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知事記者会見(平成26年9月16日)

印刷用ページを表示する掲載日2014年9月16日

記者会見などにおける知事の発表や質疑応答を広報課でとりまとめ,掲載しています。
 なお,〔 〕内は注釈を加えたものです。
 動画はインターネットチャンネルのサイトでご覧になれます。(別ウィンドウで表示されます)

 会見日:平成26年9月16日(火曜日)

発表項目 

  • 広島県における今後の防災・減災対策について 【動画リンク】 1/2  2/2

質問項目

  • 広島県における今後の防災・減災対策について 【動画リンク】 1/3 2/3 3/3

会見録

(幹事社:NHK)
 幹事社のNHKです。これから知事定例会見を始めます。終了時刻は11時の予定ですが,状況によっては延長を予定しております。よろしくお願いします。まず知事からの発表があるということですのでお願いします。

広島県における今後の防災・減災対策について

 それでは始めたいと思います。まず改めまして,この度の災害によりまして,お亡くなりになられました方々のご冥福を心からお祈りいたしますとともに,被災された多くの皆さまに対し,心からお見舞いを申し上げます。
 また,災害の発生時からこれまで,昼夜を問わず,救助活動にご尽力をいただいております自衛隊,警察,消防,海上保安庁の皆さま,生活支援物資の提供や避難所での生活の支援,また土砂の撤去,家屋の片付けなど,様々な面で被災者の生活支援に取り組んでいただいておりますボランティアや企業,団体,個人,事業者の皆さまに対し,厚くお礼を申し上げます。
 災害発生後,1か月近くが経ちますけれども,残念なことに1名の方の行方がまだ分からず,依然として,多数の方々が避難所での生活を余儀なくされている状況でございます。避難勧告が解除され,自宅に戻られた方にありましても,降雨の際の二次災害や,今後の生活再建など様々な不安を抱えられておられます。このため,国・県・市が一体となって,被災された皆さまが1日も早く元の生活に戻れるよう,全力で取り組んでいるところでございます。
 今後は,被災者お一人お一人の生活再建を支援していくことが大事であり,市を中心として,県もサポートしながら,引き続き,被災者の支援に取り組んで参ります。
 総合的な防災・減災対策を推進するためには,ハード・ソフト一体となった取組が必要であると考えており,本日は,今回の土砂災害に係る砂防・治山,がけの復旧工事の工程や,土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定に向けた基礎調査結果,加えて,減災に向けた県民総ぐるみ運動の展開などについて,その概要をご説明させていただきたいと思っております。

〔参考資料1.8.20土砂災害に係る砂防・治山,がけの復旧工程(概略)〕
 まず,主としてハード整備によります防災・減災対策についてご説明を申し上げます。
これは既に〔9月〕5日の〔国・県・市合同の〕記者会見で発表しているものでありますけれども,こちらにありますのは,今回の平成26年8月豪雨により発生した土砂災害に係る砂防・治山,がけの復旧スケジュールであります。上段の砂防・治山,こちら〔表示画面を示して〕ですけれども,応急復旧として流路確保用の大型土のうの設置や砂防・治山ダムの除石などを行って参ります。次に,砂防事業につきましては,本年の12月頃までに,調査と計画策定を行いまして,来年度末までに,今回の災害で堆積した土砂を止めるための緊急の砂防事業を実施します。つまり,まだ渓流に土砂が残っておりますので,その土砂を止めるための緊急の砂防事業というものを実施をいたします。その上で,さらに少し時間はかかりますけれども,通常の砂防事業を行いまして,必要に応じて,災害防止のためのこういった通常の砂防事業も積極的に推進をしていくということとしております。
 また,八木・緑井地区につきましては,土砂災害警戒区域,これは土砂災害防止法に基づく指定でありますが,そのための調査を再度行いまして,今年度末までに指定をする予定としております。

〔参考資料2.8.20土砂災害に係る復旧事業のイメージ〕
 その土砂災害に係る復旧のイメージですけれども,ただいまご説明しましたように,緊急のこの砂防事業,これによる砂防ダムの設置や河川・水路の復旧や改良,そしてこの防災機能向上のための通常の砂防事業として,さらにこういった,主に上流に造ることが多いですけれども,追加の砂防ダムの設置などを行って参ります。

〔参考資料3.広島県で起こりうる災害について〕
そして,ここまでは広島市において発生をした今回の土砂災害への対応についてご説明させていただきましたけれども,本県で起こりうる災害というのは,土砂災害に限らず,津波,高潮であるとか,あるいは地震,また河川の氾濫などの自然災害,こういったものがあるということを忘れてはならないと考えております。
 例えば,過去に発生をした非常に大きな災害としては,平成16年8月の台風16号による浸水被害などがございます。

〔参考資料4.防災・減災対策の計画的な推進〕
 これらの各種災害に対する防災・減災対策の計画的な推進についてご説明をさせていただきたいと思いますが,「ひろしま未来チャレンジビジョン」で目指す安全・安心な県土づくりを実現するために,主としてハード整備についてでありますけれども,土木局におきまして「社会資本未来プラン」というものをつくっております。すみません,ここの中〔画面表示〕の枠に入ってませんけれども。「社会資本未来プラン」とそれに沿った事業別の整備計画を策定をしまして,それに基づいて,計画的に防災・減災対策を推進をしているところです。ここにありますのは整備計画全体の一部分ですけれども,例えば,今回のような土砂災害への対策としては,「ひろしま砂防アクションプラン2014」というものを策定しておりまして,これに基づいて,砂防ダムや急傾斜地の崩壊防止施設といったようなハード対策をしております。また,これに加えまして,土砂災害ポータルの運営や土砂災害警戒区域等の指定といったソフト対策も推進をしているところであります。なお,この「(ひろしま)砂防アクションプラン2014」ですが,今年策定したばかりではありますけれども,今回の災害を踏まえて,少し見直しを図るということにしたいと思っております。
この他にも「〔ひろしま〕川づくり実施計画」による河川高潮対策であるとか,「ひろしま海岸整備プラン」に基づく高潮・津波対策などについても計画的に推進をしているところであります。しかしながら,防災・減災対策の実効性を高めるためには,ハード整備に加えて,ソフト対策を十分に推進をしていくということも不可欠であると考えております。

〔参考資料5.土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定に向けた基礎調査結果の公表〕
 その一環ですけれども,先ほどご説明申し上げましたように,ソフト対策の一つとして,土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定をこれまで順次進めているところでありますけれども,この度の豪雨災害において,区域指定に向けての基礎調査が終了し,指定に至るまでの間に甚大な被害が生じた地区があったということであります。このことを踏まえ,住民の皆さまに,地域の危険区域をいち早く公表することによって,日常の防災意識の向上や災害時の避難行動に繋げていただくよう,全国に先駆けて,指定を待たずに,基礎調査が終わった段階で,調査結果を公表するということにいたしました。具体的には,公表の準備が出来たものから,順次,県ホームページの「土砂災害ポータルひろしま」に掲載をして参ります。掲載開始は本日の15時からであります。

〔参考資料6.公表イメージ〕
 今,画面表示してあります,ちょっと小さくて見えにくいと思いますけれども,「土砂災害ポータルひろしま」で実際に,これは指定済の土砂災害警戒区域等を確認する画面であります。この画面は,ここに〔モニターの下に表示〕,ちょっとこれも小さいですけれども,「県ホームページのトップページ」から「広島県防災WEB」,その中に「土砂災害ポータル」というものがありまして,そこから「土砂災害警戒区域,土砂災害警戒特別区域図」を選んでいただきますとこういう形で表示をすることができます。この地図は,拡大をすることができます。何種類か地図と重ね合わせて入っておりますけれども,例えば,グーグルマップのような住宅まで入った地図もありますので,そこで拡大をしていただきますと,個別の家が区域にかかっているかどうかということも判別できるようになっていますので,自宅の位置をしっかりと確認いただければと思います。この他にも,「高潮・津波浸水想定区域図」であるとか「市町の作成する洪水ハザードマップ」あるいはその他のハザードマップへのリンクのなどもありますので,是非確認をいただければと思います。なお,繰り返しになりますが,土砂災害警戒区域等の指定に向けた基礎調査結果,これはまだ指定前のもの,これの掲載開始は本日15時からとなります。これによりまして,地域のどこが土砂災害の危険箇所であるかというものをパソコンで確認をいただけるようになります。これは指定前でもということですね。地域の皆さまが実際に見ていただきまして,どこが土砂災害の危険箇所であるかということを知っていただくことが非常に重要であると考えておりますので,この取組について,是非ともメディアの皆さまにも周知にご協力をいただければと思っております。

〔参考資料7.ハード・ソフト一体となった総合的な防災・減災対策の体系〕
 今,ご説明を申し上げましたように,県では,防災・減災対策として,ハード・ソフト両面から,一体的かつ総合的に取組を進めなければならないと考えております。ハード対策としては,国や県,または市町が連携をしまして,災害防止施設の充実強化を進めているところであります。これは先ほどもご説明をしたような,「ひろしま砂防アクションプラン2014」あるいは,災害により緊急的な対応が必要な箇所への防災施設の整備,今回の災害における砂防事業,ご説明したような形,そういったものを進めて参りますけれども,いずれにしても計画的な防災施設の整備に,適切な進捗管理の下で確実に取り組んで参りたいと考えております。また,広島県地域防災計画に基づいて,ソフト対策として,土砂災害警戒区域等の指定やハザードマップなどの作成を行っているところでありまして,さらに今後,土砂災害警戒区域指定の促進等を図っていきたいと考えております。現時点では,この度の災害を受けて,復旧工事に早期に着手をするとともに,これまでご説明をした防災・減災対策を確実に推進するために,補正予算の準備を進めておりまして,これについては,後日,また改めてご説明をして参りたいと考えております。一方で,行政が,ハード・ソフト対策の両面で,できるだけの対策を講じていくということが必要であると,これはもちろんであるわけですが,行政の取組に加えて,県民の皆さまが自らの判断に基づいて,「命を守る」行動を取っていただくということも,極めて重要であると思います。このため,県民の皆さまに取っていただきたい,「命を守る行動」,「普段から備える行動」を柱としまして,県民総ぐるみ運動を展開することとして,それを促進するための条例を検討して参りたいと思っております。つまり,ハード対策,今,進めておりますし,今回の災害を受けた緊急事業であるとか,あるいは,この方針の一部見直し等を進めて,ハード対策を積極的に進めて参りますし,ソフト対策についても,従来の取組に加えて,早期の警戒区域の発表等々を含めて進める予定としております。また,広島市の方でも,地域防災計画のあり方について,今後検討を進めるということになろうかと思いますが,こういったハード対策・ソフト対策に加えて,県民の皆さまに取っていただきたいという行動について,「県民総ぐるみ運動」という形で進めていきたいということであります。具体的には,お手元の資料でご説明をさせていただきたいと思いますが。

〔資料 『みんなで減災』県民総ぐるみ運動」基本方針〕
 まず「1」の「趣旨」にありますように,「災害死をゼロにする」という新たな目標を掲げて,県民総ぐるみ運動を強力に推進して参りたいと思います。「3」の「行動目標」にありますように,「命を守るために,県民が自ら,災害の危険性を『知り』,災害の発生をいち早く『察知』し,適切に『行動』できるとともに,普段から,災害を『学び』,災害に『備える』。」ということを掲げて,運動を進めていきたいと思っております。この運動を進める前提として,「検討事項」を掲げております。まず,「命を守る」行動に結びつけるために,最低限必要な取組を最優先で展開することとして,『知る』,『察知する』,『行動する』という大項目に沿って,取組事例を検討していきます。また,「普段から備える」という観点から,『学び』,『備える』という検討項目を掲げております。来月には,有識者による検討委員会を設置をして,県民総ぐるみ運動の取組内容や,それを促進するための条例制定の検討を開始したいと考えております。今後,行政が中心となって進めるハード対策,そして,ソフト対策に加えて,「広島県『みんなで減災』県民総ぐるみ運動」を強力に展開することによって,“災害死ゼロ”災害に強い広島県の実現を目指して参りたいと考えているところであります。私からの発表は以上です。 

(幹事社:NHK)
 ありがとうございました。この件について,質問がある社は,挙手をして社名を名乗ってからお願いします。よろしくお願いします。

(時事通信社)
 時事通信 吉田といいます。知事がご説明になった「県民総ぐるみ運動」と従来の県の防災対策基本条例との違いをちょっと詳しく教えてほしいんですけれども,基本条例でも県民の役割というのは規定されているんですけれども,そこの違いを教えてください。



(答)
 ご指摘のとおりでありまして,基本条例においても,住民の取るべき行動というか,考え方は記載されております。ただ,それは自助・共助・公助を担う各主体の役割を明確化した中での努力規定ということになっておりまして,新たな条例では,自助・共助に視点を置いて,特に県民の皆さまが積極的な取組を行って,いざというときに命を守る行動を取ることができると,その実行性を確保する,この基本条例の一部を特出ししたような形の特例条例になると考えております。したがって,当然に防災対策基本条例の理念や考え方というのは踏まえながら,自助・共助の視点に特化した具体的な行動規範を定めて,県民運動として県民全体として取り組むために,新しい条例にしていこうと考えているところであります。

(時事通信社)
 こういう基本条例の中での県民の取組を特出しした条例というのは,よその県などではどうなんでしょうか。



(答)
 他の県でも,実はこういった県民運動というのは展開をされているところもあると聞いておりますけれども,特に,この「県民総ぐるみ運動」に特化して,条例を制定をして推進しているというところは初めてではないかなと思っております。各県で,要するに条例はないけれども県民運動は展開しているとかいうところはありますし,条例に県民運動という言葉はあるけれども,これに特化した,まさにその基本の中に入っているというものはあるようではありますけれども,今回はこれに特化して,運動を展開しようということで,これは初めてじゃないかと思います。重要なことは,ハード整備,あるいは防災・減災のための防災計画がありますけれども,これは主として行政が展開をすることでありまして,これ自体はもちろん加速するべきところであるとか,見直すべきところというのも多々あると思います,今回の反省も踏まえて。それはそれで,もちろんしっかりとやっていくと,それに加えて,県民の皆さま自身の行動が大きく生死を左右することもあるという認識に立って,それについてもしっかりと後押しできるような運動にして,それをさらにバックアップする条例としていきたいということであります。

(中国新聞社)
 中国新聞社の松本です。先ほどおっしゃった,来月にもできる有識者の検討委員会という,そのメンバーとか,人数とか,先ほどちょっと言われましたけれども,具体的にどういった内容を検討していくのかというのを教えていただきたいんですけれども。



(答)
 もちろん,メンバーはこれからになりますけれども,メンバー数としては10人程度かと思っています。あまり多いと実質的な議論にならないので,10人前後の方に入っていただいて,特にやはり,行動ということの特性がいろいろありますので,そういった人間の行動であるとか,あるいはそれを促すためにどういう働きかけをしたら良いかとか,そういった専門家の方にも入っていただきたいと思ってます。そういう意味では,従来の防災というだけはなくて,人間行動についての知見を持った方にも入っていただきたいということですね。

(中国新聞社)
 すみません,その中でその条例の内容であったり,具体的な,どういう行動を取れば良いかという内容を考え,検討をしてこられる。

(答)
 それもそうですね,はい。

(中国新聞社)
 中国新聞 金刺です。砂防・治山,がけの復旧工程,これ5日に示されているわけですけれども,そこから日も経って,例えば,もっと詳細が出ているとか,その辺りの変更点,変更点といいますか,加えている点というか,詳しくなっている点があれば教えていただきたいのと,あと,こういった復旧工程が着実に進むのかという住民の不安もあるかと思うんですけれども,それに知事としてはどう応えるかという2点をお願いします。

(答)
 特に砂防の計画については,これは今,12月を目途に策定をしていくということで,今,作業を進めています。これ自体はやはり技術的な部分も含まれますので,今の段階で何か区切りをつけて発表できるということはありませんけれども,12月には,着実にそれぞれの箇所について,発表して参りたいと考えてます。

(中国新聞社)
 住民の不安に対しては。

(答)
 住民の皆さまに対しては,今,説明会もさせていただいてますけれども,改めて,こういった,先ほどの絵のような事業を進めていきますということをご説明をさせていただいて,なおかつ,12月にはそれを発表させていただくということを,ご理解をいただくということを努力するということだと思ってます。

(幹事社:NHK)
 他の社であればお願いします。

(中国新聞社)
 同じく中国新聞社の中島と申します。砂防事業と共に,治山事業も今後,展開していくと思うんですけれども,治山ダムの設置等,そのスケジュールというのを,ここではちょっと砂防事業というのがメインになっているんですけれども,スケジュールの方をわかれば教えてください。

(答)
 いや,これは砂防・治山事業とセットで示しているんですけれども。

(中国新聞社)
 同じ時期にということで。

(答)
 同じ時期です。

(中国新聞社)
 わかりました。

(RCC)
 RCCの友定です。もう1回,総ぐるみ運動の中身に返るんですけど,『行動する』というところで,早期の避難行動,適切な避難場所を選択するための仕組みの構築等々書いてあるんですが,これは具体的に言うと,今までの避難場所等を全部見直すという意味なんでしょうか。

(答)
 いや,避難場所自体を見直すということではなくて,もちろん一部,土砂災害防止法に基づく警戒区域であるとか,あるいは特別警戒区域の指定に従って変更されるようなものというのもあるかもしれませんが,ご承知のように,避難場所,これは災害の種類によって異なります。しかし,なかなか災害の種類によって異なるということそのものや,じゃあ,この避難場所はどういった災害の避難場所に指定されているのかということまで周知されているかというと,そこはまだ不十分であろうと考えてます。これは全ての災害に対応できる避難所というか,全ての避難所が全ての災害に対応できるというのは,実態としてなかなか難しいこともあろうかと思いますので,必要なことは,やはり,どの避難所がどういった災害のときに避難すべきところなのかということを住民の皆さんに知っていただくと。それをどう進めれば,これが実効的に進んでいくかといったようなことを考えていくということですね。

(RCC)
 今回,仮に避難勧告が出たとしても,浸水等で避難できなかった避難所も多くあったという,当然,そこは広島市が検討するかもしれませんけど,県内の広範囲で考えると,現在の避難所が果たしてどうなのかという疑問というのが,高齢化とかもあって,県民の皆さんから上がっているとは思うんですけど,その辺についてはどうなんでしょうか。

(答)
 それは各避難所の状況にも寄りますし,それから,実際に災害が起きた場合,あるいは起きそうな場合に,そのときの周囲の状況がどうかということによっても,やはり変わってくると思うんですね。例えば,避難勧告が出たとしても,既に道路が冠水状態であったりとか,今回のように土砂も既に流れ始めているというか,大きな土石じゃないにしても,一定のものが流れているというときに,災害弱者の方が避難をするというのは非常に困難であったかもしれないというようなこともあると思います。そういったときに,それじゃあ,近所の例えば堅牢な建物の上階に上がっていくとか,あるいは自宅の2階であるとか,そういったこともあると思いますけれども,いろんな身を守るという方策はあると考えられますので,そういったことも含めて,この県民運動の中で取り扱っていくということが必要であると思ってます。

(読売新聞)
 すみません,読売新聞の内田です。この基本方針の中の『察知する』の欄で丸があるんですけれども,『危険箇所への雨量計等の設置』という項目があるんですけれども,これは県民の皆さんに対して,例えば義務付けるというか,そういう方向でお考えなんでしょうか。

(答)
 いえいえ,すみません。県民運動というのは,もちろん県民の皆さまに行動を取っていただくということですけれども,それを支える仕組みというのは当然に必要だと考えてまして,今の例えば雨量計の設置というのは行政がそれを設置をして,その情報提供を行うというような形ですね。ただ,ポイントは,例えば雨量計を設置して情報を提供しても,それをご覧いただかないと情報は伝わらないので,もちろん一定の例えば周知というのはできますけれども,一定の周知というのは,特に災害が起きそうな状態,あるいは起きている状態の中で,避難指示あるいは避難勧告,これを伝えるというのは行政が,これはいわゆるプッシュでどんどんやっていきますよね。だけれども,事前に,この雨量計を,今雨量がどうなってますというのを,これをいちいちプッシュで提供していたら,住民の皆さまも混乱するので,例えばメールであるとか,そういうことはあるかもしれませんけれども,そのためには,やはり一定の情報を取りにいくという行動を取っていただかないといけませんよね。それが,県民の皆さんにお願いをしたい部分になるということです。

(読売新聞)
 それはつまり,行政側が雨量計等を設置して,その情報を行政側からあえて出すことはないけれども…。

(答)
 いや,出すんですよ,当然。

(読売新聞)
 それ以前に,例えば住民の方がその場所をどこに何が設置されているのかというのを,あらかじめ把握しておいた上で動いてもらいたいという意味が込められているということですか。

(答)
 雨量計を設置をして,雨量の情報を例えばインターネットで提供しますと,あるいはメールで提供しますと。そのときに,全ての例えば雨量計の情報を,全部の住民の皆さんに,今の,例えばエリアメールみたいなので出していくのが適切かというと,必ずしもおそらくそうではないと。で,ウェブでは提供するけれども,そうするとその情報を見に行くという行為が必要なんですよね。それを見に行かなければ情報は伝わらないし,例えば登録したメールで,それをお知らせをするというような場合にも,登録をしていただかなければいけませんし,メールが来たらそれを読んでいただかないといけないので,そういった行動が発生するわけなんですね,住民の皆さんに。そういうことをお願いをしたいということですね。

(読売新聞)
 なので,ここにあるとおり,自主避難の判断基準となる情報源の拡充とあるんですけれども,全ての情報を行政が一括して流すという,例えば雨量計,ここの雨量は何ミリに達したとか,そういう情報を行政側が発信するのはあれなんだけれども,取りにいくというのは住民自身がという認識でいいんですか。

(答)
 そうですね。いや,だから,それは一定のものは今みたいなエリアメールとか緊急メールで一斉に,要するに有無を言わさず,例えばテレビが自動的につくみたいなこともありますけれども,そういった強制的に情報をお届けする,例えばスピーカーで流すとかというようなことも含めて,そういうものは一定あると思います。でも,全ての情報をそれで届けることはできないので,そうすると住民の皆さんに取得をしに行っていただく,ないしはメールが来たら読んでいただくということが必要ですよね。つまり,我々が今言ってるのは,メールを送ったら読んでますよねという前提ではないということですよ。メールを送っても,それを読んでいただくという行動を取らないと,情報は実際には伝わらないので,実際に情報が伝わるために,県民の皆さまにも意識を持って行動していただく必要があると,そういうことを言ってます。何か,ピンとこないですか。

(読売新聞)
 『(雨量計等の)設置』となっているのは,主語は誰なんだろうという。

(答)
 それは行政です。だから,この中に入っているのは,県民の皆さんがそうやって,やっていただくための前提となるシステムももちろんあって,それは行政がもちろんやります。ここで,この条例で言ってるのは,最終的に県民の皆さんがそういった適切な行動を取っていただくために,行政がやることはいっぱいあります。それももちろん規定するということです。

(読売新聞)
 ありがとうございます。

(中国新聞)
 関連してなんですけど,ここにある取組事例というのは,基本的にはもう,やると考えていいんですか。

(答)
 これは,まだそういった専門家も含めた議論は経てませんから,こういったイメージでと考えてますけれども,これはこれから議論をして精査した上で,適切なものは実行していくということになると思います。

(中国新聞)
 考え方としては,周知徹底とか啓発とかということをどうすれば徹底できるかというのを検討委員会で検討してもらうというイメージなんですかね。

(答)
 それもありますし,今言ったような,どういう情報を,どう提供したらいいのかというのもあると思いますし,それに基づいて,住民の皆さまがどう行動していくのが望ましいのかと,じゃあ,その行動を,例えば望ましい行動というのがあったとして,ただ望ましいというだけでは行動は起きないので,実際に行動に結びつけていただくために,どういったことが必要なのかとかいったことも議論していただくことになると思います。

(中国新聞)
 基本的なことで恐縮なんですが,そこで考えたことを県民に実際に動いてもらうためには,条例には規定していくんだと思うんですけれども,具体的にどういったアクションというか,県民が実際に動くためにどう働きかけるのかという。

(答)
 それは,これもイメージですけれども,今,県として取り組んでいるのは,地域自主防災組織の活性化というのをやってますけれども,そういうところで住民の皆さんに集まっていただいて,例えば危険箇所の確認をするとか,ハザードマップの確認を一緒にするとか,実際に避難経路を歩いてみるとか,そういったところで訓練を行うとか,あるいは学校を通じて,子供たちからハザードマップを確認してもらうとか,確認したらチェックをして,学校に返していくとか,学校がそれをやっていただけるかどうかは別として,そういったことはたくさんありますよね。それを何が適切なのかということも検討して進めていくということですね。

(中国新聞)
 中国新聞です。今,施策出てますけれども,具体化したものは本格的に予算化するのは,新年度予算案になってくるのかという点と,補正でも積めるものはどんどん積んでいくのかという点をお伺いしたいのと,いろいろ情報伝達の面ではデジタル系のものが多いとは思うんですけれども,ここにも書いてますけれども,ウェブ環境のない住民に対する情報の拡充,情報伝達の拡充,具体的にはこういう高齢者の方とか携帯を持っていない方等もいらっしゃると思うので,それはどのようにやっていくべきだと,知事は今の段階でお考えでしょうか。

(答)
 今,結論はなくて,そういったことをまさにいろいろと検討していきましょうということであります。

(中国新聞)
 予算計上の時期については。

(答)
 予算は,基本的には来年度の当初予算を考えています。

(中国新聞)
 額の規模感みたいなものはちょっと今の段階では。

(答)
 いや,それはまだ全くわかりません。

(読売新聞)
 読売新聞の浦野と申します。先ほどの質疑の中で,行政に対しての取組というところがあった,雨量計の設置とかあったわけなんですけれども,この点についてお伺いしたいのですが,元々のその基本条例については努力規定となってるわけなんですけれども,今回の仮称の条例の方について,特にその市町への取組についても努力規定で行くのか,それとも,もう少し義務付けみたいなものも考えていらっしゃるのか。ちょっとその辺りをお願いできますでしょうか。

(答)
 場合によっては義務付けのようなこともあり得るかと思ってます。それもこれからの議論ですけれども,まさにそういうことも含めて,条例にするというのは,そういうこともあり得るだろうということで条例化していこうということです。

(読売新聞)
 今のところ,義務付けの範囲なんですけれども,これは知事としてどこまで考えてるかという範囲でのお話で結構なんですけれども,今,念頭にあるのが,例えば雨量計の設置だけなのか,それとも今回,市の検証委員会などでも上がっていたサイレンとか,どこまで広げていくのかとか,その辺り,念頭にあるお考えがあるのであれば,ちょっと教えていただけますか。

(答)
 情報伝達の方法といったようなことは,それぞれの地域の状況であるとか,あるいは伝えるべき住民の皆さまの対象によって大きく変わってくると思いますので,それ自体が義務付けになるとはあまり今は想定していませんけれども,ただ,例えば,今,ハザードマップの策定もしていますけれども,それの周知であるとか,そういったようなこともあり得るかなとは思いますし,これは今,申し上げたような,これから議論して,ここは最低限やっておかなければいけないということについては,義務化も含めて検討するということを考えています。

(読売新聞)
 ちょっとそうすると確認なんですけれども,今,最低限やってもらうこととしては,例えば,策定したハザードマップの周知であるわけで,例えば雨量計の設置ですとかサイレンの辺り,この辺りは〔検証〕委員会の方で議論してもらうという認識で良いですか。

(答)
 いやいや,全て,〔検証〕委員会で議論していただくということで,何か今,特定のものを既にこれは義務化するとかいうことはまだ考えていません。

(中国新聞)
 すみません,中島です。復旧工程の話にちょっと戻るんですけれども,先ほどの治山事業なんですけれども,事業を進めるにあたっては,山林の保安林の指定というのが前提になるわけなんですけれども,それについて,今後,その指定をされた上で治山事業を展開されていくのか,また,そのダムなんかを設置した後に,年度内に指定をされていくのかというような方針があれば教えてください。

(答)
 通常,保安林の指定というのは二つほどありまして,一つは予防的なものですけれども,これは地元の要望に基づいて行うんですが,渓流の浸食であるとか山腹崩壊が起こって災害の恐れがあるというような切迫したというか,そういうものが高いと見受けられるようなところ,これについてやることがあります。多くの場合は復旧事業に伴うものでありまして,復旧事業に伴うものというのは,当然に,今回のように山が削れているわけですから,そこの対策を取っていかなければいけない。そういうことも含めて,復旧に伴う保安林の指定があります。したがって,今回,この被災地の復旧にあたっては,当然にその保安林の指定をするということにもなろうかと思ってます。そのタイミングについては,これはちょっとまた別途と思ってます。

(中国新聞)
 県が指定する山林というのが,民有林でありますね。ですから,個人の所有者の了解を得て,指定をしていくという手続きが必要になってくるんですけども,その辺のタイムスケジュール的なものというのは大丈夫なんでしょうか。その所有者を見つけなければならないという話が出てくると思うんですけれども。

(答)
 それはもちろん,実際の今の被災地の八木・緑井あるいは可部における,この所有林の状況はどうかというのは,今,にわかにわかりませんけれども,当然にそういった所有者の承諾を得ていくという作業は入ります。ただ,いずれも従来,この復旧事業にあたって保安林指定というのはやっていますので,そこにおいて,あまり,いやいや承諾したくないとかということがあって困難であったということはあまり聞いてませんので,当然に災害の状況もお伝えしながら,ご協力を求めていくと。で,それはこの災害事業も時間もかかるものでありますから,そういった範囲の中では適切に進めていくということを想定してます。

(幹事社:NHK)
 それでは,ここで一般,災害関係以外の一般の質問を希望する社もあるかと思いますので,一旦,ここで災害関係以外の質問を受け付ける時間とします。また時間が残れば,災害関係の質問を受けるということにします。災害関係以外で質問がある社があればお願いします。
特にないようなので,引き続き,災害関係であればお願いします。

(広島テレビ)
 広島テレビの大瀧と申します。今,災害関係の山の方の復旧の計画のお話を伺ってますけれども,その先たぶん町の方の復旧という話になってくると思うんですが,被害の非常に大きかった八木の県営住宅ですけれども,もし今後,今の時点であの場所をどうしていくかというようなことが話に上がっていれば,どういう方向になっているのかということ,もしくは知事として,世帯〔数〕も大きい,場所も広いところですので,どうしていくべきだと思われているかというのを伺いたいのですが。

(答)
 これは2面というか,あると思うんですが。一つはこのまちづくり自体の考え方でありまして,これについては主に広島市が考えて,中心となって考えていただくことだと思ってます。この点については,この災害復旧事業とあわせて一定の部分というのは考えるということになろうかと思いますけれども,ただ今回,範囲が非常に広いということもあって,そこ全体をどうするかというのはまだ,引き続き〔広島〕市での検討中ということかと思います。それから,もう1面は,この緑丘住宅そのものですけれども,県の運営者としてどう考えるかということですが,これは現時点,まだしっかりと調査ができておりません。これは捜索活動なども含めて,あるいは土砂の撤去なども含めて,まだ完全に終わってませんので,今それを待っているという状況です。それがひと段落をした時点で,建物にかなりの土砂が入っておりますし,大きな岩等がぶつかったような可能性もありますので,構造について,しっかりと検査をする必要があると考えておりまして,これについては,現段階では正確にわかりませんけれども,何か月かは調査にかかると考えてます。その上で,今の〔広島〕市の検討と併せて,県営住宅そのものが使えるのかどうかという結論を踏まえて,最終的な決定をするということになろうかと思います。

(広島テレビ)
 建物の使えるかどうかということとは別に,非常に危険な地域であるということが今回わかったというところで,続けていくべきかどうかの判断というのは広島市の方になるということですか。

(答)
 そうですね,そこは,まず一つは土砂災害防止法との関係が出てくると思いますけれども,例えば,今,国にお願いをしてますのは,当面,土砂災害防止法の基準というか,指定の考え方,これの見直しをお願いをしております。というのは,従来のこのやり方だと,特別警戒区域がどうしても狭くなってしまうので,今回発生した土石流を全部再現することが難しいということですね。したがって,基準の見直しが必要であると思っているんですが,それについては少し時間もかかると思ってます。なので,今回,実態として災害が発生をしたというか,建物に被害が生じているような地域を特別警戒区域に速やかに指定できるように,その基準とは別に指定できるようなやり方というのもお願いをしてます。これは政令に一条項を追加していただければできるんですけれども,それ自体も政令改正ということで時間もかかるかもしれませんが,そういうことをお願いをしてます。その中で,当面は警戒区域ということで新規の建物を建てるということは制限がかかるということにしたいと思ってます。ただ一方で,今後,砂防事業を進めていきますと,それによって特別警戒区域というのは縮小していくということになります,逆に。そうすると建物に対する制限というものは,土砂災害防止法の観点からは,できるというようなことになっていきます。そのときにどうしていくのかということは,まさにこれはいろんな非常に複雑な問題なので,少しじっくりと,考える必要があるんではないかと考えますし,それは県営住宅,緑丘住宅のところだけではなくて,いわゆる土石流の発生地点直下のところを含めてたくさんありますし,それは多くは民有地でありますので,それについての考え方というのは整理をする必要があると思います。

(NHK)
 NHK中村です。緊急砂防事業に関連してなんですけれども,考え方として,2枚目の図だと,今回災害で堆積した土砂を止めるもので砂防ダムとありますけれども,基本,土石流があった場所については,全てを砂防ダムを設置するという考え方なのかというのと,あと,実際,砂防ダムを造るにあたっては,国と県とで役割分担といいますか,そういうことになると思うんですが,その辺の考え方などをお願いします。

(答)
 この渓流の流域に住宅等がある,今回,ですから住宅や人命に被害があったようなところは当然に,それは設置をしていくということになります。ただ,ご承知のとおり,土石流もいたる所で発生してまして,住家と関係ないところで発生しているものも多々あります。そういったものについてどうするかというのは,まだ引き続き,今後の検討だと思いますが,基本的に,人命や財産に影響のあるようなところは全て設置をしていきます。それ自体は今回の堆積した土砂を止めるというようなことで,にわかに災害が発生をしないということでありますが,それに加えて,さらに強化をするということで,それは渓流によって状況が違いますので,それぞれに応じた技術的な検討を行って,追加的な砂防ダム,あるいは治山ダムを設置するということを決定していくということになります。それは今回の,今検討してます12月に発表しますけれども,その中では大まかな今後の全体像も含めて発表させていただくということになります。

(時事通信社)
 NHKの言われた直轄砂防事業との棲み分けは。

(答)
 それは明確なルールがあるわけではありませんので,一つ一つ調整ですけれども。基本,規模が大きくて複雑なところは,国直轄になる可能性が高いと考えてます。

(幹事社:NHK)
 それでは,そろそろ時間も経ってきましたので,次が最後の質問としたいと思います。質問ある社はお願いします。
ないようなので,ここで閉めたいと思います。これで知事の定例会見を終わりにします。次は10月7日火曜日,午後1時半から予定してます。またよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

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参考(「広島県における今後の防災・減災対策について」) (PDFファイル)(779KB)
資料(「広島県『みんなで減災』県民総ぐるみ運動」基本方針について) (PDFファイル)(212KB)

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