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2015年3月10日 産業廃棄物のリサイクル技術をご紹介します

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年3月13日更新

広島県の廃棄物リサイクルの取り組み

 みなさん石膏ボードというものをご存じでしょうか。

 石膏ボード

 ふと見上げると天井に敷き詰めてある石膏ボード,断熱防火防音などのため,天井や壁の中にたくさん使われています。

 建物が壊される時には,これらは産業廃棄物となりますが,この石膏ボード,非常に厄介なゴミになるのです。

廃石膏ボードとは

 昔は廃石膏ボードは普通に最終処分場に埋め立てをしていました。

 しかし,処分場の地下のような酸素の行き届かない場所に,石膏と石膏ボードに付着した糊と水が存在することで,硫酸還元菌の働きにより危険な硫化水素が発生してしまうことが分かってきました。

 実際にこの硫化水素により死亡事故も発生しています。

 そのため,廃石膏ボードは管理型処分場という非常に管理の厳しい処分場にしか埋め立てることができなくなりました。

 しかし,この廃石膏ボード,発生量が半端ではないのです。

 廃石膏ボードの山

 昭和の建設ラッシュの時期に建てられた建築物が建て替えの時期を迎え,年々廃石膏ボードの排出量は増加しています。

 (社)石膏ボード工業会の調査によると,平成25年現在の全国の廃石膏ボードの年間排出量は約200万トンであり,今後も増加していくことが予測されています。

 これら全てを管理型処分場に埋めていては,処分場はすぐに一杯になってしまいます。処分場は無限ではないのです。

 そのため,廃石膏ボードをリサイクルすることはとても重要な課題となっています。

 広島県の廃石膏ボード処理の現状

 広島県では現在,廃石膏ボードの埋め立ては原則行っていません。

 行政や事業者の積極的な取り組みにより,全てリサイクルされています。

 どのような処理がされているかというと,新たな石膏ボードへのリサイクルや,セメント原料としての利用等です。

 しかし,これらの需要がいつまでもあるとも限りませんし,増え続ける廃石膏ボードの排出を受けきれるとも限りません。

 そのため,その他の廃石膏ボードの処理ルートを,多くの機関が模索・研究しています。

 そこで,広島県が行った廃石膏ボードのリサイクルの研究を一つご紹介します。

天井が肥料に?

 その研究とは,廃石膏ボードを植物の栽培に使える肥料としてリサイクルしようという試みです。

 ここでもう一つ注目するものがリンという物質です。

 リンは重要な資源として全て海外から輸入されています。

 リンは農作物の肥料として使われ,農作物を人間が摂取し,最終的には下水処理場に集まりますが,そのほとんどが回収されずにゴミとして捨てられています。

 このゴミとして捨てられるリンと,ゴミとして捨てられる廃石膏ボードを利用して,有用な化学肥料の原料を作ります。

 下の写真はリンをたくさん含んだ下水処理場の排水です。

下水処理場排水

 

 これに廃石膏ボードを粉にしたものを加えて,反応させます。

反応

 

 この反応により,石膏中のカルシウムと排水のリンが合わさり,リン酸カルシウムという有用な化合物が得られます。

 ただの白い粉に見えますが,とても有用な粉なのです。

リン酸カルシウム

 

 その効果を調べるための実験が次の写真です

 左が廃石膏ボードと下水処理場排水から得られた肥料を加えた土,右が何も加えない土で,それぞれ同じ植物を栽培した結果です。

栽培

 リサイクル肥料を与えた方が元気に育っているのが一目瞭然ですよね。

 天井に使われていた建材が,肥料に生まれ変わるという意外な結末です。

循環型社会の確立を目指して

 今回はほんの一つをご紹介しましたが,世の中では様々なリサイクルの研究や試みが行われています。

 ゴミゼロ,ゴミの出ない循環型社会を作っていくには,一人一人の意識や協力が不可欠です。

 みなさんも身近なゴミの行方について,興味を持ってみてくださいね。


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