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知事記者会見(平成27年5月13日)

印刷用ページを表示する掲載日2015年5月13日

  記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ,掲載しています。
 なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
 動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。(別ウィンドウで表示されます)

 会見日:平成27年5月13日(水曜日)

発表項目 

質問項目

会見録

(司会) 
 お待たせいたしました。定刻となりましたので,ただ今から知事会見を開催いたします。
本日の会見の発表項目は,知事の米国訪問の結果についてでございます。それでは,知事より説明いたします。

 知事の米国訪問の結果について

 私からご説明をさせていただきます。4月23日から5月2日の日程で米国訪問,米国出張に行って参りました。まず全体の概要としましては,5年に1度の「NPT運用検討会議」がニューヨークで開催をされまして,ご承知のとおりでありますけれども。これを機に,国連本部で県主催のシンポジウムを開催をいたしました。また,アンゲラ・ケイン国連軍縮問題担当上級代表やローズ・ゴッテモラー米国国務次官等と延べ17回の会談を行いまして,本県の平和の取組と併せて各国の政治指導者の被爆地訪問の重要性等を発信をしてきたところであります。まず,NPT運用検討会議への参加ですけれども,この検討会議にあわせて開催をしたシンポジウム,いわゆるサイドイベントでは,私から,近年核兵器廃絶に向けたアプローチに関しまして,核兵器保有国と非保有国の間の考え方の相違が対立に発展をしていると。核軍縮の進展を困難にしているという現状認識を示しました。その上で,意見の違いを乗り越えていくために,核兵器の悲惨さを深く理解をしてもらうことが必要であり,NPT運用検討会議の合意文書におきまして,被爆地訪問が各国の行動規範として求められるように,各国に働きかけていることをご報告して,支援と協力を訴えたところであります。広島市長はもちろんですけれども,広島を訪問された経験のあるケイン上級代表やオーストリアの〔アレクサンダー・〕クメント大使等には,その経験を踏まえたご発言をいただきまして,充実した意見交換を行うことができたと思っております。結論といたしまして,核軍縮が停滞する現状にありましても,核兵器廃絶という目標を見失うことなく,核兵器の役割を低減させるためにできることを一歩ずつ進めていくべきであるという点で,登壇者の意見は一致したものと思っております。また,NPT運用検討会議の期間中には,ケイン上級代表のほか,メキシコの政府代表,ペルーの政府代表,日本政府の国連代表部の大使とも会談をしまして,政治指導者の被爆地訪問をNPTの最終合意文書に含めるよう要請を行ったところであります。特に,ペルー政府代表のロマン・モレイ大使ですが,今回の運用検討会議において,核軍縮の問題を取り扱う主要委員会の議長を務められるという方でありまして,昨年の準備会議〔NPT運用検討会議第3回準備委員会〕の議長ですけれども,委員会の運営に当たっては「核軍縮の進展に向けて最善を尽くしたい」という決意の言葉をいただきました。その他NPTへの参加期間中には「国際平和拠点ひろしま構想」や「ひろしまレポート」を紹介するパネルを国連内に展示をいたしますとともに,政府関係者や研究機関,NGO関係者に〔ひろしま〕レポートを配布するなど,県の平和の取組の発信にも努めたところであります。それから,その他政府関係機関や研究機関等の訪問ですけれども,アメリカ国務省のゴッテモラー国務次官,またNSC〔国家安全保障会議〕ウォルフスタール軍縮・不拡散担当のシニアディレクター等を訪問しまして,本県の平和の取組をご紹介するとともに,政治指導者の被爆地訪問について協議をしました。中でも,ゴッテモラー国務次官からは,政治指導者の被爆地訪問をNPTの合意文書に含める取組については,「それは良い考えであって,世界の人々が核兵器の影響を切実なものとして経験するために広島を訪問すべきだ」というご発言がありました。また,次官からは,NPT運用検討会議は,核兵器の非合法化を巡りまして,核兵器保有国と非保有国の間に溝が生じていることに懸念が表明されましたけれども,私からは,この核兵器国と非核兵器国が分断されるようなことがあってはいけないと。それは当然なんですけれども,核兵器国が主張しています『ステップ・バイ・ステップ』アプローチによる核軍縮が進んでいない状況に,非核兵器国が不満を募らせているというところでありますので,「核兵器国としてアクションを取るということが必要である」ということをお答え申し上げました。また,サンフランシスコに急きょ行くことになりましたけれども,当初の日程には入っておりませんでしたけれども,かねてより調整をしておりました〔ジョージ・〕シュルツ元〔米国〕国務長官。ご承知のように,アメリカの四賢人,アメリカのというか,メッセージを出したいわゆる「ギャング・オブ・フォー」とか日本語だと四賢人とか言われていますけれども,シュルツ元国務長官との会談に実現の目途が立ったので,急きょ参りました。シュルツ元国務長官との面談のほかに,〔ウィリアム・J・〕ペリー元〔米国〕国防長官とも面談がかないまして,今後核軍縮を進めるための方策であるとか機運醸成の必要性等について,意見交換を行ったところであります。その際,ペリー元長官からは,核脅威イニシアティブ「NTI」,これはNPOですけれども,NGOというのか,でありますが,ここと同氏が連携をして進められております若者向けの核軍縮に関する教育ツール開発プロジェクトのご紹介をいただいたところであります。全般的な米国訪問の成果として取りまとめますと,国連でのシンポジウムの開催や,国連,また政府関係者等との会談を通じまして,本県の取組をご紹介したところ,多くの賛同と期待を表明をいただきました。そういう意味で本県の取組に対する意義深さを改めて確認することができたかなと思っております。とりわけ,政治指導者の被爆地訪問につきましては,NPT運用検討会議の最終合意文書に含まれるよう,効果的な働きかけを行うことができて,実際に第1稿では入っていますが,その後,ちょっといろいろと動きがあるようですけれども,そういうことができたかなと思っております。今後とも,今回の訪米で会談をした方々とも連携を密にしながら,政治指導者が被爆地を訪問しやすい環境づくりに取り組んでいきたいと考えております。その他,NTI関連では,共同プロジェクトの可能性についてご提案をいただいたところでありまして,今後,具体化に向けて取り組んで参りたいと考えているところであります。そういったことをあわせまして,引き続き核兵器廃絶に向けての機運醸成,また,具体的なアクションに努めて参りたいと考えております。私からは以上であります。

 (司会)
 
以上で説明は終了いたしました。これより,質疑に移りたいと思います。ご質問の際は,社名とお名前をおっしゃってからお願いをします。ご質問の方は挙手をお願いいたします。

(中国新聞)
 
中国新聞の新谷です。先ほども少しお話にあったんですけれども,最終文書の取りまとめの段階で,中国からの抗議があり,被爆地訪問の部分が外されたというような話があるのですが,これについてはどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。また対策等,今後考えていらっしゃることがありますでしょうか。

 (答)
 中国のこの大使は,日本の歴史,日中間の歴史に絡めておっしゃっているようでありまして,当然その話と,特に〔核兵器の〕非人道性について,自らの目で見て確認をしていこうという話とは全く別のことでありますので,そういう意味で,少し,全く違う意思を持ってきておっしゃるのは非常に残念だなと思っております。先ほどの話と繰り返しになるかもしれませんけれども,今の核兵器国と非核兵器国の溝というものがあって,それが核軍縮の進展を困難にしている側面があるわけですけれども,そういった状況を乗り越えていくためには,やはり核兵器の悲惨さというのを理解をしたうえで,人道的な観点に立って議論してもらうということが重要だと思っております。そういう意味で,特に核兵器を扱う,あるいは最終的な意思決定をするような政治指導者が被爆地を訪問して,あるいは被爆者の声に直接耳を傾けてもらうということが重要だと思っているわけであります。日本政府としても,引き続き合意文書の中に盛り込まれるように,努力を続けるというコメントを出したと伺っておりますし,県としても,中国も含めて政治指導者の被爆地訪問の意義と必要性について,理解を求めていきたいと思いますし,ぜひ,習〔中国国家〕主席にも広島に来て,ご自身の目で確認をしていただきたいと思っております。今後の対応としては,まだ検討中ではありますけれども,何かしらの形で中国政府に対して,この被爆地訪問の意義について,ご説明をしていくということが考えられると思っております。

 (TSS)
 
TSSの若木です。今のに関連してなんですけれども,再三,岸田外相も含めて,知事や〔広島〕市長も被爆地訪問を求めたにもかかわらず,こうして逆に,こういう中国の一言によって削除されてしまうという,国連であったり世界の状況自体を知事としてはどういう風に受け止めてられてますか。

 (答)
 やはり,いかにマルチの条約交渉というか,こういった外交交渉は難しいかということだと思いますけれども,〔中国〕大使のコメントとしては,日本政府が侵略戦争で各国にもたらした惨劇を隠すのは認められないというような,「それは全然違う話でしょう」ということだと思っていますので,そこはしっかりと,少なくとも我々は日本政府ではありませんし,そのことは全く言っているわけでもありませんし,誤解のないようにお願いをしたいと思っています。

 (司会)
 
他に〔質問は〕ございませんか。

(読売新聞)
 
すみません,読売新聞の内田です。まさに今のお話の中で,「我々は日本政府ではないし」ということがあったんですけれども,あくまでも広島としてそれは必要で,求めていきたいことであるという…。

 (答)
 はい。

 (読売新聞) 
 それは日本政府とはまた別に,被爆地広島であるからという意味でということで。

(答)
 そうです。日本政府もそういう意図はないと思うんですけれども,広島が言っているわけでありまして,長崎もおっしゃっているわけでありまして,あるいはNPDI(軍縮・不拡散イニシアティブ)の合意文書の中で言っているわけでありまして。そういった歴史認識とか,歴史を覆い隠すとかっていう話とは全く別のことでありますので。今回,容易に削除されてしまって,これまた若干理解しかねるところがありますけれども,もちろんコンセンサス文書という観点からいうと,少しでも声が上がったら,合意が難しくなってくるということなんですけれども。ぜひ,そうではないということは,ご理解をいただく必要があるのかなと。まずニューヨークの現場では,日本政府が適切に対応していただけると思いますので,我々としては,中国政府に対して,そもそも我々被爆地としての意図はそういうことは全くありませんということをお伝えしていきたいというところです。

(司会) 
 その他のご質問ございませんか。

 (中国新聞) 
 今のに関連してなんですけれども。中国政府と県というポジションの違いがあると思うんですけれども,どういう形で中国政府に対して,今の県の考え,知事の考えを伝えていくことになるんでしょうか。文書を送るとか。

 (答)
 それはまだ今日の話でどうするかということは,まだ固めていませんけれども,取り急ぎ,日本には中国大使館もありますんで,大使館経由であるとか,そういったことも考えるかなと。それはこれから詰めていきたいと思います。

(中国新聞) 
 すみません,〔米国〕訪問全般というか,NPT全般のことなんですけれども,広島県知事としては初めての〔NPT運用検討会議〕参加であったと思うんですが,その〔広島〕市との差でありますとか,県として何ができたかということをもう一度お聞かせいただけますでしょうか。

(答)
 よく皆さん「違い」っておっしゃるんですけれども。私はそこは〔広島市と〕重なるところはあって良いと思うんですが。県としては,一つは今回のNPTの議論の中で言えば,いわゆる核兵器国,非核兵器国の意見の対立というところを埋めていく,ギャップを埋めていく一つの方法として,共通認識を作っていくということは大事で,そのためには被爆地でしっかりと現実を見ていただくという,当たり前のことのようなことかもしれませんけれども,意外と行われていないわけです。ですから,そこをしっかりとやっていくということに焦点を当てて活動したということと,その他については,県の取組のご紹介,それから特に「ひろしまレポート」なんかは今回出たばっかりで皆さんにお配りしましたけれども,いろんな人に関心を持っていただきましたし,非常に有用であるということは皆さんおっしゃていただいてますので,今後,「ひろしまレポート」の影響力を増していくというためにも,意義があったのではないかと思ってます。さらに,ペリー〔元米国国防〕長官やNTIとの関係でいえば,世界の若者の教育であるとか,あるいは,今停滞しているような軍縮の進展に向けての動きについての意見交換ができたというところで,〔広島〕市はどちらかというと被爆の実相を伝えていくというところに対して,我々〔県〕はそれをベースにしてそこから何をどういう風に動かしていくか,少しでも動いていくということに力を入れていますので,そういう意味での進展はあったかなと考えているところであります。

 (中国新聞)
 
お話をされた中で,今後の進展というのは,具体的に例えばこんなというのがありますでしょうか。

 (答)
 先ほどの核兵器廃絶について,一つの大きな課題というのが,やはり世論の盛り上がりというのが欠けているということがあると思うんです。その中の一つとして,やはり皆さん十分に知らないということがあって,特にそういう意味で若者にそういう意識を持ってもらうことが大事であると。そういう中で,NTIあるいは,その他グローバル・ゼロ〔国際的な核廃絶運動の一つ〕とも協力について議論しましたけれども,グローバル・ゼロも若者のネットワークを持っているところですけれども,一緒に協同した事業ができないかというようなことを今後考えていくようなことがあろうかと思いますし,今度またペリー〔元米国国防〕長官も来られますので,広島に,そういった機会を通じてどんなことができるかと。これは先方のスケジュールとかも含めて何ができるかわかりませんけれども,そういったことが議論できたのは良かったかなと思います。

 (中国新聞)
 
若者を,例えば〔広島へ〕呼ぶとかシンポ〔ジウムの開催〕とか,そういうことになるんでしょうか。

 (答)
 特に来るということも,もちろん大事ですけれども,それはもちろん進めていきたいことですが,それだけだと,やっぱり物理的に限界があるので,今はテクノロジーの時代なので,いかにオンラインなどのツールを活用して展開をしていくとか,そういったようなことがあるんじゃないかなと思っています。

 (司会)
 
その他の質問はよろしいでしょうか

(中国新聞)
 
シュルツ〔元米国〕国務長官と,元国務長官とお会いした話なんですけれども。もうちょっと詳しく,会われることになった,予定変更された経緯だとか,シュルツ元国務長官は核なき世界を提唱されて,それが〔チェコ共和国の〕プラハでのオバマ大統領の演説に繋がったと言われていますけれども,その後,先ほど知事がおっしゃたように停滞している感がありますよね。そういうことについて,シュルツさんはどう受け止めていて,どういう提案がそれぞれあったのかを含めて教えてください。

 (答)
 はい。そういう点では,シュルツ元長官も非常に懸念を持っているというところでありまして,現在,停滞をしていると。それは何とかしていかなければいけないし,そういったことの一環として,シュルツ長官自身も広島に来たことがないので,ぜひ,機会があるときにはおいでくださいというお話をしたところ,自分も日本に行く機会があったら,次回はそうしたいというお話をされたりとか,あとは今後,NPT〔運用検討会議〕だけではなく,さまざまな機会を捉えて,軍縮に向けたアクションがどういったことが取れるのかといったことについて,議論したということでありまして。もともと非常に影響力の大きい方なので,訪問要請をしていたんですけれども,直前になって,了解のお返事が来たので,ちょっと慌てて訪問させていただいたというような形です。そこでは,せっかくお伺いするので,ペリー〔元米国国防〕長官とか,これはNTIとの関係もあったんですけれども,アポをお願いしたら,そういったところも実現をして,良かったなと思ってますけれども。

 (中国新聞)
 
渡米前に依頼していたということですね。

 (答)
 はい。そうです。 

(中国新聞)
 
それから,先ほど,その話の中で,具体的なアクション,どんなアクションを取れるか議論したというのもありましたけれども,どんなアクションの提案が知事なり,シュルツさんからあったかというのと。もう一点,先のプーチン〔ロシア大統領〕の発言がありましたですよね。核を用意するような発言もありましたけれども,ああいうことについても,話があったのかどうか含めて教えてください。

 (答)
 プーチン〔ロシア大統領〕の具体的な話をしたか,ちょっと私も今,にわかに記憶がないんですけれども。あったっけ〔事務方に問いかけ〕。

 (事務方)
 ありました。

(答)
 プーチンの話もした。いずれにしても,非常に憂慮すべき状況であるというか,核軍縮がいかに重要であるかということをシュルツ元〔米国国務〕長官も改めておっしゃっておりまして,そこは我々意見が一致するところで。具体的に「ああいうことをやりましょう,こういうことをやりましょう」といういうのは,アイデア料理というか,そういうやりとりなんで,具体的に申し上げるのは差し控えたいと思いますけれども,今後,8月の〔国連〕軍縮会議とかCTBT〔包括的核実験禁止条約〕の会議〔賢人グループ会合〕のタイミングであるとか,あるいは,来年,核セキュリティ・サミットもあり,これはアメリカでもあるんで,そういったところで,どのようなことができるのかなというのは,また考えていきたいなと思っています。

 (司会)
 
それでは終了時間も迫って参りましたので,最後の質問としたいと思いますが,いかがでしょうか。よろしいですか。それでは以上をもちまして,会見を知事会見を終了いたします。ありがとうございました。

 (答)
 ありがとうございました。 

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資料1(知事の米国訪問の結果について) (PDFファイル)(2.22MB)

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