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第5回広島県障害児教育基本構想策定委員会の概要について

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日時

平成13年11月30日(金曜日)14時00分~16時00分

場所

県庁北館 第1会議室

出席者

大下,川本,桑原,澤崎,田口,谷本,永井,平賀,松木,宮河,森山(欠席:竹林地)

協議内容

中間報告について

資料

第5回広島県障害児教育基本構想策定委員会資料(PDF24.2KB)

意見交換要旨

資料1「中間報告」の方向性,資料2「中間報告」の全体構成

(○は委員,△は事務局)

○事務局から資料1と資料2について説明があった。資料1が,資料2の基本的方向性へ含まれていく関係になっている。
 資料1は四つの柱になっている。今まで話し合ってきたことだが,1が就学指導に関係したこと,2が総合型の養護学校と高等養護学校,盲・ろう・養護学校の適正配置,3番目が免許状と専門性,4番目が学習障害とか,相談センターなどが出ている。

○策定委員会は今までに4回あり,今回が5回となっている。元々,スタート時点での計画から言うと,1回多くなっている。今までさまざまに議論をしてきたが,それでも議論が足りないのではないかとの印象を受けている。当初の計画自体に多少無理があったのではないか,もう少し議論すべきことがあるのではないかとの印象を持っている。

○柱が四つあるが,まだ含めたほうがよい柱があると思われるか。

○柱は4回の審議でほとんど固まったと思う。中身の論議の時間が必要ではないかと思う。

○中身については,それぞれの柱について具体的に検討する機会がある。
 資料1についての方向性は,いままで話し合ってきた内容となっている。一つ一つの具体的な柱のそれぞれの中身については,また提案があり話し合う。
 資料2については,「現状と課題」「基本構想策定の視点」「基本的方向性」という大きく3本の章立てとなり,「基本的方向性」に資料1が加わっていくというような形の構成となっている。

○今までの委員会の中の基本的な資料は添付されるのか。

△最終的には,添付する。

○資料はたくさんあったので選択が必要と思う。

○資料1と2については,一応今の段階として認めていただいたと捉える。

障害の種類,程度に応じた適正な就学指導について

○就学指導委員会に,保護者との連携とか保護者の意見聴取の内容が必要と思う。また,就学指導委員会の委員には,できるだけ子どものことを知っている方が望ましいとの意見もあったと思う。

○専門委員で文章作成に加わった者として,また,これまでの議論をどのようにまとめていくかという観点で意見を述べる。就学指導委員会が十分機能していないということが出発点であった。就学指導委員会について,例えば,「調査や審議を行い」とある。ここに,保護者とか該当の幼児児童生徒をよく知っている人との協議を込めているつもりである。また,できるだけその子を知っている人が関与できるほうが望ましい,との意見が確かにあった。その意見を「専門医や障害児教育の専門家が確保できていない状況もあり,複数の市町村が共同で委員会を組織するなどの方法が考えられる。」と表現している。
 100%限定的に,その子をよく知っている人を就学指導委員会の委員とすることは難しいが,そういう方向性をここで出している。

○教育的ニーズに応じた就学指導の具体的な方策はどう考えるのか。

○まず「障害の種類,程度に応じた適正な就学指導」という一つの大きなくくりがあり,その中に適正な就学指導と相談支援体制がある。この両者はリンクしている。だから,十分な相談支援体制を持ちながら就学指導へ活きていくことになる。
 両者につながりがあることが,もう少し明確になる表現が必要かもしれない。

○「教育,福祉,医療,雇用等の関係者で構成する相談支援体制」とはどのようなものか。

△第2回委員会で資料を基に説明した。「早期から学齢期まで含めた教育相談について」である。
 小学校への入学を直前にした就学指導だけではなく,早期からの継続的な相談体制が必要であり,市町村が単独で相談体制を構築することがむずかしい場合には,いくつかの市町村が合同で実施する方法も考えられるのではないか等,第2回に説明をさせていただいた内容である。

○相談支援体制の中から就学指導委員会のメンバーが選出されるのか。

○相談支援体制の中から,必ず就学指導委員会のメンバーが選出されるかどうかはわからないと思う。しかし,一貫した相談支援体制と就学指導の関連性は大いにあると思う。したがって,両者はばらばらでは捉えられないと思っている。
 「教育,福祉,医療,雇用等が一体となった相談支援体制」という言葉は,「21世紀の特殊教育の在り方」にも書かれている言葉である。委員会でも論議をした記憶がある。
 雇用で言えば障害者雇用という枠組みはきちんとある。障害者福祉という枠組みもある。医療も教育もそうだと思う。縦割り行政と言うか,それぞれの仕組みは,それぞれにあるが,今後は横でどうつながっていくのかという課題提案と捉えている。

○就学指導委員会がある意味で形骸化しているというデータもあったが,だから複数の市町村が共同で委員会を構成すれば,それだけで「事足れり」というような意味合の議論はしていない。

○相談支援体制の核は保護者だと思う。

△保護者が安心して相談できる体制を考えた。今までの相談は,医療的に相談へ行けば医療のみ,福祉の相談に行けば福祉のみの相談であった。相談のたびに保護者は同じことを言う必要があった。各機関が一体となればそれぞれの方面からのアドバイスが可能となる。さらに,そのような相談が早期から繰り返され,積み重なることが必要との考えである。

○保護者の参加を就学指導委員会に位置付けたほうがいいのではないかとの意見がある。 就学指導委員会と相談支援体制をリンクさせることによって,その意見に沿うことができそうな気がするが,それに対する文言が足りない感じがする。
 この就学指導のところから読み取れるのは,「複数の市町村が共同で委員会を組織するなどの方法が考えられる」と「一貫した相談支援体制を確立したほうがいい」という二つである。

○就学指導委員会が学校に対して「このように指導すれば教育的ニーズを受けやすい」というような助言をする機能を持てばいいと思う。

○学校への助言の機能が,早期からの相談支援体制に基づくものであればいいと思う。

○今までの論議の基本的な方向性は,幼児期から,極端に言うと,学校を卒業した後までも何でもきちんと受け止めてもらえる相談支援体制の必要性であったと思う。相談支援体制と就学指導委員会が,ばらばらに表現されているから整理がいるのではないか。
 基本は相談支援体制の方のシステムがあって,そこと大いに関連する就学指導委員会が,学校への助言の機能をも持って位置付くような表現をしてほしい。

○就学指導委員会の方は制度もありそれを大きく変えることはできない。現在の実態として形骸化している面の報告があった。それを機能させる必要がある。
 山間部,島しょ部等では,障害児教育に係る医療の専門家などがなかなか得にくいという報告があった。また,該当の子どもをよく知っている医療等関係者が就学指導委員会の委員になることができればいい,という意見もあった。それらへの対策の1つとして,例えば,複数の市町村が共同で委員会を組織するという意見があったと思う。
 相談支援体制の方は,現段階ではある面まだ理論の段階だと思う。教育センターとか,教育事務所とか,あるいは広島市という政令指定都市とか,そういう大きな単位でないと,実現はむずかしいと思う。
 ただ,課題の存在は認識している。障害があることがわかって,早期に相談が受けられる体制の必要性であるとか,医療,福祉,教育等が連携をもつことの必要性について意見があったと思う。
 だから,国も研究している。広島県も委嘱事業を受けて,教育相談体系化の研究を進めている。文言が不十分な部分はあるかもしれないが,基本的には提案どおりの整理の仕方でいいと思う。就学指導委員会と相談支援体制に関係性はある。しかし,就学指導委員会は現存するもので,相談支援体制は今後取組むものである,したがってまとめ方としては,リンクさせなくてもいいと思う。

○相談支援体制が充実していく中で,就学指導もその中に位置付いていく流れが理想と思う。まとめ方とすれば,原案通りとなると思う。

○「障害の種類・程度に応じた適正な就学指導」についてどうあるべきかが諮問だから,それについて答えていくのが,委員会の仕事となる。
 就学指導委員会は既に存在している。しかし,十分機能してない部分がある。それは機能させる必要がある,という回答は当然と思われる。さらに,就学指導も含めて,乳幼児期から学校卒業まで一貫した相談支援体制を確立していく必要がある,という提言が生まれてきている。
 順序が逆の回答をすることもできるだろうと思う。相談支援体制を確立していき,その中で今の就学指導委員会を更に十分機能させることを考えていく,という回答の仕方である。しかし,直接的に答えれば,提案のような形になると思う。

○早期からの相談支援体制を構築し,その中で,就学相談を実施するシステムは考えられないのか。

△就学指導委員会は,専門家の意見を聞くことにより適切な就学指導を行うための機関として各市町村・県に設けられている。就学指導委員会そのものは,目的を明確にして設置されている。その就学指導委員会にさらに他の機能を加えようという論議と理解する。

○就学指導委員会が十分に機能してない実態があるから対策を論議した。ある子どもさんからの相談に一貫して対応している専門家が,就学のときにもアドバイスできるシステムができないかと思う。

○今までの相談支援体制と就学指導委員会の在り方についての意見は,対立しているとは思わない。今回の提案は,現実を基準にした表現となっている。
 現在,教育・福祉・医療・雇用等が独立的に機能している。連携のある対応ができていない実態があるので,対策が必要と言った。何らかのシステムが必要である。それがうまく機能したときに,就学指導委員会と全く無関係であるとすれば適切ではないと思う。
 したがって,ここでは将来を見通した表現が必要と思っている。就学指導委員会に関することと相談支援体制の関係性も含めて,文言整理をすればうまくいくと捉えている。

○相談支援体制は必要で,それが就学指導にかかわっていくことも大事なことなので,この文言をもう一回整理することとする。

特殊教育教諭免許状取得の推進・研修の充実など,教員の専門性の向上について

○資料の中に特殊教育教諭免許状という用語があるが,特殊教育教諭免許状という免許が1種類あるのではない。現行の制度では,盲学校の免許状,ろう学校の免許状,養護学校の免許状はそれぞれ別にある。しかし,盲学校教員免許状,ろう学校教員免許状,養護学校教員免許状と続けると長くなるので,ここでは特殊教育教諭免許状という言い方をして包括的に表現している。
 それぞれの免許状を取るためには別々の内容を学習し,単位を取るシステムとなっている。
 本来,盲・ろう・養護学校に勤務する条件として,幼・小・中・高いずれかの免許状,いわゆる基礎免許状に加えて,それぞれ専門の盲・ろう・養護学校の免許状が必要とされている。例えば,基礎免許と盲学校の免許の両方を取得している者が盲学校に勤めることができることとなっている。しかし,現行の教育職員免許法では,俗に「当分の間条項」と言われているが,当分の間,当該の学校の特殊教育教諭免許状がなくても勤務ができるとされている。したがって,本県の特殊教育教諭免許状の保有率は31%である。
 議論の中で「免許の保有が全てではない」との意見もあった。しかし,障害の状態に応じて教育を実践していくためには,特殊教育教諭免許状を持っていることが一つの外形的な条件として必要と思われる。教員としての資質の重要性ということも議論にあったと思うが,そのことを特殊教育教諭免許状の取得の推進の所で述べた。
 研修の充実をイとしている。ここでは,教員の専門性を高めることを求めている。障害児教育に関する内容は,15年前,20年前とは大きく変わってきている面もたくさんある。先生方には,日々新しい情報を仕入れていただいて,新しい教育内容・教育方法を考えていただきたい。そして,近年教育界で言われている「個に応じた教育」,一人一人の状態に応じた教育を実践できるようになっていただきたい。一つのやり方がすべての子どもさんに当てはまるということは有り得ない。それぞれ先生方が研鑚を積んでいただく必要がある。その機会を,県教育委員会で準備をしていただき,先生方には,課題に応じた研修を積んでいただきたいという趣旨である。
 学校の研修・研究体制の確立をウとしている。イが,どちらかと言うと,先生方が学校の外に出て行く研修というニュアンスが強い。ウは,盲・ろう・養護学校のそれぞれの学校の中で研修・研究の体制の確立である。もちろん,研修はお互いの研鑚と言える。研究とは人間を相手にする領域なので,一つの原理原則に到達するまでは,人類の永遠の課題と言っていい面もある。「個に応じる」という言葉があっても,具体的にどうするかは子どもさんにかかわっていく中で,先生方が,資料を蓄積し,資料に基づいた指導の見直しをし,そして,更によりよいものを目指していくという体制が必要である。一人一人の先生の自覚に待つ部分もあるが,ここでは,学校として組織的な研修や研究がしっかり行われる体制を求めている。

○広島県は特殊教育教諭免許状の保有率が,全国で言えば一番最下位のほうにあるというデータがある。しかし,認定講習の参加者数は多いのではないか。

△昨年度までの広島県の認定講習は,他府県の方が多く参加されて,広島県内の参加者が少ないという状況だった。しかし,今年度は,盲・ろう・養護学校校長会等の働きかけによって,広島県内の申込みだけで定員になった講座もある。他府県は断らざるを得ない状況になった。県内の教員一人一人の自覚が,かなり高まったと考えている。そういう面からは,認定講習の日程とか開講する科目とかを考慮し,今後特殊教育教諭免許が取得しやすいように工夫することが必要であると考えている。

○認定講習とは,法律に基づき,大学等の単位認定をする教育機関において,都道府県教育委員会等が主催し,いわゆる集中講義の形式で夏休みなどを利用して,特殊教育の認定講習の場合は,短期的に15時間以上で,1単位の単位を与えるような授業を受講していただいて,試験によって単位を認定するという制度である。
 特殊教育教諭免許状の保有率の向上は,短期的に結果は出ないかもしれない。ある程度の期間を見据えながら将来的には,理想的に言えば,すべての障害児教育にかかわる先生方が特殊教育教諭免許状を保有している状態にしていきたいという趣旨で記述している。

○タイトルへの意見だが,「校内の研修・研究」とあるが,校内に限定するような印象を与えるので,表現を工夫する必要があると思う。

○専門委員会としても工夫させていただきたいと考える。

○「特殊教育教諭免許状の取得の推進」は必要だが,委員会の論議では,例えば,盲学校へ勤める教諭は盲学校教諭免許状を持つ者で充てるとの意味合いがあったと思う。取得の推進とともに,異動時に当該学校の免許の保有率が高まる方向性を執り入れられるか等を考える必要がある。

○国では『当分の間条項』『特殊教育総合免許状』についての論議の最中と聞いている。免許の保有は,専門性の全てではないが,ひとつの指標であることは間違いない。ただ,現状においての44位という数字だけを示すことは,国の新たな方針が近々出されるかもしれない時期にあまり意味はないかもしれないと思う。

○特殊教育教諭免許状で「保有してない教員が一定期間に免許を取得できるようにすること」という表現の中で,「一定期間に免許を取得できるように」というのは義務づけるということなのか,ただ単に取得できるように,その場を校長なりが条件を揃えるということなのか。

○1年,2年で今の状況が大幅に改善できるという見込みはない。数年をかけて少しずつ条件整備が必要と考えている。取得希望者のために条件を整備したいという趣旨である。

○内容検討ということか,それとも,回数検討ということか。

○両方ある。当然だが中身の検討がある。また,取得希望者にどう応えるかの検討もある。認定講習は,中身がいくつにも分かれている。まず,盲・ろう・養護に分かれて,更に,それぞれが細かい科目に分かれる。
 質と量と両方の面を含めた充実という意味合いがある。

○当初の計画では,今回中間報告の全ての審議をする予定だった。今後のスケジュールは,どうなるのか。専門委員会のほうも,これまで6回開催し今日に至っているが,当初の予定よりはずれ込んでいる。事務局で今後の見通しについて説明願いたい。

△本日,全体の概要と諮問事項の1と3について提案させていただいた。第6回委員会を1月22日(火曜日)に開催し,本日の内容も含めて全体を審議していただきたい,と考えている。

○最終答申は年度内か。

△年度内を計画している。

○表現上変更が望ましい点等についていくつか意見をいただいた。専門委員会で協議させていただくこととするが,大枠では委員皆様の御了解をいただいたと理解をしている。この方向に従い,もう少し細かい点を詰めて,次回提案したいと思う。
 本日は,中間報告に向けて委員の皆様方から貴重なご意見をいただいた。

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