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結核医療の基準

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年4月22日更新

(平成二十一年厚生労働省告示第十六号)
(平成二十八年一月二十九日改正)

第1 結核医療の一般的基準

1 検査

 結核の医療を行うに当たり,適正な診断と治療のために行う検査は,次に掲げるとおりとする。

(1) 治療開始時には,結核菌検査(結核菌培養検査を含む。以下同じ。)を行い,対象とする病変が結核菌によるものであることを確認するとともに,単純エックス線検査及び必要に応じてCT検査を行う。
また,結核菌培養検査が陽性の場合には,必ず薬剤感受性検査を行う。

(2) 潜在性結核感染症の診断に当たっては,ツベルクリン反応検査又はリンパ球の菌特異抗原刺激による放出インターフェロンγ試験を実施するとともに,臨床症状の確認やエックス線検査等によって,活動性結核ではないことを確認する。

(3) 治療中は,結核菌検査及びエックス線検査を行い,病状の改善の有無を確認するとともに,副作用の早期発見のために必要な検査を行う。ただし,潜在性結核感染症の治療中は,エックス線検査を行い,発病の有無を確認するとともに,副作用の早期発見のために必要な検査を行う。

2 治療

 結核の治療は,化学療法によることを原則とし,化学療法のみによっては治療の目的を十分に達することができない場合には,外科的療法又は装具療法の実施を検討する。

3 患者への説明

 結核の医療を行うに当たっては,患者の社会的状況を十分考慮するとともに,確実な服薬を含めた療養方法及び他者への感染防止の重要性について理解を得るよう患者に対して十分な説明を行う。

第2 化学療法

1 化学療法の一般方針

(1) 結核の化学療法は,患者の結核菌が感受性を有する抗結核薬を3剤又は4剤併用して使用することを原則とする。この際,第1の1の(1)の薬剤感受性検査に基づき,有効な抗結核薬の選定に努める。

(2) 化学療法の実施に当たっては,副作用の発現に十分注意し,適切な薬剤の種類及び使用方法を決定する。
なお,結核以外の疾患の治療のための薬剤を使用している患者については,薬剤の相互作用にも注意を要する。

(3) 受療中の患者に対しては,保健所との連携の下に策定された支援計画に基づき,薬剤を確実に服用するよう十分指導する。

2 薬剤の種類及び使用方法

(1)抗結核薬

ア 抗結核薬の種類は,次に掲げるとおりとする。

 (ア) INH イソニアジド
 (イ) RFP リファンピシン(又はRBT リファブチン)
 (ウ) PZA ピラジナミド 
 (エ) SM 硫酸ストレプトマイシン
 (オ) EB エタンブトール
 (カ) LVFX レボフロキサシン
 (キ) KM 硫酸カナマイシン
 (ク) TH エチオナミド
 (ケ) EVM 硫酸エンビオマイシン
 (コ) PAS パラアミノサリチル酸
 (サ) CS サイクロセリン
 (シ) DLM デラマニド

イ 抗結核薬の選定における留意事項は,次に掲げるとおりとする。

 (ア) RBTは,重篤な副作用又は薬剤の相互作用のためRFPを使用できない場合に,RFPに代えて使用する。ただし,患者の結核菌がRFPに対して耐性を有する場合には,当該結核菌はRBTに対しても耐性を有することが多いため,ほかに使用できる抗結核薬がない場合に限り,十分な検討を経た上で,これを使用する。

 (イ) SM,KM及びEVMは,これらのうち2剤以上を併用して使用してはならない。

 (ウ) KMとEVMの間には交叉耐性があるが,その発現特性から,原則としてEVMの使用前にKMを使用する。

  (エ) DLMは,患者の結核菌がINH及びRFPに対して耐性を有する場合に限って使用する。DLM以外の3剤以上と併用して,これを使用することを原則とする。ただし,外科的療法を実施する場合には,DLM以外の1剤又は2剤と併用して,これを使用することができる。
また,DLM以外の3剤以上と併用することができないことを理由として,DLM以外の1剤又は2剤と併用することを検討する際には,薬剤に対して耐性を有する結核菌の発現の防止と結核の治療効果の両面から慎重な検討を要する。

ウ 抗結核薬の使用に当たっては,副作用の発現に十分注意し,患者の年齢,体重等の条件を考慮して,適切な種類及び使用方法を決定する。ただし,副作用の発現を理由として抗結核薬の種類の変更を検討する際には,副作用の程度と結核の治療効果の両面から慎重な検討を要する。

(2)副腎皮質ホルモン剤

 結核性髄膜炎,結核性心膜炎等の場合には,抗結核薬と併用して副腎皮質ホルモン剤を使用する。

3 肺結核の化学療法

(1)薬剤選択の基本的な考え方

ア 治療開始時の薬剤選択

 (ア) 初回治療で薬剤耐性結核患者であることが疑われない場合については,次に掲げるとおりとする。

 ( i ) PZAを使用できる場合には,まず,INH,RFP及びPZAにSM又はEBを加えた4剤併用療法を2月間行い,その後INH及びRFPの2剤併用療法を4剤併用療法開始時から6月(180日)を経過するまでの間行う。ただし,4剤併用療法を2月間行った後,薬剤感受性検査の結果が不明であって症状の改善が確認できない場合には,薬剤感受性検査の結果が判明するまでの間又は症状の改善が確認されるまでの間,INH及びRFPに加え,SM又はEBを使用する。

 なお,INH及びRFPの2剤併用療法については,対面での服薬が確認でき,かつ,患者がHIV感染者ではない等の場合には,間欠療法を実施することができる。

 ( ii ) PZAを使用できない場合には,まず,INH及びRFPにSM又はEBを加えた3剤併用療法を2月ないし6月間行い,その後INH及びRFPの2剤併用療法を3剤併用療法開始時から9月(270日)を経過するまでの間行う。

 (イ) 初回治療又は再治療で,患者の従前の化学療法歴,薬剤耐性結核患者との接触歴等から薬剤耐性結核患者である可能性が高いと考えられる場合については,2の(1)のアに掲げる順に,患者の結核菌が感受性を有すると想定される抗結核薬を3剤以上選んで併用療法を開始し,薬剤感受性検査の結果が判明した時点で,必要に応じて使用する抗結核薬を変更する。

イ 薬剤感受性検査判明時の薬剤選択

 (ア) INH及びRFPのいずれも使用できる場合については,アの(ア)の i 及び ii に掲げるとおりとする。

 (イ) INH又はRFPが使用できない場合については,使用できない抗結核薬に代えて,2の(1)のアに掲げる順に,患者の結核菌が感受性を有すると想定される抗結核薬を4剤以上選んで併用療法を開始し,その後は長期投与が困難な薬剤を除いて治療を継続する。この場合の治療期間については,次に掲げるとおりとする。

 ( i ) INHを使用できる場合であってRFPを使用できない場合の治療期間は,PZAの使用の可否を問わず結核菌培養検査が陰性となった後(以下「菌陰性化後」という。)18月間とする。

 ( ii ) RFPを使用できる場合であってINHを使用できない場合の治療期間は,PZAを使用できる場合にあっては菌陰性化後6月間又は治療開始後9月間のいずれか長い期間,PZAを使用できない場合にあっては菌陰性化後9月間又は治療開始後12月間のいずれか長い期間とする。

 ( iii ) INH及びRFPのいずれも使用できない場合であって感受性のある薬剤を3剤以上併用して治療を継続することができる場合の治療期間は,菌陰性化後18月間とする。

 (ウ) 結核菌培養検査が陰性である等の薬剤感受性検査の結果を得ることができないと判明した場合については,初回治療で薬剤耐性結核患者であることが疑われない場合にあってはアの(ア)に掲げるとおりとし,初回治療又は再治療で,患者の従前の化学療法歴,薬剤耐性結核患者との接触歴等から薬剤耐性結核患者である可能性が高いと考えられる場合にあっては薬剤感受性結核患者である可能性及び薬剤耐性結核患者である可能性のいずれも考慮して,使用する抗結核薬を決定する。

ウ 潜在性結核感染症の治療における薬剤選択

 潜在性結核感染症の治療においては,原則としてINHの単独療法を6月間行い,必要に応じて更に3月間行う。ただし,INHが使用できない場合には,RFPの単独療法を4月ないし6月間行う。

(2)治療期間に係る留意事項

ア 治療開始時に症状が著しく重い場合,治療開始時から2月を経ても結核菌培養検査の成績が陰転しない場合,糖尿病,じん肺,HIV感染等の結核の経過に影響を及ぼす疾患を合併する場合又は副腎皮質ホルモン剤若しくは免疫抑制剤を長期にわたり使用している場合には,患者の症状及び経過を考慮して治療期間を3月間延長できる。

イ 再治療の場合には,結核の再発の防止の観点から,治療期間を初回治療の場合よりも3月間延長できる。

(3)治療効果の判定

 治療効果の判定に当たっては,結核菌培養検査の成績を重視することとし,治療開始時から3月以内にエックス線陰影の拡大,胸膜炎の合併,縦隔リンパ節腫脹等が認められるとしても,結核菌培養検査の成績が好転しているときは,実施中の化学療法を変更する必要はない。ただし,治療開始後4月間以上,結核菌培養検査が陽性である場合又は菌陰性化後に行った結核菌培養検査において陽性が確認された場合には,直近の結核菌培養検査により検出された結核菌について,必ず薬剤感受性検査を行う。

4 肺外結核の化学療法

 肺結核の治療に準じて化学療法を行うが,結核性膿胸,粟粒結核若しくは骨関節結核等の場合又は結核性髄膜炎等中枢神経症状がある場合には,治療期間の延長を個別に検討することも必要である。

第3 外科的療法

1 外科的療法の一般的方針

(1) 結核の治療は,化学療法によることを原則とするが,結核の部位,化学療法の治療効果等から必要があると認められる場合には,外科的療法を行う。

(2) 外科的療法の実施に際しては,化学療法を併用するとともに,手術の安全確保及び合併症の防止を図るため,薬剤に対して耐性を有する結核菌の発現状況を踏まえ,手術後における有効な抗結核薬の使用が確保されるように留意する。

2 肺結核の外科的療法

 肺結核については,患者の結核菌が薬剤に対して耐性を有していること等の理由により,化学療法によって結核菌培養検査が陰性となることが期待できない場合若しくは陰性となっても再発の可能性が高い場合又は喀血等の症状が改善しない場合には,外科的療法の実施を検討する。

3 結核性膿胸の外科的療法

 急性膿胸については,穿刺排膿術又は閉鎖性排膿術を行う。

 慢性膿胸については,全身状態によって治療方針が異なるが,最終的な治癒のためには外科的療法が必要である。その術式としては,膿胸腔縮小術,肺剥皮術,胸膜肺切除術等がある。

4 骨関節結核の外科的療法

 骨関節結核については,重篤な合併症がある場合等を除き,外科的療法として病巣廓清・固定術を行う。

5 その他の部位の結核の外科的療法

 性器結核,気管支結核,腸結核,結核性心膜炎,胸壁結核,リンパ節結核,泌尿器結核,結核性痔瘻等についても,必要に応じて外科的療法を行う。

第4 骨関節結核の装具療法

 骨関節結核については,局所の安静を保つことにより病巣の治癒を促進するため,又は外科的療法の実施後において局所を固定するため,装具療法を行う。

 また,装具療法の実施に際しては,化学療法を併用する。

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