盲学校,ろう学校及び養護学校における学校運営上の課題に係る調査結果について
平成14年11月19日
障害児教育室
1 経緯
三原養護学校における学校運営上の課題については,平成14年6月19日に報告を行ったところである。
このような学校運営上の課題は,他の盲学校,ろう学校及び養護学校にもあり得ることから,8月中旬から9月初旬にかけて,三原養護学校を除くすべての本校及び分校計15校に学校訪問調査を実施し,明らかになった課題について指導を行っているところである。
2 調査結果
(1) 学校運営について
ア 校務運営規程
校務に関し必要な基本事項を定めている「校務運営規程」については,すべての学校で制定され,職員に周知が図られていたが,年度当初の4月ではなく,5月以降に周知されていた学校が3校あった。
【校務運営規程の周知時期】
周知時期 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
---|---|---|---|---|
学校数 | 12校 | 1校 | 1校 | 1校 |
イ 校務運営会議及び職員会議
(1) 校務運営会議
管理職(校長,教頭,事務長,部主事)及び部長(主任等)で構成する校務運営会議は,すべての学校で,現在は定期的に開催されているが,5月中旬に初めて開催された学校,6月及び7月には開催されていない学校が,それぞれ1校あった。
【校務運営会議の開催状況】開催回数 | 月1回 | 月2回 | 月3回 | 月4回 |
---|---|---|---|---|
学校数 | 5校 | 7校 | 2校 | 1校 |
(2) 職員会議
職員会議は,すべての学校で定期的に開催されている。
【職員会議の開催状況】開催回数 | 月1回 | 月2回 |
---|---|---|
学校数 | 8校 | 7校 |
(3) 会議の運営状況
校務運営会議より職員会議が多く開催されている学校が2校あり,また,校務運営会議が職員会議の30分前に開催されている学校が1校あるなど,校務運営会議を中心とした適切な学校運営が行われているとはいえない状況があった。
ウ 教頭としての職務の遂行
教頭が学級担任や校務分掌を担当している学校はなかった。
しかし,教頭が日常的に授業の補助を行い,教頭としての職務を十分遂行できない状況にある学校が4校あった。
エ 部主事の機能化
(1) 部主事が学級担任や校務分掌を担当しているため,部全体を掌握できない状況があった。
【学級担任を担当】
あり 3校
なし 12校
【校務分掌を担当】
あり 7校
なし 8校
(2) 起案文書等に部主事の押印がなく,部全体を掌握できていない学校が3校あった。
(3) 学部会が定期的に開催されている学校は10校であった。
【学部会の開催状況】開催回数 | 月1回 | 月2回 | 月4回 (毎週) | 不定期 |
---|---|---|---|---|
学校数 | 1校 | 1校 | 8校 | 5校 |
オ 主任の機能化
(1) 分掌の部長(主任等)が係の一員とされているため,分掌全体を掌握できない状況にある学校が11校あった。
(2) 分掌部会が定期的に開催されている学校は8校であった。
【分掌部会の開催状況】開催回数 | 月1回 | 月2回 | 月4回 (毎週) | 不定期 | 開催していない |
---|---|---|---|---|---|
学校数 | 4校 | 2校 | 2校 | 6校 | 1校 |
カ 文書の処理の状況
(1) 校長の確認を経ないで,通知表を保護者に渡していた学校が1校あった。
(2) 校長が内容を承知していないのに,学年通信などの文書が保護者に配布されている学校が9校あった。
(2) 教育課程等について
ア 教育課程・時間割の編成
知的障害者を教育する養護学校において,学習指導要領にない教科名(小学部において「社会」「理科」,中学部において「技術」)を学年通信に不適切に表記している学校が1校あった。
イ 個別の指導計画
学習指導要領において,「自立活動の指導に当たっては,個々の児童又は生徒の障害の状態や発達段階等の的確な把握に基づき,指導の目標及び指導内容を明確にし,個別の指導計画を作成すること。」「重複障害者の指導に当たっては,個々の児童又は生徒の実態を的確に把握し,個別の指導計画を作成すること。」となっており,個別の指導計画はすべての学校で作成されている。
しかし,きめ細かな指導を行うための内容の記載が不十分であったり,年度当初に作成したものを見直すなどの工夫がなされていない状況であった。
(3) 勤務管理について
旅行命令について,復命に具体の内容が記されていないなど,適切に処理されていない状況が多くみられる学校が10校あった。
(4) 会計処理について
学校の実習等で生産された物品(生産品)の売払い収益について,広島県物品管理規則等で定められた会計処理を行っていない学校が3校あった。
(5) 学齢超過者,過年齢者の在籍状況について
学齢超過者,過年齢者が在籍している学校は12校あり,これらの学校に在籍する者の合計は62名であった。
なお,学齢超過者,過年齢者が全生徒数の半数を超える状況の学校は3校(3分級)である。
【3校(3分級)それぞれの状況】
学齢超過者等 6名
全児童生徒数 9名
割合 66.7%
学齢超過者等 19名
全児童生徒数 23名
割合 82.6%
学齢超過者等 9名
全児童生徒数 10名
割合 90.0%
3 課題
この度の調査の結果,依然として,すべての学校において学校運営,教育課程,勤務管理及び会計処理等について多くの課題を抱えている状況が明らかになったところであり,各学校ごとの課題項目について,校長が適切に学校運営を行うことができるように指導を行っている。
更新日:平成14年11月21日
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