学校の在籍者数やその教育効果,地域性等を勘案したより適正な配置を図ります。
  • 分校・分級・分教室の設置等の見直し
     既存の分校や分級,分教室はそれぞれの学校実態や設置形態,地域性を勘案して教育形態の見直し,廃止を検討します。
     あわせて,分級,分教室に多く在籍する学齢超過者の就学の在り方について検討します。

3 教員の専門性の向上

特殊教育教諭免許状取得の推進,研修の充実

 盲・ろう・養護学校の教員は,幼児児童生徒の障害の種類,程度に応じて,教育的ニーズに応える教育を行う必要があることから,より高い専門性が要求されます。
 教育職員免許法では,盲・ろう・養護学校の教員は,小・中学校等の教員のいわゆる基礎免許状に加えて,盲・ろう・養護学校の学校種ごとの特殊教育教諭免許状の所有が必要とされています。しかし,この特殊教育教諭免許状を保有していなくても,盲・ろう・養護学校の教員となることができる特例が設けられていることなどもあって,本県の盲・ろう・養護学校の教員のこの免許状保有率は,全国的にも低位にあり,今後,一定期間内に免許を取得する体制を整える必要があります。 
 盲・ろう・養護学校の専門性を充実させていくためには,障害の種類,程度に応じた自立活動等の指導理論や技法を修得することが必要であり,各種研修会への参加や長期研修への計画的な派遣が望まれます。また,教育センター等の研修講座や研究会への参加態勢を確立するとともに,障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた指導の充実を目指したテーマを設定し,研修・研究を推進することが求められています。

施策の方向

 教員の特殊教育教諭免許状保有率の向上に取組むとともに,専門性を高めるための研修内容の充実を図ります。
 また,地域や学校の実態に応じて,福祉,医療等の関係機関との連携を図り,専門家の人材活用による専門性の高い指導体制を確保します。

主要な施策
特殊教育教諭免許状保有率の向上 

 免許法認定講習により,盲・ろう・養護学校の特殊教育教諭免許状を保有していない教員が,一定期間内に免許を取得する体制を整えます。

専門的な研修等の機会の充実
  • 国,大学及び教育センター等が主催する長期研修等への計画的な派遣を行います。
  • 各学校での研修・研究活動の充実,授業研究等への支援を行います。
  • 福祉や医療の専門性を教育の場に生かすために,新たに福祉施設や医療機関への教員の派遣について検討します。
福祉,医療等関係機関との連携

 理学療法士,作業療法士,言語聴覚士等の専門家を特別非常勤講師として雇用したり,看護師等を非常勤職員として活用するなどの方策を検討します。

4 小学校,中学校における障害児教育の充実

「障害児学級」「通級による指導」「通常の学級に在籍する学習障害(LD)児等への指導」の充実

 障害児学級や通級による指導を充実し,効果的な指導を行うためには,教員間の連携など学校全体で取組む体制が必要です。
 また,学習障害(LD)については,「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指す。」と定義されています。現在,本県では文部科学省の委嘱事業「学習障害(LD)児の指導体制充実事業」による調査研究を行うとともに,教育センターにおいても研究を進めています。今後とも,学習障害(LD)児の実態把握や指導内容・方法の研究を進め,学校支援や理解推進に取組む必要があります。

施策の方向

 小・中学校に在籍する障害のある児童生徒が適正な就学により,それぞれの教育の場で専門性の高い教育を受けることのできる指導内容や方法の充実を図ります。

主要な施策
障害児学級における指導の充実

 児童生徒の教育的ニーズに応じた教育課程を編成するとともに,きめ細かな指導を推進するための実践研究に対する支援を充実します。

障害児学級担任,通級による指導担当教員の専門性の向上

 特殊教育教諭免許状取得の推進,研修の充実に努めるとともに,障害児 学級担任等によるグループ研究への支援を行うなどにより,教員の専門性の向上を図ります。 

学習障害(LD)児等への教育的対応

 国及び県の研究の成果を踏まえ,実態把握,学校支援システム,指導内容・方法の研究等の具体的な支援の在り方を検討します。

5 その他障害児教育の推進に関すること

交流教育,職業的な自立,開かれた学校づくりの推進

○交流教育の推進

 障害のある幼児児童生徒が,経験を広めて積極的な態度を養い,社会性や豊かな人間性をはぐくむために,新たに幼稚園教育要領,小・中・高等学校の学習指導要領に明記された意義を踏まえ,交流教育の効果的な推進が求められています。

○職業的な自立の推進

 本県の盲・ろう・養護学校高等部卒業生の就職率が低いという課題を踏まえるとともに,新学習指導要領においても職業的な自立をより一層推進するための就業体験の必要性が示されるなど,障害のある児童生徒の働く喜びや職業的な自立への意欲を育てる指導を進めていくことが求められています。 

○開かれた学校づくり

 盲・ろう・養護学校等が,地域から信頼されるためには,専門性に基づく特色ある教育活動の情報を発信していくことが必要です。
 また,学校の自己評価と外部評価をとおして,学校の教育課題を明らかにし,その結果を教育活動に生かしていく体制を確立することが,学校をより開かれたものとし,学校の果たす責任を明確にすることになります。

施策の方向

 新学習指導要領の趣旨に基づいた交流教育の推進,卒業後の進路の多様化に対応した職業的な自立の推進,開かれた学校づくりの推進に努めます。

主要な施策
交流教育の推進

 学校相互が十分に連携を取り合い,指導計画に基づく内容や方法を事前に検討し,学習指導要領に則った組織的,継続的な交流教育の効果的な推進を図ります。

職業的な自立の推進,就職率の向上
  • 就業体験の機会を確保し,就業・生活支援と連携したインターンシップの実施を検討します。
  • 生徒が利用したり,学校が連携を図っている授産施設や地域の作業所の指導員の協力などにより,職業的な自立を図るための支援システムづくりを検討します。
  • 障害者の雇用の促進と職業の安定を図る取組みを推進するため,広島労働局と県の関係機関で組織する「障害者雇用連絡協議会」との連携を図り,就職率の向上等に取組みます。
開かれた学校づくりの推進

 家庭や地域社会と連携し,学校評価制度の活用や学校・家庭・地域のネットワークづくりに努めます。

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