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知事記者会見(核軍縮等に関する「ひろしまレポート2018年版」:平成30年4月9日)

印刷用ページを表示する掲載日2018年4月13日

  記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ,掲載しています。
 なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
 動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。(別ウィンドウで表示されます)

 会見日:平成30年4月9日(月曜日)

発表項目 

〔動画:発表項目1/3〕 〔動画:発表項目2/3〕  〔動画:発表項目3/3〕

  • 核軍縮等に関する「ひろしまレポート2018年版」について

質問項目

〔動画:質問項目〕

  • 核軍縮等に関する「ひろしまレポート2018年版」について

会見録

(司会)
 定刻となりましたので,ただ今から知事会見を開催いたします。本日の発表項目は,核軍縮等に関する「ひろしまレポート2018年版」についてでございます。なお,本日の会見には,国際平和拠点ひろしま構想推進委員会副座長,前公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター所長,前内閣府原子力委員会委員の阿部信泰様,公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター主任研究員の戸崎洋史様にご同席いただいております。終了時間は14時15分を予定しております。これより,説明に移らせていただきます。ご質問は,知事,阿部様,戸崎様の説明後に,まとめてお願いいたします。それでは,説明の方よろしくお願いいたします。

核軍縮等に関する「ひろしまレポート2018年版」について

(知事)
 それでは,まず私から,簡単に冒頭のご説明〔を〕させていただきます。今,ご紹介ありましたように,今日は,国際平和拠点ひろしま構想推進委員会の副座長であり,ひろしまレポート研究委員会の外部評価委員をお務めいただいております阿部信泰様と「ひろしまレポート」をご担当いただいております日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター主任研究員の戸崎洋史様にご同席いただいております。中身ですけれども,今回2018年版で「ひろしまレポート」は,6回目となります。「国際平和拠点ひろしま構想」を具体化する取組の一つとして,各国の核軍縮に向けた取組状況を,国内外に発信することで,国際社会における核兵器廃絶のプロセスを着実に進めていくための機運醸成を図ることを目指しているところでありまして,取りまとめは,日本国際問題研究所に委託して,行っているところであります。評価対象国は,36か国で昨年と同様でございます。評価項目は,昨年,採択されました核兵器禁止条約に関する項目を加えましたので,昨年から1項目増えまして65項目となっております。2017年の核軍縮の分野ごとの主な傾向についてご説明させていただきますと,まず,核軍縮分野におきましては,核兵器禁止条約への署名・批准状況を評価項目に新たに加えたため,条約に反対する核保有国やその同盟国の評点率というのが,昨年より大きく低下いたしました。また,条約に賛成する国につきましても,必ずしも批准が進んでいないということから,ほとんどの国で評点率を下げるという形になっています。核保有国については,核軍縮に関する具体的な進展もほとんど見られないため,評価も前年とほぼ変わっておりません。次に,核不拡散分野につきましては,ほとんどの国が前年度水準を維持しております。これは,核不拡散の取組が一定,成熟しているということ,また,同時に拡散心配国と称される国の状況も好転が見出しにくいということを示しているものと考えております。続きまして,核セキュリティ分野におきましては,IAEA〔国際原子力機関〕の核物質防護勧告の国内実施措置への反映によりまして,評価を上げた国が確認されました。同時に,核不拡散と同様に,原子力活動を展開する多くの主要な国々に関して言いますと,核セキュリティに関する取組は,既に一定程度高いレベルにあるというところで,それが維持されていることから,評点率に大きな動きはないということであります。逆に,拡散心配国など一部の国は,引き続き,核セキュリティに関する取組が遅れていることなどがわかります。続いて「記載内容の充実」についてでございますけれども,平成29年に連携協定を締結いたしましたストックホルム国際平和研究所〔SIPRI〕と国連軍縮研究所〔UNIDIR〕の研究者のコラムを掲載いたしました。また,核兵器禁止条約に関して,国内外の第一線で活躍する有識者によるコラムを掲載しております。これによって,読者の方が,核軍縮等の動向について,理解を深めていただければと考えているところでございます。続きまして,発信力向上のための取組として,国連軍縮担当上級代表中満泉さん,パグウォッシュ会議代表セルジオ・デュアルテさん,元米国国防長官ウィリアム・ペリーさんから推薦文をいただきました。特にペリーさんからは,「国際安全保障の分野に携わるすべての人,とりわけ核セキュリティを専門とする人にとって必読である」との,大変,光栄なコメントを頂戴いたしまして,今後,積極的に,発信力向上に取り組んで参りたいと思います。また今回,CD版を作成いたしまして,携帯に便利になりましたので,欧州訪問の機会を通じても,積極的に発信していきたいと考えているところであります。なお,1点訂正がございまして,昨年発表いたしました「ひろしまレポート2017年版」におきまして,北朝鮮の核セキュリティに関する記載に誤りがございました。正誤表を出させていただいております。詳細は,後ほど戸崎さんからご説明いただきたいと思います。それでは,阿部副座長と戸崎研究員からご説明をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

(阿部大使)
 阿部でございます。今年もよろしくお願い申し上げます。私,去年の12月で原子力委員会委員というものを退任しましたので,今は自由の身ということで,今日は自由に発言させていただきます。この報告書,今年で6回目となりますが,非常に細かくいろいろ分析しまして,各国の軍縮不拡散,核セキュリティに関する動き,行動ぶりを評価して,また点数表にしまして成績を付けております。これによって,私どもは,関係国が「もう少し頑張らねばいかん」と考えて,努力してくれることを期待して作っているところでございます。私からは,現在の状況について簡単に,概観を触れたいと思いますが,ここの序章で書いてありますとおり,現在の核軍縮を巡る動きは,依然として停滞している状態にあると。停滞しているどころか,ロシアを中心にし,あるいは北朝鮮を中心にして,むしろ核兵器を巡る緊張は高まっているという嘆かわしい状況にあります。その間にあって去年は,核兵器禁止条約というものが新しく採択されまして,これを早く署名,批准して,発効させようという動きと,「いやいやそんな条約はダメなんだ」という動きが対立しまして,ここでも核兵器を巡る状況が,非常に深刻な状況になっているということがあります。加えて,これは年が明けてでございますので,このレポートには反映されていませんけれども,アメリカが核兵器の使い方,核戦力のあり方をまとめた核態勢レビューというのを2月の初めに出しまして,その中で核抑止力の対象となる対象を広げるということ。あるいは,核抑止力を有効にするために,小型の核兵器を導入して使いやすくするということが書いてありまして,これもまた世界の核兵器を憂慮する人々からは,危険な動きだという批判が出ております。というようなことで,いろいろ私ども,核軍縮,核不拡散などを心配する向きからすると逆の流れがいろいろあるわけですが,ここで,なぜそうなるのかということで,今日,私,1枚紙を資料の最後の方に,ギザギザの階段式のグラフの入った1枚紙がありますので,それを探してご覧ください。この表は,今度は,アメリカが出した核態勢レビューの17ページに載っているグラフでございまして,なるほどなというふうに考えますけれども,要するに世界で戦争は,ずっと続いてきたと。その結果,数多くの戦闘員,一般市民が犠牲になってお亡くなりになったということで,その戦死者というものが世界の人口の何パーセントであったかというのを表にしたグラフでございまして,最後にある議論は,核兵器が1945年に登場するまでは,世界で激しい大規模な戦争が続いて,何百万,何千万の人が亡くなってたんだと。ここでは,計算すると1日当たり3万人死んでいたと。こういう計算をしていますけれども,それが核兵器が45年に登場した結果,核抑止力というものができて,核戦争はしてはいけないとなった結果,世界から大戦争はなくなったんだと。その結果,戦死者は1パーセントを切るところまで下がったんだと,0.4パーセント,0.01〔パーセント〕まで下がってきたと。こういうことで,だから核兵器は必要悪なんだと,核抑止力が必要なんだと。これが基本の考えなんですね。それが故に,核戦力は維持しなければいけないし,核兵器禁止条約に一足飛びに行くのは無理なんだと。こういうことなので,ここが今の非常に大きな,いろいろな議論の対立の背後にある一つの考え方なんですね。そういうことで,これは,なるほどこういうふうに見るんだなということで,参考までに抜き出しました。これは,実際,アメリカが戦力をどうするかということは関係ないので,新聞の見出しには載っていませんけれども,中をペラペラめくるとこういうものが出てきて,背後にある考え方が,ここから伺い知れるということであります。なぜそういう核抑止力に依存していくかと考えていくと,基本的には核兵器を持とうとする人も,やめようと思う人も出発点は同じなんですね。我々,やはり広島で起きたような何万人が一瞬にして亡くなるような悲劇は,自分達もそういう運命に遭いたくないし,他の人々もそういうことになってほしくないということでスタートするのですけれども,一部の人は,だから我々は持たねばいかんと,我々持たなければいつかやられるんだということで,その後,ソ連,中国,今は北朝鮮と,いろいろな国が核兵器を持とうとするわけですが。しかし,そういうことをやっていれば,いつか,また誰かが使うかもしれないんで,やっぱりなくした方がよいというのが,今の核廃絶議論です。そこのせめぎ合いの状況にあるわけですが。現在の状況を考えると,やはりそういう議論ももちろんしなければいけませんけれども,同時に日本の非常に近くに北朝鮮という国があって,そこが非常に核開発を巡って緊張が高まっているということで,これもまた,まかり間違って,どちらかが核兵器を使うということになったら取り返しがつかないことになるということで,緊急の課題としては,やはりそれをどう防ぐかと,マネージするかということも非常に重要になってまいります。ということも考えないといけません。そこで,最近また,核兵器禁止条約を巡って,賛成派と反対派の間の対立,これを何とかしないといけないということで,岸田前外務大臣の声がかりで,有識者会議というものをつくりまして,何とか橋渡しを考えないといかんということで,最近,報告書が出ましたが,基本的には,その中には,いろいろな問題に取り組まないといかんということと,これから話が途絶えているので,両陣営間で話をしないといかんというようなことが書いてありまして,ここで私が一つ考えますのが,いろいろ何をしないといけないかというのは,かなりメニューは出揃っているんですけれども,その根幹にあるところの抑止論によるのかよらないのか,核戦力を維持するのかしないのかと,その辺の基本問題に取り組まないといけないので,そこに取り組まないとなかなか橋渡しは難しい。私が一つ考えますのは,この禁止条約が出来上がった最初の動きは,条約で禁止しようとする動きと,もう一つは,核兵器というのは,そもそも国際法上使ってはいけないんだという議論がありまして,つまり,あれだけ一発で無差別にいろいろな人を殺傷すると,そもそも無差別に攻撃してはいけない戦争法規に違反するんだと,国際法違反だと。仮に向こうから攻撃してきたって,それに対して大きな核兵器で反撃をする。これは相応性という国際法の原則があるんですが,それにも違反する。それから,そもそも相手の攻撃を止めたいという時に,通常戦力で止めれる時は,それでやらなければいけないんだ,一足飛びに核兵器に飛んではいけないと,必要性の議論がありまして,いくつか国際法の原則があるのですが,それを徹底すれば,核兵器は,事実上,非常に使いにくくなるという議論も随分ありました。最初にオスロで会議が開かれた時,この動きを推進したスイスの国際赤十字であるとか,そういうところは,そういう声もありました。しかしながら,流れは禁止条約に進んだのですけれども,今度の橋渡しを考える時にもですね,やはり原点に戻って,核兵器というのはそもそも使えない,使ってはいけない兵器だよねという原点の議論をすることも,私は橋渡しという意味でも役に立つと思いますので,そういう意味では,そこを考えたら良いと思いますね。それから,いろいろなことがまたあります。〔核〕実験禁止条約を早く発効させるべきだとか,核兵器用の物質を作ってはいけないだとか,いろいろありますけども。あるいは,アメリカとロシアの核兵器削減交渉,これをまた再開すべきだとか。やらなければいかんということは,いろいろ決まっているのですけれども,それがなかなか動かない原因もあるので,そこは,私は,いろいろな専門家,研究者を集めて,そういう今の対立,停滞状態を克服する知恵を出さないといけないのではないかなと思いますので,その意味において,この広島〔の〕平和拠点構想で進めているいろいろな議論,あるいは研究プロジェクトですね。こういったものも私は役に立つと。つまりこうすべきだという議論も大事ですけれども,同時に,それを実現するためにはどうしたら良いのだといった知恵も出すというところで,また,広島その他の果たすべき役割があるのではないかなと,それが最近の私の感じているところであります。以上でございます。

(戸崎研究員)
 日本国際問題研究所の戸崎でございます。昨年度も,広島県より「ひろしまレポート」を作成するというプロジェクトを委託いただきまして,このレポートを作成いたしました。知事からも話がございましたけれども,昨年,2017年の動向ということで提出いたしました「ひろしまレポート」ですけれども,核軍縮について1項目,核兵器禁止条約の署名・批准動向ということで新しく1項目加わりましたので,昨年度からその点につきまして評点が変わってきているというところが,昨年と比べまして大きな変化だと思います。調査対象国は36か国,〔2017年版と〕同じですけれども,特に核兵器禁止条約,それから昨年の大きな動向としましては,特に核兵器禁止条約についての交渉会議が行われました。この辺りの評点をどうするかというのを考えましたけれども,研究委員の中で,その他のところで,核兵器禁止条約の署名・交渉とは別に,新しく項目を立てて考えるべきという意見もなかったわけではないですけれども,昨年,交渉会議は1回で終わりということもありましたので,他の項目のところに参加状況ということを加えまして,そうしたところで核兵器禁止条約については評価させていただいたというところが,それまでと今回の「ひろしまレポート」との大きな相違だったと思います。今回のレポート,2017年の動向ということで書かせていただきましたけれども,2018年に入って,いろいろ大きな展開が北朝鮮であったり,アメリカの方であったりと出てきておりますけれども,この事業が今年度も続くかどうかというところは私には分かりませんけれども,仮に続くとしましたら,そちらの方で評価,分析していきたいと思っております。核軍縮,核不拡散,核セキュリティ,それぞれの特徴,動向でございますけれども,その前に1点お詫び申し上げなければならない点がございまして,こちらも先ほど知事からお話がございましたけれども,北朝鮮の核セキュリティに関する評価についてでございます。昨年提出させていただきました「ひろしまレポート2017〔年〕版」で,北朝鮮の高濃縮ウランの量を誤って記載しておりました。これに基づいて評価したということがございまして,そちらが誤りというものを,今年度,昨年度の「ひろしまレポート」を作成する過程で気付いたというところでございます。そちらにつきまして,正誤表という形で皆さまのお手元にお配りいただいているかと思いますけれども,2017年版については,そちらの点が誤りでありましたので,まずはお詫び申し上げたいと思います。2017年の主要な動向でございますけれども,先ほど来お話で出てきております核兵器禁止条約が成立したというところが,やはり,1つ大きなイベントであったかと思います。この条約は,核兵器の保有などを法的に禁止すると,それから,市民社会が参加して核軍縮についての条約を作ったという意味で,核軍縮にとっては,初めてのそうした条約であったと評価することができると思います。120数か国が,この条約に賛成して成立したわけでありますけれども,核保有国,それから同盟国,これは日本も含みますけれども,交渉会議には参加しなかったと。交渉会議にはオランダだけが,そうしたグループの中では参加しましたけれども,そのオランダも含めて条約には署名していないというところでございます。また,120数か国の賛成国の中でも,2017年末の時点で,56か国しかといいますか,表現が難しいところではありますけれども,56〔か国〕が署名して,3か国が批准していると。3月末の時点では,57〔か国〕の署名と7か国の批准ということで,まだまだ署名,批准の進み方というのは,遅いのかなと思いますけれども,これは時間とともに増えていくと予想されておりますし,早晩,この条約は発効していくのだろうと思います。この条約ができたことによって,その前からでございますけれども,核兵器禁止条約の賛成国,反対する国の間の核軍縮をめぐるアプローチについて,亀裂が深まっていると。この条約の成立によって,それが一層顕在化したと言われておりますけれども,お手元に表をいくつかお配りしてございますけれども,表1-3,核兵器に関する主な国連総会決議についての各国の投票行動ということで,賛成が「○」,棄権が「△」,反対が「×」という表をお配りいたしておりますけれども,この星取表を見ても,そうした亀裂といいますか,国際社会の分断というのが見て取れるのではないかと思います。次に,核軍縮について,より一般的な動向ですけれども,核兵器は少しずつは減っていると,表の1-1核兵器保有数の推移ということで,2016年の段階で,1万5400発近くであったのが,2017年には,1万4935発と。そういう意味では,少しずつは減ってきているわけではございますけれども,他方で,いずれの国も核戦力の近代化,あるいは,強化を進めている。そういう意味では,質的に強化しているというのはございますし,一部の国については,10発程度と言われておりますけれども,少しずつ核兵器の数が増えている国もあるということでございます。さらに安全保障との絡みで言えば,核兵器の役割というものが再確認,再認識されているという状況がここ数年続いていると。それも地域の安全保障環境の悪化,不安定化というものに原因していると言われますけれども,そうしたところが,例えば2018年のアメリカのニュークリア・ポスチャー・レビュー〔核態勢見直し〕の中にも出てきているのだろうと思います。米露につきましては,2018年の初めに新スタート条約の下での上限1550発の戦略核弾頭となっていますけれども,その期限が2018年の初めに来ました。これは,米露ともその上限を下回っておりますけれども,他方でロシアによるINF条約違反疑惑というものがまだ続いていると。それから,戦略核,非戦略核に関する一層の削減というものについては,全くその見通しが立っていない中で,当然ながら良い状況ではない。アメリカのトランプ政権の動向,2017年だけを見ても,これまでオバマ〔大統領〕が行ってきた核軍縮を志向する政策とは,ある意味逆に行っているようなことについて,さまざまな発言がなされていたと。これが,2018年のニュークリア・ポスチャー・レビューではより明確化していくわけでありますけれども,その状況というのは,2017年から少しずつあったということでありますし,CTBT〔包括的核実験禁止条約〕,FMCT〔核兵器用核分裂性物質生産禁止条約〕についても,進展は当然ないというところで,多少の進展があるとすれば,お配りしましたレジュメでは2ページ目になりますけれども,核軍縮検証のための国際パートナーシップということで,アメリカが立ち上げたプロジェクトでありますけれども,これに核兵器国と非核兵器国が参加して,核廃絶が実際に実現するという時に,非常に検証は難しいだろうと。それをいかにして実施していくのかということを研究するプロジェクトでありますけれども,これが引き続き,続いているというところであります。ただ,この中には,中国,ロシアが入っていない。そういう意味では,多少,残念なことでありますけれども,研究開発については着実に進んできているというところでございます。次に,核不拡散ですけれども,核不拡散,核セキュリティとも先ほどの知事のお話にもございましたけれども,ちゃんとやっている国は,数年来きちんとやっている。他方でやっていない国は,やっていないということで,明らかに大きな二分化がなされているのだろうと思います。その中で核不拡散については,やはり,北朝鮮の動向というのは非常に大きくて,6回目の核実験,これは爆発力が非常に大きくて水爆ではないかとも見られていますけれども,そうしたことを行う。それから,ICBM〔大陸間弾道ミサイル〕を含む活発な弾道ミサイルの発射を行うということで,これは,なかなか評点には挙げづらい,核実験は繰り返し行っていますし,核威嚇もここ数年頻繁に行っていますので,評点として,なかなか挙げづらいところではありますけれども,その安全保障,あるいは,核軍縮に与えるインパクトというのは非常に大きい,脅威感というものをより増した,この辺りは,記述の方でそういうところを書いておりますけれども,その北朝鮮の核不拡散,核軍縮,それから安全保障におけるその脅威感は非常に高まっているのだろうと思います。イラン問題につきましては,イランは,今のところJCPOA〔包括的共同作業計画〕をしっかりと履行していると言われていますけれども,他方でアメリカの新政権がこれについてあまり良い顔をしていないと言いますか,トランプ〔米大統領〕は,これを破棄しようとしているようなところがあって,このあたり,今後,このJCPOAの将来というものへの不安を投げかけるような1年であったという評価ができようかと思います。最後に核セキュリティでございますけれども,核セキュリティサミットが2016年で終了したということで,この後,核セキュリティはどうなっていくのかと。サミットが非常に大きな影響を与えたということもありましたので,多少,そこに対する心配はあったわけですけれども,IAEAを中心にして,さまざまな会議が頻繁に行われ,各国も核テロ対策はしっかりやらなければならないということで,その強化の取組は,引き続き行われてきているというのが,2017年の大きな流れであったと思います。特に南米,中央ヨーロッパ,それから東南アジアでは高濃縮ウラン,プルトニウムが存在しない地域ができたということで,対テロという観点からも核セキュリティの観点からも好ましい動きであったということが言えると思います。他方,まだまだ核セキュリティについては,いろいろな課題も残っているということで,とりわけコンピューター・セキュリティの問題,サイバー対策,それから内部脅威対策といったところで,日本もこういうところをしっかり取り組んでいると,取り組み始めているところでございますけれども,まだまだ,難しい課題,やり残しの課題が残っていると言えようと思います。先ほど申しましたけれども,きちんと核セキュリティ対策を行っているところは,やっているわけですけれども,心配国など一部の対象国では,なかなか実施が進んでいない。これは,お配りしました表3-4,あるいは〔表〕3-8のところになりますけれども,これもいろいろな条約であったり,取組であったりというところの星取表を付けてございますけれども,なかなか,抜けているところの国は,実際の取組は進んでいないというところがまだ残っているところでございます。私の方からは以上でございます。

(司会)
 では,これより質疑に移りたいと思います。ご質問の際は社名とお名前を名乗られ,知事,阿部様,戸崎様どなたへのご質問かをおっしゃってからお願いします。それでは挙手をお願いいたします。

(中国新聞)
 中国新聞の村田と言います。本日はありがとうございます。冒頭のご発言の中にもあって,どなたにお尋ねすれば良いかちょっとあれなのですけれども。核軍縮の評価項目の中で,核兵器禁止条約の批准が加わったというご説明がありました。これによって昨年との比較では,かなりマイナスになっている国が多いと思うのですけれども,簡単にマイナスになった原因がどこにあるのかご説明いただきたいのと,核兵器五大国の下落幅と比べると例えば日本だとかドイツだとかスウェーデンだとかですね,非保有国の方の下落幅が二ケタになったりして幅が大きくなっているのですけれども,ちょっとこの仕組み,冒頭の説明では五大国の方が下落が目立つというような趣旨,説明があったかと思うんですけれども,このカラクリというか仕組みを教えていただければと。

(戸崎研究員)
 ありがとうございます。まず核兵器禁止条約ができたことによって,また,その評価項目は,批准したかどうか,署名したかどうかというところで切っておりますので,署名していない国,批准していない国は当然そこの部分の点数は下がってくると,〔それ〕で,これに賛成している国,条約に賛成したけれども,まだ入っていない国についても,署名のところで点数は付いているけれども批准していないとかですね,そういうところで評点を下げているところがございます。それから非核兵器国の評点の下がり幅が大きいというところでございますけれども,核軍縮については,核兵器国それからNPT〔核兵器不拡散条約〕に入っていない国,それから非核兵器国の順で評価項目が違っておりまして,特に非核兵器国については評価項目がさほどない中で,この核兵器禁止条約については,パイが大きいといいますかですね,評点の大きさが大きいと,相対的にですね。そうすると最終的に出てくる評点率のところでですね,下がり幅がどうしても大きくなってしまうというところが,これは多少その計算上の問題というのはあるかと思いますけれども,そうした結果になってしまっておるというのが一つの分析のところでございますし,もう一つ言えば,それまで非核兵器国は条約には賛成できないかもしれないけれども,その他のところで,何て言うんですかね,例えば国連総会決議への投票行動などといったところで対応していたところが,実際に条約ができてしまった後は,より態度を明確化してしまっている国もある,それはちょっと日本はどうかというのは,今ちょっと手持ちではないのですけれども,そうした国も出てきておるというところで,そうした核兵器禁止条約ができたことによって,他のところへの態度にも多少波及効果と言いますか,影響が及んでいる国もあるというところで評点率がそのような結果になっているんじゃないかと思います。

(中国新聞)
 もう1点だけ,日本の言及が先ほどありましたけれども,日本が今回56.0で前回が66.6なのかな,10ポイント程度下がっていると思うんですけど,評点率でですね。これについて概要を教えていただいてもよろしいで〔しょうか〕,どうしてこういう評価になったのか理由を教えていただいてもよろしいですか。

(戸崎研究員)
 日本につきましては,やはりその核兵器禁止条約への行動,投票行動,投票じゃないですね,署名批准動向というのが最も大きいところだと思います。

(中国新聞)
 昨年は,ノーベル平和賞の受賞もあったりですね。広島,長崎の地では,非常に核兵器禁止条約に対する期待が大きかったんですけど,一方で政府等の姿勢に対する矛盾というか,政府との違いに対しての批判もかなり出てたと思うんですけれども,その辺りをどう見てらっしゃるかというのは,どなたに〔聞けばよいのでしょうか〕,今回の評点は,結果としては,もちろんこうなっているんですけれども,政府と被爆地なりの関係性が,今回の評点に何か見えてきたものとかっていうものはあるんでしょうか。ちょっと質問が,すみません上手く聞けないんです。

(阿部大使)
 点数は,政府が,どう行動しているかという国の単位の評価なんで,市民社会がどうしているかっていうのは,なかなか点数には反映しがたいんじゃないでしょうかね。それから加えて禁止条約が日本などで,アメリカでもそうですけど,なぜこれだけ議論になっているかっていうと,ある意味では禁止条約が登場することによって,それまでにあった国内における核軍縮推進派と抑止・現実派との対立が非常に鮮明になったんですね。それがおそらく大きくて,しかも国際舞台においては,それまで何となく軍縮不拡散の最前線に立って動き回っていたと思っていた日本,ドイツ,カナダ,オーストラリアとかですね,そういう国が急激に,舞台の脇に追いやられちゃったんですね。これはおそらく非常に皆の反発,反応の大きな原因じゃなかったんでしょうかね。

(NHK)
 NHKの辻です。知事に伺うんですけれども,今回でレポート〔を〕まとめるのは6回目ということで,先ほどの冒頭の発言の中でも,専門家や有識者からの推薦の声なんかの紹介もありましたけれども,知事ご自身もこの間,去年もNPTの準備会合に自ら出席されたり,ラウンドテーブルなんかを毎年開かれていたりで,知事ご自身も具体的に動いて,そういう方と接触されている中で,知事ご自身この6年間の「ひろしまレポート」が世界,その分野で,どのように扱われてきたと感じていらっしゃるか,何か手ごたえを感じて〔おられるか〕,具体的に機運を醸成していくためとおっしゃいましたけど,それに貢献していると感じてるのか,まだこの辺が不十分だなと感じているのか,その辺のご感想をお願いします。

(知事)
 この「ひろしまレポート」は,比較的専門家の皆さまに対して情報提供していくというような内容になっておりまして,そういう観点から言うと,いろんなところに配布させていただいていますけれども,フィードバックとして,いろいろ肯定的な評価をいただいています。例えば,核関連の三分野,軍縮と不拡散と,それからセキュリティですけれども,これを各国の状況を網羅的に評価しているレポートは非常に貴重であるといったようなコメントであるとか,あるいは広島の継続的な取組に対して感謝したいというようなコメントだとか,私にも直接,非常に素晴らしい取組であるといったようなコメントをいただくような研究者の方々とかいらっしゃいますので,そういう意味では,専門家の間ではしっかりと受け止められていて,貴重なものとして評価いただいているものだと思っています。それから,今回発信力の強化という観点から,SIPRIをはじめとする皆さんから,コラムも書いていただいておりますので,そういう意味で,内容的な充実もさらに,ここは定性的な部分ですけれども,充実されているのかなと,非常に地道ではありますけれども,こういう取組を通じて,しっかりと問題を浸透させていくというか,そういうことをしていかなければいけませんし,その手応えという意味では,今申し上げたように,一定のものがあると考えております。

(NHK)
 今回,さっき,核〔兵器〕禁止条約の部分もあって,核兵器国と非保有国との間の溝が顕在化しているという記述もありましたけれども,そういう状況にも,こういう発信をしていくことが役立てると考えていらっしゃるということでよろしいですか。

(知事)
 それはもちろんです。常に広島としての,知見であるとか発言力であるとか,そういったものに繋がっていくものだと思っていますので,最終的には核兵器の削減であるとか,あるいは法的な国際条約というか,そういった対応というのは,政府にしかできないことですけれども,そこに至る過程の中で,さまざまな形でインプット,こういった報告,情報であったり,あるいはさまざまな政策的な提言であったりとか,そういうことは我々として可能だと思っていますので,それを続けていくのは,重要なことだと思っています。

(NHK)
 知事,最後に,絵的なことで恐縮なのですが,レポート冊子を示していただいてもよろしいですか。

(知事)
 〔手元で掲げる。〕

(NHK)
 毎年,装丁などは変わっていないですか。

(知事)
 表紙は,変わっていないです。

(NHK)
 欧州の訪問等でもうんぬんと,活用策のことをおっしゃっていたと思うのですが,その辺を伺っても良いですか。

(知事)
 「未発表なんだけど言っちゃった」という,そういうことなんですよ。

(NHK)
 NPTの関係で。

(知事)
 そうです。詳細は,また〔明日の定例〕記者会見の発表項目になっていますので,その時にご説明をさせていただければと思いますが。

(NHK)
 今回も行かれるご方向ですか。

(知事)
 そういうことです。

(NHK)
 そういう場で実際に配布とかもされるというお考えということでよろしいですか。

(知事)
 はい。

(司会)
 その他ございますか。時間も〔まいりましたので,最後の質問にさせていただきたいのですが〕。

(中国新聞)
 すみません時間も,だいぶんきてるんですが,阿部さんにお尋ねしたいんですけれども,今年ですね,北朝鮮の動き,それから米国の先ほど報告のあった動き,かなり劇的に状況が変わっているのは,このリポートに報告があったと思うんですけれども,詳細は当然2019年版のレポートで出てくると思いますが,現段階で北朝鮮の動向について,どういうふうに展望してらっしゃるか,あるいはアメリカの今後の核戦略について,どのように推移していくと思われているか,今年の見通しについて,少しご意見をお伺いできたらと思いますが。

(阿部大使)
 今年の見通しという意味では,やはりアメリカと北朝鮮の金主席の首脳会談,これが非常に大きくてですね,まあいろいろ,いろいろな方がいろいろなことを言ってますが,最後は結局これは両首脳がやってやる気になればできるし,何とも分かりませんが,脇で見ている日本,その中でいろいろ考えている人からすれば,一つはやっぱり北朝鮮が核兵器をやめるということはぜひ実現してほしいと。しかしながら今まで何回もそれをやろうとして失敗してきたんで,同じ間違いは繰り返してほしくないということと,最後にですね,これは意外と日本の国内では,報道,論評に入ってませんけれども,北朝鮮に核兵器をやめさせるためには,アメリカのみならず韓国,それから日本も何らかそれに対応する措置を取らなければいけないんです。これは北朝鮮も自分がやめるからには,お宅もとこう言ってくるわけで,その中には北朝鮮が要求したこと,今まで要求したこと,よく研究したアメリカの研究者がいて,この間,話を聞いたら27項目あるって言うんですね。たくさんあるんですよ。その中には,まず在韓米軍の撤退,それから米韓,日米安保条約の廃棄,あるいは核の傘の放棄と,に始まってですね,ずっとあって,最後の方にくると今度は,北朝鮮の人権問題を非難することをやめるとかですね,あるいは北朝鮮に対する宣伝工作をやめる,あの風船飛ばしてますよね,というとこまで入っている。これはものすごい大変な要求なんですね。その中には日本が関係する要求もあるんです。それから,最初はもちろん出てくるのは,経済,食糧支援ですよね。これは当然日本に宿題が降ってくるので,その辺をどうするか,これは日本もちゃんと考えとかないといけないんですね。

(司会)
 すいません。時間も迫って参りましたので,以上で質問の方を終わらせていただきたいと思います。只今,説明のありました発表内容については,テレビ,ラジオ,インターネットについては,本日の13時30分解禁,新聞については,明日4月10日の朝刊をもって解禁となります。では,以上をもちまして,知事会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

 

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資料1(核軍縮に関する「ひろしまレポート2018年版」) (PDFファイル)(249KB)

資料2(ひろしまレポート本文) (PDFファイル)(3.28MB)

資料3(ひろしまレポート概要版) (PDFファイル)(800KB)

資料4(小冊子) (PDFファイル)(388KB)

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